2012年1月29日(日) 辛味とカレーの魅力 その2
当ブログで、先日
辛味とカレーの魅力 その1 (2012/1/18)
の記事を載せたが、今回は、続編の、その2として、カレーライス作りについて触れて見たい。
自分で、初めて、カレーライスを作ったのは、学生時代の事で、相当の昔になる。自炊やサークル活動の食事作り等での経験だが、おぼろげな記憶があるだけである。あの頃はまだ、ライスカレーと呼んでいたかもしれない。
以来、家庭でも、外でも、カレーを食べる機会は多かったのだが、自分で作るようになったのは、現役を退き、時間的な余裕ができた、ここ、数年来のことである。
以前は、カレー粉からルウを作ったものだが、最近は、各種のカレールウが売られており、美味しいカレーが、簡単に作れるようになっている。更に、急ぎの向きには、やや、風味は落ちるが、インスタント食品として、具も入っている、レトルトパックを利用する事もできるご時世だ。
○最近の標準的な、カレールウを利用した作り方について、記してみたい。
先ず、野菜を用意する。ジャガイモは皮を剥いて、大きめに切る。人参は、廻しながら、これも大きめに切る。タマネギは、半分にして表皮を取った後、幅を持たせて縦に切って行き、更に、長さ方向を半分に切る。食感が楽しい、エリンギも、乱切り風にする。
これらの野菜類を、食用油かバターで、軽く炒める。ここに、厚めの肉を、大きめに切って入れて、炒める。肉は、少し炒めた方が、香りが出るようだ。火が通った所で水を加え、暫く煮込む。沸騰すると、肉等から、かなりの、アクが出るので、丁寧に取り除く。
ここまでは、味付けはしないのだが、野菜の甘みと肉の香りでいい味がでる。
ほぼ煮えたら、火を止めて、ここで、固形のルウを入れる。ルウの辛さは好みだが、我が家では、辛口である。
ルウを入れて、暫くそのままにし、ルウが柔らかく溶けてきたところで、混ぜ合わせ、再度火を通せば、カレーの出来上がりである。
カレールウの箱には、材料や水の量等が、細かく書いてあるが、余り気にしない。最初は、具が隠れる程度の水で煮た後、入れたルウが溶けて、とろみが出て来た時の、カレーの固さ加減を見て、お湯を追加すればよいし、必要なら、塩を加えればよい。
辛味については、後で、カレー粉を追加する事も出来るが、甘口、中辛、辛口等のルウの種類で、選ぶのが賢明だ。
カレーの水加減が多すぎた時は、分量を間違えて失敗した、とは考えずに、ご飯にかけるのではなく、カレースープとして、頂くのも、いいものだ。
一定日時が経過すると、又、カレーが食べたくなるようで、上記のやり方で、この所は、結構、カレーを作っている。
カレーの具材としては、大抵の物は相性はいいのだが、カレーの強烈な色(黄色~茶色)に負けてしまうので、色彩よりも、味や歯触りがユニークな食材の方が、存在感がある。
例えば、前述のもの以外では、
ムキエビ インゲン ギンナン 摺ったリンゴ
なども、面白いだろうか。
黄茶色をした柔らかなカレーと、その辛味と香りは、料理全体を仕上げる魔法使いのようで、カレーの魔法にかかると、大抵の物は美味しくなるようだ。主食とおかずが一緒になった、総合食と言えようか。冷たくなった残りご飯でも、温めてカレーライスで食べれば、素晴らしいご馳走になる。
ハヤシライスと言う、辛くないカレーライスとも言える料理もあるが、自分には、いまいち、パンチが弱いように感じる。
○つい先日、物は試しと、カレールウを使わず、市販のカレー粉を使って、カレーライスを作ってみた。何せ、学生時代以来の作業で、興味津津である。
カレー粉の赤缶に、簡単なレシピが書いてあり、それに準じてやってみた。分量に関しては、いちいち面倒なので、敢えて、レシピ通りにはやらずに、山勘でやってみることとした。
野菜と肉を煮込む迄は、特に問題は無いのだが、小麦粉を炒めてカレー粉を混ぜて、ルウを作る工程がポイントで、ここが、難しい。具と水の量に対して、小麦粉の量をどの位にし、小麦粉をどのように炒めるか、辛味を決めるカレー粉をどの位入れるか、など、である。
大まかな目分量で、計量カップ1・5杯ほどの小麦粉を油で炒めた後、カレー粉を適当に加えて更に炒め、その後、煮汁で伸ばして、手造りのルウの出来上がりである。
写真は、炒めた手造りのルウを、煮汁で伸ばした時点での様子である。
このルウを、具と混ぜ合わせて、カレーライス用のカレーが出来上がったのだが、出来上がりを見ると、
・味が、どこか、粉くさく、舌触りがサラサラする
・とろみが少なく、汁が多い、カレースープになってしまった
など、合格点は得られなかったのだが、ここで、先生役の、家人に登場してもらった。
粉くささは、急ぎ過ぎたため、炒め方が不十分だった事が原因のようだ。弱火でゆっくりと、グルテンを切って、パラパラになるように炒めると、粉臭さが取れて美味しくなるという。
又、とろみに関しては、具の水の量に対して、小麦粉の量が足りなかったようで、小麦粉を、もう1カップ多くするぐらいが良かったようだ。
さすがに、長年、家族や子供たちに、数え切れないほど何度も、カレーを食べさせてきた家人の、面目躍如たるものがある。
市販のルウを使えば簡単なカレーなのだが、名誉挽回と後学のために、その内、再度、カレー粉からカレーライスを作ってみよう、と思っている。
○先日、興味深い、TV番組を見た。1月16日のNHKTVの
プロフェッショナル 仕事の流儀 「子供を鍛える、母の給食~佐々木十美」
で、北海道置戸町にある、町立給食センターで、長年、ずーっと、管理栄養士として、学校給食作りに従事して来た、佐々木十美さんの、生きざまが紹介されたのである。
給食だから、色んなメニューを用意する訳だが、年間で同じメニューは無いと言う。食育の一環として、栄養バランスを考えた上で、好き嫌いが無くなるように、色んな工夫を凝らす。
本物の美味しい給食を食べさせたい、という、実の親にも劣らない、子供達への、深い愛情とともに、野菜のヤーコンなど、郷土の産物を積極的に取り入れる姿勢は、立派だ。
置戸町は、北見市に近い、人口が4千人ほどの小さな町なのだが、知る人ぞ知る、佐々木十美さんは、畏敬の念を込めて、“給食の鬼”と親しまれる人であり、作る給食は、単価が、一食平均250円ながら、日本一の給食、と讃えられているようだ。
子供達の人気メニューの一つである、カレーライスも半端ではない。市販のカレー粉を使うと思いきや、何と、19種類ものスパイスを組み合わせて作るという本格派だ。本場のインドも顔負けの技だろう。
十美さんは、この春に、定年退職の予定で、技を伝授してきた、後任の若手の管理栄養士が、名物のカレー料理作りに苦戦する様子を、じっと陰から見守る姿が印象的であった。
十美さんの作った給食カレー
後日分ったことだが、佐々木十美監修の、「おうちで給食ごはん」という本が、北海道新聞社から、出版されているようだ。たかが給食、されど給食で、色んな意味で、教えられる事の多い本と思われ、近い内に、探して見ようと思っている。