2024年4月28日(日) 核兵器禁止条約
最近、映画のアカデミー賞がきっかけで、原爆に関連した、下記記事を投稿している。
アカデミー賞 (2024/4/24) (P99)
原爆投下の是非 (2024/4/27) (Q00)
本稿は、これらに続くもので、核兵器禁止条約を取りあげて、シリーズを締めくくることとしたい。
○2017年7月、国連総会で、核兵器禁止条約(*)が採択されている。
*TPNW:Treaty on the Prohibition of
Nuclear Weapons
この条約の締結にあたって、NGOの国際連合体であるICAN(△)が大活躍している。
△ICAN:International Campaign to
Abolish Nuclear Weapons
下図は、ICANのシンボルマークで、国際的な結束により、核弾頭がへし折られているデザインだ。
ICANは、2017年のノーベル平和賞を受賞している。
受賞理由が、下図に示されているが、核兵器禁止条約の締結に向けた、画期的な努力が称えられている。
(参照:ノーベル平和賞 - Wikipedia.html)
○ICANは、各国に対して、人道的誓約(Humaitation Sledge)を示していて、それに対する各国の姿勢を問うている。下図は、その状況を示したものだ。
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上図の凡例は以下のようになっている。
赤; 誓約に賛同し承認
茶: 誓約の支持を表明
濃青: 不支持(核保有国) 米 英 仏 露 中
淡青: 不支持(核保有国以外) ドイツ トルコ
空: 核保有国との同盟を理由に不支持(核の傘)
カナダ、日本、韓国、オーストラリア、
スペイン、ノルウエー、アイスランド、中欧諸国など
インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエルは、実質の核保有国と見られているが、イスラエルは、茶の支持となっているが、他は、保有国なみの濃青となっている。
○日本は、図の凡例にあるように、核保有国との同盟を理由に、空色の不支持となっている。いわゆる、核の傘である。
日本は、唯一の被爆国であり、他の諸国は、被爆国ではない。
日本政府の立場は、核廃絶という最終的な目標は同じだが、プロセスは別という事としているが、かなり曖昧だ。
筆者の意見は、核の傘の下にありながらも、敢えて、核兵器禁止条約にも加盟すべきということで、日頃感じている素朴な疑問なのである。
被爆者や被爆者団体は、核兵器廃絶を主張するのは、当然だろう。
最近は、原爆投下国であるアメリカの、若者の間でも、投下を決めた時の大統領の判断は誤りで、核兵器は不要だという意見が多いという。
昨年5月には、G7首脳会議が広島で開催され、核保有国である、米、英、仏の首脳も、広島を訪れ、被爆の実相に触れた訳だが、どのように感じただろうか?
○核廃絶、核軍縮に関連する、幾つかの条約があるが、主なものは、以下だ。
◆NPT(核拡散防止条約) 核兵器保有国を5カ国に限定し拡散を防ぐ
◆CTBT(包括的核実験禁止条約) あらゆる空間での核実験を禁止
◆TPNW(核兵器禁止条約) (本稿で取りあげ)
これらを、原爆投下以降、時系列で示したのが、ネットから引用した下図である。
他に、米露間だけの削減条約で、進んでいないのが、以下である。
◆START1(戦略兵器削減条約)
今般、本ブログで、原爆や核兵器に関する話題を、3回のシリーズものとして、取りあげた。
終戦後、79年となる今年も、8月の終戦記念日が近くなると、この話題が、ニュースになるものと思われる。