つれづれの記

日々の生活での印象

原発の全面停止

2011年08月31日 16時36分41秒 | 日記

2011年8月31日(水) 原発の全面停止

 

 

現在、日本国内には、54機の原発があり、おおむね、25%程の電力が、原子力により供給されている、と言われてきた。この春までは、運転と定期検査を繰り返しながら稼働してきており、今後の建設計画も多く、着工間近のものもあった。それが、3月11日の東日本大震災を境に、大きく変わってしまっている。今や、わが国の原発は、危機的状況にある。

 

事故に関係した福島第一原発や、隣接した福島第二原発は、勿論停止しているが、大地震の先読みで、強制的に停止している原発や、定期検査で止めた多くの原発があり、定期検査が終了しても多くの原発の再稼働は、殆ど行われていない。

原発設備の実際の耐用年数は、30年~40年(減価償却上は16年)などと言われているが、この間、これまでは、毎年、定期検査(3か月程)が行われ、再稼働してきている訳だ。

北海道 泊原発では、大震災後に定期検査に入っていた3号機が、検査を終了し、地元知事の了解を得て、先日の17日、大震災後で初めて、再稼働が認められた、と言うニュースがあった。 

 

先日8月22日の、NHKの朝のニュースで、国内原発の現状と、今後の見通しについて、整理して報道された。それによれば、概略の状況と見通しは、以下である。

 8月22日時点の国内原発状況 全54機

 

     停止中  40機 事故停止  10機 福島第1・第2

                  強制停止   3機 浜岡

                                                定期検査等 27機 検査中・検査終了後の再稼働見合せ

                                                   稼働中  14機  ⇒⇒⇒今後、次項の定期検査へ 

  今後の定期検査で停止予定 14機

 

    8月26日停止  1機(泊2号機)

    秋まで停止    5機

    冬まで停止    6機

    来年春まで停止 2機

 

  下図は、TVの画面から借用し、デジカメで撮影したものだが、残念ながら、余り、クリアではない。図中の表示で、青印は運転中、赤印は停止中、である。

8月26日時点(13機運転中) 

    

来年春時点(運転中無し)  

 

このように、現在運転中の全ての原発が、来年春までには定期検査に入ることとなるので、それまでの間、現在停止しているものなどの、再稼働が1機も無いとすると、国内の全ての原発の稼働が停まる、と言う、極めて異常な事態になり、分っていることではあるが、やはり、ショッキングである。 

片や、この夏、東電管内、東北電管内で実施された、15%の節電規制を、繰り上げて解除する話が、この所持ち上っているが、一体全体、電力需給は、どのような見通しになっているのだろうか。 

 

今回の、深刻な原発事故の経験から、国として、長期的な、エネルギー政策の方向を明らかにする必要がある。これについては、改めて触れたい。

一方、短期的には、当面の電力需要を賄うために、少なくとも、現存する原発と、どのように共存していくか、という事がある。

この短期的な課題の中で、最優先なのが、現状の原発は果たして安全か、を、緊急に点検することだ。即ち、福島第一の様な、深刻な原発事故を、二度と起こさないために、現在の原発の、大災害に対する備えを、見直す必要があるのだ。

 

ヨーロッパのEU内では、日本の原発事故を受けて、現在、原発のストレステストを、行っているようだ。先の、6月21日、ウイーンで開かれた、IAEA閣僚会議(日本が原発事故の報告書提出 海江田経産大臣出席)で、このEUのストレステストを、各国でも、実施するよう、提言されたようだ。(残念ながら、自分は、把握していなかったが)

ストレステストとは、元々は、経済用語のようだ。原発に適用する場合は、地震や津波等(ストレス)に襲われたと想定し、地震の大きさや、津波の高さを変えた時に、原発の設備やシステムが、どのレベルまで耐えられるか、どのレベルで駄目になるか、を、机上(コンピュータ上)で、シュミレーションすることにより、ストレスへの耐力を明らかにする、安全性の評価作業という。

この、ストレステストという言葉が、国内では、定期検査で停止していた、玄海原発の再稼働を巡る動きの中で、唐突に、表舞台に出てきた感がある。

再稼働を急ぎたい経産大臣と、安全重視の国民感情を代弁したような首相との間での、食い違いが表面化した。結局、以下の様な、

 

定期点検中の原発には、簡易版のストレステストを適用して、それにパスしたものの再稼働は許可する。ただし、その後、本格的なストレステストを稼働中の原発すべてに適用し、必要に応じて停止命令を出す

      

との、二段構えのストレステストを行うという、政府としての統一見解を出すことで決着したようだ。従来の定期検査に加えて、簡易版のストレステストを行うとなると、これまでよりも、厳しくなるのは当然だろう。 ましてや、全原発対象の、本格的なストレステストに至っては、実施内容やスケジュールが、まだまだ、固まっていないのだろうか。 このことから、定期検査終了後の、再稼働の見通しも、殆ど、見えていない。

 

でも、シビア事故を引き起こした当事国の日本である。IAEAに言われて、ストレステストなどと、横文字で云々するまでも無く、原発の安全性について、抜本的な見直しを行うのは当然のことで、むしろ、日本は、テストの模範となるべきであろうか。以下は、全原発設備の安全性の見直しに当たっての、地震や津波の規模に対する、自分としての意見である。

 

○想定する地震の規模

 ・今回の東北地方太平洋沖地震(M9.0)による、福島第一での震度(6強)まで

は、どの原発でも起こりうる とする。

  ・各原発の立地時は、どのような地震や、震度まで、OKとしているだろうか

⇒地震による振動等で、破損する設備を明らかにし、対策を検討する

  対策を実施するか否か、所要のコストと、リスクとを明らかにする 

 

○想定する津波の大きさ

 ・今回の東北地方太平洋沖地震(M9.0)による、福島第一での津波の大きさ(高さ

10m以上)迄は、どの原発でも襲ってくる とする。(福島第一原発では、今回の地震の震源地、規模、津波の大きさは、設計時も、その後も、全く想定されていなかった!) 

  ・各原発の立地時は、どのような高さの津波までOKとしているだろうか

 ⇒地震による津波の来襲で、破損する設備を明らかにし、対策を検討する

  対策を実施するか否か、所要のコストと、リスクとを明らかにする。

 

今回の巨大地震と巨大津波は、生起する確率が、かなり小さいケースと言えるが、一方で、その場合に備えた対策を実施することは、大変なコストを要することとなる。でも、いわゆる、安全神話として、災害やそれに伴う事故は絶対起こらない、と言った誤解を与えることは問題である。自然現象には、絶対起こらない、はあり得ない。上述のように、対策を実施するか否か、実施する場合の所要のコストと、実施しない場合のリスクを明らかにし、選択出来るようにする事が、重要である。

 

今回の原発事故の初期、NHKの解説番組等で、そんなにコストアップにはならない、素人的にも、現在でも可能と思われる、各種対策が言われていたのが、印象に残っているが、現時点で改めて整理すると、以下の様なものになるだろうか。

 

○商用電源系統の多ルート化

           一般的な多ルート化は当然だが、原発が複数機ある場合、受電後に、複数機間で横に

廻すルートの確保(今回、事故後に実施された)

○非常用電源設備の配置場所

 設置場所を、敷地内の同じ高さでなく、少し高い所に移す(コンクリートの高台、山

 側)

○非常用電源設備用の燃料の保管場所

 最も海側にあった⇒陸側に移し津波から遠ざける

○建屋の入り口等の防水

 津波が来ても、建屋内に水が入らない様に防水対策を講ずる

 

また、全電源喪失という非常事態が発生してしまった時の

 ○措置手順の徹底(非常用炉心冷却装置の習熟、建屋水素爆発の危険性の明記と防止策 

など)

等も、重要だろう。

 

 原発の立地を、海から少し離れた高台にするとか、一か所に集中(福島浜通り、敦賀湾など)しないで、危険分散を図る、なども、中期的な措置として考えられる。

 

 現在、全体的な、原発の安全基準の見直しも行われているようだが、その話と、

・首相指示による浜岡原発の運転停止

・玄海原発関連でのストレステスト騒動

・退陣条件の一つになった再生可能エネルギー特別措置法の成立

など、管総理の考えは、ポイントを突いてはいるのだが(本人は、よくやったと思っているだろう)、思い付き的で、説得力に欠け、全体が見えず、困ったものであった。

 

原発事故関連で、以前から精力的に動いてきた、細野大臣が、野田新内閣で、そのまま留任することが、国民に対する最低限の誠意の一つ、に思えるのだが、果たしてどうなるだろうか。

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数学ブーム  その1c

2011年08月29日 18時49分49秒 | 日記

2011年8月29日(月) 数学ブーム その1c

 

 

③ オイラーの公式

オイラーは、この、複素平面でのeの定義式と、三角関数のド・モアブルの定理を、以下のようにして、結びつけたようだ。

 

先述の、ド・モアブルの定理の式は、左右を逆にすると、以下のようになる

cos(nα)+isin(nα)=(cosα+isinα) 

cos(nα)-isin(nα)=(cosα-isinα) 

両式を足し算すると

2cos(nα)=(cosα+isinα)+(cosα-isinα) 

∴ cos(nα)=((cosα+isinα)+(cosα-isinα)/2 

 

一方、両式を引き算すると

2isin(nα)=(cosα+isinα)-(cosα-isiα) 

∴ isin(nα)=((cosα+isinα)-(cosα-isinα))/2

ネット情報の解説によれば、ここでオイラーは、n→∞という極限状態での、三角関数の性質から考察したようだ。

この式で、nα=χとすると、α=χ/nだから、nを無限大にすると、αは無限に小さくなり、

limn→∞cos(χ/n)=cos0=1

となる。 一方、

limn→∞sin(χ/n)=χ/n 

とできるので、上述の二つの式は、nを無限大にすると 

   cosχ=((cos(χ/n)+isin(χ/n))+

        (cos(χ/n)-isin(χ/n)))/2 

       =((1+iχ/n)+(1-iχ/n))/2

       =(eiχ -iχ/2

isinχ=((cos(χ/n)+isin(χ/n))-(cos(χ/n)-

isin(χ/n))))/2

=((1+iχ/n)-(1-iχ/n))/2

=(eiχ-iχ/2

ととなる。

 

 この両式を足し合わせると                

cosχ+isinχ=((1+iχ/n)+(1-iχ/n))/2

       ((1+iχ/n)-(1-iχ/n))/2

            =(eiχ -iχ/2 +(eiχ-iχ/2

            =eiχ

左右を逆にすると

iχ=cosχ+isinχ

という、オイラーの公式が得られる。

この、オイラーの公式は、虚数単位iを含む、指数関数が、いきなり出てくるので、面喰うところだ。

ネット情報によれば、複素数まで拡張した指数関数は、複素数をz=y+ixとすると 

   e=ey+ix=e・eix

となり、ここで、y=0とすると、e=1だから

iχ=cosχ+isinχ 

の、オイラーの公式となる。

即ち、オイラーの公式は、複素平面で定義した指数関数で、実部がなく、虚部のみの特

定の場合に当たる。この場合、指数関数は、偏角χの三角関数の、極表示の複素数で表せる、と言うことになる。

 

又、オイラー公式で、θを、2π、π、π/2と変化させてみると、当然だが、それぞれ、以下のように、ユニークな結果となる。

     e2πi=1   eπi=-1(冒頭の式)  eπ/2i=i    

 

④ ひと休み

ここまで、オイラーの式に至るまでの過程を辿ったが、いまいち、すっきりしないところがある。

其れは、オイラーが、n→∞という極限状態での、三角関数の性質から考察し、先の式で、nα=χ、α=χ/nとし、nを無限大にすると、

limn→∞cos(χ/n)=1

limn→∞sin(χ/n)=χ/n (=0ではない!)

とできる、としたところだ。無限積の各項と、このような置き換えとの関係はどうなるのだろうか。

でも、微分積分学から発展した、関数の無限級数展開から、オイラーの式は、容易に導けるのだが、それを見越したような、オイラーの直感的なアプローチが素晴らしかった、と言うべきかもしれない。このあたりについては、当ブログで、その2 として取り上げる予定である。 

 

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数学ブーム  その1b

2011年08月29日 18時46分12秒 | 日記

2011年8月29日(月) 数学ブーム その1b

 

 

② 自然対数の定義

オイラーは、この、ド・モアブルの定理と、後述する、自然対数の定義の式を、結びつけた、ようだ。

 指数関数と対数関数は、相互に逆関数になるが、以下の様に表される。

指数関数 y=a    aを指数関数の底という

対数関数 x=logy aを対数関数の底という

対数関数の通常の表記では、上記とは、xとyが、逆になる。aは任意の実数だが、

a=10なら、常用対数、a=eなら、自然対数

と呼ばれる。

 

ここで、数学での、対数関数や指数関数等の理論的な研究には、重要な数と言われる、不思議な数字、eの定義に触れたい。

ある数列

  a=(1+1/n) nは正の整数  

を考える。この数列は、複利計算などで出てきて、ベルヌーイ等によって、研究されていたもののようだ。

n=1~nとしていくと、以下のようになる。

       a=(1+1/1)=2

=(1+1/2)(1+1/2)(1+1/2)=1.5×1.5=2.25

(1+1/3)(1+1/3)(1+1/3)(1+1/3)

=1.33×1.33×1.33≒2.35

(1+1/4)(1+1/4)(1+1/4)(1+1/4)(1+1/4)  

   =1.25×1.25×1.25×1.25≒2.44

---------------------

(1+1/n)(1+1/n)(1+1/n)(1+1/n)

              ---------(1+1/n)(1+1/n)

この数列で、nを無限大にすると、即ち、 

lim n→∞ a=lim n→∞(1+1/n) 

とすると、どうなるだろうか。 a1、2、となるにつれて積の各項は、次第に小さくなって、極限では1になるが、羃乗全体としては、発散するのでなく、3以下の、一定の極限値に収束する、と言う。

この一定の極限値が、eと言われるもので(eという呼称は、オイラーによる、と言う)、ネイピア数とも言われ、自然対数の底とも言われる。

即ち、eの値は、

   e=lim n→∞(1+1/n)

と定義される。 実際のeの値は、

  e=2.718281828------- 

で、鮒一鉢、二鉢、一鉢二鉢 などと、語呂合わせで覚えたものだ。

この数字は、円周率πなどと同じ、無理数の一種で、超越数と言うようだ。

eを底とする指数関数eχは、無限積の形で、以下のように定義できる。

χ=limn→∞(1+χ/n)  nは自然数  χは実数

ここで、χ=1とすると、前述と同じ、eの式となる。

一方、このeχの定義式で、χ→±iχと、複素平面に拡張すると

iχ =limn→∞(1+iχ/n)

-iχlimn→∞(1-iχ/n)

となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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数学ブーム  その1a

2011年08月29日 17時34分46秒 | 日記

2011年8月29日(月) 数学ブーム その1a

 

 

先月の末になるが、NHKの夜の番組、クローズアップ現代で、最近は、静かな数学ブームになっている、との報道があった。番組の中で、下記の、オイラーの公式

iπ=-1    

が紹介された。 

数学の世界には、興味をそそられる、色んなテーマや、問題があるが、その中で例えば、このオイラーの公式に到達するまでの、数学的な論理を積み重ねていく過程を、趣味的に楽しむのが、ブームという。 そのための、本もあるようだ。 この過程は、知的な興味が満たされるだけでなく、一般的な問題を解決するための、物の考え方や、アプローチの仕方が、身に着く、と言う、実践的な側面も、あるようだ。

TVを視た数日後、用事で有楽町に出たついでに、駅前の三省堂書店に寄ってみた。数学に関する幾つかの本が並べられ、放送で紹介された本もあったのだが、どれも、結構な値段でもあり、買うのを躊躇した。

帰宅して、ネットで、改めて、オイラーの公式や、関連事項について調べたら、簡単なものから、大学の講義に使われるテキストの様な、詳しい解説まで、各種あり、プリントすれば、立派なテキストになるので、この情報を活用させて貰う事とした。本屋で買うのを躊躇ったのは、元エンジニアとしての、プライドの様なものも、あったかも知れない。

 

オイラーの公式の一般形は、下記である。

 eiθ=cosθ+isinθ 

iθは指数関数

eは自然対数の底(2.7182818----- ネイピア数ともいう)

i は虚数単位(i=-1 ⇒i=√(-1)

θは弦度法による偏角 単位ラジアン

(例:90度=π/2、180度=πラジアン など)

 

この式で、θを、πとすると、cosπ=-1、sinπ=0であることから、

   eiπ=-1   

という、冒頭の見事な公式になる。 正確には、この式は、オイラーの等式 と言うようで、表記も、右辺を、左辺に移動した、- 符号の無い

   eiπ+1=0 

の形で、示されることも多いようだ。 

  

 オイラーの公式は、スイス生まれで、ドイツ等で活躍した著名な数学者、オイラーによって、1740年頃に、発表されたと言うから、日本での江戸時代になり、大変に古い時代なのである。

 この公式を見て、改めて驚くのは、既にこの時代に、指数関数と三角関数とが、虚数単位iを導入した、複素数の概念で、統一的に、見事に表現されている、ということである。

 このオイラーの公式を称して、「我々の至宝」「人類史に残る不朽の名作」「すべての数学の中でもっとも素晴らしい公式」などと、称賛されているようだ。ギリシャ時代の数学者ピタゴラスの名を冠している、ピタゴラスの定理(三平方の定理)にも匹敵する程の、知見なのだろうか。

 

オイラーが、この公式を導くまでの過程について、ネット情報等を参考にしながら、自分なりに理解できた範囲で、以下に、整理してみた。

三角関数、指数関数、対数関数、複素数についての基本事項は、当時、既に研究されており、以下でも、既知としている。 

 

① ド・モアブルの定理 

オイラーが、オイラーの公式を導く基になったものの一つが、三角関数に関する、ド・モアブルの定理、のようだ。 (ド・モアブルは、フランスの数学者)

複素数zは、一般には、複素平面(ガウス平面)上で、実軸上のaと、虚軸上のbとを組み合わせた、

z=a+ib

のように、表記される。

一方、複素数zは、円の半径rと偏角αの三角関数として

  a+ib=r(cosα+isinα) 

のようにも表現でき、これを、極表示という。

 

ここで、極表示で表した、二つの複素数

=r(cosα+isinα)、

=s(cosβ+isinβ)、

の積を求めてみる。

  z×z=r(cosα+isinα)×s(cosβ+isinβ)

       =rs(cosα・cosβ―sinα・sinβ

+i(cosα・sinβ+sinα・cosβ))

ここで、三角関数の加法定理

cos(α+β)=cosα・cosβ―sinα・sinβ

sin(α+β)=cosα・sinβ+sinα・cosβ

を使えば、以下のようになる。

r(cosα+isinα)×s(cosβ+isinβ)

=rs(cosα・cosβ―sinα・sinβ

+i(cosα・sinβ+sinα・cosβ))

=rs(cos(α+β)+isin(α+β))

計算の単純化のため、r=s=1とし、β=αとすると

    (cosα+isinα) =cos2α+isin2α

という、2羃乗の公式が得られる。

同様にして、一般化していけば、n羃乗では、以下の式が得られる。

(cosα±isinα)=cos(nα)±isin(nα) 

即ち、極表示の複素数を、n羃乗すると、偏角がn倍の極表示の複素数になる、と言う、ド・モアブルの定理が得られる。

 

 

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原発事故は収束軌道に?

2011年08月25日 13時12分55秒 | 日記
2011年8月25日(木) 原発事故は収束軌道に?

 東日本大震災による原発事故の発生から、早くも、5か月以上が過ぎた。

 最近は、以下の様な、生活周りの放射能汚染や、その除染についてのニュースが多い。 
   牛肉(飼料の稲藁から)
   収穫した米
   学校のプール、校庭や砂場 
 一方、エネルギー関連では
   再生可能エネルギー買い取り法案
   太陽光発電・風力発電
   原発の稼働状況(定期検査 再稼働)
などが、話題となっている。
 更に
   補償問題(東電、国)
   事故調査・検証委員会(事故直後の措置、冷却装置の停止)
なども、重要なトピックスだ。
 これらについては、今後、機会を見て、取り上げたいと思っている。

 言うまでも無いが、事故原子炉を安定させ、原発事故に伴う放射性物質の放出・拡散を、如何に抑止するか、と言うことが、当面の、肝心要の事項で、このために、「循環注水冷却」システムを、安定的に稼働させ、原子炉を冷やしつつ、残留滞留水を減らして、冷温停止態を確立する、と言うことが、課題となっている訳だ。
 原発事故については、去る、4月17日に、初めて、東電から、「事故の収束に向けた道筋」(工程表)が示され、足場が出来たといえる。その後、ほぼ1カ月毎に、5月、6月、7月に進捗状況が示され、全体像が整理され、展望できるようになってきている。この8月17日に、4回目の改定版が公表された。現在は、政府と東電が統合されて、原子力災害対策本部として、発表されている。今回は、これについて取り上げることとしたい。

 この、工程表については、当ブログで、何度か取り上げてきたが、前回の7月19日に公表されたものについて、下記記事
   原発事故の収束は? (2011/7/29) 
で、滞留水の処理の面からみて、内容が不明な点や、第2ステップの目標時期等について、懸念を述べたのだが、その後、どうなっているだろうか。今回の公表内容について、特に、以下の3つの点から、見て見た。

①冷温停止状態は?
 前回以降からスタートしたとされる、第2ステップの目標は、事故原子炉を安定させ、放射性物質の放出を抑制する、「冷温停止状態」を確立することである。原子炉圧力容器底部温度が、100℃ 以下に安定的に保持できれば、冷温停止状態と言えるが、資料によれば、1~3号機については、下図の様になっているようだ。


図で明らかなように、現時点で、1号機は既にその状態にあり、3号機もかなり下がってきていて、直に達成できそうだ。2号機は、あと30℃ほど低下させる必要があるが、1か月で15℃程度は、着実に低下して来ているので、順調にいけば、10月下旬頃には、達成できるだろうか。
 原子炉で発生している熱を下げるために必要な最低限の注水量を、シュミレーションで求め、それ以上の注水量を確保している、という。

②放射性物質の放出
 放射性物質の放出については、公表資料では、事故直後に水素爆発があった以降、現在までの傾向について、初めて、以下の図が示された。  
                    単位は、時間あたりの放出率 ベクレルBq/時
 

 図中の数値は、原発敷地内のモニタリング点での、空気中のセシウム密度の計測値から、推定したとある。
図の矢印が示すように、放出量は、時間と共に急激に減少し
  3/15     約2000兆(2.0×10**15) ベクレルBq/時 
  8/12(平均) 約2億   (2.1×10**8)  ベクレルBq/時
と、約5カ月の間に、オーダーとして、1/10**7=1/1000万 に減少している。

 最近の放出率 約2億Bq/時と言う数値は、どのように理解すればいいのだろうか。資料によれば、このモニタリング点での、年間被曝線量を計算すると、約0.4mSvになる、としており、年間1mSv以下というICRPの許容値から見て、そんなに小さい値ではない。でも、敷地を出て、空気中に放出される放射性物質は、四方に飛散するので、距離が遠くなれば、急激に少なくなる訳だ。
 勿論、事故当初の数度の水素爆発で放出され、広範囲に飛散した放射性物質の量は、図にあるように、桁違いに大きく、この時に放出された、半減期が長い、セシウム137やセシウム134等が、未だに、各地で、強力な放射線を放っているのは言うまでも無い。

 今回の資料で示された事故直後の、3/15の放出密度は、前述のように
   約2000兆Bq/時-----2.0×10**15 Bq/時
だから、これが、仮に、1週間、続いたとしたら、その間の放出総量は
   2.0×10**15×24×7=33・6×10**16 Bq
   即ち、33・6万テラBq
となり、4/11時点で公表された、福島第一原発事故での、総放出量 
   63万テラBq----63×10**16 Bq 
と、オーダー的には合うこととなる。 当ブログの下記記事参照
     原発事故 レベル7に (2011/4/14)

 今後、新たな大規模な放射性物質の放出は、あってはならないことで、余震や台風などに対する、万全な備えが必要である。 

③ 滞留水の処理と循環注水冷却システム
 もう一つの重要事項は、滞留水の処理である。注水冷却を続けながら、漏れ出る高濃度汚染水を処理して循環させ、再度、冷却に廻すと言う循環注水冷却システムだが、当初は、外国製の除染設備等のトラブルが相次ぎ、稼働率が上がらなかったのだが、最近は、操作にも習熟し、順調になったのだろうか。
 又、このシステムに出来るだけネックを作らず処理量を増やすために、設備を増強したり、並列で運転出来るようにしたり、国産機器を増やす、などしているようだ。
 今回発表された資料では、下図のように、滞留水の累積処理量も順調に増加し、最近の平均稼働率は、漸く、約88%まで向上しているようで、先ずは、一安心である。


 一方、前回の資料では、同じグラフの中に、注水量も示され、累積処理量と注水量の差が実効処理量で、これが、滞留水の減少分であった。今回は、注水量については明示されておらず、代わりに、タービン建屋内の滞留水の水位について、以下のグラフが示されている。
 

 図によれば、水処理施設稼働後、建屋B1での、滞留水の水位は、少しづつ減少してきてはいるが、2、3号機とも、まだ、3500mm(3.5m)もあると言うことだ。
 幸いに、ピット上端から溢れ出す心配はなさそうだ。2号機の場合は、減少した滞留水がまた増えるなど不安定だ。

 やや安定している、3号機で、仮に、減少率を求めてみる。水位が、図の目視から
    6/21  約3860mm
    8/16  約3500mm
とすると、56日間で、約360mm(36cm)の減少だから、この傾向が今後続くとすれば、
    56日×3500/360≒544日
掛からないと、滞留水が無くならない事となる。これは、今年の、8月16日から数えると、再来年の3月頃まで掛かる計算だ。冷温停止状態を確立する、ステップ2の目標時期は、来年の1月頃だが、タービン建屋のB1に溜っている滞留水を除去し、作業環境を整備することが、目標達成に必須とすれば、更に、1年以上も余計にかかると言う事となり、これは重大な事態と言える! 自分は、タービン建屋のB1での作業が、冷温停止状態を実現するのに、必須と思っているのだ。
 このためには、今後、稼働率や処理量を、急速に上げる必要がある訳で、果たして、目算はあるのだろうか。3号機に比べて、2号機は、不安定ながらも、減少率が、急峻な理由は何だろうか。

 以前は、敷地内の高濃度滞留水の総量が、11万トンなどと言われたが、累積処理量で見ても、まだ、かなりの量が残っている事となるが、現在の総滞留量はどうなっているのだろうか。データの種別や表示法が、説明なしに変わるので、以前との対比が出来ないと言うのは、困ったものである。意識的にそうしている、とは思いたくないがーー。
 
 一方、上記、①で示したように、原子炉底部の温度から見ると、着実に、冷温停止の状態に近づいている、ようだ。このことから見ると、そもそも、タービン建屋B1に滞留水がかなりあっても、冷温停止に向けての大半の作業は、1Fで出来るので、問題は無い、と言うこととなる。 滞留水の除去は、元々、ピット上部から滞留水が溢れ出し、海を汚染する事態を避けること等が、主要なポイントだった、と言うのだろうか。
 この件に関しては、今回の資料の何処を見ても、触れられていないのが、非常に気になるところである。 仮に、冷温停止状態の確立は、多量の滞留水があっても可能だとしても、B1に滞留水が残存している状況で、今後の、原子炉の廃炉作業ができる訳は無く、地道な滞留水除去作業は、やらざるを得ないだろう。
 
 本ブログのタイトルにあるように、原発事故は収束軌道に乗った、と言えるのかどうか、明快な説明が望まれるところである。
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