2016年7月19日(火) 珍しい植物 2 バオバブー続き
先日、下記記事
珍しい植物 2 バオバブ (2016/7/7)
を投稿し、バオバブの種類や、地球上の分布等について、話題にしたところだ。
本稿は、この記事の後半編で、バオバブの植物としての特徴や、現地住民との関わり等について採り上げている。
○植物としての特徴
アフリカの熱帯乾燥地域の気候は、5~10月頃の雨季と、11~4月頃の乾季とを繰り返すようで、バオバブは、このような環境で生息している。 我が国など、四季のある温帯地域に暮らす人間には、理解しにくい環境だろうか。
バオバブの種類(植物分類と原種名等)、 地球上の分布状況、樹齢数百年を超える巨木 等については、前稿で述べたので省略する。
◇花と実
バオバブについては、筆者は、そのユニークな樹形にばかり気をとられて、花や実の事は、余り気にしたことがなかったのだが、植物であるからには、花が咲き、実が生るのは当然のことだ。
バオバブは、雨季になると葉をつけ、6月下旬頃には、下図の様な、めしべが飛び出したような白い花が咲くという。
受粉すると、子房が紐状に下に伸びて行き、先端部が丸く膨らんで、若い実になるようだ。実の付き方は落花生を連想させるが、実の形は、キウイフルーツや、ラグビーボールに似ているだろうか。(図はネット画像より)
花 ぶら下がる若い実
葉が落ちた乾季に、実を収穫するが、実の形や大きさは、下図左のように、種類によってやや異なるようだ。 硬い殻を割ると、中に、スポンジに包まれたような白い種が、沢山詰まっているという(下図右)。
収穫した実 実の殻を割るとーー
◇幹
バオバブの木は、乾季の乾燥にも耐えられるように、内部に、大量の水を蓄えられるような構造になっているようだ。貯水量は、10トンにもなると言われている。
2004年に開催された、浜名湖花博で、下図の様に、会場内にバオバブが植えられ、太い幹を切った現物が展示されたようだ。(世界の木材、樹木 | バオバブ )
日本国内でも、バオバブを趣味的に栽培して楽しむことはできるようだが、生育環境に近い状態で育成できるのは、植物園(例 京都府立植物園)等の専門機関に限られるようだ。 浜名湖花博会場内で植栽・展示され、開花したのは、例外的であろう。
花博会場のバオバブ 木の横断面 内部は柔らかい!
幹の表面の樹皮の中に葉緑素を持っていて、これで光合成を行い、落葉した乾季の、自身の栄養源としている、との情報もある。
○ 現地住民との関わり
◇ 生活での用途
バオバブは、地元住民にとっては、生活の中で、重要な樹木ともなっているようだ。
アフリカの熱帯地域では、コーヒー豆やカカオなど、大規模なプラテーション形式で、輸出用に栽培されているものもあるが、バオバブの木は、全て個人所有という。 バオバブを育成している、アフリカの数百万戸の零細農家を支援し、ソーシャルビジネスとして展開する活動も行われているようだ。(ADUNAの社会的責任 | ADUNA公式サイト)
現地での、主な用途は以下のようだ。
木 幹・枝 :家屋の建築材料
樹皮 :耐火建材 織物用繊維
葉 :薬用 化粧品 食用
実 果肉 :食用 ジュース シャーベット
栄養価の高い、スーパーフルーツとも言われるがーー。
果皮 :容器 土産物
種 : 搾油
◇ 重要な観光資源
前稿にあるように、バオバブの巨木が、単独で、観光名所になっている所も多い(南ア北部の、Sunlandバオバブ 等)。
又、公園として纏められ、公的に整備されている、
・バオバブの並木道(マダガスカル南西部 モロンダバ地区)
・ダランギーレ国立公園(タンザニア バオバブ公園の別称も)
などもある。
これらでは、観光関連産業に従事したり、維持管理作業に従事したりすることで、地域の活性化や雇用拡大になっていると思われる。
○ 地球環境上の懸念
今回、ネットで調べていく過程で知ったことだが、バオバブの個体数が減少傾向にあり、マダガスカルの2原種は、危機的な状況にあるようだ。
この要因としては、
・地球温暖化による、砂漠化の進行
水分不足で木の個体が維持できなくなる
乾季に食糧や水を求めて象が樹皮を剥ぐ例もあるとか
・人為的な伐採や焼畑農業
宅地開発や耕作等の生活上の必要性から
木を利用する循環型生活スタイルの喪失
等が考えられるようだ。
前稿で、国連の気候変動枠組み条約の主管庁会議(COP17:2011年 南ア ダーバン)のロゴマークが、バオバブの木のデザインだったことに触れたが、今回、その意味しているところが、改めて分ったように思われる。
ソマリア海賊が出没する海域にある島です。
海賊達は上陸して、実を食べたのでしょうか。
↓ソマリア海賊活動エリア
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今回頂いたコメントの、ソコトラ島のバオバブ風植物は知りませんでしたが、調査中です。 近日中に、記事にする予定ですのでよろしく。