2013年7月25日(木) 日本スペイン交流400周年 8
江戸初期に、スペインとローマに慶長遣欧使節が派遣されて、今年が、丁度400年の記念の年に当たると言うことで、当ブログでは、下記記事
日本スペイン交流400周年 1 (2013/6/26)
以降、2、3、4、5 と続けて投稿して来た。
これらの中で、慶長遣欧使節に関連する話題、スペインの大まかな歴史、スペインの現状についての概況と文化的側面、多言語国家と国際公用語、ユニークな世界遺産巡り、について取り上げている。
続く6、7では、スペイン旅行の思い出に関する話題を纏めている。
本稿では、最後に、身近にあるスペインを取り上げて、スペインシリーズを終わることとしたい。
●スペイン語
日本語になっている外国語は多いが、スペイン語から日本語になった、日常的に使う言葉は、そんなに多くはない。ネットで調べた所では、
名前 原意
道具 カッパ マント
食品 パン パン
ナタ・デ・ココ ココナッツクリーム
地理 カルデラ 大鍋
リアス 入り江
気象用語 エル・ニーニョ現象 子供
ラ・ニーニャ現象 女の子
位だ。でも、最近の日本では、自動車や、サッカーチームのネーミングに、スペイン語由来が多く、企業名等もあるようで、例示すると以下のようになる。(日本語になっているスペイン語, スペイン語が語源の言葉 )
名前 原意
車の名前 (日産)セフィーロ そよ風
(マツダ)デミオ 私の
サッカーチーム名
セレッソ(大阪) 桜
アビスパ(福岡) 蜂
(大宮)アルディージャ リス
ジュビロ(磐田) 歓喜
企業名 ガスト 好み
デル・モンテ 山
パロマ 鳩
一方、言葉が似ているポルトガル語をみてみると、スペイン語に比べて、日常的に使っていたり、やや古い日本語になっている例が多く、歴史的な経過の違いだろうか。 (「日本語になったポルトガル語」)
名前 原意
食品 ビスケット ビスケット
コンペイトウ 砂糖菓子
カステラ 城
バッテラ 小船
テンプラ 調理 (スペイン語では、精進揚げ)
道具 ブランコ 左右の動き
ジョウロ 水差し
ボタン ボタン
カルタ トランプ
ジュバン 胴衣
シャボン 石鹸
カッパ 袖なし外套
他 バテレン 神父
キリシタン キリスト信者
オンブ 肩
又、世界地図を眺めると、スペイン語由来の、国名や地名が多いことがわかる。
名前 意味
国名 エクアドル 赤道
エル・サルバドル 救世主
コスタ・リカ 豊かな海岸
地名 ロス・アンゼルス 天使
サン・フランシスコ 聖フランシスコ
ラス・ベガス 肥沃な平原
プエルト・リコ 豊かな港
ブエノス・アイレス 綺麗な空気
カサ・ブランカ 白い家
ラ・パス 平和
サンチアゴ 聖ヤコブ
など、枚挙に暇がない。嘗て、世界を制したスペイン帝国の名残であろう。
筆者は、世界での話者が多いことから、一時、スペイン語を齧ったことがある。 岩波新書の「スペイン語入門」だったと思うが、1~10迄の数の数え方
ウノ、ドス、トレス、クアトロ、シンコ、シエス、シエテ、オチョ、ヌエベ、ディエス
を覚えたり、
太陽 sol 月 luna
等も覚えた。
学生時代に、伊勢湾台風後の名古屋の近くで、短期間だが生活を共にしたフィリピン人男性の名は、ドミンゴと言ったが、変な名前ダナ、と思っていたが、これは、「日曜日」の意味だった、と知ったのもその時である。
でも、結局、長続きはせず、スペイン語の独習は、物にはならなかった。
●ピレネーの向こう
フランスとスペインの国境にあるピレネー山脈だが、文化の先進地域であったフランス側では、ピレネーの向こうはアフリカ(ナポレオン)などと、半ば、野蛮な地域だ、と言われていたようだ。現在は、ピレネー地域は、スイスアルプスの様な雰囲気がある観光地としても、人気があるようだが、多くは、フランス側が賑やかな様だ。
ピレネーと言えば思い浮かぶのが、
♪ピレネエーのオー 山の男はアー
で始まる歌である。 学生時代に口ずさんだ歌だが、これまでは、スペイン民謡か 位に思っていたが、調べてみたら、
ピレネーの山の男 西條八十作詞 古賀政男作曲 岡本敦郎歌
という、れっきとした歌謡曲で、昭和30年当初、コロンビアからレコードが発売されて、大いに歌われた曲のようである。ほぼ同年齢のワイフKだが、この歌を知らないと言うのは、やや意外である。
少し長くなるが、以下に、歌詞を引用する。(ピレネーの山の男: 二木紘三のうた物語)
1 ピレネーの 山の男は
いつも一人 雲の中で
霧に濡れ 星を眺めて
もの言わず 伐(き)るはもみの樹
ハイホー ハイホー
千年の 古い苔の樹
2 ピレネーの 山の男よ
いつも一人 何を想う
雨降れば 小屋の小鳥に
ひげ撫でて 昔を語る
ハイホー ハイホー
思い出の 愛の駒鳥
3 ピレネーの 山の男よ
春は行き 夏が来るよ
角笛は 風に流れて
旅馬車は 今日も急ぐよ
ハイホー ハイホー
故郷(ふるさと)の おまえの町へ
ゆっくりしたテンポの、のびやかな歌で、郷愁を誘う雰囲気がある。作詞者、作曲者とも、現地を訪れたことはあるのかどうかは知らないが、やや誇張されて、樹齢千年にもなって苔むした、もみの木を伐るという、樵の歌だ。アルプスのように、角笛の音が響いてくるという。
忘れられない、「白い花の咲く頃」などと同じく、終戦前後、日本を代表する叙情歌歌手と言われた、岡本敦郎が歌っているのもいい。
●憧れのスペインーー終わりに
これまで、ピレネーの山の向こうにあるイベリア半島には、マドリードとトレドにしか行っていないのだが、スペイン南部に広がるアンダルシア地方(Andalucia)は、一度は行ってみたい土地柄だ。
アンダルシアという語感が好きである。 元々は、ゲルマン系のヴァンダル族が語源のようで、イスラムのネーミングである、アル・アンダルスから、アンダルシアとなったという。南スペイン一帯は、現在は、アンダルシア州(州都セビリア)になっている。
暖かい南欧だが、緑あふれる肥沃な土地ではない乾燥気味の地域で、下図の、カサレスの様な、白い壁の家の風景もあるようだ。この風景には、郷愁を誘う懐かしいような、憧れに近い印象があるのは、何故だろうか。(ネット画像より)
白い村 カサレス
セビリアや、コルドバや、マラガや、そして、グラナダもある。カソリックとイスラム文化が混合された地域でもあろうか。イスラム文化の中心であった、グラナダのアルハンブラ宮殿には、どんな空気が流れているのだろうか。
JR山の手線の西日暮里駅前に、「アルハムブラ」と言う名の、スペイン料理店がある。御用とお急ぎの方は、南スペインに行く代わりに、ここに行けばいいようだ。
この所は、暫く行っていないが、これまで、何度か足を運んでいる。本場の、パエリア等のスペイン料理に加え、フラメンコのステージも披露してくれる。
今回のシリーズの記事を通して、スペインに関して、多少知識や関心が深まっている現在、暫くぶりで、金婚記念の一環として、夫婦で行ってみようと思っている。
ガウディイ没後100年となる、2026年には、バルセロナのサグラダ・ファミリア教会が完成すると言う。あと13年後である。
年齢的に、旅行が不可能な年月ではないので、それを目標に、元気で長生きせにゃーー。