2016年7月2日(土) Brexit 1
先週の6月23日(金)(現地時間)、イギリスで、EUとの関係を問う国民投票が実施され、その結果が注目されたが、EUからの離脱派が、残留派を押さえて、過半数を占めたようで、世界中に、極めて大きな衝撃が走っている。
本稿では、先ず、国民投票までの経過と結果について取り上げることとしたい。
○国民投票まで
保守党のキャメロン首相は、2015年5月の総選挙で、EUを巡る国内の動きから、選挙公約として、
「イギリスとEUとの関係について再交渉しEUを離脱するかどうかの選択肢を2017年末までにイギリス国民に与える」
と発表した。 そして、総選挙に勝利した結果を受けて、この2月、選挙公約の国民投票を、今回の日時に行う事を公表したようだ。
首相は、EUとの関係がイギリスに有利となるよう、国民投票のギリギリまで、EUと交渉し、条件整備に当たっている。言う迄もなく、“民意は、EU残留である”、と踏んでのことである。
先日のG7会議(伊勢志摩サミット)でも、イギリスのEU離脱は、深刻なリスクとなろうと、各首脳が、一致して懸念を表明している。
○ 国民投票での争点
両派の国民投票前の争点と、両派の主な主張は、以下の様なものだったようだ。(【まとめ】イギリスEU離脱問題 国民投票日程と時間・離脱派・残留派の主張 より)
離脱派、残留派双方の活発な動きを受けて、マスコミ等の世論調査結果も揺れ動いている。
でも、大方の予想は、残留派が勝つだろうと予想していただろうか。ロンドンで有名なブックメーカーのオッズも、残留に賭ける人が多かったと言う。
投票日直前に、残留派の国会議員が、街頭で暗殺されるという事件が、民主主義のお手本とも言われるイギリスの地方都市で起ったが、この悼ましい事件は、世論が、残留派に傾く要因になろうとも言われた。
国連などでは、イギリスは、公式には、
United Kingdom of Great Britain and Nothern Ireland (UK 連合王国)と呼ばれ、
・England(イングランド)
・Scotland(スコットランド)
・Walse(ウエールズ)
・Northern Ireland(北アイルランド)
の、4つの地域(Country)から構成されている。 上述の主要な3地域が、大ブリテン島内に位置することから、イギリスを、ブリテン(略称GBR)呼ぶこともあるようだ。
○ 国民投票の実際
今回の国民投票(Referendum)は、イギリス(United Kingdom)が、EU(Europian Union)のメンバーとして、残留するか、離脱するかを問うものだが、今回のイベントで、次の様な造語も作られたようだ。
Britain(イギリス)+exit(退出する)=Brexit(ブレクジット)
下図は投票用紙で、×印を入れて、意思表示するようだ。(図はネット情報より)
上段:Remain(残留) 下段:Leave(離脱)
投票は、18歳以上の選挙民(登録者数 4650万人)が投票したが、投票率は、72.1%と、直近の総選挙の時(66.1%)よりも高かったようだ。(イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票 - Wikipedia 等を参照)
○ 投票結果
開票後の得票の行方は、最後まで拮抗したが、最終的には、
残留すべき 16141万票 48.1%
離脱すべき 17410万票 51.9%
となって、離脱派が勝利した。 両派の票数差は、実数で、約120万票強で、ポイントでは、約3.8ポイントという僅差である。
得票状況の地域的な分布を見ると、下図のようだ。(ネット画像より)
図にあるように、
スコットランド 殆ど残留支持
イングランド 離脱支持が多いが、ロンドン(拡大図)では、残留支持が多い
ウエールス 離脱支持が多い
北アイルランド 残留、離脱が同じ位
となっている。