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つれづれの記

日々の生活での印象

放射能汚染との付き合い

2011年04月27日 16時53分03秒 | 日記
2011年4月27日(水)放射能汚染との付き合い



 原発事故の終息が、まだまだ見えない状況だが、人様が居住する環境については、前回のブログ
       放射線量と居住地域 (2011/4/24)
で触れた通り、事故原発を中心に、規制が行われている。
 今回は、人様が食べる食品の安全基準について、最近の状況について触れるとともに、土壌の改良などについて、述べて見たい。

○空中に飛散した放射性物質、特に、ヨウ素131による汚染は、飲料水については大分前に終息し、葉物野菜等の農産物についても、最近は、3週連続して合格、というハードルをクリアして、規制解除のニュースが聞かれることは、嬉しいことだ。

 事故発生時は、食品の安全基準と、土壌の安全基準の制定状況は、以下のようになっていた。
           飲料水・牛乳 葉物野菜 根菜 穀類 肉・卵 魚  土壌
  放射性ヨウ素131    ○     ○     ―  ―   ―  ―*  ― 
  放射性セシウム     ○     ○     ○  ○#  ○  ○&  ―+

 即ち、食品安全基準では、半減期が長い放射性セシウム(137・134)や、その他の核種について、すべての食品について規定されているが、土壌については、基準はない。 
 又、半減期が短い、ヨウ素131については、食品安全基準でも、飲料水・牛乳、葉物野菜類についてだけ規定され、摂食までに時間がかかる食品、  
  土壌を経由して汚染が広がる可能性⇒根菜、穀類 
  牧草等の餌を経由して汚染が広がる可能性⇒肉・卵
  広い海を経由して汚染が広がる可能性⇒魚
等については、基準値が制定されていなかったし、土壌の安全基準は、決められていない。

 所が、茨城県北茨城沖で採れた、こうなご、から、多量のヨウ素131が検出され、食品安全の基準値はなかったので、魚についても、急遽、葉物野菜等と同じ基準値、
    放射性ヨウ素131 2000Bq/kg
か、決められている(上表の*印)。 
 又、前後して、こうなご で、基準値500Bq/kg(上表の&印)を上回る、放射性セシウムも検出されている。
 今が旬の、こうなご 漁だが、魚の習性として、海面近くに浮いてくるので、海面上に降下した放射性物質を、吸収・蓄積しやすい、と言う。ヨウ素131については、それ程心配はいらないと思われるが、半減期の長い放射性セシウムは、食物連鎖で、小魚が、大きな魚に食べられて、その魚に蓄積される危険性もある。
 海の汚染については、空中からの汚染に加え、高濃度汚染水の流出や、緊急措置的な、低濃度汚染水の意図的な放出もあって、茨城や福島の海産物に対する不安は、収まってはいない。風評被害もあって、商売にならないことから、自主的な出漁自粛が行われている等、苦しい現状だ。

 一方、田植えの時期が近いこともあり、コメの作付け、が出来るのか否かを明確にするために、田んぼの土壌の、汚染度の基準値を定める必要性が指摘された。 このことから、先だって、新たに、土壌に関する安全基準値が、制定され、
    放射性セシウム 5000Bq/土1kg当たり
と、決められた(上表の+印)。
 この根拠はこうだ。放射性セシウムについては、米等の穀類の食品安全基準では、500Bq/kg(上表の#印)となっている。又、これまでの研究成果等から、田んぼに植えられたイネの、放射性物質の吸収率は、10%程度だという。このことから逆算して、田んぼの土壌の基準値が、5000Bq/kgと決められたものだ。
 この、土壌に関する基準値は、イネだけでなく、他の穀類や、葉物野菜や、根菜類等の作付け、についても、暫定的に、適用されると思われる。

 福島県内各地域の田んぼの汚染度を測定した結果、20km圏外である、飯舘村などでも、上記の規格値を越えていることから、今年のイネの作付けは見合わされた。当初からの避難区域であった20km圏内では、中に入れないので当然だが、残念ながら、当面の農作業は出来ない。
 土壌の汚染については、以下のブログで触れているが、農作物の作付けに関する、土壌の安全基準の一部が、漸く具体化した訳である。
   原発事故 土壌の汚染 (2011/4/7)

○空気や海が、一旦、放射能に汚染されると、人間の力で除染することは、不可能であろう。だが、陸地に関しては、ただ時間の経過を待つだけでなく、積極的に改善できる可能性が、残されている。
 前出の下記ブログにあるように、先だって、学校での、屋外活動での安全基準が決められたばかりだ。
   放射線量と居住地域 (2011/4/24)
これまで、屋外活動を自粛していた、福島県郡山市内の幼稚園や学校では、再開するに当たって、一層の安全のために、早速、グランド表面の土壌を入れ替える、こととしたようだ。

 福島第一事故が終息し、住民が無事帰還できた時、土壌の改良などを行って、放射性物質を除去する作業は、
    ①人間が安全に居住するため
    ②安全な農作物をつくるため
に、必須となる。
 まず、①だが、目に見える、あらゆる環境が対象となり、屋外、屋内を含めて、元通りに普通に住めるようになるのには、どんな対策があり、どの位、時間がかかるのだろうか。
 そして、②で、元通りの農業や、漁業を取り戻すのには、大変な措置と時間が必要になると思われる。これまで世界各地で蓄積されてきた、ノウハウだけでは、上手く対応できるのだろうか。

 チェルノブイリ事故では、丸25年経った現在も、30km圏内は、居住禁止になっている、という。広いウクライナならいざ知らず、狭い日本では、こんなことになったら、重大な損失になる。
 勿論、チェルノブイリと福島第一は、事故レベルは、同じレベル7でも、内容的に、質的に、少なくとも、1ランクは異なるので、同列に扱う必要はない。下記ブログで触れているが、放射性物質の放出量が、100京ベクレルを越えている、チェルノブイリ事故は、新たにレベルを新設して、レベル8に格上げすべきだろう。
   原発事故 レベル7に(2011/4/14) 

○チェルノブイリ事故後、放射能で汚染された土壌を、植物の力を活用して、改良する試みが、行われているようだ。
 放射性物質を選択的に良く吸収する植物を見つけ、それを栽培して、土壌の除染に役立て、その植物はしっかり管理する、と言うことである。
 何もしない所に植えた小麦と、菜の花(正式にはアブラナ、ナタネとも)を植えて、放射性セシウム等を吸収させた後に植えた小麦と、を比較したら、後者では、セシウムの量が半分程に減ったと言う。

 又、放射性物質を、吸収する、しないに関わらず、菜の花や、ヒマワリを植えて、採れた油を、車、等の燃料に使う、と言う試みもある。最近は、トウモロコシを、車用の燃料エタノールを採る方に回すので、人様が食糧難になる、という話もある位だ。
汚染された農作物は、人間が食べると問題になるが、採れた油を、車などのエネルギー源として利用すればいい、ということだ。勿論、この場合、放出される排気ガスには、放射能は含まれない、ことが条件になる。
 郡山市内の学校でのように、汚染された田畑の土壌を入れ替えるのは、大変な作業になることを考えると、少し、時間はかかるが、植物による除染とエネルギーの獲得は、一石二鳥の手として、検討の価値がある、と思われる。
 土壌の改良としては、今回の大津波で海水を被った、宮城県等の田んぼの除塩も、重要な課題だが、こちらには、これまでに蓄積された、沢山のノウハウがあるようだ。

○わが国には、戦後の経済産業の発展の陰で、苦しみながら取り組んできた、公害問題があり、それを克服し、先進的な環境技術として、蓄えて来た実績がある。今や、今回の原発事故による放射能汚染を、新たな公害問題として捉え、広い分野で取り組むべき時である、と思われる。
 今後の苦しい中での経験を通して、原子力の平和利用のみならず、農水産業や、医療等の多くの分野で、新たな知見や技術やシステムが、生まれてくることを、期待したい。
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放射線量と居住地域

2011年04月25日 19時01分39秒 | 日記
2011年4月25日(月)放射線量と居住地域


 福島第一原発事故が起きて、ほぼ1カ月半になる。はっきりした見通しが立たないまま、
辛うじて、事態の悪化を食い止めている状況だ。
 短期間での収束は望めない現在、放射能汚染との、長ーい付き合いになる、と予想される。今回は、人間の居住地域との関連で見て見たい。

○放射能の現状はどうか
 地震後間もなくの、水蒸気爆発等で、これまでに空中に放出された放射性物質の量は、相当なものだが、それが、地上や海に降下しただけでなく、未だに、空中に滞留していて、気象条件により、移動し、今後、雨等で降下する可能性も、まだ大きいのだろうか。
 そして、原子炉や燃料ブール内の、燃料棒の溶融状況等は、良く見えないが、放射性物質の、空中等への放出は、弱いながらも、現在も行われているのであろうか。
 先だって、今回の事故で放出された放射性物質の量が推計され、INESによる事故レベルが、レベル7に格上げされた所だ。

 海への放出も気になるところだ。2号機のトレンチの亀裂から、高濃度汚染水が流出した事による、海の汚染は大きいようだ。当該個所は封鎖されているが、地下水などを通して、他の亀裂等から、見えないところで、現在でも、海に流れ出ていないだろうか。放射性物質の、海への総流出量も、かなりなものになると言う。 
 いずれにしても、これ以上の、新たな放出を抑えることが、何よりも先ず必要だ。

○避難地域はどうなったか
 事故原発から20km圏内、20~30km圏内は、これまでは、原子力災害対策特別措置法に基づいて、避難指示、屋内退避指示が行われてきた。 4/22から、災害対策基本法に基づいて、より強制力のある、
   避難指示地域⇒警戒区域
となった。道路が封鎖され、立ち入りが出来なくなった。
 この理由は、放射能被害から、住民の安全を守ることが基本だが、空き巣等の、犯罪に対する警戒の意味もあるようだ。警戒区域となった地域の住民は、着の身着のままで避難した人も多いだけに、一時帰宅の要望が強いが、公的にガードされた形での、住民の一時帰宅も、早急に、ルール化されよう(3km圏内は一時帰宅禁止)。
 
 これと併せて、20~30km圏は、これまでは、屋内退避地域(後に、自主避難地域)とされてきた。更に、30km圏外でも、風向や地形等から、放射線量が大きく、年間の累積被曝量から、何らかの措置が必要な地域がある、ことが分かってきた。また、従来の規制地域でも、地域により、線量が低い所も明らかになって来た。これらの事から、20~30km圏、30km圏外を見直した結果、
  20~30km圏、30km圏外でも、避難を指示する地域を設定⇒計画的避難区域
  20~30km圏に、万一の事態に備える区域を設定⇒緊急時避難準備区域
  20~30km圏で問題が無い地域⇒規制を解除する地域
に、再整理された。

 計画的避難区域(1~2か月以内に避難)は、少し、時間的な余裕があるだけに、住民にすれば、戸惑いのなか、要望も多いようだ。
 20km圏内で、幾つかの地域が、緊急時避難準備区域となったが、後述のように、これらに隣接する、20km圏内も、比較的線量は低い。
4/22の朝日新聞朝刊に、これらの地域の、分りやすい地図が出ているので、以下に借用させていただく。
区域の地図

 緊急時避難準備区域では、現地には住み続けられるが、子供や老人は避難することとなっているので、悩みは深い。又、今回、規制解除となった地域の住民は、どんな気持ちだろうか。

 地元では、それぞれに、混乱や不満も多いようだが、方向としては、国の決めた方向で進むことになるであろう。
 最も大変な思いをしているのは、有無を言わせず、早々に避難させられた、20km圏内の皆さんだ。今回の警戒区域の設定で、故郷が、ますます遠くなってしまった。海も近いために、津波の被災者も多い。正に、地震と、津波と、放射能の、トリプルパンチの犠牲者である。

○被曝量の目安は
 ここで、ICRPの勧告や、原子力安全委員会で示されている、許容被曝線量の数値について、確認しておきたい。
 ICRPでは、一般人の、年間の積算被曝量が、100mSvを越えると、健康に被害が出るとしている。このことから、国内では、年間被曝量の積算値が、
  10mSv~50mSv 屋内退避
  50mSv以上~    避難
とされている。
 この場合の、被曝のモデルは、24時間、屋外にいて被曝した場合ではなく、日中の8時間程度、外で被曝し、残りの16時間は、屋内なので被曝量が、0.4になる、と言うモデルのようだ。

 屋内退避では、積算値の上限が10mSvだから、1日当たりの、時間線量に直して見ると、
   10mSv/(8+0.4×16)/365)=1.9μSv/時 
となる。即ち、1.9μSv/時 以上の地域では、外出はまずく、屋内退避が必要となる。
 同様に、避難について求めると、避難の目安は、年間50mSv以上だから
   50mSv/(8+0.4×16)/365)=9.51μSv/時 
で、9.51μSv/時 以上の地域では、屋内退避だけでは不十分で、避難が必要となる。
 更に、今回設定された、計画的避難区域では、設定値が年間20mSvであるから
   20mSv/(8+0.4×16)/365)=3.8μSv/時 
で、3.8μSv/時 以上の地域では、屋内退避だけでは不十分で、計画的避難が必要となる。

 年間100mSvという、健康被害が出る限度一杯まで、地域に留まるとしたら
   100mSv/(8+0.4×16)/365)=19.0μSv/時
で、19.0μSv/時 以上の地域からは、絶対、避難が必要となる。
 従来の20~30km圏内で、今回、緊急時避難準備区域になった地域では、上記のように
   屋内退避  10mSv/年⇒1.9μSv/時 を越えた時 
   計画的避難 20mSv/年⇒3.8μSv/時 を越えた時
 と言う行動が求められよう。

 先日、福島県内の学校での、屋外活動時の安全基準が示された。これによれば、3.8μSv以上の時は、屋外活動を控え、屋内で行うことにしている。この根拠は、上限を計画的避難区域の設定基準20mSv/年 と同じとし、屋外行動時間を、日中の8時間としている。屋内退避は、光化学スモッグの場合などと同じだが、目に見えないだけに、線量の計測が重要となる。

○警戒区域、避難区域内の線量は?
 今回の措置を決めるにあたって根拠とした、各地域での、空中線量の状況が公表された。
 これまでは、事故原発から20~30km圏内や、30km圏外の測定値は、公表されていたが、20km圏内の状況は示されていなかった。今回初めて、20km圏内各地点のデータが公表された。自分としても、知りたかったところである。
 文科省のHPに、詳細なデータと、地図が示されているが、分りづらい。4/22の朝日新聞朝刊に、工夫された、分りやすい地図が出ているので、以下に借用させていただく。
 警戒区域内の線量

 図からわかるように、やはり、事故原発からの距離の要因は大きく、近辺は、総じて線量は強く、離れるほど弱くなる。10km圏内は、殆どの地点で、年積算値で、20mSvを越えている。
 でも、ここで注目される第1点は、真北の海岸沿い方面は、かなり近い10km圏内でも、線量が弱く、10km圏外以北も同様である。(緊急時避難準備区域でもいい位)
 第2点としては、南西や南方向では、10km圏外では、比較的弱いことだ。(こちらも緊急時避難準備区域でもいい位)
 更に、第3点としては、北西方向では、10km~20kmにかけて、かなり強い地点が多いことだ。北西方向では、更に、30kmを越えた地点で、かなり強いところがあるので、今回、計画的避難区域に指定されている。
 前出の地図と組み合わせて見ると、方向による、地域的なばらつきは、明らかだ。これは、風向きや地形の影響と言われている。
 警戒区域、避難区域内の線量データは、継続的に定期的に観測し、公表して欲しいし、公表すべきである。何といっても、避難を余儀なくされている皆さんが、最も知りたい情報でもあろう。
  
 対象となる地域の当事者にとっては、住居は生活の基盤だけに、人様が住む地域環境をどのように規制するか、影響は極めて大きなものがある。 













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原発事故の今後の工程表 その2

2011年04月25日 00時50分34秒 | 日記
2011年4月24日(日)原発事故の今後の工程表 その2



 先日、原発事故の収束に向けての工程表が示されたのは、一歩前進といえる。当ブログでも
  原発事故の今後の工程表 (2011/4/19)
として触れているが、今回は、最近の状況を見てみたいが、前途は多難である。

 当面のステップ1の目標である、冷却システムの確立のためには、タービン建屋内へ入ることが必要なのだが、それを妨げている、高濃度汚染水1万トンの、集中廃棄物処理施設への移送が、2号機で、先日開始された。ほぼ、順調で、移送量は、460トン/日で、5月14日頃に完了と言う。
 ここで分らないのは、2号機だけで、2.5万トンもの汚染水があるのに、どうして、1万トンかと言うことだ。この、1万トンの水を移送すると、タービン建屋内で、作業ができる環境が整うのかどうか。トレンチに溜っている汚染水とタービン建屋内の汚染水との関係が良く見えない。当初は、トレンチ内の水、すべてを移動しないと、タービン建屋内の汚染水が無くならない、と思ったが、そうでもないのだろうか。
 トレンチの水位を、地下水のレベルまで下げれば、タービン建屋の水は無くなるのだろうか。又、建屋の1Fと、B1との関係はどうなのか? 以前、作業員が被曝したのは、B1だが、こんどの作業は、どのフロアで行われるのだろうか。 保管先の集中廃棄物処理施設での、漏れが無いことを確かめるために、当面、1万トンだけを移送する、とも考えられる。これなら、漏れが無いことを確認後、残った分の移送が行われる訳だ。

 一方、集中廃棄物処理施設だけでは、汚染水の保管先として、不足しているので、東電では、6月初めを目途に、3万トン程度の仮設タンクを設置する計画のようだ。必要により、その後も、更に、増やしていくと言う。
 格納容器も汚染水の保存場所と考えると、どの位の容量になるのだろうか。ひょうたん形をしているようなので、単純には計算は出来ないが、4/23の新聞情報等から、格納容器を、仮に、半径9mの球と仮定すれば
4/3πr**3=4/3π×9**3=3053.6m**3=約3000トン
となる。  

 集中廃棄物処理施設や、仮設タンクに移送した汚染水を、新たに外付けする水処理施設で浄化処理して、格納容器に入れ、水棺をつくるという、新たな冷却循環システムの構築が当面の目標だ。 
 この、浄化処理施設は、フランスのアレバ社が、5月末までに提供するようだ。浄化処理法は、沈殿式、処理量は、50トン/時で、この処理後は、放射性物質の濃度が、1/1000~1/10000に減少すると言う。

 このような、暫定システムの構築は、敷地内と、タービン建屋内での作業だけで、出来るのであろうか。どうしても、本体建屋内での作業も、必要になるのではないか。
 先日、本体建屋内に入ったロボットが採取した、線量値や映像が公表されたが、大変な状況だ。地震の振動によって出来た破損や、ずれに加えて、津波による水没障害、水素爆発による爆風の被害や、落下物による破損、などを考えると、本体建屋内では、大きな障害が予想される。

 タービン建屋や、本体建屋内を云々する前に、外の瓦礫も問題だ。水素爆発の起こった、1,3号機周辺に散乱している瓦礫の中には、高濃度の900mSv/時といったものもあるようで、これらの処理をしないことには、事が進まない。作業員の安全確保が、極めて重要となる。

 万難を排した後、トレンチから廃棄物処理施設に移送した汚染水を処理して、格納容器に循環させる、冷却システムが、何とか、完成することとなる。注入した水が漏れ出て汚染水となりトレンチに集まる、いわば垂れ流し状態での、応急的な措置なので、本来の冷却システムではないが、一つの、準安定状態と言えようか。ここに至るまでに、第1ステップの時間(7月)が過ぎてしまうのではないか?

 この水棺システムで、これ以上の、放射性物質の飛散を抑えながら、破損個所や漏れを、少しづつ修理していけば、当初考えていた、本来の冷却システムに、変えていけるのだろうか。本体建屋内の破損状況等からすると、各種配管や計器類が、まともとは、到底、考えられない。果たして、冷却機能等は、まともに、回復出来るのだろうか。
破損個所の修理や部品の交換等で、本来の冷却システムが徐々に確立でき、トレンチへの漏れも無くなれば、ここで、漸く、第1ステップが完成した事になろう。ここまでを、3カ月後(7末?)に完成させると言うのは、極めて厳しいと言えよう。

 そこに至るまで、圧力容器自体は安全に保たなければならない。又、大量の水を入れてイレギュラーな状態にする、格納容器自体も、余震等も含めて、安全性を確保しなければならない。4/23の情報では、1号機の格納容器には、すでに、1/3程、下部に水が溜っていると言う。水棺が半ば出来ている訳だが、何処からの水かは、はっきりはしていないようだ。
 2号機では、格納容器の下部にある、圧力抑制室が破損していると言われ、これの補修は必須で、最大の難作業となろう。
又、各号機での、燃料棒の保管プールの状態の監視も重要となる。

 1~4号機、それぞれに状況が異なるので、大変だ。この場合、優先順位はどうするのだろうか。相対的に、やりやすいところから、やるのか、逆に、もっとも問題が大きく、大変なところから、やるのだろうか。
 人材や機材の効率を最大限にするためには、更なる優先順位付け(戦場における、医療のトリアージュに類似?)が必要になっているようにも思える。
 


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卒業式の歌  仰げば尊し

2011年04月21日 21時47分55秒 | 日記
2011年4月21日(木)卒業式の歌  仰げば尊し


 
学校での卒業式は、成長の一つの区切りとして、大切な行事だ。大震災の被災地からは、今も、月遅れの卒業式のニュースが、伝えられてくる。
 当ブログでは、関連する記事として、
   卒業式の歌 定番曲ベストテン (2011/2/12)
   卒業式の歌 旅立ちの日に (2011/2/26)
   卒業式と「贈る言葉」 (2011/4/9)
を載せてきたが、今回は、上の、定番曲ベストテンで、ベスト1になった、「仰げば尊し」を取り上げたい。
 この歌は、明治17年、小学唱歌として、文部省でつくられた曲のようだ。以来、戦後もかなりの間までは、卒業式と言えば、「蛍の光」とセットで、必ず、歌われたものだ。
 先ず、歌詞を、改めて見て見たい。

1 仰げば尊し わが師の恩  
  教えの庭にも はや幾年  
  思えばいととし この年月 
  今こそ別れめ いざさらば 

2 互いに睦みし 日ごろの恩 
  別るる後にも やよ忘るな 
  身を立て名をあげ やよ励めよ
  今こそ別れめ いざさらば

3 朝夕なれにし 学びの窓 
  蛍のともしび つむ白雪
  忘るるまぞなき ゆく年月
  今こそ別れめ いざさらば

 歌詞全体としては、我(卒業生 自分)を主体にして、先生や、友達や、学校への思いが、
   1番  先生への感謝の思い
   2番  友達への感謝の思いと励まし
   3番  慣れ親しんだ学校への思い
と、バランスよく込められた、歌であろう。時間軸で見ると、これから(旅立ち)、というよりも、これまで(別れ)に重点がある。

 次に、文体をみると、口語体でなく、文語体のために、ところどころ、かなり難解である。以前、歌っていて、特に、よく理解できなかったのは、以下の諸点である。(ーーーは、聞いた直感、 ⇒は、文意)
  いととしーーいと年? 糸通し? ⇒いと(とても)とし(疾しー速い)
  別れめーーー別れ目? わかめ? 別れはだめ?⇒別れ+め(だろう)⇒別れがきた
  やよ忘るなーーやよは、するな?⇒やよ(やあ)+忘る+な、⇒おい、忘れるなよ
  やよ励めよ⇒やよ(やあ)+励め+よ⇒おい、頑張れよ
  忘るるまぞなきーーマゾ?⇒忘るる+ま(間)+ぞ+なき(無い)
              ⇒忘れてしまうような、時間は無かった(思い出が一杯)
 言葉の発音数を、8-6調に纏める工夫をしたために、難解になっている所もあるだろうか。最難関は、別れめ で、“め”と、“む”との違い等が、文法的にも良く分からず、不思議な気持ちを味わいながら、めーーーー と延ばしながら、歌ったものだ。
 又、3番の、
  蛍のともしび、つむ白雪ーーーなんで、蛍のともしび、と雪?⇒蛍の光や、窓につもる雪の灯りで読書し、苦学した中国の賢人の話
という、故事(蛍雪の功)に基づいていて、奥が深いようだ。

 歌詞の内容に関しては、現代では理解できず、却って反発を招くような表現もある。特に、仰ぐとか、師とか、恩とかは、現代も、言葉としては、使われてはいるが、大分意味合いは違ってきている。戦後は、価値観が、大きく変わってきている事が、背景にある、と言えよう。 
 仰ぐのは、現在は、人ではなく、専ら、富士山や大空や、スカイツリーになっているようだ。
 又、師という言葉は、日本の伝統芸能や武術等の世界では、師匠、師範など、本来の意味でも、生きているが、最近では、看護師、調理師、理容師など、男女の区別なしに、有資格者を表す言葉になっている。
 最も気になるのは、恩 という言葉だ。現代でも、あの人には恩義がある、恩に着る、等と使われるが、“世話になった”位の軽い気持ちが多い。本来の意味では、恩と言う言葉は、殆ど、死語に近いのではないか。
 恩というと、
   目上や、先輩や、先生や、親や、世話する側から、
   部下や、後輩や、生徒や、子や、世話してもらう側へ、
上から下への思い、上から下へ与えるもの、の様な感じがあり、恩に着せる、など、押しつけるような語感があるのは、ぬぐえない。
 一方、世話して貰う下の側からすれば、受けた恩を忘れることなく、恩返しが求められるので、荷が重く、頭が上がらない感じもある。ましてや、恩を仇で返す、等は、最も、反道徳な行為、とされた。
 一方、宗教的には、仏教では、智恩院、慈恩寺などと、寺の名前になっていたり、キリスト教では、神の恩寵(grace)という、言葉もあるなど、単純なものではないのだがーー。
 以前には、卒業式が終わると、先生方を招待して、PTA主催の「謝恩会」が開かれたものだが、最近は、この呼称は使われないようだ。

 一方、この歌のメロディーだが、詳細は不明ながら、原曲は、外国の曲のようである。
 曲全体としては、3拍子のリズミカルな曲で、しかも、日本人好みの、弱起の曲で、歌いやすい、いいメロディーである。このタイプの曲には、早春賦、浜辺の歌、知床旅情、浜千鳥、など、名曲が多いのだ。
 合唱曲としても、響きがきれいで、忘れ去ってしまうのは、勿体ない曲である。

 こんな訳で、「仰げば尊し」の歌詞の一部を、現代でも、抵抗なく歌える言葉に、必要最小限度で直してみた。先述のように、1番冒頭の 
   仰げば尊し 我が師の恩 (師と仰ぐ先生の恩を 尊く思う)
は、かなり抵抗があろう。 然らば、先生から教えを受けて、育てて貰った事に対する気持ちを、恩 でなく、何と呼んだらいいのか。 あれこれ考えたのだが、すなおに、感謝 としたい。この結果、1番冒頭の修正案として、以下の様なものが浮かんだ。
    師の導きに 感謝を込め  7-6
    我が師の愛に 感謝を込め 7-6
    先生の愛に 感謝を込め  8-6
   *心の愛に  感謝を込め  7-6
*印の、最後の言葉が、よさそうだ。    
 又、2番に出てくる
    互いに睦みし 日頃の恩
の、恩 は、友達は対等な関係なのだから、
    互いに睦みし 日頃の友
で、良いと思える。

 最後に、歌のタイトルだが、先生と、友達と、学校への、感謝の気持ちを表した歌として、たとえば、簡潔に
    感謝をあげたい 
ではどうだろうか。
 かくして、上述の様に、歌詞とタイトルを修正すれば、旧「仰げば尊し」は、現代でも抵抗なく歌える、立派な卒業式の歌になる、と思うのだがーーー。

 最近の卒業式では、新曲のトップとして、人気があるのは、「旅立ちの日に」のようだ。この曲は、前のブログ記事でも触れたが、ユニークな、先生の視点で作られた曲で、未来に向かって羽ばたく卒業生を、先生が、後ろから、じっと見送り、励ます歌になっている、と言える。
 3月のある日、近くの中学校の2年生である、知人のお嬢さんに、卒業式で歌う歌について聞いてみた。答えは、「流れゆく雲を見つめて」だった。
 この歌の、歌詞等を、ネットで調べてみた。詳細は省略するが、この歌は、かけがえのない青春の思い出を胸に、明日へ進もうとしている歌だ。 最近の歌に共通しているのだが、この歌も、やはり、自分や友達が主体で、先生や学校に対する思いは、何処にも歌われていない、ようである。 
 善し悪しは別として、「仰げば尊し」での、先生の存在の大きさと比べると、比較にならない、落差である。 時代が変わってきている、と言えばそれまでだが、先生は何処へ行ったのだろうか、と、何処か、淋しく、空しい思いさえ感ずるのだ。
 先生と生徒との間での、人間を通した人格の育成と文化の継承、と言える、教育の原点について、静かに考えてみたいものである。

 本記事で、当ブログでの、卒業式の歌についてのシリーズを、「卒業」としたい。
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原発事故の今後の工程表

2011年04月19日 23時19分49秒 | 日記

2011年4月19日(火)原発事故の今後の工程表



 福島第一原発事故は、現状では、予断を許さない状況が続いており、先が見通せる状況ではないのだが、4月17日(日)に、事故収束へ向けての工程表(ロードマップ)が、東京電力から発表された。
 この工程表は、事故の収束に向けての、当事者としての作業工程の目標を示すと共に、他方で、農水産業も含めた、被災者や被害者、国民や国際社会に向けて、6~9か月後に、その後の展望の判断が行われる、との見通しを示したことで、これまでは、時期的な目標が無い、手探りの状況が続いていただけに、一歩前進、と言えよう。
 勿論、この工程表に対しては、“絵に描いた餅だ”などの、色んな批判もあるのだが、それを承知の上で、何とか取り纏め、公表した、東電の責任と決意を見る思いである。

 この工程表は、 国内と世界の人知を集めた上での、当事者としての、想定される予測と考えられる対策なのだが、ここにある時期的な目標は、最も、上手く進んだ場合のシナリオでの見通し、と言えようか。 
 今後、思わぬ事態に見舞われて、予定通りに行かない場合も、大いに予想されるのだが、そのようなシナリオの時は、工程内容や時期目標を修正すればいい。その場合は、変更せざるを得なかった要因は、明確にする必要があり、単純な、想定外、では済まされまい。 
 “東電は、約束したのに嘘をついた” 等と非難されようが、気にすることはない。修正せずに曖昧にしたり、事実を隠ぺいするなどは、最も避けるべき事と考える。
 又、避難者等に対しては、今後は、最低でも6カ月間は辛抱し、覚悟を決めて、行動する必要がある、と言う、厳しいメッセージでもある、と言うことだ。

              公表された工程表(ロードマップ)

 工程表では、内容別に
   Ⅰ冷却       (1)原子炉、(2)燃料プール
   Ⅱ抑制       (3)滞留水、(4)大気・土壌
   Ⅲモニタリング除染 (5)測定・低減・公表
に分けて整理してあり、それぞれに関して、現状から始まって、3か月単位で、ステップ1(3か月程度)、ステップ2(ステップ1終了後3~6か月程度)、中期的課題、と、時間軸で展開されている。
 今回は、ステップ1について、触れてみたい。
 
 先ずポイントとなるのは、ステップ1の3か月間である。事故の現状を踏まえた、ハード的な準備期間で、
  「核燃料の冷却システムを確立し、放射性物質の放出を減らす」
事が狙いとなる。
 このためには、自分なりに整理すると、以下のようになろう。
  ①現状より状況が悪化する、不測の事態に備える
     a原子炉本体の爆発防止対策⇒窒素ガスの注入、淡水注入
     b商用電源断対策⇒非常用電源車の配備と操作、給電系の相互融通
     c自然の脅威(余震・津波・台風・豪雨・落雷)対策⇒溢水対策、防水等  
  ②作業環境の調査と整備
     aタービン建屋内の高濃度汚染水の移動と保管
       集中廃棄物処理施設内部の緊急整備
     b本体建屋内の線量調査(無人ロボット、有人)
  ③応急措置の実施
     a格納容器に水を満たす(1、3号機)(水棺)
     b圧力抑制室の破損個所修理(2号機)(コンクリート固め→その後水棺) 
  ④放射性物質の飛散状況の調査と抑制対策
     a現行の冷却用注水の継続(原子炉、燃料プール)
     b高濃度汚染水の海への流出抑制   
     c燃料棒保管ブールの損傷調査
     d本体建屋の覆いを検討
などが、喫緊の対策となる。
 
              対策概要図

 ①が、最優先の課題だ。
 ①-aの、本体の爆発防止は、チェルノブイリ事故の二の舞という、最悪の惨事としないための、最重要事項であろう。一時、1号機で、水素と酸素の濃度が高まり、爆発の危険性があったため、それを避けるために、格納容器に、窒素ガスの注入・充填が行われた。4つある原子炉の各々は、その後は、安定しているようだ。又、各原子炉の中央制御室に表示されている、圧力計等の計器類は、正常なのかどうか、気になる所でもある。

 ①―bの、電源断対策については、先日の大きな余震で、東京電力、東北電力管内の、多くの原発で、外部電源が停止したが、応急措置等で、事無きを、得たようだ。
 余震により、外部電源が止まった時に、用意していた電源設備に、自動的に切り替わるようになっておらず、その電源設備を操作できる人も、避難したために、結局、動かせず、役に立たなかった、という問題があった。又、給電系統の複数化はやっているものの、受配電盤間の接続が無かったために、片系だけでは全体を動かせなかった、という問題も見つかり、即、対策が取られたようだ。このように、今回の余震は、原発での電源の防災対策を検証する、貴重な場となったようだ。
 電力会社の電源設備の不具合で、電力会社の原子炉が、無電力状態になった、と言うのは、笑い話ならいいのだが、怖い話ではある。
 燃料棒を、常時、水で冷却しなければならず、そのため、給電が止まると、蒸発等で水が無くなり、燃料棒が露出し、水素爆発が起こる等、如何に怖い事態になるか、と言う、沸騰水型軽水炉(PSW)の、思わぬ弱点を、見せつけられている、思いである。

 ②は、冷却系の確立のためには、どうしても必要な作業のようだ。    
 ②-aは、これまでも、何度も指摘されたことだ。タービン建屋内での作業がまずスタートになるだけに、その作業環境の整備が急がれる。高濃度汚染水で作業員が被曝したのは、2号機のタービン建屋地下であり、外の、トレンチやピットに、この汚染水が漏れていたのも、海に流出していたのも2号機だ。 
 2号機は、幸いに、本体の建屋が残っているので、放射性物質の外部への飛散が抑えられている。でも、本体の一部である圧力抑制室が破損しているようで、高濃度汚染水が漏れる等、最も、危険で、早急な対策が必要な炉だ。冷却システムの確立は、やはり、2号機から始める事になるのだろうか。
 他の炉の、タービン建屋内や外のトレンチ等での、汚染水の状況はどうなのだろうか。4/19のNHK-TV情報では、汚染水の、滞留量は、以下のようになっている。
  1号機関連  20500トン
  2号機関連  25000トン(特に高濃度汚染水 水面上1000mSv/時)
  3号機関連  22000トン

 高濃度汚染水を保管する場所として、集中廃棄物処理施設が考えられている。この施設に保管されていた低濃度汚染水は、緊急事態を理由に、除染することなく、そのまま海に放出し、内部は空になって、これまで、施設内部の水漏れ等の点検を行ってきているが、NHK-TV情報によれば、今日4/19から、2号機の汚染水の移送を開始したと言う。
 当面は、1万トンを移送すると言う。理由は、施設で、万一、漏れが起こった場合でも安全なように、汚染水の水位を、トレンチでの地下水の水位より低くしない、と言うバランスを考慮しているため、というが、良く理解できない。移送先は、3万トンもの容量があるのに、使わないのは勿体ない話だがーー。
 この移送作業、思ったよりも時間がかかるようで、1日当たり480トンで、26日程かかり、5月14日頃に終了する予定という。続く作業として、この集中廃棄物処理施設に移送された、高濃度汚染水を、除染/塩分処理する水処理施設を建設し、きれいになった水を、再度、原子炉に供給するシステムをつくり、6月末頃までに完成させて、稼働させる計画だ。
 この、汚染水の循環システムが上手く機能すれば、作業の邪魔になっている、タービン建屋内の汚染水は、どのように変わるのだろうか。

 2号機のトレンチ等に残った、15000トンの汚染水は、仮設のタンクに移すとしているが、学校の25mプール1杯を500トンとしても、大変な容量が必要となる。
 やはり、高濃度汚染水を、大量に保管する施設が、更に、必要になる、こともあるのではないか。これらの施設は、陸上が望ましいのだが、一時的には、海上案もあろうか。
 静岡から曳航してきているメガフロートや、その他の船等は、今は、どうなっているのだろうか。これらの海上設備を、保管先として、一旦使用すれば、一定期間、安全に管理していかなければならない。それらの保管先が、地震や津波等で破壊され、2次、3次の、海の放射能汚染を引き起こすことは、絶対に避けねばならない。

 ②-bは、本体建屋内の線量等の調査である。タービン建屋内の作業だけでは、冷却システムの確立が出来ない場合は、本体建屋に入って作業する必要があり、これまでの、地震や爆発での、破損等を考えると、どうしても本体建屋での作業が必須となろう。 本体の一部である圧力抑制室が破損していると言われ、最も問題となる2号機で、この破損個所を修理(コンクリート固め)するには、地下まで入らなければならない。
 最近行われた、原子炉建屋内の線量測定結果は以下である。作業員の被曝線量上限は、250mSv/時とされていることから、かなり厳しい数値と言える。

 1号機 原子炉建屋 南二重扉 270mSv/時  作業員計測
           北扉    49mSv/時  4/16 ロボット計測
 2号機 破損しているとされる、圧力抑制室付近は、即刻、被曝反応が出る線量、と言われている
 3号機 原子炉建屋       57mSv/時  4/16 ロボット計測

 ②―bで、本体建屋内の線量が分り、作業の安全性が、確保された後での対策が、③となる。
 ③-aの、水棺は、これまで行われた経験が無いようだが、原子炉本体内に水を入れるだけでなく、格納容器全体に水を入れて、原子炉毎冷却すると言う方法のようだ。勿論、格納容器の損傷や、配管の出入り口の水漏れ等が、問題となる。又、多量の水を格納容器に入れた場合、余震等での安全性も、問題になろう。格納容器に、新たに熱交換器を取り付ける時は、そのための作業環境の整備・確認も必要となる。
 ③-bは、2号機だけの問題のようだが、上述の様な高い線量が想定される環境での作業を、どうするかが問題だろう。先ず、ロボットで、破損状況や線量について、状況調査を行うこととなろう。その後、コンクリートで固めて破損個所を修理するとしたら、ロボットでホースを引き、ホースの先からコンクリートを流し込むようなやり方になるのだろうか。

 ④は、放射性物質の外部への飛散や流出を抑えることだ。④―aは、冷却システムの確立まで当面継続する必要があり、④-bは、トレンチからの海への流出は先日来止まったが、他から海への流出はないか確かめる一方、トレンチからの溢れ出るのを防ぐ対策等も、必須である。
 ④―cは、燃料プール内の、燃料棒の損傷程度を見極ることが重要だ。中期的には、損傷した燃料棒は、取り出して、然るべき保管場所に保管し、放射能の発生を抑えることとなろう。 
 ④―cの調査の上で、④-dの、全体の覆いも有効であろう。この場合、密封型にしないなど、新たな建屋爆発を起こさないような、工夫が必要となろう。
 飯舘村等の高濃度の汚染は、3月半ばの建屋爆発による飛散が原因と言われるが、その後も、各原子炉内や、各燃料プール内での燃料棒の損傷によって、弱いながら、かなりの放射性物質が飛散流出している可能性がある。

 放射能と言う、見えない脅威を正面に見据えた戦いが、いま、始まった所である。

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