2013年4月30日(火) 電話FAXの使い勝手 2
先日、電話FAXについて
電話FAXの使い勝手 1 (2013/4/14)
を投稿し、主として、無鳴動受信機能について触れたところだ。
人間が操作に関与する機器の仕様には、一般的に、人的要因(ヒューマンファクター)が関係するが、電話FAXも、そのような機器の一つと言えるだろうか。
電話FAXは、電話用のネットをFAXが利用することから、ややこしくなる訳で、自宅で利用する上でも、結構、神経を使って来た。
無鳴動受信が付いていない、現用機を購入した当初は、着信した呼が、電話かFAXか全く分らないので、苦労した。 通常、よく起こったのは、着信呼があった時、電話と思って出たら、FAXのポーポー音だった、と言う場合で、機器の操作が良く分からず、大いに慌てた。 当初は、そのまま切ってしまったり、暫くして時限でFAXに切り替わるのを待ったり、改めて心当たりに電話したり、したものだ。
こちらから送る場合も、操作上、相手とのマッチングが、良く取れなくてうまくいかず、何度も行ったり来たりしたこともあった。
それが、操作にも次第に慣れて、FAXの相手が知人等で既知の場合など、FAXに切り替える操作が上手く使えるようになったのは、暫く後の事である。
コンピュータ等が相手の、宣伝広告用のFAXにも、悩まされた。
A 現用機では、FAXの相手が既知の場合には、2つのやり方がある。
(1)電話で話した後、電話を切り、双方了解の上、掛け直してFAXを送受。
・こちらからFAXを送る場合は、最初から、FAXボタンを押してから発呼し(CNG信号を連続送出)、相手側から、CED信号が返されて 来て、FAX送受信になるまで待つ。
・こちらがFAXを受け取る場合は、呼び出しがあっても出ないで我慢し、時限でFAXに切り替わるまで待つ(時限後、CNG信号を検出したら、CED信号を返し、FAXを受信する)
受け側として、時限でなく、ボタン操作で、一時的に留守電状態にしてFAXを受信し、また、通常の状態に戻すやり方も出来るが、使いにくい。
NTTのナンバーディスプレイサービスを使うようになってからは、着信時、応答前に発信番号が分るので、既知の相手からのFAX受信は、グンと楽になり使いやすくなった。
(2)電話で話した後、回線を保留したままで、送り側、受け側で、FAXに切り替える。
・送り側の場合
通話中に、親機のFAXボタンを押し、送受話器を戻す。
現用機は電話機が全てコードレスの子機の機種なので、親機から離れて通話している時は、親機へのFAX原稿のセットや、親機でのFAXボタン操作が面倒。
このケースでは、受ける相手側が、次項の操作に習熟していない時は使えない。
・受け側の場合
通話中に、親機から離れて通話している時は、子機の 保留/内線+0ボタン を押し、送受話器を戻す。この操作法は標準化されてはおらず、機種によって異なると思われる。
親機の所へ行き、親機のFAXボタンを押し、子機を戻すことも可能、と説明書にはあるが、これまで、使用した事は無い。
B 宣伝広告用のFAXなど、発信側が、不特定多数で、コンピュータなどの場合も多い。
これらの呼でも、現用機で受ける場合は、着信した呼びが、電話か、FAXか分らないので、応答するしかないが、電話ならそのまま通話する。CNG信号のポーポー音が聞こえて、FAX呼と分った場合は、受け側としては、前述の操作を行えばよいが、心当たりが無い場合は、途中で、受信を止めてしまうこととなる。
この場合も、NTTのナンバーディスプレイサービスを使うようになってからは、応答前に発信番号が分るので、相手の選別が出来、FAX受信が使いやすくなった。
不在着信機能もある現用機で、呼び出し回数は、通常のn回に設定しておき、普通に電話として出る。偶々、FAX呼の場合は、発信側の音(ポーポー音)でFAXと分るので、そのまま、ナンバーディスプレイ情報も参考にしながら、上述の、FAX受信に切り替える操作を行えばよい。
FAXが来ることが予め分っている場合は、呼び出し回数がタイムアウトすると、自動的にFAX受信となるので、これを使うこともできる。
これら、通話中の切り替え機能と、タイムアウト機能の2つの機能が使えれば、無鳴動受信機能がない現用機でも、FAXの送受は、現在は、殆ど問題なく出来るようになっている、と言える。
電話FAXで、一般的に、発信・送信側、着信・受信側で、現用機と新型機が混在する場合について、前稿も含め、これまで述べて来た全体の整理を行ってみた。
機器の動作を状態図に表して見ると、以下の様になるだろうか。 図では、FAX関連の状態や信号・操作は、黄色で表示してある。
電話FAXの動作状態図
受け側が新型機の場合、発側の呼び出し信号を受けると、呼び出す前に、端末の中で、即、自動的に応答状態にし、図の、緑色で示した、無鳴動受信の状態に移行する所がポイントである。
この状態で、CNG信号を検出し、FAX呼と判別出来れば、呼び出すことなく(無鳴動で)FAX受信状態となる。
この無鳴動受信は、FAX呼の場合はベルを鳴らさず、電話呼の場合は、普通にベルが鳴ることから、ベルが鳴ったら電話と思えばよい。
自動応答してから、送信側からのCNG信号が検出されないと判断する迄の、多少の時間遅れの後、通常の電話の呼び出しを行うこととなる。この時間遅れは、電話として使う上では、殆ど支障はないだろう。
新型機を利用側で見ると、電話の呼び出しが鳴れば、電話呼と見做して出て問題は無いと言え、FAX呼に対し、電話として出る事態は、先ず起こらないのである。 夜間就寝時や部屋が離れている場合も含め、FAX呼の場合は静かに自動受信が出来るため、煩わされないで済むこととなり、かなり有効と言えるだろう。
無鳴動受信という機能だが、新型機の端末のコストに占める割合は、小さなものだろう。
でも、この一寸した機能が、当初の機器には付いていなかったというのは、何故だろうか。電話ネットを提供するNTTとの間で、どのような技術的なやりとりがあったのかは分らないのだが、ヒューマンファクターの大切さと面倒臭さの中で、コロンブスの卵を見る思いもある。