ケイの読書日記

個人が書く書評

東野圭吾 「たぶん最後の御挨拶」 文藝春秋社

2019-07-05 16:24:01 | 東野圭吾
 東野圭吾のエッセイ集。この人、1958年生まれなので私と同い年だとは知っていたが、2月生まれなので、学年は1つ上なのだ。
 大学卒業してから、地元大阪を離れ、愛知県刈谷市にある日本電装にお勤めしていたので、名古屋市在住の私にとってはすごく親近感がある。(地元・大阪にいる時の話は『あの頃ぼくらはアホでした』に書いてある。これも、すごーーく面白い)

 このエッセイ集には、系統だったテーマはない。散文的というか…。それだけに東野圭吾の知らなかった面を、いろいろ垣間見ることが出来て楽しい。
 この人、奥さんの話が全然出てこないから、独身なのかしらん?と思っていたが、会社員時代に結婚している。そりゃそうだよ。日本電装に勤めている技術者で、背が高くなかなかのハンサム、しかもスポーツも得意!女がほかっておくはずはない。
 でも、30歳代終わりころには離婚している。その後からだね。どんどん売れ出したのは! 奥さん、離婚して残念がってるんじゃないの? あははは。(失礼!)
 すごく多作の作家さんだから、昔からいっぱい売れてたかと思えば、江戸川乱歩賞をとった『放課後』以来、まったく増刷にならなかったそうだ。でも注文は途切れずあったようなので、出版社からは注目されてたんだろう。

 東野がデビューしてからしばらくして、綾辻行人をはじめとする新本格の作家さんたちが続々とデビューして、一大ブームになった。彼らは、元々圭吾の地元の大阪や京都の出身で、デビューしてすぐに大勢の読者を獲得し、華やかな存在だった。こういう所も、圭吾の心中穏やかではなかったと思われる。 
 でも今は、新本格派のブームも落ち着き、東野圭吾が一番売れてる作家ではないか? 世の中は分からない。

 ただ、東野圭吾ですら「本が本当に売れない時代」と嘆いている。読者には、本を買ってくれと訴えている。図書館で無料で本を借りられるのは結構なことだが、皆がそうやって本を買わなくなると、本を作る事が出来なくなる、と。
 分かる。その通りだと思う。私も以前は月に5000円くらい書籍代に充てていたが、今は経済的にきついので図書館オンリーになってしまった。でも、あと2~3年したら、少し余裕ができると思うので、その時から買うようにします。待っててね。
 ただ私は、本屋さんには悪いけど、電子図書を買おうと思っている。トシを取ってくると、本の重さがつらくなるだろうから。

 そうそう、意外な事に東野は猫好き。このエッセイ本のカバーに圭吾の描いた猫の絵が載っている。それが結構、上手なのだ。ビックリ!!

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