2012年8月27日(月) ロンドンオリンピック おしまい
ロンドンオリンピックも終わり、近々、ロンドンパラリンピックが始まる。ロンドンオリンピックについては、本ブログの記事で、
ロンドンオリンピック 真最中 (2012/8/4)
ロンドンオリンピック なでしこ 1 (2012/8/11)
ロンドンオリンピック レスリング (2012/8/15)
ロンドンオリンピック レスリング2 (2012/8/17)
ロンドンオリンピック なでしこ2 (2012/8/20)
と取り上げたが、幾つか書き残したトピックスもあるので、思いつくままに記してみたい。
A:競技種目とメダル数
オリンピックでの競技種別と、各競技の中での種目数について調べて見た。ロンドンオリンピックでは、
陸上、水泳、サッカー、テニス、ボート、ホッケー、ボクシング、バレーボール
体操、バスケットボール、レスリング、セーリング、ウエイトリフティング
ハンドボール、自転車、卓球、馬術、フェンシング、柔道、バドミントン、射撃
近代五種、カヌー、アーチェリー、トライアスロン、テコンドー
の、26競技になっている。
各競技には、色んな種目があるが、種目数は、全体で、302種目で、各種目に、金銀銅メダルがある。金メダルの数は、種目数と同じ302個であるが、銀・銅メダルの数は、銀メダルが2人だったため銅メダルが無かった種目や、レスリングや柔道の様に、敗者復活の競技ルールで、当初から、銅メダルが2人という種目もあり、少し異なるようだ。
日本人には殆ど関心が無い種目や、選手も出ていない種目でも、国によっては、メダルが取れる可能性の高い選手が出場している種目は、その国の関心が高いのは当然で、どの種目にも、世界一という金メダルがある、と言うことを、改めて認識させられた次第だ。
種目に対する関心や人気の高さと、自国の選手が、その種目でメダルを取れる可能性との間には、大きな相関関係があると言えよう。
前回の北京大会と比較して、競技では、今回は、野球・ソフトボールが落ちている。次回のリオオリンピックでは、今回に、7人制ラグビー(通常は15人制)と、ゴルフが加わるようだ。ブラジルらしい、例えば、リオのカーニバルを思わせる様なダンス種目等は、無いようだ。
各国のメダル獲得数を、改めて見て見ると、主要国間での順位争いがある訳だが、獲得した金メダル数で無く、総メダル数が、その国の総合力を表していると勝手に考え、獲得メダル総数の順位を見ると
1アメリカ104、2中国88、3イギリス85、4ロシア82
で、獲得メダル数には、国力や人口などが、反映されているのは、当然とも言えよう。でも、このような尺度で見ると、人口が世界2位と言われ、新興国として最近は成長が著しいインドが、メダル総数が6個で、順番も34位と言うのは、どう言うことだろうか。
開催国イギリスは、3位と大いに頑張った訳だ。同じ伝で、5位以下、20位までを示すと、以下の様になっている。
5ドイツ44 6日本38 7豪州35 8フランス34 9韓国28
9イタリア28 11オランダ20 11ウクライナ20 13カナダ18 14スペイン17 14ブラジル17 14ハンガリー17
17キューバ14 18カザフスタン13 18ニュージランド13 20イラン12 20ジャマイカ12 20ベラルーシ12
次回開催国で、これも発展著しいブラジルが、今回は17個で、順番も14位だったが、果たして4年後にはどれ位になるだろうか。
参加204カ国・地域の中で、1個でもメダルを取れたのは、85で、参加数の半分以下である。しかも、メダル数が1個だけと言う国が、下記の様に、18カ国もある。
金メダル 1個 5カ国
銀 1 6カ国
銅 1 7カ国
オリンピックは、参加することに意義があるとは言うものの、もう少し、広く遍くメダルが貰えるようには出来ないものだろうか。たとえば、今回卓球で1種目1国2人までとしたために、中国選手が、金銀銅メダルを独占することが無くなったようだ。
柔道では、1種目1国1人で、このために、出場権獲得のために日本国内では熾烈な競争が行われる。 全種目で、このようなルールにしたらどうなるだろうか。
B:マラソン
今オリンピックの話題の一つは、マラソンコースであろう。コースは、下図のように、ロンドンの市内の観光を兼ねて、同じコースを3回も回ると言う、ユニークな設定であった。
途中、可なり狭い道があったり、整備されていない石畳の道などもあったが、事前に予想された程のハプニングは起こらず、アフリカ勢のスピード中心の、まともな展開となった。
先行して行われた、女子マラソンの当日は、生憎の雨天であったが、心配された、滑って転ぶ等のハプニングは無かった。
最終日に行われた、男子マラソンでは、アフリカ勢が主体のスピード勝負となったが、日本の中本選手が、粘って、最後には6位入賞を果たしたのは立派である。ユニークな練習法で注目された藤原選手は、結果を残せなかったようだ。
マラソンと言えば、一頃は日本のお家芸で、比較的最近でも、特に、女子マラソンでは、多くのメダリストも出ている。身長差や体力差ではなく、持久力の勝負だけに、日本のマラソンの今後の復活が期待されるところだ。
マラソンコースについては、前回の北京大会では、天安門広場から、市内の有名な施設前等を通って、北の国家体育場までのコースだったようで、繰り返しは無い。
嘗ての東京オリンピックの時は、代々木競技場から甲州街道に出て、調布で折り返し、再び同じ道を戻るというコース設定だったようだ。
将来、再び東京でオリンピックが開催されることになれば、東京マラソンの様に、都内の目抜き通りがコースになって、目近で見物出来るようになるだろうか。
古代ギリシャで、マラトンの戦の時、ある兵士が、戦場となったマラトンの岡からアテネまで走って、戦勝を伝えたと言われる。 その時に走った距離は、凡そ、40km程度だったようだ。この故事に因んで、後に、マラソン競技が始まったようだが、競技で走る距離は、大会ごとに違っていたようだ。
マラソン距離の長さが、現在の42.195kmになったのは、第4回のロンドンオリンピックの時に、ウインザー城の中にあるスタート位置が、直前に変更になったために、終了後に計測した結果、細かな現在の距離になったという。でも、この距離で競技が行われるようになったのは、第8回大会からのようだ。
C:テニスとウインブルドン
先月の7月に行われた、テニス全英オープンについては、当ブログで
ウインブルドン大会 (2012/7/10)
として触れたところで、詳細は省略するが、この全英オープンで、日本の錦織選手が大いに活躍した。
ひき続く、このオリンピックでの錦織選手の活躍も、一つの楽しみであった。3回戦である順々決勝まで進み、アルゼンチンのデル・ポトロ選手と対戦したが、惜しくも敗退した。
第1セットは、結局、4-6で落としてしまった。第2セットは、劣勢な中、盛り返し、6-6の、「タイブレーク」になったのである。 やや難解だが、一度は見たいと思っていた、タイブレークが始まったのである。
タイブレークでは、交互に1本づつサーブを代わりながら進められ、カウントは、0-2から、1-4と劣勢が続いたが、相手のミスもあって、4-4まで追いついた。所が、その後、2ポイントを立て続けに失い、4-6となり、このセットのマッチポイント。
タイブレークでは、6ポイントになるとマッチポイントで、もう後がなくなり、先に相手に7ポイント目を取られたら、そのセットは負けになるのだ。
若し、ここで、錦織が粘って、5-6、6-6まで盛り返したなら、ここからは、2ポイントの差がつくまで決着しないルールであることから、6-7、7-7、8-7、8-8、などと、延々と、熱戦が続く事を期待したのだ。しかし、結果は、4-6のマッチポイント後、あっさりと、4-7となって敗退してしまった。
でも、この試合を見てからは、タイブレークになっても、煙たがることなく、よく理解できるようになったのは、収穫ではある。
ここで勝ち上がったデル・ポトロ選手は、結局、全体の3位の銅メダリストになった強敵であった。
テニスのもう一つの話題は、イギリスのマレー選手の、オリンピックでの優勝の快挙である。先の全英オープンの決勝では、スイスのフェデラー選手に、第1セットは勝ったものの、第2セット以降逆転され、セットカウント1-3で敗れて、準優勝に終わっている。
オリンピックでは、この同じウインブルドンのコートで、同じカードの優勝決定戦となったのだが、今度は、マレーが、フェデラーを、セットカウント3-0のストレートで破って、最高の舞台で、リベンジを果たした。イギリスが勝ったのは76年振りと言い、イギリス国民の、長年の留飲が下がる思いや嬉しさは、いかばかりだったろうか。この決勝戦の様子を、テレビで見る機会が無かったのは、悔やまれる。
76年もの間我慢しながらも、ウインブルドンでの大会を支えて来た、イギリスの忍耐強さに敬意を表したい。それに比べれば、日本のお家芸の柔道は、オリンピックでメダルが余り取れなくなって、まだ10年程だし、国技と言われる大相撲も、日本人横綱がいなくなり、日本人出身の優勝者が出なくなって、まだ10年にもなっていない。ウインブルドン現象などと大騒ぎするのは、まだまだ早いのだ。
D:関連する話題
○開会前に、ロンドン市内のテムズ川に、イギリス軍の軍艦が停留して、睨みを利かしている映像も見たが、あくまでも表向きだが、幸いにも、治安に絡むような事件は、何事も起きなかったようだ。
英国内部では、北アイルランド紛争等も抱え、心配の火種が多い世界情勢の中で、ロンドンオリンピックが、無事終えられたことは喜ばしい限りである。
オリンピック期間中は、闘いや争いは一旦中断する、という美談も聞くのだが、オリンピックは平和の祭典と言われるが、
平和でないと開催参加出来ない祭典
平和をすこしでも実現するための祭典
平和の尊さを思い起こさせる祭典
平和のなかで堂々と金儲けができる祭典
だろうか。
○このオリンピックに関する冒頭の記事で触れたように、大いに気になった聖火台だが、大会期間中、燃え続けた聖火が、閉会式の最後に消える時が来た。火が付いたままに、中央から周辺に広がって、そして、順に火が消えて行った。
開会式の時から、あの花びらのような形は、何だろうかと思っていたのだが、閉会式のレポーターによれば、タンポポの花をイメージしていると言う。
なる程、参加国数204からなる沢山の花びらが集まって一つの聖火になり、そして、平和の使者として、それぞれの国に綿毛の様に飛んでいくイメージなのだろうか。
ネット画像より
タンポポの花言葉は、真実の愛、幸福を知らせる花、などなどだが、自由に遠くまで飛んでいく姿から、ハードルを越える、というのもあるという。
○イギリスでは、公認のギャンブル屋(Bookmaker)があちこちにあり、何でもギャンブルの対象になると言われる。公営ギャンブルは、経済的に余裕のある、紳士淑女の遊びのようで、日本の競馬の様な、博打(ばくち)とは違うようだ。還元率も高く、最終結果ではなく、購入時点で配当があるとも言うがーー。
勿論、このオリンピックで、金メダルを取るのはどの選手かも、対象になったようだ。
開会前のTV報道によれば、詳細は忘れたが、陸上短距離の、ジャマイカのウサイン・ボルト選手の人気もさることながら、体操の内村航平選手の方が、倍率が低かった(確実視された)と言う。勿論、体操個人総合で、予想通りとなった訳だ。
一方、柔道女子48kgの福見友子選手も可なりの人気があったようだが、結果は、3位決定戦でも敗退してしまった。
予想の当たり外れと、購入者の損得や、ギャンブル屋としての損得はどうなるのだろうか。ギャンブル屋としては、券が売れることがポイントだから、当たり外れは関係ないかな?
E:驚き・美しさと面白さと
スポーツ競技は、選手にとっては、名誉を掛けた闘いであり、天賦の才もさることながら、日頃の精進の結果が示される場だろう。完成された技には、人間技とは思えない驚きや、美しさがある。 以下に幾つか例示したい。
・ウサイン・ボルト選手のスピード 人間はここまで楽しみながら速くなれる!
・打球のスピード 卓球のラリーの反応の速さ
バドミントンの打球の速度と、レシーブのゆっくりさ加減
・体操の回転技と着地 床運動・跳馬の着地直前の回転技とピタリ着地
一方、各競技種目では、勝ち、負けが大きな比重をしめるが、やはり、ゲーム性のある、チームでやる種目には、面白さがある。簡単には決着しない為、はらはらドキドキがあるのだ。
最たるものが、サッカーだ。 関係する人数も多く、広い場所を使い、競技時間も長いだけ、楽しさ、面白さも、倍増すると言えよう。自分にとっては、ワールドカップ以降フォローして来た、なでしこジャパンの銀メダルの活躍は、最高の楽しみであった。本記事の冒頭にもあるように、本ブログでも何度か取り上げている。 又、男子サッカーチームが、メダルに届かなかったのは残念だったが、今後に期待したい。
次に挙げられるのが、バレーボールだろうか。往時の全盛時代を思い出させる、女子チームの、28年振りの銅メダルは、極めて、意義深いものがある。 一頃は、全く歯が立たなかった欧米等の強豪とも互角に渡り合い、宿敵韓国を押さえて銅メダルが獲れたことは、大きな自信になったことだろう。身長の差を、チームワークで如何に克服するかは、日本人にとっては、永遠のテーマだろうか。
ネット画像より
体力勝負となる、レスリング、柔道、ボクシングなどで、体重毎に種目が分れているように、バレーボールでも、平均身長によって、クラス分けする、訳には行かないかな?
チームで行う競技として、他には、ハンドボール、バスケットボール、水球、ホッケー等があるが、日本が出ていない種目等のため、関心は湧かなかった。
又、卓球ダブルス、バトミントンダブルス、アーチェリー団体、体操団体、水泳リレー 等は、メダルが期待できたこともあり楽しめたが、総合力の楽しさ、補い合う面白さ、と言えるだろうか。