つれづれの記

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本人確認と運転免許証 1

2012年12月05日 18時44分16秒 | 日記

2012年12月5日(水) 本人確認と運転免許証 1

 

 これまで、戸籍について、以下の様に触れて来たが、

     戸籍の話 その1 (2012/9/27)

     戸籍の話 その2 (2012/9/29)

     戸籍の話 その3 (2012/11/22)

     戸籍の話 その4 (2012/11/30)

 

これらは、今般、本籍を、出生地から現住所へ移すまでの、準備作業、転籍届、運転免許証の記載事項の変更、などの経過について、体験的に述べたものである。

 今回は、前回触れなかった、本人確認資料としての運転免許証の役割と、それから来る偽造問題等に付いて、改めて取り上げることとしたい。

 

◎運転免許証は、文字通り、車を運転するための、顔写真入りの許可証である。免許証が無いのに運転することは、無免許運転という重大な違反となる。

通常の運転でも、一斉取り締まりなどでの検問や、スピード違反や事故の場合は、真っ先に、免許証の提示が求められる。

 

  一方、公的機関や金融機関の窓口等で、本人確認が必要となる場面は多いが、この時に、1点だけで必要十分な資料になるのは、一般人の場合は、

     ・運転免許証         (自治体公安委員会)

     ・パスポート         (外務省)

     ・住基カード(顔写真入り)  (自治体)

があり、取得者数が圧倒的に多く、広く活用されているのは、言うまでも無く、運転免許証である。健康保険証等の場合は、併せて、他の資料・情報の提示も求められる。    

 

 自分の場合は、顔写真入りの、住民基本台帳カードを作って貰っており、免許証でなくこれを、常時携行して、本人確認用の身分証明書としても活用している。

これと、運転免許証とを比較した場合、免許証の取得には、住民票が基本になっているのだから、

     “免許証よりも、自治体自体が発行する住基カードの方が、権威がある”

などと、やや、自慢気に、提示する事としている。

 

 交通機関の乗車カードは、それ自身が金券でもあるので、カードの偽造防止は、極めて重要で、磁気カードから、PASMO、SuicaなどのICカードに変えるのには大きな意味がある。

  愛用のPASMOカード

 

 一方、前稿でも触れたように、H19年以降地域毎に、免許証のIC化が進められており、現在所持しているのもIC免許証だが、この免許証のIC化の主目的も、偽造の防止と言われ、このため、大変なコストと時間を掛けている訳だ。

 

 以下に、免許証の偽造とその防止法に付いて、素人ながら、いささか考察してみたい。

 

 

◎そもそも、免許証が偽造される動機としては、先ず、本来の運転のため、と言うことが考えられる。

即ち、免許を取得するには、大変な金と時間を要することから、免許が無い人が、手っ取り早い方法として、偽造を承知で、免許証を欲しがることが、考えられる。

偽造免許証でレンタカーを借りて運転するといった、悪質なケースもあるようで、この場合は、架空名義でも、実在の所有者名義でも、いずれの場合とも、第3者が被害を被ることとなる。

 

  免許が無い人が、自分で、他人の免許証を盗み、写真を入れ替えたり、記載事項を改竄するなどして、偽造することも考えられるが、これには、かなりの技が必要だろう。

 一方、組織的に、盗むなどの色んな方法で、免許証記載情報を手に入れ、それを元に、偽造免許証を作り、それを売る裏ビジネスが考えられ、そこから買う、という人がいるかも知れない。

 

 最近は、偽造免許証は、上記の様な、車を運転するため、といった分りやすいものではなく、この所、大きな社会問題になっている、振り込め詐欺などが関係しているケースも多いようだ。

即ち、運転免許証が、本人確認資料として広く利用されていることを悪用し、上述の裏ビジネスなどから手に入れた偽造免許証を使って、身元が分らなくし、他人になり済ますなど偽装して、携帯電話の契約や、銀行口座の開設などを行い、道具立てを整備する、といったことが多発しているようだ。詐欺の実行時に、うっかりすると、実在の本人の知らない所で、自分名義の携帯電話や、銀行口座が、使われているかも知れないのだ! 

 又、消費者金融から借り出す時の、本人確認用に偽造免許証が使われることがある、という恐ろしい話もあるようだ。

 

 偽造免許証が、車の運転に使われるのも、大きな問題だが、これが、本人確認資料として悪用される、上記のような事態も、徹底的に防がなければならないのは、言う迄も無い。

 

 

◎ここで、免許証での、印刷・記録情報について、これまでの各種免許証について示すと、以下の様になろう。

 

               本人情報                             免許情報   交付元情報

                顔写真    氏名等   住所   本籍  

  非IC 紙カード   写真貼付     券面    券面   券面  券面        券面  

      プラカード  写真刷り込み  券面    券面   券面  券面        券面

  IC   ICカード    写真刷り込み  券面    券面   ―   券面        券面 

                  IC内     IC内     ―      IC内  IC内         IC内

 

これらの各種情報を、如何に本物に似せるか、本物らしく見せるかが、偽造のポイントとなる訳だが、偽造のやり方としては、素人的には、大きく、以下の、2つの方向

  ・正規に実在するものを部分改造する(他人になり済ます)

  ・新規に偽造する(実在するよう見せかける)

が考えられる。

 非IC免許証、IC免許証に分けて、これらについて考察してみたい。

 

◎以前の非IC免許証は、プリントした顔写真を貼り付けて居たので、実在の免許証の写真を、貼り替えて、なり済ますことは、比較的容易だった、と思われる。

  この、顔写真を貼り替える偽造を無くすために、かなり以前から、警察署で写真を撮り、それを券面に刷り込むようになってきている。 

 でも、これで大丈夫と思いきや、実在の免許証の券面を、精巧なコピー機(スキャナ)で画像情報として取り込み、文字情報はそのまま使い(或いは、再入力して)、別人である要求者の顔写真を入れ替えて、本物に近い材質の媒体に刷り込むなどすれば、実在の免許証に見せかけて偽造することは、今や、そんなに難しくはないだろう。

 

 更に、非IC免許証を、新規に偽造するのはどうだろうか。

実在/架空の人物を決め、券面の文字情報を、合理性のある範囲内で設定し、必要とする顔写真を入れて、まことしやかな、架空の免許証を偽造することは、現在の印刷技術等から見て、そう難しくはないだろう。

 このようにして偽造された非IC免許証の、真贋の判別については、別稿で述べる。

 

 ここで余談だが、コピーによる偽造を防ぐために、精巧なカラーコピー機では、紙幣については、例えば、Ⅰ万円札をコピーすると、機械が偽造の危険を予知して、複写されたものは、紙幣の券面が黒くなるようだ。事務機器の展示場で、見せて貰った事がある。

コピー機能の付いた、自宅のプリンタではどうかな、と、試しに、Ⅰ万円札を複写したら、普通のカラーコピーが出て来た。勿論、偽札として使えるレベルには、程遠いものだがーー。

 又、今回、本籍の移動に絡んで、戸籍謄本や住民票を取得したが、記録用にと、これらをカラーコピーすると、「複製」の文字が、数か所入るようになっていて、本物ではなく、複写されたものだ、と言うのが分るようになっている。でも、元の原紙は、透かして見ても、複の字も何も、分らないのだがーー。

 

 これも余談だが、偽造の問題は、パスポートでも同様のようだ。かなり以前の事だが、職場の上司が、韓国出張中、パーティの席上でパスポートを盗まれ、帰国するのが、1週間も延びた事件があった。盗まれたパスポートは、当時は、いい値で売買されたようで、写真を貼り代えるなど偽造して使われたようだ。

このように、パスポートに関しても、当初は写真の貼付だったが、免許証と同様、ある時期から写真の刷り込みに変わり、一昨年で期限が切れた、自分の旅券もこれである。

そして、偽造防止の強化のため、日本でも、この2007年から、ICパスポートが導入されているようだ。

 

 

◎偽造防止の本命として、免許証のIC化が進められているのだが、果たして、これで、偽造は無くなるのだろうか。

IC免許証の最大の特徴は、ICチップが付いていることで、券面の情報が、ICチップにも記録されている事である。

 IC免許証 (写真の左側にICチップ)

券面の印刷情報の他に、ICチップ内に記録されている情報があるので、それと、券面情報とが合致しているか否かも、重要なチェックになる。

 

 既存のIC免許証をもとに偽造するため、券面に印刷する顔写真/文字情報を、ICチップ内にある情報と一致させて、なり済ますには、チップ内の顔写真の画像情報を書き替える必要があり、このためには、2種の暗証(PIN番号)が必要なことから、それが分らない限り、かなり困難で、ほぼ、不可能ではないか。

 ICチップ内に情報を記録するのに、RAS暗号を用いた電子署名が行われているという。 これを解くのに2種の暗証が必要と言う事だ。暗号は、読み出せるだけで、書き込むには、他の操作も必要なのかは良く分かっていない。

従って、実在のIC免許証の券面にある印刷された、文字情報等から、免許証を偽造しても、券面にある情報と、チップ内の情報とを対比すれば、不一致(顔写真、本籍など)となる。

 

 でも、ネットの某サイトには、PIN番号無しで、IC免許証の内容を読み出すという、怪しげなフリーソフトも出ていたのは驚きで、これの他にも、色々の情報もあり、その筋の世界では、“こんなの簡単!”なのかも知れないがーーー。

仮に、読み出し、書き込みが出来れば、券面とチップ内の情報とが、一致してしまう事態となる。

 

 次の手は、IC免許証を新規に偽造することだ。実在しない架空の人物等をでっち上げ、合理性のある様に、文字情報を設定し、新たな画像情報と共に、チップ内にも記録させ、印刷媒体の種類や、印刷の精度等に注意して印刷すれば、最近の印刷技術では、免許証が出来て仕舞うのではないか。こうすれば、情報の不一致は起こらない。

 

 でも、情報の不一致は起こらなくても、ICチップへの情報の記録方式、電子署名のやり方、交付元情報の形式等が、正規にはどうなっているのか良くは分からないが、果たして、偽造で、これらも、正規のものに出来るのだろうか。

 最近改版された、IC免許証の論理仕様や作成装置の仕様が、ネット上に公開されている。(「運転免許証作成システム」の検索結果 - Yahoo!検索) ここにある情報だけで、免許証の偽造が、「正規に」出来るとは思えないものの、全国の各警察署で、免許証を発行しているので、このような公開も必要なのかも知れないが、自分には、少なからぬ驚きである。

 

 いずれにしても、IC免許証の偽造は、そう簡単ではない、とは言えそうだ。

 少々、こんがらがって来た所で、本稿は終わりとし、次稿で、最後の砦として、免許証の真贋の判別について触れることとしたい。

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