2011年5月23日(月) 障子の貼り替え
つい先日、和室のガラス窓の内側に付いている、2枚の障子の、張り替えを行った。例年は、暮れの行事の一つとして行って来たものだが、この所、そのままにしてきた。部屋の中からは、調度などの陰に隠れて、破れ、は見えないのだが、外から見ると、かなり目立つし、紙の色も茶色っぽくなって来ていたので、張り替えることとした。2年半ぶりである。
障子から古い紙を剥がすのは、霧吹きで水を湿らせて暫くすると、比較的簡単に剥がれる。残っている糊と、桟に溜った埃を拭き取って、乾けば、こちらの準備はOKだ。
障子紙は、以前張り替えた時に、余って残っていたものが、かなりあったので、それを使うこととした。 障子紙は、一旦貼り付けて日が当たると、パリパリになって、弱くなるが、抽斗の中に仕舞っていたものは、そんなに品質は落ちないようだ。
障子のサイズに合わせて、巻紙状の障子紙を、左右の長さに合わせて切り、更に、縦方向に、桟の幅に合わせて切るのだが、これらが、結構、神経を使う作業である。
障子1枚目の、紙を切る作業を終えたところで、草臥れてしまったので中断し、2枚目については、次の日に、分けてやる結果となった。
この、障子紙の幅と、桟の幅とが一致していて、幅を合わせて切る作業が、不要になれば、しめた物なのだがーーー。
次に、糊だが、台所にある、天ぷら粉を、水で薄く溶く。粉の量と水の量は目分量だ。この溶液を、少し加熱すると、容易に糊が出来る。
問題は、刷毛である。以前、横長の専用の刷毛を使ったのだが、何処に収納したのか、探しても見当たらない。代わるものを、と思って物色したら、以前、子供が、学校の習字の時に使った、かなり太い、丸い筆が見つかった。
この筆を、何度も洗い、大丈夫と思って、出来た糊を延ばしていたら、鼠色の糊になってしまったのである。太い筆の芯の部分に、まだ、昔の墨が残っていたようだ。再度、筆をお湯に漬けて、丹念に洗い直し、糊も、つくり直し、となった。
ここにきて、漸く準備が整って、貼り方始め である。桟に糊を付ける時は、付け忘れが無いように、付け過ぎて垂れない様にと、神経を使う。桟に糊を付けて紙を貼り付ける作業は、糊が乾かない内に、手早くやる必要があり、家人との2人3脚である。障子紙を横に貼っていく時は、繋ぎ目に埃が積りにくいように、下部から上部に、貼り重ねて行った。
障子1枚 貼り終え
何とか、貼り終えて、仕上がりを見ると、紙の左右の長さが、少し違っていて、見栄えはあまり良くない。 が、障子を窓に嵌めた時は、桟が内側に来て、紙のこの部分は、どうせ、外側になるのだからと、気にしないこととした。貼り終えた時点では、皺だらけである。
糊が乾ききるまで待つと、最後に、“魔法の手” が登場する。 霧吹きで、障子に、軽く水分を含ませて暫くすると、あら不思議、紙が、ピーンと張って皺がなくなり、魔法を掛けたように、いい感じになるではないか! 長年、障子張りをやっていて、この瞬間が嬉しく、苦労が報われる思いを、味わうのである。
何時だったか、糊が乾ききる前に、待ち切れずに、霧吹きをやったものだから、貼り付けた紙が縮んでしまって、桟との間に、隙間が出来てしまった事があった。
昨日、ある集まりで、障子張りの面倒臭さ、を話題にしたら、或る人は、襖紙を貼ったらどうだろうか、と言う。でも、襖張りの時、内側に貼る薄い紙があるのかは知らないが、通常の外側の襖紙では、光が通り難いので、暗くなるのでは?
襖紙のように、大きな1枚紙になっていて、全体を一括して貼り付けるような、障子紙もあるのかな?
技術革新が進んでいる時代なのに、障子の張り替えについては、余り、以前と変わっていないのだろうか。障子のサイズの種類と、障子紙のサイズの種類との、関係は、どのように規格化されているのだろうか。
昨年は、2枚の網戸の張り替えを、近所のプロに頼んで、1枚当たり、3500円程で、やって貰ったが、障子の張り替えについても、近隣に、やってくれる業者は居るのだろうか。この場合、材料費は、ごく、僅かで、大半が、手間代となろう。自分の働きを知る参考までに、業者に頼めば、1枚、いくら位払うことになるのか、知りたいものだ。
今や、住宅の中での、和室の存在そのものが、かなり危機的状況にある中での、障子の運命は、今後どうなって行くのだろうか。日本文化の一つの形である和室では、畳は欠かせないし、障子は、その重要なパートナーでもある。
住環境の中での、紙、なかんずく、薄い模様の入った和紙の、柔らかさや、温もりは捨て難いものがあり、 和紙を使った障子には、畳を日焼けから守ると言う、重要な役目もある。
でも、畳は、当面は無くならないと思われるが、障子については、残念ながら、すりガラスなどに、置き換わっていくように、思われるのだがーーー。
つい先日、和室のガラス窓の内側に付いている、2枚の障子の、張り替えを行った。例年は、暮れの行事の一つとして行って来たものだが、この所、そのままにしてきた。部屋の中からは、調度などの陰に隠れて、破れ、は見えないのだが、外から見ると、かなり目立つし、紙の色も茶色っぽくなって来ていたので、張り替えることとした。2年半ぶりである。
障子から古い紙を剥がすのは、霧吹きで水を湿らせて暫くすると、比較的簡単に剥がれる。残っている糊と、桟に溜った埃を拭き取って、乾けば、こちらの準備はOKだ。
障子紙は、以前張り替えた時に、余って残っていたものが、かなりあったので、それを使うこととした。 障子紙は、一旦貼り付けて日が当たると、パリパリになって、弱くなるが、抽斗の中に仕舞っていたものは、そんなに品質は落ちないようだ。
障子のサイズに合わせて、巻紙状の障子紙を、左右の長さに合わせて切り、更に、縦方向に、桟の幅に合わせて切るのだが、これらが、結構、神経を使う作業である。
障子1枚目の、紙を切る作業を終えたところで、草臥れてしまったので中断し、2枚目については、次の日に、分けてやる結果となった。
この、障子紙の幅と、桟の幅とが一致していて、幅を合わせて切る作業が、不要になれば、しめた物なのだがーーー。
次に、糊だが、台所にある、天ぷら粉を、水で薄く溶く。粉の量と水の量は目分量だ。この溶液を、少し加熱すると、容易に糊が出来る。
問題は、刷毛である。以前、横長の専用の刷毛を使ったのだが、何処に収納したのか、探しても見当たらない。代わるものを、と思って物色したら、以前、子供が、学校の習字の時に使った、かなり太い、丸い筆が見つかった。
この筆を、何度も洗い、大丈夫と思って、出来た糊を延ばしていたら、鼠色の糊になってしまったのである。太い筆の芯の部分に、まだ、昔の墨が残っていたようだ。再度、筆をお湯に漬けて、丹念に洗い直し、糊も、つくり直し、となった。
ここにきて、漸く準備が整って、貼り方始め である。桟に糊を付ける時は、付け忘れが無いように、付け過ぎて垂れない様にと、神経を使う。桟に糊を付けて紙を貼り付ける作業は、糊が乾かない内に、手早くやる必要があり、家人との2人3脚である。障子紙を横に貼っていく時は、繋ぎ目に埃が積りにくいように、下部から上部に、貼り重ねて行った。
障子1枚 貼り終え
何とか、貼り終えて、仕上がりを見ると、紙の左右の長さが、少し違っていて、見栄えはあまり良くない。 が、障子を窓に嵌めた時は、桟が内側に来て、紙のこの部分は、どうせ、外側になるのだからと、気にしないこととした。貼り終えた時点では、皺だらけである。
糊が乾ききるまで待つと、最後に、“魔法の手” が登場する。 霧吹きで、障子に、軽く水分を含ませて暫くすると、あら不思議、紙が、ピーンと張って皺がなくなり、魔法を掛けたように、いい感じになるではないか! 長年、障子張りをやっていて、この瞬間が嬉しく、苦労が報われる思いを、味わうのである。
何時だったか、糊が乾ききる前に、待ち切れずに、霧吹きをやったものだから、貼り付けた紙が縮んでしまって、桟との間に、隙間が出来てしまった事があった。
昨日、ある集まりで、障子張りの面倒臭さ、を話題にしたら、或る人は、襖紙を貼ったらどうだろうか、と言う。でも、襖張りの時、内側に貼る薄い紙があるのかは知らないが、通常の外側の襖紙では、光が通り難いので、暗くなるのでは?
襖紙のように、大きな1枚紙になっていて、全体を一括して貼り付けるような、障子紙もあるのかな?
技術革新が進んでいる時代なのに、障子の張り替えについては、余り、以前と変わっていないのだろうか。障子のサイズの種類と、障子紙のサイズの種類との、関係は、どのように規格化されているのだろうか。
昨年は、2枚の網戸の張り替えを、近所のプロに頼んで、1枚当たり、3500円程で、やって貰ったが、障子の張り替えについても、近隣に、やってくれる業者は居るのだろうか。この場合、材料費は、ごく、僅かで、大半が、手間代となろう。自分の働きを知る参考までに、業者に頼めば、1枚、いくら位払うことになるのか、知りたいものだ。
今や、住宅の中での、和室の存在そのものが、かなり危機的状況にある中での、障子の運命は、今後どうなって行くのだろうか。日本文化の一つの形である和室では、畳は欠かせないし、障子は、その重要なパートナーでもある。
住環境の中での、紙、なかんずく、薄い模様の入った和紙の、柔らかさや、温もりは捨て難いものがあり、 和紙を使った障子には、畳を日焼けから守ると言う、重要な役目もある。
でも、畳は、当面は無くならないと思われるが、障子については、残念ながら、すりガラスなどに、置き換わっていくように、思われるのだがーーー。