2010年6月29日(火)サッカー南アフリカ大会 その1
サッカーワールドカップ2010南アフリカ大会が、6月11日に開幕して、早いもので、32チームによる予選リーグが終了し、A~H各グループ上位2チームづつの、16チームによる決勝トーナメントも、既に始まっている。
日本チームは、開幕前に数回行われた強化親善試合は、成績が全く振るわず、国内の盛り上がりも少なかったのだ。
ところが、6月14日、アフリカの強敵カメルーンに、松井と本田の連携などで、1-0で勝ち、幸先のいい緒戦の勝利が、自信になった。引き続く世界ランキング4位と言われた、難敵オランダとの試合は、0-1で負けはしたものの、PKの失点(それも、キーパーの川島が一旦、弾いたのに!)だけで、守備面でも、次に繋がる善戦をした。
3試合目のデンマーク戦では、前半、本田のセットプレーからの得点で自信を得、引き続き、ベテラン遠藤の巧みなセットプレーで、得点した。余裕を持ちながら、後半にも、岡崎のシュートが決まるなど、3-1で快勝し、決勝リーグ進出を決めた。
ベテラン勢に支えられながら、若手・新人組が、大活躍した。開幕直前の試合で、いろいろ試行を行った結果から、苦しみながらもメンバーを決めた岡田監督の決断が生きていようか。いい形で、世代交代が行われている、と言えよう。
1992年の自国開催の日韓大会を除き、国外での大会での初の決勝トーナメント進出である。今日29日夜は、パラグアイとのベスト8を掛けた、決勝トーナメント最初の決戦が控えていて、国内の雰囲気も一気に盛り上がっている。岡田監督は、ベスト4が目標と言われたが、単なる夢物語ではなく、現実味を帯びてきた。
南アフリカ大会ロゴ
南アフリカ大会は、開幕前は、事件が後を絶たない治安の問題や、大会の運営がスムーズに行くかなど、かなり心配されたが、これまでのところ、報道で知る限りでは、特に不穏な動きも無く、大きなトラブルも起きていないようで、ホッと一安心である。サッカーワールドカップを、初めてアフリカの地で開催する事とした、FIFAの決断には重いものがあろう。南アフリカは、FIFAの期待に応え、アフリカの雄としても、アパルトヘイトを克服し、民主的な、安定した国家になった事を、世界に示すためにも、何としても、最後まで、無事に大会を運営し、4年後のブラジル大会に引き継いで欲しいものである。
南アフリカの、サッカー競技場は、国内に10箇所程あり、高地から平地まであるようだ。1000m以上の高地の競技場では、重力の関係で、ボールの落下量が平地と異なり、セットプレーなどで、ボールが伸びすぎるなど、思ったようにコントロール出来ず、当初は戸惑ったようだ。又、ボールの規格を、前回とは少し変えたことで、高度との関係などから、蹴った後の曲り具合も、違ってくると言う。
が、だんだん慣れてきて、日本―デンマーク戦では、本田、遠藤が、見事なフリーキックを決めたのである。
開幕の南アフリカーメキシコ戦は、地元出場ということもあり、応援がものすごく、スタンドのサポーターが吹き鳴らす、民族楽器と言われる、細長いラッパのような、ブブゼラ(Vuvuzela)の音が、非常に気になった。常時、ウオーンという響がしていて、異様な雰囲気。試合をしている選手、スタッフや、審判団にとって、コミュニケーションの妨げになるのでは、と思った。FIFAでも、この楽器の使用を、認めるか禁止するか、議論があったようだが、結局は、規制しないことになったようだ。
この楽器の音も、慣れるにしたがって次第に苦にならなくなり、今では、あの会場の響が、心地よくさえ思えるようになったのだから、人間の感覚も面白い。
競技は、勿論、現地の日中に行われ、その試合の状況は世界に流されるが、Liveで中継する場合は、日本時間では、
①20時半(午後8時半) 例 日本―オランダ戦
②23時 (午後11時) 例 日本―カメルーン戦
③27時 (翌朝午前3時半)例 日本―デンマーク戦
の3通りがあり、注目の日本の対戦は、上のようになった。
日本の緒戦は、②に行われ、普段、遅寝の我が家では大した問題はなく、1-0で勝った事もあり、いい気分で寝られた。2戦目は、①の時間帯とあって、ゆっくり観戦できたのだが、惜しくも敗れた。
決勝トーナメント進出がかかった、デンマークとの第3戦は、生憎の③の時間帯だ。でも、勝っても負けても、歴史的な試合になるだろう、との読みから、その瞬間に立ち会いたい、と言うことで、我が家では異例だが、夜11時には早寝した。目覚ましを掛けて、3時過ぎには起き、民放のチャネルに合わせ、試合開始を待った。期待以上の、歴史的な快勝で、久し振りの快哉を叫び、いい気分で、また、床に入った次第。
NHKでは、この第3試合の様子は、完全録画で、その日の夜に放送したが、自分にとっては、言ってみれば、気の抜けたビールのようなもの。とは言え、深夜に起きて生中継を観戦することがママならない人も、世の中には大勢いる訳で、そのような人たちへ配慮したNHKの姿勢と、考え直した。今夜のパラグアイ戦は、②の11時コースなので、少し眠気を我慢するだけでいいようだ。
長年、騙し騙し使ってきた、我が家のアナログTVが壊れてしまい、昨年夏、エコポイントの波にも乗って、地デジ対応の液晶テレビを新調した。このテレビ、今回大会でも、大変お世話になっている。画面の大きさや映像の鮮明さもさることながら、地上デジタル放送と、BSデジタル放送という、多様なチャンネルの中から、ワールドカップに関する、生放送や、録画放送や、解説番組などを、豊富に楽しめるのである。
日本とは、気候が、夏冬逆になり、1万3千キロも離れた、南半球でのイベントが、直ぐ身近で開かれているように感じられる。対デンマーク戦の時は、深夜にも関わらず、埼玉スタジアムに、大勢のサポーターが集まって、大型スクリーンで、観戦し、喜びを分かち合ったようだ。放送映像技術の進歩や、競技施設の整備などで、2002年の日韓大会の時よりも、身近になっているかもしれない。
予選リーグは、トータル48試合が戦われたが、日本の対戦試合を中心にしながら、それ以外の試合も含めて、数えてみたら、ライブや録画放送で、都合、18試合を観戦している。試合の結果だけなら、後でゆっくり確かめればいいのだが、結果が分からない状態でハラハラしながら、成り行きに一喜一憂することが、TV観戦の楽しみでもあろうか。
印象に残った事項について、幾つか述べてみたい。
開幕の南アフリカーメキシコ戦は、何と、南アフリカが先制し、地元も非常に盛り上がったが、惜しくも後半、メキシコに追いつかれ、引分けに終わった。
先述したように、この時初めて、ブブゼラの唸るような大音量を耳にし、驚かされた。 応援用のチアホーンであるこの楽器は、通常の管楽器には付き物の、音を変えるための穴がない、いたって単純な楽器である。日頃、同じ管楽器である、尺八を吹いている身として興味があり、少し調べてみた。
ネットに掲載されている、この楽器の周波数スペクトラムを見ると、基本周波数が、240Hzくらいで、ピアノの鍵盤で言えば、中央のCより低い、黒鍵のA#に近い音で、その高調波が、沢山含まれている。
ブブゼラのスペクトラム
ブブゼラは、国内でも、3000円くらいで手に入るようで、手元で吹いてみたい気持ちもあるが、聞きなれない音で、周囲に迷惑がかかりそうなので、諦めた。
似た様な名前の選手が多いチームもある。ドイツに快勝したセルビアだが、選手の名前が、殆どが、○○ビッチ、などと言うのが面白かった。以前、日本の名古屋グランパスで、活躍し、現在監督であるストイコビッチ選手と似た名前である。韓国チームも、イ・○○、ソン・○○など、似たような名前の選手が多い。
過去に優勝したこともあり、名選手ジダンがいたフランスチームだが、一勝も出来ずに予選敗退となり、引き揚げた。監督と選手との間の諍いが有ったようで、リーグ途中で帰国者が出るなど、ばらばらだったようだ。選手団の帰国後、サルコジ大統領が仲裁に入ったとのニュースもある。チームよりも、個人を大事にする、いかにもフランスらしい事件であろうか。
試合をする選手達のユニフォームには、背番号は勿論だが、名前も書いてある。中継放送を観戦して、いつも感心するのは、アナウンサーが、すらすらと、選手の名前を口にできることだ。まず顔を覚えるのだろうか、背番号から入るのだろうか。3人までの選手交代があっても、きっちりフォロー出来ているのだ。名前を覚えるのが彼らの仕事、と言ってしまえばそれまでだが、事前の研鑽ぶりには、敬服する。
現地や日本のスタジオで、解説者として、活躍される皆さんも、外国チームの、選手一人一人について、豊富な情報があることに、驚かされる。自分の場合、顔で選手の名前が言えるなは、日本チームの時ぐらいだけだ。
アルゼンチンは、破竹の勢いで、予選リーグを突破したが、メッシ選手の活躍が光る。特に韓国戦では、ディフェンスの上を越す、山なりのパスを送り、左サイドの見方のシュートチャンスを作ったのは、見事だった。 彼が放ったシュートが、キーパーにはじかれた後、そのこぼれ球を、見方が決めたシーンもあった。これらの結果、4-1で快勝した。
ゴールを決める選手が目立つのだが、メッシのように、きっかけを作れる選手こそ、プロフェッショナル、と言えるかもしれない。
試合途中で、一寸した妨害があればファウルか、少し問題があれば、イエローカードになる。サッカーには、格闘技のような側面があり、ファウルやイエローカードにならないように、上手に身体をいれて攻撃を防いだり、巧妙に動いてボールを奪う、したたかさが求められる。この点では、南米の選手は、一日の長があり、身のこなしや個人技は、素晴らしい。
一試合で、イエローカードが2枚になると、退場処分となり、そのチームは、最後まで、一人足りない状態で試合をしなければならない。ドイツとガーナ?との対戦で、主力選手のクローゼが累積2枚で退場になったが、ドイツはがんぱった。
妨害行為が酷い時は、イエローカードではなく、レッドカードが出され、一発退場となる。フランスと南アフリカ?の試合で、フランスの選手がレッドカードで退場となった。ゴール前の争いで、意図的ではなかったのだが、右手の肘が、相手の顎にモロに入ってしまったのだ。
サッカーのルールは、いたって簡明なことも、魅力の一つであろう。ボールを相手のゴールに蹴り込めば得点になる。ボールがタッチラインやエンドラインを割ったとき、直前にボールに触ったチームと反対のチームの、スローインになったり、ゴールキックになったり、コーナーキックになる。意図的にコーナーキックに持っていく技も見ごたえがある。
主審と線審がいて、ボールを手で触るハンドや、敵に対する妨害行為等を監視し、ファウルや、イエローカードや、レッドカードのペナルティを課す。身体が触れ合い、ギリギリのところで敵の邪魔をする行為の判定には、微妙なところがある。
サッカーのルールで、最も分かりにくいルールが、オフサイドである。オフサイドポジションに居る味方にパスしてはいけない、と言うルールだ。 オフサイドポジションとは、相手のゴール側に、一人(通常はキーパー)しかいない状態で、味方が先回りしてパスを待っている状態をいう。
後方からパスを出す瞬間に、見方の選手が、キーパーを除いて、相手のディフェンスと同じ線上か手前に居ることが条件になる。ディフェンスラインより先に出ていると、オフサイドと判定され、相手ボールに代わってしまう。このための線審が、両タッチラインに一人ずつ配置されている。
うまいパス回しで、見事にゴールしたと喜んだら、線審が、オフサイドの旗を出しているので、そのゴールは無効となったケースは、今大会でも何度も見た。
何で、この様なややこしいルールを作ったのだろうか。サッカーの最初の頃は、この様なルールも無く、単純だったようだ。ラグビーのように、パスは、後方にしか出せないルールだった時期もあるようだ。
ドリブルで敵のディフェンスを破っていく醍醐味は捨てがたく、ゲームを重ねるにつれ、面白さを出すために、前方へのパスも許容するようになると、今度は、背の大きな男などが、相手ゴール近くに先回りし、ロングパスを待ち伏せすることで、どんどん得点する事態になって、面白さが半減したという。
この様な経緯から、現在のオフサイドのルールは、試合の面白さと、判定のややこしさとを、ギリギリのところで、バランスさせている、と言えるだろうか。
この大会でも、オフサイドの判定は多いが、テレビ観客席が面白いのは、線審のオフサイドの判定が、妥当だったかどうかを、機械がチェックしてくれることだ。オフサイド臭い前線へのパスがあると、パスを蹴る瞬間のオフサイドライン周辺の、味方と相手方の選手の配置具合を、すぐさまビデオ録画画像で表示してくれるのだ。
これまでの所、予選リーグに関する限りでは、オフサイドのアウトもセーフも、どちら側もギリギリの線で頑張っているようで、線審の判定は概ね妥当といえ、明らかな誤審は無いようある。
サッカー人口の層の厚さには驚かされる。全世界で、これほどの人たちが関わり、楽しみ、熱狂するスポーツは、他にあるだろうか。ワールドカップ大会に向けて、予選の段階から数えると、大変な国が参加している、大イベントだ。TV観戦者数では、サッカーワールドカップの方が、夏のオリンピックさえも凌ぐという。
この冬に行われた、バンクーバー冬季オリンピックなどを思い浮かべると
雪が降らない国ではやりにくい
スキーやスケートやソリなど、色んな道具が要る
スキー場やスケート場などの施設が要る
寒さ対策が要る
など、冬のスポーツをやるのは、容易ではなく、参加国数も限定される。
これに比べ、サッカーは、何といっても、金がかからず、ゴールの枠やネットさえ無くても, ボール一つあれば、手軽に出来ることが素晴らしい。アフリカの子供達は、ボールが買えない時は、紙等を丸めて紐で縛り、ボールを作って、草原で遊んでいるようだ。サッカー人気の理由は幾つか挙げられようが、これが最大のものだろう。
体格の差が、余り問題にならない点も大きい。マラソン等と似て、長時間動き回るスタミナや、小まめに動ける敏捷さが重要となる。ゴール前のヘディングなど、身長が大きいことが、有利な面はあるが、反対に、大男は、どうしても動きが鈍くなろう。南米のサッカーが盛んな国の選手には、大柄な選手もいるが、日本人同様の体格の選手も多い。
かっての名選手で、今はアルゼンチンの監督として、テレビ映像の人気者にもなっている、マラドーナ氏が、以外に小柄なのには驚いた。
サッカーワールドカップ2010南アフリカ大会が、6月11日に開幕して、早いもので、32チームによる予選リーグが終了し、A~H各グループ上位2チームづつの、16チームによる決勝トーナメントも、既に始まっている。
日本チームは、開幕前に数回行われた強化親善試合は、成績が全く振るわず、国内の盛り上がりも少なかったのだ。
ところが、6月14日、アフリカの強敵カメルーンに、松井と本田の連携などで、1-0で勝ち、幸先のいい緒戦の勝利が、自信になった。引き続く世界ランキング4位と言われた、難敵オランダとの試合は、0-1で負けはしたものの、PKの失点(それも、キーパーの川島が一旦、弾いたのに!)だけで、守備面でも、次に繋がる善戦をした。
3試合目のデンマーク戦では、前半、本田のセットプレーからの得点で自信を得、引き続き、ベテラン遠藤の巧みなセットプレーで、得点した。余裕を持ちながら、後半にも、岡崎のシュートが決まるなど、3-1で快勝し、決勝リーグ進出を決めた。
ベテラン勢に支えられながら、若手・新人組が、大活躍した。開幕直前の試合で、いろいろ試行を行った結果から、苦しみながらもメンバーを決めた岡田監督の決断が生きていようか。いい形で、世代交代が行われている、と言えよう。
1992年の自国開催の日韓大会を除き、国外での大会での初の決勝トーナメント進出である。今日29日夜は、パラグアイとのベスト8を掛けた、決勝トーナメント最初の決戦が控えていて、国内の雰囲気も一気に盛り上がっている。岡田監督は、ベスト4が目標と言われたが、単なる夢物語ではなく、現実味を帯びてきた。
南アフリカ大会ロゴ
南アフリカ大会は、開幕前は、事件が後を絶たない治安の問題や、大会の運営がスムーズに行くかなど、かなり心配されたが、これまでのところ、報道で知る限りでは、特に不穏な動きも無く、大きなトラブルも起きていないようで、ホッと一安心である。サッカーワールドカップを、初めてアフリカの地で開催する事とした、FIFAの決断には重いものがあろう。南アフリカは、FIFAの期待に応え、アフリカの雄としても、アパルトヘイトを克服し、民主的な、安定した国家になった事を、世界に示すためにも、何としても、最後まで、無事に大会を運営し、4年後のブラジル大会に引き継いで欲しいものである。
南アフリカの、サッカー競技場は、国内に10箇所程あり、高地から平地まであるようだ。1000m以上の高地の競技場では、重力の関係で、ボールの落下量が平地と異なり、セットプレーなどで、ボールが伸びすぎるなど、思ったようにコントロール出来ず、当初は戸惑ったようだ。又、ボールの規格を、前回とは少し変えたことで、高度との関係などから、蹴った後の曲り具合も、違ってくると言う。
が、だんだん慣れてきて、日本―デンマーク戦では、本田、遠藤が、見事なフリーキックを決めたのである。
開幕の南アフリカーメキシコ戦は、地元出場ということもあり、応援がものすごく、スタンドのサポーターが吹き鳴らす、民族楽器と言われる、細長いラッパのような、ブブゼラ(Vuvuzela)の音が、非常に気になった。常時、ウオーンという響がしていて、異様な雰囲気。試合をしている選手、スタッフや、審判団にとって、コミュニケーションの妨げになるのでは、と思った。FIFAでも、この楽器の使用を、認めるか禁止するか、議論があったようだが、結局は、規制しないことになったようだ。
この楽器の音も、慣れるにしたがって次第に苦にならなくなり、今では、あの会場の響が、心地よくさえ思えるようになったのだから、人間の感覚も面白い。
競技は、勿論、現地の日中に行われ、その試合の状況は世界に流されるが、Liveで中継する場合は、日本時間では、
①20時半(午後8時半) 例 日本―オランダ戦
②23時 (午後11時) 例 日本―カメルーン戦
③27時 (翌朝午前3時半)例 日本―デンマーク戦
の3通りがあり、注目の日本の対戦は、上のようになった。
日本の緒戦は、②に行われ、普段、遅寝の我が家では大した問題はなく、1-0で勝った事もあり、いい気分で寝られた。2戦目は、①の時間帯とあって、ゆっくり観戦できたのだが、惜しくも敗れた。
決勝トーナメント進出がかかった、デンマークとの第3戦は、生憎の③の時間帯だ。でも、勝っても負けても、歴史的な試合になるだろう、との読みから、その瞬間に立ち会いたい、と言うことで、我が家では異例だが、夜11時には早寝した。目覚ましを掛けて、3時過ぎには起き、民放のチャネルに合わせ、試合開始を待った。期待以上の、歴史的な快勝で、久し振りの快哉を叫び、いい気分で、また、床に入った次第。
NHKでは、この第3試合の様子は、完全録画で、その日の夜に放送したが、自分にとっては、言ってみれば、気の抜けたビールのようなもの。とは言え、深夜に起きて生中継を観戦することがママならない人も、世の中には大勢いる訳で、そのような人たちへ配慮したNHKの姿勢と、考え直した。今夜のパラグアイ戦は、②の11時コースなので、少し眠気を我慢するだけでいいようだ。
長年、騙し騙し使ってきた、我が家のアナログTVが壊れてしまい、昨年夏、エコポイントの波にも乗って、地デジ対応の液晶テレビを新調した。このテレビ、今回大会でも、大変お世話になっている。画面の大きさや映像の鮮明さもさることながら、地上デジタル放送と、BSデジタル放送という、多様なチャンネルの中から、ワールドカップに関する、生放送や、録画放送や、解説番組などを、豊富に楽しめるのである。
日本とは、気候が、夏冬逆になり、1万3千キロも離れた、南半球でのイベントが、直ぐ身近で開かれているように感じられる。対デンマーク戦の時は、深夜にも関わらず、埼玉スタジアムに、大勢のサポーターが集まって、大型スクリーンで、観戦し、喜びを分かち合ったようだ。放送映像技術の進歩や、競技施設の整備などで、2002年の日韓大会の時よりも、身近になっているかもしれない。
予選リーグは、トータル48試合が戦われたが、日本の対戦試合を中心にしながら、それ以外の試合も含めて、数えてみたら、ライブや録画放送で、都合、18試合を観戦している。試合の結果だけなら、後でゆっくり確かめればいいのだが、結果が分からない状態でハラハラしながら、成り行きに一喜一憂することが、TV観戦の楽しみでもあろうか。
印象に残った事項について、幾つか述べてみたい。
開幕の南アフリカーメキシコ戦は、何と、南アフリカが先制し、地元も非常に盛り上がったが、惜しくも後半、メキシコに追いつかれ、引分けに終わった。
先述したように、この時初めて、ブブゼラの唸るような大音量を耳にし、驚かされた。 応援用のチアホーンであるこの楽器は、通常の管楽器には付き物の、音を変えるための穴がない、いたって単純な楽器である。日頃、同じ管楽器である、尺八を吹いている身として興味があり、少し調べてみた。
ネットに掲載されている、この楽器の周波数スペクトラムを見ると、基本周波数が、240Hzくらいで、ピアノの鍵盤で言えば、中央のCより低い、黒鍵のA#に近い音で、その高調波が、沢山含まれている。
ブブゼラのスペクトラム
ブブゼラは、国内でも、3000円くらいで手に入るようで、手元で吹いてみたい気持ちもあるが、聞きなれない音で、周囲に迷惑がかかりそうなので、諦めた。
似た様な名前の選手が多いチームもある。ドイツに快勝したセルビアだが、選手の名前が、殆どが、○○ビッチ、などと言うのが面白かった。以前、日本の名古屋グランパスで、活躍し、現在監督であるストイコビッチ選手と似た名前である。韓国チームも、イ・○○、ソン・○○など、似たような名前の選手が多い。
過去に優勝したこともあり、名選手ジダンがいたフランスチームだが、一勝も出来ずに予選敗退となり、引き揚げた。監督と選手との間の諍いが有ったようで、リーグ途中で帰国者が出るなど、ばらばらだったようだ。選手団の帰国後、サルコジ大統領が仲裁に入ったとのニュースもある。チームよりも、個人を大事にする、いかにもフランスらしい事件であろうか。
試合をする選手達のユニフォームには、背番号は勿論だが、名前も書いてある。中継放送を観戦して、いつも感心するのは、アナウンサーが、すらすらと、選手の名前を口にできることだ。まず顔を覚えるのだろうか、背番号から入るのだろうか。3人までの選手交代があっても、きっちりフォロー出来ているのだ。名前を覚えるのが彼らの仕事、と言ってしまえばそれまでだが、事前の研鑽ぶりには、敬服する。
現地や日本のスタジオで、解説者として、活躍される皆さんも、外国チームの、選手一人一人について、豊富な情報があることに、驚かされる。自分の場合、顔で選手の名前が言えるなは、日本チームの時ぐらいだけだ。
アルゼンチンは、破竹の勢いで、予選リーグを突破したが、メッシ選手の活躍が光る。特に韓国戦では、ディフェンスの上を越す、山なりのパスを送り、左サイドの見方のシュートチャンスを作ったのは、見事だった。 彼が放ったシュートが、キーパーにはじかれた後、そのこぼれ球を、見方が決めたシーンもあった。これらの結果、4-1で快勝した。
ゴールを決める選手が目立つのだが、メッシのように、きっかけを作れる選手こそ、プロフェッショナル、と言えるかもしれない。
試合途中で、一寸した妨害があればファウルか、少し問題があれば、イエローカードになる。サッカーには、格闘技のような側面があり、ファウルやイエローカードにならないように、上手に身体をいれて攻撃を防いだり、巧妙に動いてボールを奪う、したたかさが求められる。この点では、南米の選手は、一日の長があり、身のこなしや個人技は、素晴らしい。
一試合で、イエローカードが2枚になると、退場処分となり、そのチームは、最後まで、一人足りない状態で試合をしなければならない。ドイツとガーナ?との対戦で、主力選手のクローゼが累積2枚で退場になったが、ドイツはがんぱった。
妨害行為が酷い時は、イエローカードではなく、レッドカードが出され、一発退場となる。フランスと南アフリカ?の試合で、フランスの選手がレッドカードで退場となった。ゴール前の争いで、意図的ではなかったのだが、右手の肘が、相手の顎にモロに入ってしまったのだ。
サッカーのルールは、いたって簡明なことも、魅力の一つであろう。ボールを相手のゴールに蹴り込めば得点になる。ボールがタッチラインやエンドラインを割ったとき、直前にボールに触ったチームと反対のチームの、スローインになったり、ゴールキックになったり、コーナーキックになる。意図的にコーナーキックに持っていく技も見ごたえがある。
主審と線審がいて、ボールを手で触るハンドや、敵に対する妨害行為等を監視し、ファウルや、イエローカードや、レッドカードのペナルティを課す。身体が触れ合い、ギリギリのところで敵の邪魔をする行為の判定には、微妙なところがある。
サッカーのルールで、最も分かりにくいルールが、オフサイドである。オフサイドポジションに居る味方にパスしてはいけない、と言うルールだ。 オフサイドポジションとは、相手のゴール側に、一人(通常はキーパー)しかいない状態で、味方が先回りしてパスを待っている状態をいう。
後方からパスを出す瞬間に、見方の選手が、キーパーを除いて、相手のディフェンスと同じ線上か手前に居ることが条件になる。ディフェンスラインより先に出ていると、オフサイドと判定され、相手ボールに代わってしまう。このための線審が、両タッチラインに一人ずつ配置されている。
うまいパス回しで、見事にゴールしたと喜んだら、線審が、オフサイドの旗を出しているので、そのゴールは無効となったケースは、今大会でも何度も見た。
何で、この様なややこしいルールを作ったのだろうか。サッカーの最初の頃は、この様なルールも無く、単純だったようだ。ラグビーのように、パスは、後方にしか出せないルールだった時期もあるようだ。
ドリブルで敵のディフェンスを破っていく醍醐味は捨てがたく、ゲームを重ねるにつれ、面白さを出すために、前方へのパスも許容するようになると、今度は、背の大きな男などが、相手ゴール近くに先回りし、ロングパスを待ち伏せすることで、どんどん得点する事態になって、面白さが半減したという。
この様な経緯から、現在のオフサイドのルールは、試合の面白さと、判定のややこしさとを、ギリギリのところで、バランスさせている、と言えるだろうか。
この大会でも、オフサイドの判定は多いが、テレビ観客席が面白いのは、線審のオフサイドの判定が、妥当だったかどうかを、機械がチェックしてくれることだ。オフサイド臭い前線へのパスがあると、パスを蹴る瞬間のオフサイドライン周辺の、味方と相手方の選手の配置具合を、すぐさまビデオ録画画像で表示してくれるのだ。
これまでの所、予選リーグに関する限りでは、オフサイドのアウトもセーフも、どちら側もギリギリの線で頑張っているようで、線審の判定は概ね妥当といえ、明らかな誤審は無いようある。
サッカー人口の層の厚さには驚かされる。全世界で、これほどの人たちが関わり、楽しみ、熱狂するスポーツは、他にあるだろうか。ワールドカップ大会に向けて、予選の段階から数えると、大変な国が参加している、大イベントだ。TV観戦者数では、サッカーワールドカップの方が、夏のオリンピックさえも凌ぐという。
この冬に行われた、バンクーバー冬季オリンピックなどを思い浮かべると
雪が降らない国ではやりにくい
スキーやスケートやソリなど、色んな道具が要る
スキー場やスケート場などの施設が要る
寒さ対策が要る
など、冬のスポーツをやるのは、容易ではなく、参加国数も限定される。
これに比べ、サッカーは、何といっても、金がかからず、ゴールの枠やネットさえ無くても, ボール一つあれば、手軽に出来ることが素晴らしい。アフリカの子供達は、ボールが買えない時は、紙等を丸めて紐で縛り、ボールを作って、草原で遊んでいるようだ。サッカー人気の理由は幾つか挙げられようが、これが最大のものだろう。
体格の差が、余り問題にならない点も大きい。マラソン等と似て、長時間動き回るスタミナや、小まめに動ける敏捷さが重要となる。ゴール前のヘディングなど、身長が大きいことが、有利な面はあるが、反対に、大男は、どうしても動きが鈍くなろう。南米のサッカーが盛んな国の選手には、大柄な選手もいるが、日本人同様の体格の選手も多い。
かっての名選手で、今はアルゼンチンの監督として、テレビ映像の人気者にもなっている、マラドーナ氏が、以外に小柄なのには驚いた。