2013年12月30日(月) 変速機付き自転車の楽しみ
いよいよ今年も押し詰まって来て、年末年始関連の準備作業も多いのだが、気分転換を兼ねて、ブログで積み残している課題等を、できる限り片づけることとした。
○ 少し前に、息子からプレゼントされた、変速機付き自転車だが、時々、遠出に使っている。
この9月下旬には、こちら夫婦と息子の親子3人で、全員、変速機付きの自転車で、近くを流れる荒川の河川敷に行き、サイクリングを楽しんだ。
国道4号線の千住新橋の袂から土手を降り、堀切橋の下を通って、国道6号線の四つ木橋を渡って荒川の対岸に廻り、再び、河川敷を千住新橋まで戻ってくる、往復10km程のコースだ。殆どが平坦地で、上り下りは少なかったが、結構いいサイクリングコースと言えよう。 天候に恵まれ、自動車が走らない専用道で、気楽に自転車を楽しめた。
又、これより後と思うが、サイクリングを楽しむ自転車愛好家向けの、NHKテレビのBS番組「チャリダー」を、見るとは無しに見たが、興味をそそられた。 その中では、坂道でのギアチェンジのコツや、ペダルを踏む回転数(ケイデンスという)を一定に保つこと等について、専門家のアドバイスもあった。この番組を見て、ケイデンスという用語があることも初めて知った事だ。
NHKBS番組のロゴ
この番組で、エンジニア魂をやや擽られたようで、愛用している変速機付きの車種に関するトピックスの中で、主として、テクニカルな側面について、少しく調べてみた。
自分なりに、やや理解が深まったようだが、ギア比と速度とケイデンスの関係については、理解するのが面倒で、未だにすっきりはしていない。
先日、本ブログに、自転車に関する最近の話題の中で、安全走行と法改正等について、久しぶりに、以下の記事を投稿したところだ。
自転車の安全走行ルール (2013/12/23)
今回は、前稿の続編として、ギア比と速度について述べてみたい。
○ 車種とギア比
通常の自転車(ママチャリ)には、変速機は付いておらず、ペダル(クランク)のついている駆動側(ここでは仮に、前輪:フロント GF)の歯車数Tと、受動側(同じく、後輪:リア GR)の歯車数Tは固定していて、相互にチェーンで連結されている。
GFをGRで割った比が、ギア比であるが、通常のママチャリ自転車では、外からは見えにくいが、一般的には、GFが33T、GRが14Tのようで、ギア比は、
GF/GR=33/14=2.36
となる、と言う。
変速機が付いた自分の自転車は、息子が、マウンテンバイクを改造してプレゼントしてくれたものだ。前輪(GF)3速、後輪(GR)7速となっている。GF、GR各々の歯車数は、数えてはいないが、ネットに出ていた下表の、GF3速(表左)、GR7速(表上)の例では、各段の歯車数は表の様になっていて、それからギア比が計算されている。 (以上 新しく買った自転車のギア比を計算してみる より)
自分の車も、ほぼ、似たような状況と思われる。
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1(28) |
2(24) |
3(22) |
4(20) |
5(18) |
6(16) |
7(14) |
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1(28) |
1 |
1.17 |
1.27 |
1.4 |
1.56 |
1.75 |
2 |
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2(38) |
1.36 |
1.58 |
1.73 |
1.9 |
2.11 |
2.38 |
2.71 |
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3(48) |
1.71 |
2 |
2.18 |
2.4 |
2.67 |
3 |
3.43 |
このギア比の表を図形で表すと、下図の、GRを横軸の変数とした放物線となる。
自転車のGR用のスプロケット(歯車セット)としては、下図のように、段数や歯数など、各種のものがあるようだ。(スプロケット - Wikipedia)
自転車後輪用 各種スプロケット
ギア比が小さいほど、ペダルは軽くなって漕ぐ力も少なく楽になり、回転数は多くなるが、反面、速度は小さくなり、忙しく漕がないと進まなくなる。
ギア比が1とは、前輪GFと後輪GRとの、歯車の数が同じということで、チェーンを通して、前後の回転数が同じとなる。 前表は、この、ギア比1から始まっている訳だ。
GRがGFよりも大きくなる、即ち、ギア比が1以下(例えば、0.88)の車種もあるようだ。
逆に、ギア比が大きいほど、ペダルは重くなり力が必要で、辛くなり、回転数が少なくなるが、反面、速度は速くなり、ゆっくり漕いでも進むこととなる。
競輪用自転車のギア比の平均は、3.57とあり、4を超える車を使う選手もいるようだ。(前出 新しく買った自転車のギア比を計算してみる)
ギア比が同じレベルの場合は、受動側GRのサイズが大きい方が、自転車の構造上の安全性が高いようだ。この事から、表では、出来るだけ無理な力が掛からないように、通常使うのが望ましい組み合わせ範囲が、網掛けで示されている。
つまり、通常は、表中の、GFの2速の中央部を使い、それより、ギア比を小さくする場合は、GFを1速に落としてから、GRを変えて行う。逆にギア比を上げる場合は、GFを3速に上げてから、GRを変えて行うのがいいようだ。
上述の表で、前輪、後輪の組み合わせが以下の場合は、ギア比は、2で同じである。
48-24 38-19(20) 28-14
どの場合も、歯車数は異なるものの、前輪が1回転すると、後輪は、2回転することとなり、従って、どの組み合わせでも、回転数(ケイデンス)が一定の時は、走行距離も一定で変わらない。従って、GF、GRの組み合わせを変えても、ギア比が同じ場合は、走行速度は変わらない訳だ。
でも、ペダルの重さについては、どの場合も変わらないだろうか。GFのサイズが小さい組み合わせの方が、ペダルはやや軽くなるようにも思うがーー。
又、先述のように、ギア比が同じでも、受動側のGRのサイズが大きい方が、構造的に無理がかからず、安全性が高いようだ。
○ ギア比と走行
自転車で走行する場合、人体・車体の受ける空気抵抗や、道路面の摩擦抵抗等のため、常時、人力で動力エネルギーを供給し続けなければならない。このため、次第に疲れて来るのは当然のことだ。
ギア比と走行との関係について論じるに当たって、定速で走行時に、ギア比を変えた場合はどうなるか、を考察して見た。
◇ギア比を下げる(小さくなる)方向に変速した場合
・平坦地の場合は、ギア比を下げると、ペダルは軽くなるためクランク回転数は多くなり、忙しくなるが、走行速度はあまり変わらない。 ここで回転数を、変速前と同程度にするため、減らすとすると、走行速度は遅くなる。のんびり走りたい場合は、このようになる。
・坂道を登る時や、平坦地でも強い向かい風の中で走る時等には、登りになる坂の手前で、GRを大きくしてギア比を下げると、ペダルが軽く楽になって登りやすくなり、自転車を降りずに、比較的楽に坂道を登れることとなり、極めて有効とる。
通常のママチャリだと、橋の袂などの一寸した上り坂でも、手前から勢いを付けて漕いだのに、登り切ることは結構大変だ、と言うのは、しばしば、経験することだ。
最近は、電動自転車もよく見かけるのだが、このような、特別な外部からのエネルギーに頼らなくとも、自転車のギア比を変えるだけで、乗ったまま、人力のみで、楽に坂道が登れる、と言うのは、儲かったようで、何やら不思議でもある。
◇反対に、ギア比を上げる(大きくなる)方向に変速した場合
・平坦地の場合、ギア比を上げると、重くなるためクランク回転数は少なくなるが、走行速度はあまり変わらない。 ここで、クランク回転数を上げて、変速前と同じように保とうとすると、かなり力を入れて漕がなければならないが、その結果、速度が速くなる。
走行時に、速度を上げたい時は、このようにして、ギア比を上げて、力を入れて漕ぐこととなる訳だ。
自分の変速機付きの自転車では、どの位の速度が出るか、試して見た。 近隣の、見通しの良い広い直線道路で全力で漕いだ場合、速度計を見ると、精々25km/h位だ。GFは、通常の中サイズである。
前述のサイクリング時に、GFを大サイズまで切り替えて計った時でも、最高速度は、30km/h位であった。
これらの最高速度は、車種による限界と言うより、自分の体力の限界と言うべきだろうか。
・坂道の場合、登りの坂道では、平坦地の時よりもギア比を上げる操作は、通常は行わない。
下りの坂道では、漕がなくても、自重で走行する訳だが、ゆるい下り坂などで、それよりも速度をあげて走行したい時は、エンジンブレーキのように、ギア比を小さくして回転数を合わせた上で、そこからギア比を大きくすることになるだろうか。
次稿で、やや扱い難いが重要な、ケイデンスについて、触れる事としたい。