つれづれの記

日々の生活での印象

螺子(ねじ)廻しの回転力

2010年04月29日 23時39分55秒 | 日記
4月29日(木)  螺子(ねじ)廻しの回転力



 長年使っている鍋の取っ手が、ぐらぐらしてきて危険なので、螺子を締めて欲しい、と、先日、家人から頼まれた。最初、通常の螺子廻し(マイナスドライバー:写真右)で、螺子を回そうとしたが、さび付いていて、全然廻らない。諦めかけたが、ふと、以前、息子が使っていた、小さいながら握り部分がとてつもなく大きいドライバーがあったことを思い出し、道具箱等を探して、終に見つけ出した(写真左)。このドライバー、幸に、同じマイナスドライバーで、刃先が少し幅があり、厚みもあるが、取っ手を固定する螺子の溝には、何とか入り、廻すことが出来そうだ。
  
    
 このドライバーを螺子頭のねじ溝に入れて、少し力を加えて回したら、螺子が楽に動いたではないか。とりあえず螺子を緩め、一旦、鍋の取っ手を外して分解し、調べてみた。取っ手の根元は、火に当たることもあり、螺子には沢山の赤錆が付いている。この錆を千枚通しで削り落とし、機械油をつけてきれいにし、本体に付いている螺子穴に、螺子がスムーズに廻って入るようにした。その後、取っ手を当てて、螺子を螺子穴に入れて締めつけ、本体に取り付けた。その結果、取っ手はしっかりと固定され、少しも動かず、鍋は、蘇ったのである。


   
 同じ時期に買った、もう一個の鍋の取っ手もぐらついているので、同様に措置した。

 まさに、道具様、様である。ちなみに、二つのドライバーの握り部分の直径・半径を測ったら、
   細いドライバー  直径  17mm →半径  8.5mm  
   太いドライバー  直径  57mm →半径 28.5mm
で、太い方の半径が、細い方の半径の3倍もある。ドライバーの回転させる力は、回転中心からの距離(半径)に比例することから、同じ力を加えた場合、太い方が3倍の回転力になる、ことになる。
 実はこの鍋は、4点セットになっているもので、20年ほど前に、家人が、かなりの値段で買ったものだ。その後、10年ほど前に、取っ手の根元が、熱で焼け焦げて崩れてきたので、渋谷の東急ハンズに行き、替えの取っ手を買い求め、付け替えたものなのである。
 その時は、取っ手は、問題なく合うものが見つかった。一方、螺子の方は、鍋が米国製のため、ミリ規格(メートル法)ではなく、インチ規格(ヤードポンド法)の螺子だと言うので、店の人に聞いたりして探すのに苦労したが、さすがは、DIYの本家と言われるだけあって、何とか見つかったのである。
 今回は、鍋と取っ手はそのままで、螺子をきれいにして締め直しただけであるが、今後、更に10年ぐらいは使えそうで、自分達よりも鍋の方が長生きしそう、と、家人に冷やかされている。
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アイスランドの火山噴火

2010年04月28日 23時41分08秒 | 日記
4月28日(水)  アイスランドの火山噴火


 北欧のアイスランドで、4/14に火山が噴火し、その噴煙の影響で、ヨーロッパの主要空港が閉鎖され、ヨーロッパと結ぶ世界各地の航空便の欠航が相次ぐという、一時、大変な事態となった。幸に、1週間程で火山活動が収まったようで、大半の空港が再開され、運行も正常に戻り、一安心である。
 アイスランドは、普段、余りニュースに出てこない国だが、今回の自然のいたずらで、脚光というより、逆光を浴びたようで、一時、トップニュースに躍り出た格好だ。

 アイスランドといえば、ヨーロッパの地図上では、左上の方にある、丸っこい北の国。首都は、レイキャビク、2008年の世界的な金融危機で、ピンチになった国、捕鯨問題では、日本と同調している国、EUには参加している? 位の知識しかなく、訪れたことはない。
 今回のニュースを機に、少し調べてみた。デンマークから独立した歴史をもち、レイキャビクは、世界最北の首都になろう。国の面積は、図法の関係(特に、メルカトール図法)で、地図上では広く見えるが、北海道よりやや大きい位のところに、何と、32万人程の人口しか住んでいないという。女性の大統領がいる民主的な国で、EUには加盟する方向で動いているが、経済的な苦境は、今も続いているようだ。記録では、冷戦下、米露による、歴史的な東西サミットであるレーガン・ゴルバチョフ会談が行われたとあり、そういえば、そんなこともあったか、と思い出した。
 
 アイスランドは、国名の通り、「Iceland氷の地」のようで、島全体が火山と氷河の国と言われる。国土の北部を、北極線(北緯66度33分)が通過している、白夜の国でもある。地形的には、北米プレートと、ユーラシアプレートの境界が、国の中央でぶつかり合っていて、そこに、沢山の火山があるようだ。又、氷河は、国土面積の約10%も占めているという。
 今回の噴火は、通常の火山の噴火ではなく、エイヤフイヤトラヨークトル氷河の下に隠れている火山が噴火したようだ。この氷河下の火山が噴火したのは、190年ぶりといわれ、この3月にも噴火している。水蒸気爆発のような現象が起き、衛星からも見えた噴煙の写真を、NASAが公開している。
 エイヤフイヤトラヨークトルとは、原語では,Eyjafjallayökullと書くようで、エイヤ(島)・フイアトラ(山)・ヨークトル(氷河)と、言う意味のようで、発音しにくい名前だが、何とか覚えた所である。

 この噴火だが、現地での被害が、ほとんど聞かれなかったのが、不思議に感じられた。通常、火山が噴火すると、溶岩流による被害や、火山灰の降灰や、更には、噴煙による遮光などによる農作物の被害など、まず、現地に被害が出るものだが、今回は、何故か、全然報道されなかった。被害らしい被害が無かったのか、他のニュースにマスクされたのだろうか。
 NHKニュースのバックナンバーを改めて調べたら、辛うじて、大噴火のあった、4/14の現地ニュースとして、氷河が溶け出して、河川が氾濫する危険を避けるため、現地住民800人が避難した、というニュースを伝えていたようだ。その後も、死者が出たといったニュースは無く、現地では、被害らしい被害は、無かったのだ、と思われる。
 空路以外での、ヨーロッパ各地での被害についても、自分の知る限り、噴煙や火山灰が海を越えて、ヨーロッパ大陸上空に流れ、各地に降灰や遮光の被害があった、とは、報道されていない。何時だったか、フィリピン ルソン島のピナツボ火山の爆発による噴煙で、周辺諸国で、太陽光が遮られ、北半球の平均気温が、0.5度下がったと言われている。

 少し余談になるが、日本での火山の噴火で、自分の経験の中でも、幾つか記憶に残っているものがあり、順不同だが、記してみたい。
・大分以前の北海道旅行で、有珠山系の噴火で出来て間もない昭和新山に、強烈な硫黄の臭 いを嗅ぎながら、登ったことがある。先年、その有珠山が爆発し、以前泊まったともあ  る、洞爺湖温泉が、壊滅的な打撃を受けた。
・浅間山のでは、江戸時代の天明3年に大噴火があり、大変な被害があったと記録されてい る。数年前、山麓の近くにある知人の別荘に泊まった時は、山頂からのどかに出ている煙 を眺めながら、過去の噴火を偲びつつ、溶岩原を散策した。
・阿蘇山に、以前、登った時は、火口の噴煙を見たり、途中の避難小屋に入ったりした。そ の後、活動が活発になり、一時、登山が禁止されたこともある。
・自殺の名所と言われた、三原山では、溶岩原を通って、火口の御神火を拝んだことがあ  る。
・先年、三宅島の雄山の噴火では、全島避難で、住民の皆さんは、都内での避難生活で、ご 苦労された。(未だに帰島は完了していない?)
・雲仙普賢岳で、噴火の様子を取材中の報道関係者など、多くの方々が、火砕流の犠牲とな った痛ましい事故は、未だに記憶に新しい。
・NHK大河ドラマ「篤姫」には、主人公の故郷のシンボルとして、桜島が、何度も登場し た。以前、桜島の麓まで行き、放浪記で有名な、林芙美子の碑等を見てきたことがある。 その時の話では、鹿児島では、一般ゴミとは別に、火山灰を回収する車が、定期的に廻っ ていると聞いた。さすが、鹿児島の人は強く、噴火も降灰も、生活の中に同化させてい  る、という印象を持ったが、降灰の収集作業は、現在も続いているのだろうか。

 話を元に戻すと、噴煙が上空まで上がったことで、航空機が飛べなかった理由だが、テレビの解説によれば、ヨーロッパ各地の上空に移動してきた噴煙の中を、飛行機が飛ぶと、噴煙の中にあるガラス成分などが、エンジンの熱で溶けて、エンジンの中でこびりつき、出口を塞いでしまう、などの故障の原因になり、全エンジンが止まってしまう、といった大事故になる危険性があるという。
 過去に、噴煙中を飛行して、エンジンが故障した大きな事故が、起きているようだ。インドネシア上空で、火山の噴煙中を飛行し、4機のエンジンが全て停止すると言う、緊急事態になったが、高度を下げたところで、エンジンが再起動して救われたと言う、信じられない幸運な事故だ。その他、アメリカでも、2件ほど同様の事故が発生しているが、無事に着陸し、大事には至らなかったという。

 専門家によれば、バードストライクでは、野鳥がエンジンに吸い込まれて、そのエンジンは故障してしまうが、残ったエンジンでコントロールできる。しかし、一様に広がっている噴煙の中に航空機が入ると、全てのエンジンが故障する可能性が高く、非常に危険になるという。
 この様なことから、航空機を飛ばすのを諦め、欠航したり、空港を全面的に閉鎖するなどの、異例の、緊急措置が採られた訳だ。このような大掛かりな航空規制は、9・11テロ以来という。日本とヨーロッパとを結ぶ、殆どの便もストップした。
 ヨーロッパを中心にして、世界の航空機がストップしたことで、人流、物流などの多方面に、甚大な影響を及ぼした。直接的な、航空事業の損害額でも、一日何百億円などと報道された。それに、航空機を利用する事業での間接的な損害から、個人レベルでの予定の取り止めなどに至るまで、非常に大きな傷跡を残した、と言えよう。

 自然災害といえば、この所は、地震と津浪、などが主役だったが、火山の噴火という、思わぬ役者が出てきて、不確実な自然災害の恐ろしさを、まざまざと、見せ付けた格好だ。世界が、相互に深く繋がっており、思わぬ事態にたいして、如何に脆弱であるか、ということを、実験的にシュミレーションを行って、証明したようなものだろうか。
 今回の噴火については、100%の自然現象であり、アイスランドは何も悪いはずは無く、なんの対策も取れなかったのだ。むしろ、今回の事態は、アイスランドを知ってもらう切っ掛けになった、とも言える。
 一方、航空機を止めたことの判断の是非については、少し異論があるようだ。欠航や空港閉鎖や解除に当たって、余りに過敏になりすぎたのではないか、というのだ。此処は、専門家に任せるしかない。

 でも、人命の安全は、何物にも変えがたいという原則だけは、再確認したい。交通機関は、人命を預かるものだけに、常に、輸送の安全性との戦いの連続ともいえる。技術の改良進歩で、安全性が高まる方向にはあろう。例えば
 雨の中や、雲の中での、離陸や、飛行や、着陸
 雨や雪道での自動車の走行
 雪の中での新幹線の走行
等は、以前は、危険が伴い困難だったのではないか。でも、無線通信技術や、タイヤの開発や、融雪技術等で、これらも、リスク無しで出来るようになったといえる。更に、強い風が吹く台風や、今回のような、火山の噴煙中での航空機の飛行も、遠い将来には、安全に出来る時代が来るかもしれない。
 世の中の金融商品には、ハイリスク・ハイリターンの商品は多い。かといって、交通関係でも、事業者も利用者も、決死のリスク覚悟で、数倍の高料金で運行する、といったサービスは、やはり、出来るはずは無い。逃げるが勝ちであり、君子危うきに近寄らず、である。

 今回の事件の教訓として、何を学び取ればいいのだろうか。一つは、自然災害やテロなどの、思わぬ事態になった時に、世界的なネットワークの中で、関係国・関係機関が連携して事に当たることだろう。規制の開始や、解除に際しての、国際的な連携である。でも、予め、思わぬ事態を想定して、シュミレーションでやり方を決めておくことは、かなり難しいように思う。
 もう一つは、国際的な越境被害についてである。今回の噴煙被害は、自然現象であるが、先だっての大陸からの黄砂現象は、自然現象とは言いながら、水資源の管理が悪いために、砂漠化を進行させている側面もあり、人災とも言える。又、最近話題になっている、九州などでの光化学スモッグは、中国での窒素酸化物の放出によるオゾンの生成が原因のようで、かなりの人災であり、地球規模の公害問題といえよう。
 このような、国境を越えた越境被害についての国際的な対策についても、地球温暖化問題と同様に、話し合いが必要になっているようだ。


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旬の香りと味  タケノコ

2010年04月27日 09時11分55秒 | 日記
4月27日(火) 旬の香りと味 タケノコ


 奈良県に近い、京都府の山城住の人から、先日、タケノコを沢山送って貰った。奈良まで採りに行き、直ぐ送ってくれたようで、送りましたよ、と、夕方に電話があったと思ったら、もう、次の日の昼前には届いている、便利な世の中になったものだ。24時間以内の、掘りたてである。
 知人に、早速、お礼の電話をして聞いたら、刺し身も美味しいですよ、と言うので、写真の小さい方で、早速、試してみた。タケノコの刺し身は、初めてである。先端に近い柔らかい部分を、縦切り、横切りにして、色んなタレで食べてみた。普通の醤油、芥子醤油、わさび醤油、ピーナッツバターのタレ、酢醤油、などである。いずれも、コリコリ、さくさくとした歯ざわりは、申し分無いのだが、食べた後の口の中に、辛味のある、えぐ味が、かなり残る。たまたま、釜揚げうどんを食べていたので、しゃぶしゃぶのようにして、暫くお湯の中に入れてから食べてみたら、だいぶソフトになったものの、独特のえぐ味は、まだかなり残った。
 頂いた、他のタケノコは、米ぬかが無かったので、米のとぎ汁を使って、伝統的な方法で湯がいた。風味がどのように変化するのか調べるために、写真にある大きい方の一本を、生のまま残し、数日経ってから調理してみることとしている。


 ネットで調べた情報では、タケノコのえぐ味(いがらっぽいような渋味)は、タケノコが地上に出て、光に当たると生成されるようだ。地下茎から切り取られた後も、時間が経つにつれて、タケノコのえぐ味は、増えていくと言う。タケノコを刺し身で食べるには、理想的には、1時間以内が美味しいようで、一昼夜近く経過した後では、遅すぎたようだ。

 舌で感じる人間の味覚は、基本的に
    塩辛い(Salty)――塩辛さ
    酸っぱい(Sour) ――酸っぱさ
    甘い(Sweet) ――甘さ
    苦い(Bitter) ――苦さ
の4種と言う。(最近は、これに、旨みを加えて、5種になっているという。)
 塩辛い(Salty)は、塩っぱいとも言うが、生きる上で、最も大切な塩分を感じる味覚である。塩は、味噌や醤油などの元ともなる、調味料の基本だ。日本語の用法としては、塩辛いを、単に、辛い、とも言うので曖昧になるがーー。
 酸っぱい(Sour)は、食品では、梅干の酸っぱさが代表的で、調味料には食酢がある。酒が悪くなると酢になってしまうように、食品の品質が落ちると、酸っぱくなるものもあり、酸っぱさの感覚は、劣化度をチェックして、自分の身を守る味覚でもあろうか。
 甘い(Sweet)は、砂糖に代表される味覚で、万人が好むものだ。人生経験が豊富なことを、酸いも甘いも知っている、と言うが、人生の厳しい側面を、辛いや、苦いでなく、酸い、と言っている所が面白い。
 これら3種の味覚は、誰にでも区別できる、分かりやすい、味覚であろう。

 4つ目の苦い(Bitter)は、狭義には、
    ニガウリの苦さ
    栃の実の苦味・渋味、
等が代表的だが、広義には、
    お茶、コーヒー、セロリ などの苦味、
    山菜、タケノコ などのえぐ味、
    柿、栗皮 などの渋味
などが、この範疇に入るようだ。このカテゴリーは多様で、区別しにくい、表現しにくい味覚だが、それだけに、この味覚は、料理や、食品の味わいに変化をもたらしてくれる大切な味、とも言える。
 えぐい、という言葉は、一般的ではない、方言か俗語かと思っていたが、広辞苑には、
    刳い・蘞い:のどを刺激していらいらする味がある
と、ちゃんと載っていることを発見した。
 動物は、うっかり、毒のあるものを食べてしまったら、大変なことになるので、本能的に、苦味には敏感だという。 
 又、唐辛子に代表される、辛い(Hot)という味覚は、舌で感じ取る、上記4種の味覚とは、生理的な仕組みが異なるようで、直接神経に作用するというが、良く分からない。でも、このグループには、
    唐辛子(とうがらし)、山葵(わさび)、生姜(しょうが)、
    芥子(からし)、山椒(さんしょう)、胡椒(こしょう) 
など、日本人には欠かせない、各種の辛味が含まれている。

 先日(4/22)、NHKの昼のTVで、京都府長岡京のタケノコ堀りの様子が紹介された。僅かに地面に頭を出しているものを、梃子(てこ)の原理を利用した専用の道具を使って、女性や高齢者でも掘り出せるようになっている。地上部は僅かでも、地下には、以外に大きなタケノコが育っていることに、改めて驚かされる。
 通常、竹薮というが、この農家では、積極的に栽培していると言うことで、「たけのこ畑」と呼んでいた。自然に任せて放置するのでなく、きちんと、竹の間引きをしたり、土に肥料を入れたりと、大変な手をかけて、タケノコ作りを行っている。
 この、たけのこ畑、親竹の間隔が広く、疎らになっており、生えているタケノコの数もかなり少ない。次に親株になるものを残しながら、タケノコも採っていると言う。継続的に収穫できるようにとの、京都らしい長年の知恵に、裏付けられているようだ。
 このようにして育てられた、京たけのこ、高級料亭などに行けば、値段もいいだろうが、さぞかし美味しい料理になるだろう、と思われる。
 いつぞや、千葉の房総方面(大多喜町)に、観光バスで、タケノコ堀りに行ったことがある。山の斜面一面に、あちこちに、タケノコが出ていた光景が、思い浮かぶ。食べることもさることながら、掘り出す作業そのものを楽しむという、一般大衆向けには、あれはあれで、いいのだと思われる。

 一般に、あく(灰汁)を取る方法としては、単に、湯がくだけでも効果はあるが、タケノコは、米ぬかや米の研ぎ汁を、ワラビやゼンマイは、草木灰を加えて、湯がくのが伝統的な方法となっている。重曹などを使ってもいいようだ。植物性のあくの主成分であるシュウ酸が、除去されるという。
 余談だが、タケノコ用の米ぬか、通常はタケノコと一緒に添付されているものだが、先だってのスーパーでは、米ぬかの小さい袋が、タケノコの隣に、別の籠に入れられ、なんと、38円也もの値段が付いて売られていた。足元を見透かされているようで、いい気分ではなかったが、玄米を白米にする精米機が、近くに見られなくなった昨今、米ぬかを仕入れるのも大変な時代、ということだろうか。

 春といえば、ワラビ、ゼンマイ、コゴミ、ミズ、コシアブラ、アケビの芽、タラの芽、などの山菜の季節だが、一方、タケノコは、山菜ではないが、春を感じさせる、旬の短い、代表的な食材であろう。
 店頭に出てきて暫くして、漸く値が下がってきた、と思ったら、あっという間に姿を消してしまう。タケノコと言えば、通常は、孟宗竹だが、東北方面には、笹の一種だが、ネマガリタケというのがある。指くらいの太さで、結構食べやすい。
 タケノコは、春の和料理の重要な食材の一つであり、ワカメと一緒に煮る若竹煮が、定番である。タケノコの炊き込みご飯もいいし、貝柱や、竹輪などと煮るのも美味しい。
 中華料理では、タケノコの歯ざわりがなんともいえない、酢豚が思い浮かぶ。又、ラーメンには、シナチク(メンマ)が欠かせない。
 水煮のタケノコは、保存食としていつでも使えるが、歯ざわりは残るものの、物足りない。やはり、新タケノコの香りや、仄かなえぐ味こそ、タケノコの命なのである。

 家人の、関西出身の或る知人の話だが、終戦前後の頃、食料難で食べるものが少なく、タケノコが、毎日のように食卓に出たそうな。生のタケノコだけでなく、茹でて干したものを沢山作って置き、来る日も来る日も、色んな料理に入れて食べさせられた、と言う。ほぼ同世代の自分達にも、同じ頃の、食べ物に関する、あまり楽しくはない、多くの記憶がある。
 幼い頃のこのような体験からか、以来、知人は、タケノコを見ることで、淋しく悲しかった思い出が蘇るのが辛くて、タケノコは見るのも嫌になり、食べたことが無いそうな。一種のトラウマなのだろう。

 食材の世界でも、年々、季節感がなくなっていて、大抵の野菜や魚などは、いつでも店頭に出ており、殆ど、旬が感じられなくなっている。先日、TVの料理番組で、アサリにも旬があると聞き、すっかり鈍感になっている自分に、驚いた位だ。
 生活が便利になったことを喜ぶ一方で、自然の恵みに感謝しながら、四季の移り変わりを楽しむ食生活も、失くしたくはない、と思うこの頃である。
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確定申告と電子証明書

2010年04月24日 23時49分23秒 | 日記
4月24日(土)  確定申告と電子証明書


 既に現役を退き、年金生活に入っているが、現役時代の最後の頃から年金も受給していたこともあり、このところ、所得税の確定申告のお世話になって久しい。確定申告は、国民としての納税義務を果たすことで、社会と繋がる、重要な作業と心得ている。例年、1月後半になると、申告用紙が送られてくる。元資料の作成は、表計算ソフトでやっており、収入項目や、税制が変わらない限り、実際の数字を入力するだけで済むので、比較的楽な作業だ。少し面倒なことと言えば、このところ額が大きくなっている、医療費の計算、位なものだろうか。

 今回の21年分についても、すぐ出来るからと、高をくくっていたら、2/16~3/15の、1ヶ月の申告期間が、瞬く間に過ぎてしまった。特別な期間なので、ひょっとしたら、土日もやっているのではと、直前の3/13の土曜日になって、所轄の税務署に行って見たが、無情にも閉まっていて、とうとう、最終日である3/15の月曜日に行くハメになってしまった!
 当日は、流石に、会場は溢れんばかりの、人、人、人である。自分は、記入は全て終わっているのだが、念のため、医療費控除で、専門家にチェックして貰ってから提出しようと、相談窓口の行列に並んだ。が、遅々として進まず、1時間以上も立ち続けた。漸く自分の番になったが、内容に問題はなく、5分もかからずに終了し、そのまま、提出することができた。今回の申告では、残念ながら、還付ではなく、追加の納税となったが、先日の4/22に、しっかりと引き落とされていた。

 国税庁は、e―Taxなるものを盛んにPRしている。平成19年分から、4年間のキャンペーン期間を設け、この間、1回だけ、税金が最高5000円減額になると言う、特典がある。来年がキャンペーン期間の最後なので、今回、税務署に行った際に、係の人に色々聞いて、情報を収集した。

e―TaxのPRチラシ
 e―Taxを利用するには、先ず、電子証明書が要る。自分の場合は、既に、住民基本台帳カードを持っているので、区役所の指定された場所に行けば、比較的簡単に、電子証明書を取得できるようだ。
 次に、自宅のパソコンからやる場合は、ICカードを読み取れる、ICカードリーダライタが必要となり、このデバイスを自分で用意しなければならない(3千円位)。
 申請期間中に税務署へ来れば、何台かあるPCの中に、ICカードリーダライタが使えるものも用意してある、と言うので、ICカードリーダライタの購入は、必須ではない。
 キャンペーン期間は来年で終了するので、来年の確定申告は、是非、e―Taxを利用してみたいと思っている。それ以降は、納税義務を果たすためには、自宅でも出来る、e―Taxになるだろう。
 電子証明書の用途としては、現在では、所得税の納税の他には、自動車購入関係、法人の住民税等にも使える、とあるが、自分には、余り必要性はないようだ。でも今後、社会のネット化が進むにつれて、押印に当たる電子署名と、印鑑証明書に当たる電子証明書、の必要性と効用が、次第に高まるものと期待される。

 住民基本台帳システムが導入されて10年近くになるが、自治体によっては、個人情報保護の観点等から、未だに、導入していないところもある。このシステム、鳴り物入りで喧伝された割りには、余り役に立っていない、という印象ではある。
自分の場合、具体的な効用としては、現役の頃、住んでいる所ではなく、勤務先に近い区役所で、住民票を発行してもらったことがある。又、共済年金の現況届の提出が、数年前に不要になった事、位だろうか。
 写真入りの住民基本台帳カードを発行してもらっている。住民登録がしてある役所が発行するこのカードは、パスポートや運転免許証以上の、最も基本的な、最高の身分証明書と思っており、常時携帯し、何度か役に立っている。このカードを提示すると、提示された担当者は、一瞬、戸惑うようだ。理由は、余り見慣れないものである上に、番号が印刷されていないので、番号を控えられないのが、玉に瑕なのである。でも最近は、コピー機が手近にあるので、問題ではなくなっているがーー。
 来年の納税では、住基システムとこのカードが、少し役立ちそうで、楽しみである。









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認証情報ー安全性と使い易さ

2010年04月22日 12時01分53秒 | 日記
4月22日(木)  認証情報―安全性と使い易さ


 2月末に、不在中に簡易書留が来たので、本局郵便局まで受け取りに行ったら、中身は、某都銀の、クレジットカード機能付きキャッシュカードだった。クレジットカードには、通常、5年の有効期限が設定されており、期限前に、新カードが届けられるのが、一般的だ。
 5年前、この都銀の口座を開設した当時は、パスワード(PassWord PW 暗証番号)の盗難が、頻発していた。何と、ATMブースの天井にカメラを据付け、手元の動きからパスワードを盗むと言った手口である。強盗に押し入って、通帳とキャッシュカードを出させ、殺すぞと脅してPWを無理やり聞き出して、金を引き出すという最悪のケースもある。
このような状況の中で、セキュリティ向上対策について、各銀行が競い合い、PWだけでなく、指紋などの身体情報を使う、身体認証などが喧伝された。この都銀は、当時としては例の無かった、手の静脈パターン(以下 手相)を、使う方式を開発し発表したので、自分は、半ば興味本位に、右手の手相を登録し、虎の子の纏まった金を入れたのである。本人が、病気などで銀行に行けない時のバックアップとして、同じように、家人の手相も、代理人として登録した。早いもので、あれから5年も経っていたのだが、以来、一度も現金の出し入れは行ったことが無かった。

 さて、先に送られてきたカードだが、クレジットカードの通常の更新と思ったが、なけなしの金を預かって貰っている事でもあり、念のためにと、添付されていた資料に書いてある、問い合わせ窓口に電話してみて、驚いた。3月末の期限が過ぎると、4月からはキャッシュカードとしても使えなくなり、金が引き出せなくなる、と言うではないか!   IC型キャッシュカードに、有効期限があるというのは、初耳である。他の某都銀のカードも、既にIC化されていて、普段使っているのだが、有効期限は、設定されていないのだ。
 最近は、ICカードは一般化している。先行したETCカードは、クレジットカード経由で、引き落とし口座との連携もあり、有効期限があるものの、通常のPASMOや、SUICAカードには、有効期限は無い。その都銀のIC型キャッシュカードに有効期限があるのは、クレジットカードと併用されているからではないか、と聞いたら、電話で対応した担当者は、
“他行のことは知りません。セキュリティ技術も進歩するので、ICカードにも有効期限を設けています”
と言う。更に、身体情報が変化することも想定しているのか、と聞いたら、流石に、それは否定したがーーー。

 ICカードの前身の磁気カードだが、20年も前に口座を開設した他の都銀の磁気カードは、昨年になって、終に、磁気が弱くなって読み取れず、ATMの警報メッセージで、ICカードに更新するように言われ、実施したくらいなもので、自然劣化と言うものだろう。ICカードにしても、IC自身が劣化し、正常に動作できなくなることは否定しないが、まさか、5年でダメになるとは思えない。

 今回の件だが、キャッシュカードの有効期限が切れた後では、思わぬ面倒なことが起こる可能性もあるので、期限内に出かけて手続きする方向で、改めて、この都銀の最寄の支店に、電話で問い合わせて確認した。
 その結果、①身体認証の併用の有無、②クレジットカードとの併用の有無、③カードの有効期限の有無、等によって、選択できるパターンは、いろいろあることが分かった。 
①の、身体認証の併用の有無についてだが、現行の手相を継続するか、PWだけにするかについて、家人と相談した。セキュリティを二重にする程の大金ではない一方、年齢のことを考えると、これからは、いつ何時、何が起こるか分からないこともあり、本人が行かなくても、カードだけで引き出しができる、PWのみの方式に変えることとした。でも、有効期限ごとに、窓口へ出向いてPWを再登録する、となると面倒なのだが、後述のように、これは不要と分かった。
 又、②の、クレジットカードとの併用の有無については、クレジットカード機能は付いたままで、PWだけのICカードに変更すると、手数料はかからない。クレジットカード機能は、殆ど使ったことはないが、付いていても特に問題はなく、5年の有効期限前に新カードが送付されるので心配は無い。一方、クレジットカード機能を外すと、、何故か、2000円の手数料がかかるという。
 ③のカードの有効期限の有無については、有効期限が無い方が気が楽ではある。 だが、PWのみで、有効期限なし、のキャッシュカードにしたければ、以前の磁気カードに戻すしかないですよ、と、半ば、脅かされた。磁気カードは、いずれ無くなる運命にあるのに、時代に逆行する方向となる。
これらを整理すると、以下のようになる。

  ICカード クレジットカード併用 PW+身体認証  有効期限5年  現行
                      PWのみ      有効期限5年
                                変更手数料 不要
        キャッシュカード単独 PW+身体認証  有効期限5年  
                               変更手数料2000円
                      PWのみ      有効期限5年
                               変更手数料2000円
  磁気カード キャッシュカード単独 PWのみ     有効期限 なし 旧方式
                                 変更手数料 不要 
 かくして、3月の末に、本人だけで最寄の支店に出向いた。キャッシュカードのクレジットカード機能は残したまま、認証としては、手相は止めて、PWのみに変更する手続きを行った。この時、窓口の店員に、有効期限の5年後に、窓口に来なくても、カードが自動的に送付されてくることを、口酸っぱく確認した。
 なお、変更手続きの直前、折角登録してある静脈パターンの認証を併用して、1万円也を引き出してみたが、自慢の手相君の出番は、たった一回で終わってしまったのである。

 キャッシュカードの認証情報に関しては、歴史があるようだ。当初は、PWは、磁気カードの中に記録されていたため、カードの盗難や紛失時、カードからPWを読み取られて、よく被害が起こった。このため、ある時期から、 その情報の管理が大変になるものの、PWはセンターで保存するように変更された。その後、キャッシュカードがIC化されて以降、PW情報をICカードの中に記録しても、読み取られて盗まれる心配は殆ど無いことから、最近は、認証情報は、再びカードの中に記録する方式になっていると聞いている。この銀行の手相情報も、ICカードのみに記録する方式になっているため、カードの更新時は、再登録が必要、となるようだ。PWのみの場合は、有効期限はあるものの再登録が不要というので、実質的には、有効期限が無い他の都銀と同じになるのだが、PWは、どこに保存されているのだろうか。多分、ICカード内とセンター内の双方に、二重に保存されているのでは、と思う。
 5年ごとに、多少面倒な再登録手続きが必要な身体認証であるが、この都銀の支店で聞いたところでは、利用率は、口座開設者の、2~3割位と言う。
 携帯電話でも、盗難や紛失時の安全のために、各種のセキュリティ向上対策があり、この中で、身体認証の一種である、指紋認証をやってみたことがある。細い隙間のスリットに指をあて、少しづつ、ずらしながら、指紋を登録する。又、解除する時も、同じようにやるのだが、登録、解除とも、指を動かす速度のコントロールが難しい。何回か試みたものの、不安定で却って面倒になり、現在は、使うのを諦めている。このような、不安定なスリット型でなく、最近は、広いガラス面に指を載せ、暫く静止させるやり方もあるようだ。

 キャッシュカードのPWは、歴史も古く、PWのトップバッターとも言え、極めて重要な認証情報である。当初は、誕生日、電話番号、所番地などを使うのが一般的だった。ところが、通帳やカードの盗難、紛失時には、これらは、容易に類推されうる、と言うことで、最近は、このようなPWを使っていると、ATMで、他の暗証に変更するように、との警告メッセージが出る。自分の場合、日本の年号でなく、西暦の年号も組み合わせた、PWにして、類推できるものか、と内心、自慢気だったのだ。が、最近のATMは、悪の連中の手口から知恵が付いたのか、この暗証でも、警告メッセージが出るようになってしまったのである。しからばと、昨年から今年にかけて、2件の口座で、全く別の発想の暗証番号に変更したが、勿論、警告メッセージは出ていない。

 口座番号や会員番号、アドレスなどのID情報は必須だが、更に最近は、PWなどの認証情報が必要なケースも多く、色んな所に導入されている。上述した銀行キャッシュカードや住民基本台帳カードなどのカード関係が多いのだが、他にも、携帯電話での大量メール削除、ネット関連のパソコンクラブ会員、当ブログの編集画面へのログイン、などでも、PWが必要である。
 ID情報は通常は公開し、自分でもきちんと記録するものだが、PWなどの認証情報は、非公開が命のため、あからさまには記録できず、かといって、忘れてしまうこともあり、記憶だけに頼るわけにもいかず、思案のしどころである。
 認証情報をめぐり、盗難や紛失などに備えた安全性と、使い易さ、管理のし易さとの、バランスの問題が、悩ましい昨今ではある。
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