つれづれの記

日々の生活での印象

戸籍の話  その2

2012年09月29日 19時07分45秒 | 日記

2012年9月29日(土) 戸籍の話 その2 

 

当ブログに掲載した、前稿 

    戸籍の話 その1(2012/9/27) 

の続編である。

 前稿では、戸籍(戸籍簿)、住民票(住民基本台帳)などの関連が、自分でも、かなり曖昧だったのだが、調べて行くうちに、やや、はっきりして来た。日本では、両者は、関連はあるものの、二本立てで管理されているようだ。 

 国や自治体が行う、住民登録の概念は、本来は、戸籍や住民票を含めた、広義のものであろう。でも、日本では、住民登録とは、住民基本台帳法に基づいて、住民票の管理を行うという、狭い意味で使われる。誤解を避けるために、以下では、狭義、広義を区別している。 

 

◎ここで、戸籍や住民票に関する、用語について触れることとする。 

○戸籍に関する用語

 戸籍に関する、幾つかの用語については、今回、色々調べて行く過程で分って来たのだが、かなり分りにくいものもある。

 

「転籍」 

 登録されている戸籍の所在地を移動すること、本籍を変えること。世帯構成員全員について一括して行われる手続きであることが、今回、よく分かった。 転籍届を提出することで、処理される。

転籍について調べてみて驚いたのだが、現在は、

 ・転籍先としては、地番のある所なら全国どこでもよい 

   本籍は、土地で表示され、住所は、建物で表示されると言う。

 ・転籍する事由は不要で、回数にも制限はない

という。

 これまで自分としては、本籍地は、出生地であることが多く、国籍の基本でもあることから、大変重いもので、簡単には変えられないもの、と、思っていたので(以前はそうだった?)、上記を知って、拍子抜けした感じである。

 よく出て来る例示では、本籍地として登録されている場所に、

     皇居

     大阪城

などもあるようだ。

 今回、自分が実行しようとしているのは、正に、この転籍手続きである。

 

「分籍」

  分籍とは、結婚前の、特定の世帯構成員の籍を別にすること。 分籍届で、処理される。最近は、若い人が、親とは分れて分籍する人もいるようだ。結婚に伴って籍を移動することは、分籍とはいわない、という(後述)。

 

「除籍」

 結婚や死亡の時などに必要となる除籍には、以下の様に、狭義、広義、二通りの意味があるようで、要注意だ。

 

 「除籍」(狭義)

   戸籍に入っている世帯員の特定人が除かれること(戸籍は残る)

   ・除籍は、籍を除く、という動詞的な意味で使われる

      例:結婚に伴って除籍となる

   ・死亡、結婚、分籍などが理由

   ・戸籍簿上の表記では、その特定人に、X印が付される

   

 「除籍」(広義)

   戸籍に入っている世帯員全てが居なくなること(戸籍が無くなる)

   ・存在していた戸籍が空っぽという、状態を表す意味合いが強い   

   ・転籍、災害での全員死亡などが理由   

   ・除籍状態の戸籍をまとめたものを、除籍簿と言うようだ。

   ・除籍簿の情報は、通常、必要性は低いが、遺産相続や、出自を調査する等のプロ向きには、非常に重要な情報のようで、除籍簿の保存期間が、従来は80年だったものが、2010年から、150年にと伸長されているようだ。

  転籍は、前記の様に自由なのだが、これを繰り返すと、死亡時の遺産相続などの調査で、結構面倒な処理が必要となり、人生の最後に付けが回って来るようで、やはり、無用な転籍は控えた方がよさそうだ。 

 

「創籍」

 これは、自分の造語で、戸籍を新たに創る、という意味だが、提案したい言葉である。

子供の出生によって、この世に、新たにその子の戸籍(個人として)が創られるのだから、創籍という言葉が相応しいように思う。

 又、結婚に伴って、親から独立して、新たに戸籍(世帯として)が創られることも、創籍という言葉が相応しいように思う。

 婚姻の場合の処理では、一方の配偶者を、元の本籍から外し(除籍というが、分籍とは言わない)、創籍した新たな本籍に移す(転籍とは言わない)ことになる。

後者は、一般用語では、入籍と言われる。 

 この辺の用語は、分かりづらい。 

 

○住民票に関する用語

  「転出」 当該自治体から、他の自治体に転居し出て行くこと。 どちらかの自治体で転出届を行えば、自動的に処理される。

  「転入」 他の自治体から、当該自治体に転居し入ってくること。どちらかの自治体で転入届を行えば、自動的に処理される。

  「転居」 同一自治体内での転居の場合。 転居届を行う。

 

  上記の様に、3通りの届出の中から、手続きを選ぶようになっているが、処理する役所側としては、やりやすいのだろうが、住民側からすれば、転居地域の範囲とは関係なく、1通り、例えば、住所変更届、で済ませる案もあろう。 

 

◎各国の登録制度

 前稿で触れたように、 戸籍は、日本や東アジア地域などの特有の制度であると分ったが、ここで、欧米の、住民登録制度(広義:戸籍と住民票)の概況について調べて見た。 

 

○ドイツの場合

 日本の様に、しっかりした制度があるようだが、以下の様に、日本では別建てで管理されている情報が、一緒に管理されているようだ。明確ではないが、登録は、個人単位ではなく、家族単位になっているかもしれない。 

・戸籍相当情報

  氏名 性別 出生地 生年月日 

  旧姓 婚姻の有無 国籍

  死亡情報(死亡地 期日)  

・住民票相当情報

  現住所 以前の住所 転入・転出の期日 学位(学歴?)

 

 ネットには、ドイツに長く住んでいる日本人とイタリア人の御夫婦が、現地で子供が生まれた時に、親の出生地証明書の手続きに苦労した話などが、載っている。元々のドイツ人のケースよりも、外国人には、輪を掛けて複雑になる、ということだろうか。

 在ドイツ日本大使館のサイトには、現地に住む日本人に子供が生まれた時に、日本の戸籍法に準拠して、出生届をする場合の手続きについて、懇切丁寧な案内がある。世界的に見てかなり特殊であると言える日本の戸籍法だが、現地でも幅を利かせている、という感じだ。

 

 翻って、我が国に住んでいる外国人には、二本立てになっている制度の中で、どのような手続きが必要なのだろうか。 面倒な手続きが必要になるだろうことは予想に難くないが、これ以上は止めにしよう。

 

○ フィンランドの場合

 ドイツとほぼ同様に、我が国での二種の情報が、一緒に管理されているようだ。個人単位に、住民IDコード (PIC:Personal Identity Code)が付与されているという。

・戸籍相当情報

  氏名 性別 出生市町村 生年月日 旧姓

  国籍 言語

  配偶者 子供 両親

  死亡 

・住民票相当情報

  住所情報(居住市 住所 転居情報)

  職業 不動産関連情報 

 

○ アメリカの場合

 自由の国、移民の国と言われる、アメリカの制度は、流石に、簡略なようだ。

 日本の様な、身分関係や婚姻関係などを管理する戸籍制度はなく、日本での、狭義の住民登録制度、外国人登録制度のようなものがあって、運用されている、という。 

 

 全国民は、全国的に統一された、社会保障番号(Social Security Number)という9桁の番号を、持っているようで、納税の番号としても使われるという。

登録されているのは、

  氏名 国籍 出生地 生年月日 住所

などだけ、の様だ。

 選挙の投票権を得るには、改めて投票者登録を行う必要があるようだが、運転免許証の取得時等に手続きできる、という。

 学生等、親元を離れて学校へ通っている時は

     present adress   現在の住んでいる住所

     permanent adress 親元の住所

などと、必要により、安定している親元の住所を利用する時もあるようだ。

 

 プロスポーツの世界では、外国から日本に来た選手が、日本に帰化して、日本国籍を取得するケースも多い。

 アメリカに住む外国人に子供が生まれると、その子には二重に国籍が与えられ、一定年齢になると、自分の意思で、国籍を選択できる、と言う。

 

 国際的な人間の往来が盛んになっている昨今、日本在住の外国人から見ても、外国在住の日本人から見ても、権利と義務がバランスした、住みやすい日本にするために、広義の住民登録制度の改善や、外国人登録法の見直しが必要になっているようだ。

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戸籍の話 その1

2012年09月27日 22時16分17秒 | 日記

2012年9月27日(木)  戸籍の話 その1  

 

 

◎本籍が気になる

 この所、自分の本籍が気になっている。 生まれ育った山形県から出て来て、首都圏周辺などに住んで久しく、あちこちを転居したが、現在の持ち家に住んで以降でも、かれこれ30年以上になる。勿論、現住所への住民登録も行っているが、結婚後は戸籍は別になっているものの、長らく両親が住んでいた、山形県の実家の場所と同じ所が、今も、本籍地になっている。

 

 両親が健在の間は、里帰りも兼ねて、実家には、家族とよく訪れたが、その両親が、亡くなって以降は、次第に足も遠くなってしまっている。

 その実家だが、両親が亡くなった後、地域の農道の整備事業で、家のあった場所に、新しい道路が通ることとなった。 その道路も、暫く前に完成し、現在は、自分の本籍地の場所は、道路の下になっているのである。 このことが、本籍が気になっている理由の一つである。

 

 

 本籍地が山形のため、これまでは、自分の就職、結婚や運転免許の取得、子供の誕生・結婚、自分のパスポートの申請、不動産関連の取引等に伴う、東京に住みながらの諸手続きには、結構面倒な思いもしてきたが、両親も健在で、実家の建物があった間は、自分の故郷に対する思い入れもあった。 

 これまで、仕事上の外国出張や、個人的な旅行等で、長い間パスポートを所持して来たが、パスポートには、本籍が、YAMAGATA と書いてあるのが嬉しく、本籍地はそのままにしてきた側面もある。

 その旅券は、これまで6回ほど取得したが、最新のものは、有効期限が10年だったのだが、2010年6月に期限が切れてしまい、その後は、必要性もないので、新たに取得はしていない。

 

 自分の今後の人生では、大きな変化は想定されず、本籍地が、現在のままでも、特別な不便や支障は無い、と思われる中で、天寿を全うするという、最後の大仕事が残されているわけだ。 

 夫婦のどちらかが亡くなった時、残された家族が、死亡後の手続きで、本籍地が遠隔地では、手続きに時間もかかり、面倒になるのではないか。これが、気がかりの二つ目の理由なのである。

 

 知人や友人に、本籍の扱いについて聞いて見ると、各人各様で、拘泥しない人もいるが、でも、本籍が遠隔地にあった人は、両親が亡くなった機会等に、 現住所に本籍を移しているケースが多いようだ。

 一方、本籍地を移す手続きは、区役所に転籍届を提出すればよく、それ程面倒ではないようだ。又、転籍に伴って変更処理が必要なものは、運転免許証の手続き位である。

 

 こんなことから、急ぐものではないが、今年の重要な行事の一つとして、目先の明るいうちに、夫婦の本籍を、現住所に移転することを検討し、転籍を実行して、気がかりを一つ減らすつもりだが、最近、漸くその気になっている。

 そして、転籍が完了したら、来年は、結婚50周年でもあるし、東京都民としての新たなパスポートを取得して、割安になったLCC等を利用して、夫婦で、近隣の外国に、久しぶりに旅行したい、などと考えている。この旅行、子供達等からのプレゼントになれば最高なのだがーーーー。

 

 

◎戸籍って何?

 先ず、戸籍と住民登録全般について、調べて見た。

 戸籍があるとは、日本人として認められ、登録されていると言うことで、国籍の源であり、個人個人のIdenntityの、基本となるものだ。 

国として国民一人一人の登録を義務づけることで、国民としての身分と権利が保障されるとともに、納税等の義務も負う訳だ。

普段は、殆ど意識しない国籍だが、国籍を強く実感することの一つが外国旅行で、パスポートによって、外務大臣が、自分の身の安全を守ってくれている、と実感する。

 戦争のどさくさ等で、出生時の状況がはっきりしなかったり、身分も不安定だったりで、生まれた子供の国籍が無い、という悲哀も良く耳にすることだ。 

 歴史的に見て、住民と土地とを登録させ管理するのは、統一国家として体をなす、スタートでもあろう。 

 

 住民登録を、どう言う単位で管理するかについては、国によって、異なるようだ。

 日本では、戸籍という言葉にもあるように、戸籍は、戸=家が単位になっており、歴史的には、家父長制的な背景がある。 現在では、同居して世帯を構成する、親と子(未婚)の二世代の家族単位で一つの戸籍として登録されていて、家族的関係などが記載されている。

結婚すれば、親から分れて、新たな戸籍が作られ、生まれた子供はその戸籍の中に入る。

 世帯単位に戸籍を管理するのは、世界的には、日本、韓国、台湾など、東アジア特有の制度と言う。

 欧米では、世帯単位ではなく、あくまでも、個人単位に、国民の登録が行われていることが多く、音は同じだが、個籍となっているようだが、次稿以降で触れる予定だ。

 

 

◎本籍と現住所

 ここで、自分には必ずしも明確ではないのだが、本籍、現住所、戸籍、戸籍謄本(抄本)、住民基本台帳、住民票などについて、これらの違いを整理すると、以下の様になろうか。

 

 基本になるのは、住民登録制度で、住民の申告により、戸籍簿や住民基本台帳が作成・管理される訳で、これらの情報が、その住民の「戸籍」であり、「住民票」である。

 

 人間が誕生した時、出生届によって、最初に登録された時に作られる基本情報が、その人の戸籍で、これが、「本籍」となり、登録地が、「本籍地」となる。 

 戸籍という言葉は、

    本籍、住民票を含んだ広い概念

    本籍とほぼ同義語

の二通りの意味があるようだが、通常は、後者の意味で使われるであろうか。戸籍情報を示す書類は、戸籍謄本(抄本)である。

 この重要な登録情報を記載した「戸籍簿」は、本籍地で保管され、人生の大きなイベントの時だけ、必要な変更が行われ、ほぼ、恒久的な情報として管理される。後述するように、本籍の記載事項や、本籍地の変更には、手続きが必要だ。

この登録情報は、permanent informationと言えるだろうか。

 

 社会生活上での変化に伴い、人間はあちこち移動し、転居するが、転居の度に、転出、転入の処理を行い、転居先を「現住所」として登録すると、本籍地はそのままで、その役所に、「住民票」が移され、「住民基本台帳」として管理される。 以降は、その地の住民としての、権利と義務が生まれる。

 住民票は、現住所と、ほぼ対応していて、言って見れば住民票は、temporary informationである。 住民票という言葉には、登録されている情報セットとしての意味と、印刷された書類という、意味がある。 

 手続きが面倒くさい、転居期間が短い、などから、転居しても、住民票を移動しない時もある。又、特定な意図から、転居しないのに、住民票は移す、等もある。

 

 このように、一人一人に関する情報は、日本では、本籍情報と、住民票情報によって、二本立てで管理されている、と言えよう。

 

◎人生の三大イベント

 人間の一生を見て見るに、ほぼ、世界共通と思われるが、戸籍と大きくかかわる三つのイベントとがあり、それぞれに手続きが必要だ。以下の図は、茨城県牛久市のHPにある、親切な記入例を引用したものだ(ようこそ総合窓口課へ

 

○子供が生まれ、名前を付けると、出生届が行われ、両親と同じ所に、初めて、戸籍が作成され、日本国民という、国籍が与えられることになる。本人には出来ない出生届は、言うまでも無く、親としての義務である。この国籍は、原則的には、一生涯変わらず、付いて回る。

     出生届例 

○成長してから、本籍の記載内容を変える機会の一つは、結婚である。

結婚して婚姻届を行うと、親と同じ場所でも、戸籍は新たに作られる。この際、一方の、姓の変更も行われる(日本では、夫婦同姓)

  結婚する前の旧戸籍の情報は、結婚後の新戸籍に引き継がれるとともに、結婚の事実も記載される。

 国際結婚の場合は、一方の国籍が変わる事となる。

     婚姻届例 

○本籍の記載事項を変更する最後の大きな機会は、死亡である。死亡届により、出生届で作られた戸籍が失くなり、登録が終了することとなる。

  遺族によって提出される死亡届で、戸籍を削除する手続きが行われる。 死亡届は、余り触れる機会も少ないのだが、亡くなった本人の本籍地や、届け出る遺族の住民登録地で行われるが、医師の死亡診断書とセットになっている。

 死亡届例 

○本籍の記載事項の変更としては、上記のように、出生、結婚、死亡が最も大きいのだが、他に、身分にかかわる、離婚、姓名変更、養子縁組などでも、記載事項の変更が必要となる。

 

  次回以降で、戸籍に関連する用語・手続きや、本籍地そのものを移す転籍の実際、人間の移動と、住居と、住民登録情報との対応関係など、についてで触れる予定である。

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オスプレイ騒動

2012年09月22日 21時22分39秒 | 日記

2012年9月22日(土) オスプレイ騒動 

 

[試験飛行]

 先日の19日、日本政府は、防衛・外務両大臣の記者会見で、米軍の新型輸送機オスプレイの安全性は確認された、との安全宣言を行い、米軍の沖縄基地への配備の前段として、岩国基地での試験飛行を認めると発表した。

 19日当日の朝に、日米合同委員会を開いて、以下の様な運用ルール(沖縄配備後も含めて適用されるか)について合意し、安全確保に関する覚書が交わされたと言う。運用上の合意内容としては、報道された情報によれば、

    ・低空飛行訓練は、500ft(約150m)以上の上空で行い、人口密集地上空は避ける

    ・回転翼モードでの飛行は、基地・施設上空に限定する

    ・最も懸念されるモード切り替えの時間を、可能な限り短くする

    ・夜間訓練は最小限にとどめる

などの様だ。

 

 先日の記者会見では、配布資料があったのか無かったのか、あったとしたら、どんな資料が配られたのかはわからない。 

一方、防衛省のサイトには、覚書の内容を含め、該当する資料は見当たらないのだが、防衛上の機密事項ということだろうか?

外務省のサイトには、同様に、資料は見当たらないが、当日の記者会見の様子が、外務大臣だけでなく、防衛大臣の分も含め、逐語的に、テキストの形で詳しく出ているがーー。

 

 これを受けて、昨日朝、日本海上の訓練空域に向けて、岩国基地からオスプレイが飛び立ち、試験飛行が開始され、テレビでも中継された。昨日は、7機が飛行を行ったようで、今日は5機と、一通り終わったようだ。

 当面、岩国基地と日本海上の訓練海域や沖縄間で訓練飛行を行い、10月上旬にも、沖縄に、12機すべてを移動し、中旬には、沖縄で本格運用される見通しと言う。 今後、国内の数か所で、試験飛行を行うルートも公表されているようだ。

 

 

[オスプレイの特徴] 

 オスプレイの最大の特徴は、ヘリコプターと輸送用飛行機の二つを兼ね備えた、夢の航空機 とも言えるもので、実用化されているのは、世界でもこれだけのようだ。

 ヘリコプターは、言うまでも無く、回転翼(プロペラ)が回ることで、上向きの揚力が得られて、垂直上昇や、ホバリングができ、回転翼の軸の角度を少し傾けると、傾けた方向に進むことで、前や左・右方向へのステアリングが可能となる。

 一方、通常の飛行機は、胴体前方に着いているプロペラが回転することで前進する力が得られ、前進滑走することで、固定翼に揚力が発生し、離陸して、空中を飛行することが出来る。

 ヘリと飛行機の二つの機能を兼備えたオスプレイだが、機種としては、全体はV-22と言われ、仕様の大半は共通のようだが、海兵隊用MV―、空軍用CV―、海軍用HV―で、多少の違いがあるようだ。

開発には、莫大な費用と、25年もの歳月を要したと言われ、アメリカとアメリカ軍の威信がかかっている航空機と言えよう。

 

 この最新鋭の輸送機は、ヘリモード、固定翼モードを組み合わせることで、

    ・滑走路が不要       ヘリM  短い滑走路を使った離着陸も可

    ・ホバリングが可能     ヘリM

    ・超低空飛行が可能   ヘリM

     ・高速運行が可能     固定翼M 現用ヘリ(CH46E)の2倍の速度 

    ・多量の貨物積載能力 固定翼M  現用ヘリの3倍の能力     

    ・長距離の運行が可能  固定翼M 現用ヘリの4倍の行動半径 1600km?

などのメリットがあると言われている。

 

 オスプレイと、既存機との性能比較は、上記のようだが、ネットより借用した情報(V-22 (航空機) - Wikipedia)では、下図の様になる。図では、オスプレイV-22と、回転翼機H-60、固定翼機C-130と比較してある。

            

  米国国防省は、世界各地の米軍基地の装備を近代化し、輸送力の向上によって、迅速な作戦展開能力を獲得するために、オスプレイ配備計画を、実行中である。世界全体で、450機程を、配備する計画のようで、既に、2005年から配備を行って来ているという。沖縄への配備も、その一環となるようだ。

 

   

[複雑さと事故の多さ]  

 欲張った機能を持たせると、システムが複雑となって、問題も出て来るのが世の常で、この、オスプレイは、二つの飛行モード 

     垂直離着陸モード(ヘリコプターモード) :回転翼を上向き(垂直方向)

     固定翼機モード             :回転翼を前向き(水平方向)

の、切り替えができることが、最大の長所なのだが、一方では、これが、最大の弱点となる。切り替えには、12秒程掛かかり、その間、機体が不安定になり、かなり落下すると言われ、危険が起こりやすいので、前述の運用ルールでも、出来るだけ切り替えを行わないようにしたようだ。

 これまでは、開発段階だけでなく、本格配備後にも、重大事故は絶えないようだ。量産決定後の2006年から2011年までで、58件もの事故が起こっていると言う。(V-22 (航空機) - Wikipedia

最近の事例では、以下のようだ。

      2010/4  アフガニスタン CV-22  4名死亡 他負傷者  

                           砂塵による視界不良

      2012/4  モロッコ    MV-22  2名死亡、2名重症

                   方向転換時、追い風の中でモード切り替え→操縦不良

          2012/6   米フロリダ   CV-22  5名負傷

                   先行機との高度差不足による後方乱気流 →操縦不良

 

 特に、今年に入って起きている、直近の2件の事故については、防衛省内に、事故についての専門家による分析評価チームを作り、米軍からの情報を得ながら、分析評価を進め、報告書の形で公表しているようだ。

下図は、モロッコの事故の説明図である。

                 

 自分では、報告書そのものは確認して居ないが、日本政府の説明では、どちらのケースについても、機体自体には問題はなく、パイロットの操縦ミスなどの、人的要因が原因であった、としている。

 

 防衛大臣が、色んな場で、何度も繰り返して、このように述べていることに、システムが全く分かっていない! と腹立たしささえ覚えた。機体自体(ハード)とパイロットを含めた全体で、システムは成り立っているのだから、機体自体に問題は無いとは、何と、人を馬鹿にした言い方かと思う。

 人間のやることだから、操縦ミスは必ず起こることで、今回のオスプレイにしろ、原発にしろ、100%安全と言うことはあり得ない。

 要は、操縦ミスの頻度や確率を、如何に少なくするかだ。即ち、モード切り替えや、後方乱気流等についてのマニュアルを更に整備し、訓練を充実させることが肝要だ。今後は、このような訓練を充実させて、全体の安全性を向上させる、と言うべきなのだ。

 更には、操作上の複雑さを減らすために、設計を手直しするとか、或いは、人為的なミスがあっても、それをカバーできるような仕組みを組み込むことも、必要だろうか。後者は、障害物があれば、アクセルを踏んでも進まず、自動的にブレーキがかかる自動車のような仕組みだ。  

 

 

[日本の基地の悩み]

 この所の、普天間基地の移設問題のごたごたで、不満が溜っている中で、事故が多いオスプレイを配備する話が飛び込んできた事で、沖縄の世論の反発は高まっている。

 沖縄では、少し前の2004年の8月に、沖縄国際大学構内へ米軍ヘリが墜落する、あわや、という事故があり、この記憶が、今回のオスプレイの安全性に対する疑念と不安を大きくしている。当時の機種はオスプレイではなかったが、事故後の米軍の対応は、占領軍の様に極めて強権的で、閉鎖的だったようだ。 

 現地の人達にしてみれば、基地反対と言いたいのだが、聞いてはもらえず、主張できる最後のキーワードは、安全性、人の命を守れ、という、いわば人道的な、最低限の要求しかできないのだ。

 

 日米安保条約を結んで、国を守って貰っている日本としては、米国に言える範囲は限定的で、米軍の装備の方向や内容について、日本が、口を挟める余地は少ないだろう。

軍の航空機の事故の詳細については、民間航空機の場合と異なり、軍事機密という、厚い壁もあろう。

 日本国内の米軍基地面積の、70%もが集中している自治体である沖縄や、今回、緩衝策として搬入された岩国としては、今回の決定は、到底納得のいくものではないだろう。

 地元での基地反対の機運や、基地縮小・撤去の空気の中で、今回のオスプレイの配備や、普天間基地移設問題をどのように進めていくか、日本政府としては、地元の声と米国政府との板挟みの中で、ますます難しい舵取りが必要となって来ている。

 

 日米安保条約の相手国のアメリカにしてみれば、日本を守ってあげるために(所詮は占領軍が居座ったのだが)、基地の装備の能力アップを図っているのだから、本来は喜んでいいことなのに、反対とは何事! と憤慨しているかもしれない。

 

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ロンドンパラリンピック 締めくくり

2012年09月19日 21時09分29秒 | 日記

2012年9月19日(水) ロンドンパラリンピック 締めくくり

 

 

 ロンドンパラリンピックについては、当ブログの下記記事

    ロンドンパラリンピック その1 (2012/9/13)

で、シンボルマークについて、

    ロンドンパラリンピック その2 (2012/9/15)

で、ゴールボール競技等について、触れて来たところだが、今回の話題で、締めくくりとしたい。

 

○ 車いすを使った競技

 車いすを使った競技については、何度かTVで見る機会があったが、大会期間中、車いすのメダリスト二人が、現地のNHKスタジオに招かれて、出演している。 

 

・車いすテニス

一人は、車いすテニスの、国枝慎吾選手だ。

 

    連覇達成!(写真はネット記事より借用)

 

 国枝選手は、前回の北京大会の金メダルに続いて、連覇出来るかが大きな注目点であったが、決勝戦で、宿敵ウデ選手を、2-0のストレートで破り、見事、連覇を達成する偉業を成し遂げた。

 

 車いすテニスのルールは、通常のテニス競技のルールと殆ど同じだが、車いすでの移動に時間がかかる事を考慮して、レシーブ時に、1バウンドだけでなく、2バウンドまでのボールを、返球できる、というルールになっている。 

 スタジオでの話では、どのスポーツでもそうだが、特に、この競技では、相手からのボールがどのように返って来るか、の読みがポイントになるようだ。

 国枝選手は、相手がサーブの時に、少し後ろに待機し、打球の直前に、車を前に出して勢いをつけてレシーブしているが、これによって、返球の威力が増すと言う。

又、打球の時には、車いすを止めて打つのでなく、車いすと身体とが一体となって、車全体も回転させながら、腕を振って打つことで、打球に勢いがつくと言う。

 一般のテニスでは、錦織選手の、世界に向けた、更に上を目指した活躍が話題になるのだが、国枝選手は、既に2連覇しているというのは凄いことで、日本にもこのような選手がいることは嬉しい限りだ。

 国枝選手は、現在は、支援するスポンサーを得ながら、プロとして各地で活躍しているようだが、これまでの努力の積み上げの中で、このような環境を作り上げてきていることに、敬意を表したい。

 

・陸上競技

もう一人の出演者は、車いす陸上競技の伊藤智也選手だ。

   絶好調の伊藤選手(写真はネット記事より借用)

 

 陸上競技には多くの種目があるが、伊藤選手は、陸上800m、400m、200mの3種目で、全て銀メダルを獲得している。

彼の、元気良さと、歯切れのいい言葉 絶好調、が、極めて印象的だ。3個の銀メダルを首に掛けながら、彼は、金メダルにも等しいと言っていたが、各種大会で、年齢にもめげずに戦って来た、自分への勲章でもあるのだろう。 

 陸上用の車いすは、他の競技用の車いすとは異なり、3輪式で、鼻が伸びたように、先頭の前輪がかなり前に出ているのが特徴だ。この前輪は、トラック等で、コースを守りながら走行するのに重要なものだろう。左右の両輪を、両腕で廻す力だけが、スピードの源だ。

 

 車いす競技には、他に、車椅子バスケットボール、ウィルチェアラグビーなど、かなり格闘技に近いものもあり、怪我をするのではと、はらはら、ドキドキさせられる、ダイナミックな動きが醍醐味だ。ぶつかった弾みに、車がひっくりかえった時は、カメが裏返しになったようで、起き上がるまでが気になるところだ。 

いずれにしても、競技用車いすの設計・製作には、高い技術力が求められるが、日本の総合力が大いに役立つことだろう。

 

○ 50mバタフライ

 競泳についても、何度かTVで見たが、特に印象に残ったのは、50mバタフライ S6に、日本の小山恭助選手が出場し、見事、銅メダルを獲得したことだ。

小山選手は、身体の右半分が不自由で、右手は十分に上がらず、右足も利かないのだが、必死にバタフライで進んでいく姿は感動的であった。

 自分の経験では、バタフライは、最も難しい種目なのだか、彼の場合、右が十分機能できないので、左右のバランスがむずかしいのだが、何とか、まっすぐに進んでいくのは、どのように工夫しているのだろうかと、素朴な疑問が湧いた次第。

 

 

○ 種目数とメダル数

  金 銀 銅メダル(写真はネット画像より)

 先行した、ロンドンオリンピックでは、競技数は22で、種目数は金メダルの数で、302となっている。

 これに対し、ロンドンパラリンピックでは、競技数は20と、やや少ないのに、種目数は金メダルの数で、503もあり、オリンピックよりも、6割以上も多いのには驚かされた。銀メダル、銅メダルについてもほぼ同様である。

この理由は、パラリンピックでは、同一種目でも、障害の種類や程度に応じて、細かくクラス分けされているため、ということの様だ。

 

 このクラス分けの詳細については、調べてはいないが、丁度いい実例があった。すなわち、競泳の男子100m平泳ぎの3つのクラスで、以下の様に、日本の3選手が、それぞれ、メダルを取ったのだ。

  男子100m平泳ぎ  SB7クラス  銀メダル 中村智太郎選手

                SB11クラス 銀メダル 木村敬二選手

                SB14クラス 金メダル 田中康太選手

オリンピックでは、この男子100m平泳ぎで、期待された日本の北島康介選手が、残念ながらメダルに届かなかった種目なのである。

 

○ 国別メダル獲得数

 このパラリンピックでの、各国が競っている国別メダル数について、いつもの伝で、金メダル数ではなく、金銀銅の総メダル数でみてみると、ベスト10は、以下のようになる。 

 

 1位  中国     231 (金95 銀71 銅65)

 2   イギリス   120

 3   ロシア    102

 4   アメリカ    98

 5   オーストラリア 85

 6   ウクライナ   84

 7   ドイツ     77

 8   フランス    45

 9   ブラジル    43

10   スペイン    42  

 

 先ず、驚くのは、中国の凄さである。前回の北京パラリンピック大会でも、ダントツの1位だったようで、今回も飛びぬけて多いのだ。金メダルの数だけでも、95個もある。パラリンピックのメダル数は、国としての力の入れ具合の差と言うだけでなく、国力や経済力も反映すると言えるだろうが、更には、国全体として、障害者福祉が充実している証左のようにも思える。

 イギリスのメダル数が、前回同様に、2位というのも立派で、パラリンピック発祥の地として、面目躍如たるものがあり、今回は開催国であった、というだけではないようだ。

次回開催国である新興国のブラジルも、9位と健闘している。

 

 日本のメダル数16個はどのあたりのランクになるのか調べたら、以下の様に、漸くにして、ベスト25に登場である。

 

11  オランダ        39

12  ポーランド      36

13  カナダ        31

14  南アフリカ      29

15  イタリア       28

16  韓国         27

17  イラン        24

18  メキシコ       21

19- チュニジア     19

19- アルジェリア   19

21- キューバ      17

21- ニュージーランド 17

23- 日本         16

23- アイルランド   16

25  エジプト       15 

 

 日本の今回のメダル獲得数は、G8サミット参加国では、最下位であり、前回の北京大会での獲得数27に比較しても、かなり少なくなっている。

先日の、オリンピックの記事でも触れたのだが、今後の発展が期待されるインドが見当たらないのが気になるところで、何と、銀メダル1個だけ! である。

 

 オリンピックは国の経済力を反映するとすれば、パラリンピックは、国の福祉力を反映すると言えるかもしれない。今回の日本の不振は、競技の近代化に対応出来ていなかったためだ、等との反省の弁も聞こえるのだが、そのような技術論もさることながら、社会全体としての、国全体としての、障害者スポーツや、引いては、障害者福祉に対する、取り組みが不十分で、関心も薄い事が、基本的な問題と言えるだろうか。大いに、反省しなければなるまい。 

 

○明日に向けて

 この間の日曜、9月16日夜のNHKTV番組、サンデースポーツに

       車いすテニス 金メダル 国枝慎吾選手

        ゴールボール 金メダル 安達阿記子選手

か招かれて出演した。

 国枝選手については、何度か、TVのインタビューなどでも見たが、今更言う必要も無いのだが、今後も、ハイレベルの活躍が継続できることを期待したい。

 

 ゴールボールの安達選手については、期間中、ロンドンのスタジオで出演した時も見ているが、アイシェードを外した、爽やかな素顔に改めて触れた。 

 番組で聞かれて、“裸眼よりも、目隠しをしている時の方が落ち着く” と彼女は言ったのだが、集中しきった心境での弁であろうか。 (写真はネット画像より)

 

          

     目隠しで                   素顔

 

  番組では、ゴールボールの練習風景が紹介された。勿論目隠しをした状態で、相手ゴールの前でボールが床に当たった時の位置を、反対側に居て、音だけで判別するのである。 それが、何と50cm単位の精度で、ボールが当たった位置をピタリと当てる、選手達の聴覚の鋭さには驚かされた。

 

 今回の快挙を機に、今後、日本において、車いすテニスやゴールボールを始めとして、障害者スポーツが、大いに盛んになることを念じている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ロンドンパラリンピック その2

2012年09月15日 23時43分27秒 | 日記

2012年9月15日(土) ロンドンパラリンピック その2

 

 

 ロンドンパラリンピックについては、当ブログの、下記記事

    ロンドンパラリンピック その1 (2012/9/13)

 

で、シンボルマークについて触れた所だ。

 今回は、具体的な競技の中の、ゴールボールについて記すこととしたい。

 

 今回のパラリンピックで、日本チームが、金メダルを獲得した事で、すっかり注目を浴び、知名度が上がった、ゴールボール(Goalball)である。

 日本女子チームが、決勝で中国を1-0で破り、優勝が決まって金メダルを獲得した8日夜のEテレで、チームの6人(レギュラー3人 ベンチ3人)が、NHKのロンドンのスタジオに招かれ、インタビューがあった。 自分はこれまで、このような種目があることも知らなかったし、放送の中で流された試合の様子を、TVで見るのも初めてであった。

この競技、見ていても、そんなにエキサイトする訳ではなく、比較的静かな競技だが、結構、味があるようだ。

 

◎ゴールボールとは?

[概要] このゴールボールは、視覚障害選手が行う対戦型スポーツで、1チーム3名の選手が鈴の入ったボールを投球して攻撃したり、鈴の音を頼りに身体全体を使ってセービングをするなどの攻防を行い得点を競い合う。視力の程度に関わらず、アイシェードと呼ぶ目隠しを装着してプレーする。試合は、前後半各12分、ハーフタイム3分で行われる。 

 

[主なルール]

ゴールボールとは | 【JGBA】日本ゴールボール協会 オフィシャルサイト

○選手   ・各チーム3人づつ

      ・全員、完全な目隠しをする

       目にテープを貼った上にアイシェード(アイマスクとも)を装着

       視力の違いが無いよう条件を揃え、公平を期す

      ・全神経を耳からの音と、身体の触れ合いに集中 

      声かけによる選手間のコミュニケーション

      目隠しを付けたまま、ボールを持って歓喜!

 

 ○コート

    ・バレーボールと同じコートの広さ(幅9m、長さ18m)

    ・ゴールラインの両エンドに、高さ1.3m、幅9mのゴール 

    ・ゴールラインから手前3mまでがチームエリア、更に3mの幅がランディン

     グエリア、中央部がニュートラルエリア

     

○ボールと投球 

     ・ボールは、バスケットボール位の大きさ

     ・ボールの中に音を出す鈴が入っているのが特徴

      ボールが床を転がると、コロコロ音が出るので、その音を頼りにプレーする

      ボールが床にぶつかる音も重要

     ・投げたボールが、相手ゴールの手前で、2度、床に触れること  

      相手のチームエリア、ランディングエリアの、どちらにも触れずに、相手のゴールに行ったボールは、ハイボールの反則:どちらか  のエリアで、必ず床に触れること(空中を飛ぶボールは、音がしないので分らないため)

     ・投球されたボールが、ニュートラルエリアを飛び越した場合は、ロングボールの反則:ニュートラルエリアで必ず床に触れること

 

 投球動作

(ハンドボールのようなオーバースローは禁止で、アンダースローのみ?)

    

○ 守備

    ・3人で、横になってゴールを守る(立って守るのもOK?) 

     ボールを受けた味方の後ろに素早く回ってセーブする敏捷さも重要

     身長が大きい方が有利か?          

    ・ボールがゴールラインを越えたら得点    

 上手にセーブ

 

○ 競技時間

     ・正規時間 12分ハーフ 前半・後半

     ・同点の場合は、ゴールデンゴール方式の延長戦 3分×2

     ・それでも決着がつかない時は、1対1での、エクストラスロー(サッカーのPK戦相当)

 

[起源] この競技は、第二次世界大戦で、目を損傷した傷痍軍人の、リハビリのために始められたものが最初と言われ、ヨーロッパで盛んに行われているという。

 

◎日本チームの戦績

  今大会では、先ず、予選リーグがあり、日本は、3位で予選を通過したようだ。

決勝トーナメントに進んで、

   準々決勝  対ブラジル   2-0

   準決勝   対スエーデン  4-3

   3-3の同点で後半を終了し、延長戦に入っても決着が付かない。PK戦になり、8人目にして、漸く勝ったという、死闘があったようだ。

   決勝    対中国     1-0

    今大会での、両チームの、予選から準決勝戦までに獲得した総得点を見ると、

       中国チーム  37点

       日本チーム  11点

   のようで、両者に極めて大きな開きがあり、前回の北京大会で金メダルだった中国チームの攻撃力の凄さは、驚くべきものだ。 

  この中国の攻撃を交わしながら、日本は前半間もなく、安達選手のシュートで、狙い通りに得点したが、前半終了近くに、ピンチが訪 れた。守りで、浦田選手が、チームエリアの境界線を越えてしまい、イリーガルディフェンスの反則を取られてしまったのだ。(ラインは、手で触ると判るようになっている)

  1対1で対向する、緊迫したペナルティスローの場面だったが、浦田選手は、相手の投球を綺麗に止めて、得点を防いだのである。

    このようにして、最少得点差で、強豪中国を破って、チーム競技初の金メダルに輝いたのである。

 

  日本女子チームは、これまで、3大会連続で出場したが、アテネでは、3位 銅だったものの、前回の北京では、7位と振るわず、今回、晴れて、悲願達成となったようだ。

最終成績は、1位 日本、2位 中国、3位 スエーデンである。スエーデンとは、予選で引き分けているようだ。

 

   金メダルを喜ぶ6人組

 

◎ 終わりに

  日常生活では、目から入って来る情報量は、全体の70%程と言われるが、運動競技では、さらに比重は増すだろうか。 従って、視覚障害者にとって、1人で運動するというのは、かなり困難なことになるだろう。

アイシェードを付けることで、敢えて視覚情報を断って、競技をするゴールボールは、いわば、逆転の発想の面白さ、と言えるかも知れない。

  夏場の海水浴の砂浜で、目隠しをして、スイカ割りを行うのは楽しいものだが、ゴールボールでは、それに似た、スリルが味わえるかも知れない。

  パラリンピックでの視覚障害者向けの種目として、ゴールボールの他には、伴走者と一緒に走る陸上の種目(100m、5000mなど)がある。 この競技、二人の意気が合うと、とんでもないスピードが出る様子が、テレビに写し出され驚かされた。

又、水泳で、種目は忘れたが、視覚障害者が参加するクラスで、目が利かないことから、プールの底のラインや天井がよく見えない為、コースロープに、ぶつかりぶつかりしながら進んでいく姿が、強く印象に残っている。

  障害者でも、車いすを使い、義足を付けることで、健常者と同じような種目をカバーしているケースが多いのだが、この場合は、視覚は正常であることが前提となる。

これらに比べ、視覚障害者が参加できる種目やクラスは、未調査ながら、かなり限られてくるように思われる。

 

  ゴールボールで金メダルを獲得した快挙が讃えられて、チームの小宮主将が、閉会式の行進での旗手に選ばれるという、嬉しいニュースだ。 彼女、一人で大丈夫かな、と気になったのだが、隣で江黒監督が、ちゃんとエスコートしてくれたことで、無事、大役を果たす事が出来た。

    小宮旗手とサポート役の江黒監督

 

  昨14日朝の、NHKおはよう日本の、スポーツコーナーで、女子ゴールボールチームで大活躍した、3人組(小宮、浦田、安達 各選手)が出演し、日本全国に、金メダルの報告とともに、爽やかな笑顔を届けてくれたところだ。

  今回のゴールボールの躍進が、日本での、今後の障害者スポーツの一層の発展に、そして、視覚障害者の福祉向上に、少しでも繋がってくれれば、と願っている。

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