つれづれの記

日々の生活での印象

スコットランドの行方   3

2014年10月27日 15時59分21秒 | 日記

2014年10月27日(月)  スコットランドの行方  3

 

 

 先月の18日に行われた、スコットランドの住民投票の話題をきっかけとして、当ブログで、下記記事

      スコットランドの行方  1 (2014/9/24)

      スコットランドの行方  2 (2014/9/26)

を投稿したが、あれから、暫く経過した。 

 日本でのスコッチウイスキー造りが話題の、NHK朝ドラ「マッサン」も、9月末から、始まった。ドラマの中では、日本でも良く知られている「麦畑」など、スコットランドの歌も出て来た。ウイスキーや、音楽や、衣装など、スコットランドの文化的な側面については、上述の(その2)で触れたところである。

 

 本稿では、スコットランドの今後と、独立や自由を求める世界の動きとともに、良く出て来る言葉について触れて、締めくくりとしたい。  

 

○ スコットランドの自治権拡大

 住民投票の後、スコットランド行政府のサモンド首相は、スコットランドの自治権を拡大するとした英政府の約束が速やかに実行されるよう求め、キャメロン英首相は、イギリス主要3政党の党首が合意した約束は「完全に履行される」と答えたという。

 この方向で、イギリス政府としては、新たな徴税権限や社会保障の支出などで、スコットランド議会の権限拡大を11月までに合意し、来年1月までに法制化する方針を明らかにしたようだ。

この所は、殆ど話題には上らない中で、目下、イギリス国内では、中央集権と地方分権のあり方が大きく見直されているのだろうが、それが順調にいくかどうか、約束事がどのように守られ、実現されるのか、に注目したい。

 「喉元過ぎれば熱さを忘れる」のが世の常だが、スコットランドともども、UK内の、ウエールズや北アイルランドも、熱く、成り行きを見守っているだろう。イギリスにとっては、国の形を問い直す重要な機会となるとともに、世界にとっての、新たなお手本が示されることとなるのだろうか。

 

 スコットランドでの住民投票は、他の地域の分離独立運動などに再び火をつけたようで、バルセロナを中心とするスペインのカタルーニャ自治州では、11月9日の住民投票実施を目指していたようだ(スコットランド独立否決とその後の展望 - ほそかわ・かずひこの BLOG 参照) 

でも、この住民投票は、スペイン政府の動きで、先月末になって、憲法裁判所から差し止め命令が出され、実質、中止になったようだ。(スペイン・カタルーニャ州、独立問う住民投票取りやめ | ワールド | Reuters

 ベルギー北部のフランドル地方でも、動きがあるという。

 

 

○ 世界の独立騒動

 世界各地で紛争は絶えないが、民族の独立を巡るものも多いようだ。民族の定義は難しいが、人種、言語、宗教、文化等を、地域的、歴史的に共有する集団と言えようか。

 長い歴史の中で、ある地域や国が、強国に征服・併合され、属国や植民地となることが繰り返されて来た訳で、その状態から脱して、独立・自立しようとする運動が起こるのは自然だ。独立運動は、民族を単位とするものが多いが、地域的な利害も絡むもの(油田、鉱物資源等)もあるようで複雑である。

 

◇現在、世界各地で繰り広げられている独立運動は、多種多様だが、以下は、その一部である。 (独立主張のある地域一覧 - Wikipedia 等)    

   イギリス(UK)  スコットランド、ウエールズ、北アイルランド

   スペイン      カタルーニャ州、バスク地方

   ベルギー      フランドル地方

   ウクライナ     クリミヤ自治共和国、東部2州(ドネツク、ルガンスク) 

   コーカサス地方   多数:以下のブログ記事

                    ウクライナ情勢の行方 その3 (2014/5/20)

   トルコ       クルド人地域

   中国        新疆ウイグル地区、香港地区、チベット自治区

 

 イギリスの植民地だった香港が、中国に返還されて、今年で17年になるようだが、香港地域として、或る程度の自治権は認められている(一国二制度を50年間維持)。

でも、じわじわと迫ってくる中国の動き対して、それを撥ねのけ、自由な首長選挙を求める学生と、行政府との対立が、現在進行形で続いている。

巨像の様な中国に立ち向かうアリのような香港、という紛争の構図だ。

 

 

◇先月の9月22日、国連で「先住民族世界会議」の分科会というのが開催され、世界の先住民族の代表等が集まったようだ。 先住民族といえば、北アメリカのインディアンや、 オーストラリアのマオリ族などが思い浮かぶが、スペインが進出する前の、中南米にも数多くの先住民がいた訳だ。

この会議には、日本からは、アイヌ民族の代表も出席したようだ。また、沖縄の代表は、琉球民族を、抑圧された先住民として認めるように主張したという。(「画期的」とアイヌ代表 先住民族世界会議に出席 - 産経ニュース 等)

  

 これらの民族は、日本の事例も含めて、歴史の中で、戦いに敗れて征服された民族で、大半は、全滅させられたのだろうが、先住民として現在も残っているのは、数少ない事例と言えるだろうか。

 

 過去にあった、独立を巡る動きについては、アメリカ独立戦争や、植民地からの各地の独立闘争など、数えあげれば切りがない。

やや、性格は異なるが、アラブに征服された国土を奪還する、欧州のレコンキスタ運動については、下記記事でふれている。

     日本スペイン交流400周年  2(2013/6/29)

 

 身近な所では、お隣の韓国では、日本の終戦の日(8/15)を、日本の支配から脱して独立した祖国解放記念日(光復節)としているようだ。

 

 

○ 用語と理念

ここで、良く出て来る関連の深い用語と、その意味(理念、概念)について、自分なりに、整理したい。  

 

◇以下の画像は、有名なフランス国旗(三色旗 トリコロール)だが、三色セットで、

    自由、平等、友愛(博愛)

という理念を象徴しているという。フランス国の現在の憲法では、この3つの理念が、国の「標語」として、規定されているという。 どの理念が、どの色に対応するかは決られていないようだ。

 

 王家の支配を脱して、自らの体制を打ち建てたフランス市民革命を期に、この旗が制定されたようで、当時の、

    青と赤=パリ市の紋章の色、白=王家の紋章の色

を三色合わせて、パリ市と王家との和解を表しているという。具体的な経緯など、詳細については省略したい。

 それぞれの色を、

    青=自由、白=平等、赤=友愛、

とし、個々に対応づけるのは俗説で、誤りのようだ。(125SUGAWARA  三色旗の色の意味.pdf フランスの国旗 - Wikipedia 等)

     フランス国旗(三色旗)             

 

◇人間の根源的な、基本的人権の理念は、三色旗にもある、以下の二つだろうか。 

自由

 英語では

  freedom ((from; of; to do)); liberty ((of doing; to do)) (▼libertyは選択の,freedomは束縛からの自由の意が強い)   プログレッシブ和英中辞典(第3版)

 フランス語では、liberté 

 自由の反対概念 ⇒ 束縛 圧迫 抑圧 拘束  (不自由)

 

平等

 英語では

  〔均等〕equality; 〔公平〕impartiality ⇒コラム「差別・人権」 平等の|equal; even 平等に|〔均等に〕equal  プログレッシブ和英中辞典(第3版) 

 フランス語では、eqalité 

 平等の反対概念  差別 (不平等 不均等 不公平) 

 

 これらの、自由、平等の理念は、世界的には、既に実現されている、と言いたいところだ。

でも、人種差別については、南アフリカでのアパルトヘイト等、明らさまな差別は、無くなったようだが、米国の黒人問題など、目に見えない形で、実質的な差別は、依然、根強く残っているようだ。

 一方、性差別については、我が国では、雇用機会均等法が施行されるなど、表向きの女子の雇用差別は無いようだが、セクハラや、マタハラは後を絶たず、伝統的な女性蔑視や、女人禁制など、根強いものがある。

 今年のノーベル平和賞を受賞した、パキスタンのマララさんに象徴されるように、女子教育差別があり、まだまだ発展途上で、日本でも、少し前の時代の女子教育について、一つ前の、NHK大河ドラマ「八重の桜」や、NHK朝ドラ「花子とアン」で話題になったばかりである。

女性のパワーを生かそうと言う現政権のスローガン自身が、我が国の後進国ぶりを如実に物語っているだろうか。   

 

◇前述の、自由と平等は、個々人をベースとした基本的関係だろう。 これが、集団・組織や、大きな地域、国相互の関係となると、多くの場合求められる理念、・価値観は、自由と平等をベースとした、「独立」だろうか。  

独立  

 日本語では   自立 一人立ち 自主独立 自治 脱依存 

 英語では

    〔自立〕independence ((from)) 独立の|independent 独立して|independently ((of)) 独立を宣言する  プログレッシブ和英中辞典(第3版)

 フランス語では

   independnce 、indepndant(アンデパンダン) 

 独立の反対概念 ⇒ 依存  従属  被支配  被征服

 

 

 個人のレベルから、国家のレベルまで、独立するまでは、独立というスローガンには、一種の麻薬のような、心地よい響きがある。

でも、独立はしたものの、その後、一人立ち(自立)し、それを維持していくのは、並大抵のものではないのも現実だ。

 

 独立か依存か、という、二者択一的で、ホモジーニアスな発想では無く、相互に独立を認め合いながら、協調、協力、連携、相互支援、助け合い、相互理解、といった、多様な価値観に基づく、ヘテロジーニアスな関係を作っていくことが、重要なのであろう。

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御嶽山の噴火  3

2014年10月21日 17時07分13秒 | 日記

2014年10月21日(火)  御嶽山の噴火  3 

 

 

 先日から、下記記事を投稿したところだが、

    御嶽山の噴火  1 (2014/10/9)

    御嶽山の噴火  2 (2014/10/13)

 本稿では、その後の御嶽山の状況と、筆者と御嶽山との関わりについて触れることとしたい。 

 

 

○ 捜索の打ち切りと今後に向けての検討

 ◇これまで、1000人を超す要員体制で行われて来た捜索活動だが、冬に向かう山岳気候での悪条件を考慮し、来春まで、捜索を打ち切らざるを得ない事が、17日、発表された。

 現時点で、死亡が確認された人が56名、まだ見つかっていない行方不明の人が7名という惨事で、関係している家族の皆さんの心中を思いやるばかりである。

 一方、人的被害以外の、降灰による農作物の被害状況や、土石流の危険性と防止対策等はどうなのだろうか。

 

 

◇先日(10/10)に、気象庁から、火山噴火対策の緊急の検討計画が発表されたが、手に入った資料(気象庁 | 報道発表資料)によれば、以下のように、火山噴火予知連絡会の、2つの検討会で検討を行うという。

  1 火山観測体制等に関する検討会  -既設―

    ・御嶽山の噴火を踏まえ、活火山の観測体制の強化について検討する。

      ①常時監視が必要な火山の見直し

     ②火口付近への観測施設の増強

     ③水蒸気爆発をより早期に把握できる手法の開発

     ④御嶽山の火山活動の推移を把握するための観測強化

    ・構成メンバーは、関係機関や大学等の専門家 

  2 火山情報の提供に関する検討会 -新設―

     ・居住者、登山者、旅行者等に対する情報提供のあり方を検討する。

          ①わかりやすい火山情報の提供

          ②火山活動に変化があった場合の情報伝達の方法

      ・構成メンバーは、専門家の他に、地域自治体の首長・防災担当者、報道関係者 

 3 検討スケジュール

   10月中   第1回検討会の開催

   11月中   緊急提言を取りまとめ

   年度末    最終報告書を取りまとめ  (以後、必要に応じて検討を継続) 

 前述のブログ記事(御嶽山の噴火 1)で、今回の噴火については、“事前に、登山者に危険性を知らせることが出来たのでは”、との印象を述べたのだが、新設される検討会で、具体的な提言が出され、速やかに実行に移されることを切に望むところだ。

 

 

○ 御嶽山との関わり

◇ 自分は御嶽山には、登った事は無いが、御嶽山は、主に長野県側から登るようで、下図のように、3つの登山道があるようだ。

 最もポピュラーなのは、下図中央のロープウエイがある、黒沢口登山道だが、今回の災害救助活動の拠点となったのは、山頂への距離が短い、王滝口登山道(下図左)である。

  

 以前、信州の開田高原に友人とグループで行った時、登山道の一つの、開田口(下図右)から、行ける所まで登ってみようと言う事になったものの、天候不良で、途中で、引き返したことがある。

 御嶽山の山頂周辺と登山道(【特集】御嶽山に登ろう) 

 その後の、ほぼ4年前になるが、仲間と信州のドライブ旅行をした時に、霧ヶ峰の富士見台展望台から、御嶽山の、どっしりとした独立峰の大パノラマを遠望した時の印象が、鮮明に残っている。名にし負う、「木曽のおんたけさん」の全体を眺めたのは、この時が初めてである。(下図)

  御嶽山の遠望

              ↑木曽御嶽山                ↑乗鞍岳 

 

◇ 御嶽山の高山植物

 御嶽山の山頂付近の池(一の池~五の池)の周辺や、登山道等には、可憐な高山植物が多いようだ。下図は、その一部だが、ネットから引用している(御嶽山に咲く可憐な高山植物たち

   

 

 

 今回の噴火で、火山灰等が、どの位の範囲に、どの位の量が降ったのかは不明だが、筆者の想定では、高山植物たちは、殆ど全滅したのでは無いか、と思われる。

 来月に予定している、草花の愛好者の定例の集まりで、御嶽山の噴火と高山植物等について話題にする予定だが、これまでにこの山に登った事がある仲間にとっては、さぞつらい出来事だろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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御嶽山の噴火  2

2014年10月13日 23時54分23秒 | 日記

2014年10月13日(月)  御嶽山の噴火  2 

 

 先日、下記記事を投稿したところだが、

     御嶽山の噴火  1 (2014/10/9)

台風19号の来襲の前にと、1昨日も、行方不明者の捜索活動が行われ、新たに、2人が見つかったようだ。

 本稿は、続編として、火山活動全般について、触れることとしたい。  

 

○活火山の定義

 昔習った知識では、火山には

     活火山、休火山、死火山

があり、今現在で噴煙や水蒸気が噴出している山を活火山と呼ぶ、と漠然と思っていて、大半の火山は、休火山か、死火山で、これらは、ほぼ安全、と、つい最近まで、思って来た。 

 ところが、1979年(昭54年)の、御嶽山での水蒸気噴火がきっかけとなって、火山の定義が見直されたようで、2003年に、火山噴火予知連絡会と気象庁から発表された資料では、活火山とは、

  概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山

となり、死火山、休火山の呼称が使われなくなっている、という。

 過去、1万年以内とは、人類の有史以来ということで、それ以降に噴火があった山は、全て活火山と言われるようだ。 

    (御嶽山 (長野県) - Wikipedia活火山の定義と数の変遷 を参照)  

 

○日本の山と火山

 日本は山国で、あるネット情報に拠れば、縮尺1/25000の地図レベルで、1万6千以上もの山があるという。 これらの中で、今回噴火した御嶽山や富士山など、前述の定義で、活火山と呼ばれる山は、下図にある、たった、110座だけである。(図は、ネット画像より)

でも、日本の火山数は、世界全体の7%も占めると言われ、火山大国と言えるようだ。

 国内の火山でない山には、南アルプス、四国山地など、数多くの山があるが、著名な山には火山が多いようだ。 これは、姿形のユニークさや、噴火口や噴煙への興味、温泉の惠、など、観光資源としての人気もあるだろうか。

 

 これらの110の活火山について、火山活動の活動度(100年活動度/10000年活動度)に応じて、現在は、 

                       Aランク(13)

                       Bランク(36)

                       Cランク(38)

                       対象外 (23)(北方領土等)

にランク分けされている。(活火山 - Wikipedia

 

 ○ 常時監視・観測

  一方、これら110の活火山について、災害の危険度と防災の観点から、下の、4グループに分けた47座を、常時監視・観測の対象としているようだ。

これらは、下に示すように、ほぼ、上述のAランク、Bランクの火山だが、C、Dランク(無印)の火山も含まれている。

 

         「常時監視・観測の対象の活火山」

  1 近年、噴火活動を繰り返している火山(23)

   雌阿寒岳十勝岳樽前山有珠山北海道駒ヶ岳秋田焼山秋田駒ヶ岳吾妻山那須岳草津白根山浅間山新潟焼山

   焼 岳御嶽山伊豆大島三宅島硫黄島阿蘇山霧島山桜島薩摩硫黄島口永良部島諏訪之瀬島

 

   2 過去100年程度以内に火山活動の高まりが認められている火山(18)

    アトサヌプリ大雪山恵山岩手山栗駒山蔵王山安達太良山磐梯山日光白根山乗鞍岳白山箱根山

    伊豆東部火山新島神津島八丈島鶴見岳・伽藍岳九重山

 

   3 現在異常は認められないが過去の噴火履歴等からみて噴火の可能性が考えられる火山(4)

    岩木山鳥海山富士山雲仙岳

 4 予測困難な突発的な小噴火の発生時に火口付近で被害が生じる可能性が考えられる火山(2)                        

     倶多楽青ヶ島

                            (活火山の活動度評価の変遷 より)

 

  これらの監視・観測は、気象庁を中心として、無人の機器観測による観測網が整備され、4か所(札幌、仙台、東京、福岡)にある、火山監視・情報センターで統括しているが、浅間山、伊豆大島、霧島山、桜島、阿蘇山などには、大学等の、有人の地震火山センターなどの研究施設もあるようだ。  

 

 今回の御嶽山の噴火災害を契機に、先日、検討会が設置され、11月末目途に緊急の提言を取りまとめると言う。

 検討会では、水蒸気爆発の前兆を捉え、噴火を事前に把握できる技術の開発の他、現在24時間体制で監視を行っている全国の活火山の数を見直すこと、それに登山者や地元の自治体にどのように噴火の情報を伝えるか、などを協議するという。

 

 昨年、富士山の世界文化遺産登録と同時に、イタリア シシリー島のエトナ火山が、世界自然遺産に登録された。この火山、現在も、かなり大きな噴火を繰り返す、世界有数の活火山で、溶岩流が流れ出る事もあるようだ。 先日の、TV報道によれば、沢山訪れる観光客の安全確保のために、有人の監視・観測体制が敷かれ、必要な規制と情報提供を行っており、我が国としても、見習うべき点は多いようだ。

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御嶽山の噴火  1

2014年10月09日 17時58分26秒 | 日記

2014年10月9日(木)  御嶽山の噴火  1 

 

 

○ 惨状

 「木曽のおんたけさん」として親しまれて来た、御嶽山が、9月27日(土)昼前に、突然噴火したというニュースが流れてから、10日以上が過ぎた。

御嶽山は、信仰の山でもあり、比較的登りやすいとも言われる。 3000mを越す山頂近くは、丁度紅葉のシーズンで、それに、好天と週末が重なって、登山客で賑わう絶好のタイミングであったようだ。その時を狙った様な、恐ろしい自然の災害である。 

   噴煙が迫る(ネット画像より) 

 連日のように、噴火に伴う人的被害状況について報道され、心肺停止状態で発見され、山麓に搬送して死亡が確認されるなど、犠牲者は増えて行った。

折からの台風18号の接近・上陸で中断していた捜索活動は、天候が回復した一作日から再開された。

 捜索範囲を、これまでの登山道周辺から広げ、山頂一帯を方眼に区切って、火山灰で覆われた地域を細かく調べた結果、新たに4人が見つかり、今朝迄の情報では、死亡は55名となっていて、未だに、行方不明者が8名もいる状況だ。 

 悪条件が重なる中、懸命の捜索活動に当たる、警察・消防・自衛隊のみなさんと、地元自治体等の関係者の御苦労が思いやられるとともに、家族を待ちわびる皆さんのご心労の程が察せられる。

 

 筆者としては、何も出来ずに、テレビで、様子を見守るしかないのだが、今後、何回かに分けて、火山噴火について、感じた印象等を述べることとしたい。

 

○ 死因と損傷死

 今回亡くなった方の死因だが、ある時点のデータでは、48名中、47名が「損傷死」というのは、やや、驚きであった。

 損傷死とは、噴火で飛んできた岩石が、頭等にあたってしまい死亡に繋がった事故で、火山弾の大きさは、大小様々だが、大きいものでは、10cm位から、軽トラックくらいまであったともいう。

残る1人は、熱傷死のようで、今回の噴煙は、比較的低温だったようだ。他に予想していた有毒ガスによる死亡は、無かったという。

 

 阿蘇山山頂などにある避難壕(シェルター)は、御嶽山では、予想される噴火の頻度が低く、経費もかかる等から無かったようで、突然の噴火から身を守る方法は、基本は、避難小屋等に逃げるしか無かったという。

山頂付近には、避難小屋等が数棟あったが、そこに辿りつけた人はラッキーだったと言え、登山道の途中で落命した人も多いようだ。

 

 噴煙で太陽光が遮られ薄暗く、目も良く見えず、粉塵で呼吸が苦しくなった人も多いだろうか。

 噴煙や噴石は、かなりの速度で迫ってきたようで、間に合わずに、避難途中でも、自衛する必要があったという。頭を守るために、背負っているザックを頭上に載せたり、粉塵や有毒ガスを押さえるために手拭やネックウオーマーなどで口を覆ったり、杖でつついて足場を確保するなども有効、と専門家は言う。

警戒情報が出ていなかったので、突然の出来事だったとは言え、今回の教訓の一つとして、火山に登る場合は、身を守る基本的な装備は、今後は必須となることだろうか。

    

    一面の火山灰で覆われ、雪のように白い山頂付近(ネット画像より)

 

 

○ 最近の噴火災害

 日本では、火山の噴火は、珍しくない事象で、最近の噴火では、人的被害が無かったと言われるものは、

     1986年11月  三原山の噴火 全島民が避難  

     2000年 3月  有珠山噴火 洞爺湖温泉

     2000年 6月  三宅島の噴火 有毒ガスで規制

     2011年 1月  霧島山新燃岳噴火 降灰被害

     2013年11月  西之島(小笠原 無人島)で噴火し島が拡大

などがあるが、事前の適切な避難計画等が良かったようだ。

 一方、23年前の

     1991年 6月  雲仙普賢岳の噴火 大火砕流

では、報道関係者など43名が、目の前で亡くなり、大変なニュースとなったのが忘れられないが、今回の御嶽山噴火の人的被害は、それをかなり上回って、戦後最大の災害となっている。

 御嶽山では、1978年10月にも、それまでの活火山の定義を見直すきっかけともなった、歴史的な大きな水蒸気噴火があったようだ。この時の噴出規模は、今回よりは、かなり小さかったものの、死者が1人もいなかった、というのはどんな理由だろうか。  (御嶽山 (長野県) – Wikipedia 等)

 

○ 今回の噴火の種別と予知

 今回の噴火は、水蒸気噴火と言われ、地下の水蒸気の力で、火口を塞いでいた岩石や粉塵などが飛散したようだ。マグマ噴火でないため、温度は低く、火砕流は部分的だったという。

 水蒸気噴火は、予知が難しいと言われる。今回の噴火に先だって、下図のように、9/10、9/11に、火山性地震がかなり多かったようだが、その後、やや治まったので、9/27の噴火当日まで、警報、注意報は出されず、警戒レベルも、レベル1(平常)のままだったようだ。(図は、2014年の御嶽山噴火 - Wikipedia 参照)

   

                  御嶽山 2014/9/1~10/5の火山性地震回数の推移 (9/27は483回) 

 

 火山噴火での、「噴火警戒レベル」は

       1平常(規制なし)、2火口周辺規制 、3入山規制、4避難準備、5避難

の、5段階となっているようだが、レベル4、5は周辺住民に対するもので、登山者に対しては、レベル1~3までである。(噴火警戒レベル - Wikipedia 参照)

 噴火当日は、前述のように、警戒レベルは1(平常)だったのだが、結果論で言えば、若し、火口周辺への規制が行われていれば(レベル2)、人的被害は、大幅に減っていただろうか。

 

 次稿で述べる予定だが、富士山など、この100年間程、異常が観測されていない活火山と、御嶽山のように、35年前はかなり大きな、7年前には小規模な噴火があり、最近、火山性地震が観測されている活火山とは、明らかに異なると言える。

このことから、例えば、警戒レベル1のままでも、登山道入り口に、最近、火山性地震が多いことで注意を呼び掛ける掲示をするなど、が出来たようにも思える。

 更に、レベル1、2は従来どおりとし、注意喚起レベルとして、中間に、レベル1.5を新設する事なども考えられる。

 

 いつものことだが、一旦、自然災害が起こると、防ぎようはなかったか、被害を減らせなかったか、人災の要素は無かったのか、などが問題となる。

記者会見では、今回の水蒸気爆発は、予知が難しく、想定外の事態だったと、苦しい表情の中で、気象庁担当者や専門家は、述べている。

 でも、識者の中には、今回も、事前の注意喚起や、規制は可能だったのではないか、と言う意見もあるようだ。 専門家と地域とが連携した、日頃のきめ細かな対応が、やはり、ものを言うのだろうか。(御嶽山と大違い 犠牲者ゼロだった有珠山噴火の「対応」 (日刊ゲンダイ) ) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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誕生日当てゲーム

2014年10月02日 13時02分55秒 | 日記

2014年10月2日(木)  誕生日当てゲーム 

 

 

○ 誕生日当てゲーム

 最近、ある集まりで、楽しい誕生日当てゲームが行われた。

 司会者が、会場の中から選ばれた人に、先ず、自分の生まれた月を4倍し、それに、9を加えて、更に、全体を25倍して、それに、生まれた日を足して貰う。得られた数から、最後に、225を引いて貰い、その数を言って貰った。

この最後の数から、司会者が、その人の誕生日を言い当てるゲームである。

 1人目の時は、途中で、計算ミスがあって、間違ったが、修正して、正解。2人目では、スムーズに進み、見事に的中し、拍手!

終了後、司会者から、出題の内容のメモを貰った。帰宅後、ネットで検索してみたら、同じ内容のゲームや、類似の他のゲームなど、多数出ていた。

 

 この問題を、改めて、生まれた月をM(Month)、生まれた日をD(Date)、結果をR(Result)として、式で表すと、以下となる。

        (M*4+9)*25+D-225=R

左辺を展開すると

    左辺=100M+225+D-225 =100M+D

従って、

         100M+D=R  ――――――①

という、綺麗な式になる。

 

 この式は、最後に得られた数Rは、Mを2桁桁上げ(100=10倍)し、それに、Dを加えたものに等しいということで、このことから、Rの下2桁は誕生日Dと、上2桁は誕生月Mと一致する。

司会者は、この数字を、誕生日として答えた訳だ。

 会場の最初の例では、R=715で、これから、誕生月日は、7月15日となった。

会場には、手回し良く、電卓が用意されていた。

          

 

○ 一般化すると

 この遊びを、定数a、b、cを使って、一般化すると以下のようになる。

      (M*a+b)*c+D-d=R

左辺を展開すると

       acM+bc+D-d

となり、ここで

       ac=100

       bc=d

とすれば、左辺は

       100M+D

となり、先述の、①式が得られる。

 

 これから、a、cは、ac=100となるように決めればよく、bは任意であることが分る。

ac=100となる組合わせは、以下の、9通りとなる。 a、cが途中で逆になるので、実質は、5通りである。

    a=1  c=100

      2     50

      4     25

     5     20

     10     10

     20      5

     25      4

     50      2

    100      1

 a、cとしては、簡単に暗算できるのは、面白味がないので、やはり、計算がやや面倒な場合とすると、上表の太字の組み合わせあたりが良いだろうか。

 また、bは任意だが、bcがやや大きく、最後の引き算が少し面倒な数字となる、b=8、9あたりが良いだろうか。 

実際の問題では、a=4、b=8であった。

 

 この問題は、誰が作ったのかは不明だが、最初に考案したX氏に、敬意を表したい。

 

 ネットには、類似の問題が多数出ていて、同じ表記で表示すると以下のようになる。 いずれの場合も、最後は、100M+D で、同じとなる。(出典は省略)

・(M*2+5)*50+D-250

  =100M+250+D-250=100M+D

・(M*25+30)*4+D-120

  =100M+120+D-120=100M+D

・(M*25+8)*4+1+D-33

  =100M+32+1+D-33=100M+D

 

・(((M+3)*5)*2+15)*10+D-365

  =(10M+30+15)*10+D-365

  = 100M+450+D-365=100M+D+85

  本問は、最後の答えRから、出題者が、こっそり85を引くと正解が得られるという、やや捻った問題。 1年の日数の365を引かせるのも面白いだろうか。 

 

 

○生年も加える

 これまでの問題の拡張版として、ネットには、生まれた年Y(Year)も加える、下記の様な問題も、いくつか出ている。(算数 (数あて 2) 参照)

   問題:「生まれた年」(西暦)に、75 を掛けます。

       その答えに、「生まれた月」 を足します。

       その答えに、200 を掛けます。

       その答えに、「生まれた日」 を足します。

       その答えに、2 を掛けます。

 

 これを、式で表すと、生まれた年をY、生まれた月をM、生まれた日をDとし、最後に得られた数字をRとすると、

       ((Y*75+M)*200+D)*2=R

となる。左辺を展開すると 

   左辺=75Y*200*2+200M*2+2D=30000Y+400M+2D

従って、

       30000Y+400M+2D=R

ここで、Rの、下2桁を2で割り、その上の2桁を4で割り、さらに上の桁を3で割った{R}を求めると、下記のようになる。

       10000Y+100M+D={R} ――――③

この③の{R}は、誕生年・月・日の順に並べた時の数字になっていて、下2桁は日Dを、その上の2桁は月Mを、さらにその上の桁は年Yを表している。

 

 この問題は、出題者が答えを出す時に、割り算を導入し、しかも、Y・M・Dごとに、割る数字を変えて、手品のように見せた所がミソで、素晴らしい創案だ。

でも、生年が分ってしまう問題は、ご婦人方には、不向きかも知れない。

 

・類似の問題(電卓使用 最後に、全体を2で割る)(出典省略)

       ((Y*250)*80+MD+MD)/2

      =(20000Y+2MD)/2=10000Y+MD

 

 

○ 数学の授業で 

 以下は、ネットに紹介されているもので、学校の先生が、数学の授業の教材として使っているという、誕生日当てゲームだ。( 「誕生日当て」の検索結果  の ⑧誕生日をあてクイズ 記事 から引用) 

問題:「生まれた日を10倍にしたものに、生まれた月を足して下さい。つぎにその結果を2倍して、それに生まれた月を足してください。結  果は、いくつになりますか?」

 

生まれた日をD、生まれた月をM、結果をRとすると 

     (D*10+M)*2+M=R

   左辺=20D+2M+M

      =20D+3M

ネットでは、Rが175になる以下の例について述べられている。

       20D+3M=175――――――②

 この②を満たす、正の整数DとMを、生徒たちが考えながら求めていくというもので、数学的には、不定方程式を解く事になる、やや、高度な問題だろうか。

 

 全体の和175の1桁目が5だが、20Dが20単位(20の倍数)だから、3Mは5の倍数でしかも1桁目は、5でなければならない。

     3M   30 15 

      M   10  5   Mは12以下 

一方、全体が175以下

      D=  1  2  3  4    5   6    7   8   

    20D   20 40 60 80 100 120 140 160  

 

 これらより、②が成り立つのは、 M=5、D=8の場合のみである。

従って、誕生日は、5月8日となる。

 

 

 上記の答は、1≦M≦12、1≦D≦31の制約があるので、比較的容易に得られたが、制約が無い場合は、どうなるだろうか。 

数学的な解法は知らないので、正の整数の範囲内で目の子で調べると、(M、D)が

     (5、8) (25、5) (45、2) 

の場合に成り立つ。最初の組合わせが、制約がある場合の答え、である。

 

 

 同サイトには、江戸時代の、「百五減算」という、数遊びの問題も紹介されており、今後、機会をみて調べて見たいと思っている。

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