ケイの読書日記

個人が書く書評

奥田英朗「ララピポ」

2013-04-09 14:42:55 | Weblog
 「ララピポ」って何だろうと思い、手に取る。
 外国人が「a lot of people」を早口でしゃべると、日本人には「ララピポ」と聞こえるようだ。

 一種の犯罪小説なのだが、金塊強奪とかビル爆破とか、そういった派手な犯罪ではない。 
 格差社会の底辺でうろうろしているうち、ショボい犯罪に手を染めていくというパターン。

 例えば、第4話には、ノーと言えないカラオケボックスの店員・青柳が出てくる。
 青柳は家賃6万円のアパートに住んでいて、何人もの新聞の勧誘員にしつこく食い下がられ、なんと一般紙を3紙、スポーツ紙を1紙、取る羽目になるのだ。
 その他も、しつっこいセールスマンに迫られ、浄水器やフライパンのセット、ジェットバス、どんどん契約させられていく。

 アホか!あんたは!!!   セールスマンがどんどんドアを叩いても、決して出るんじゃない!  居留守使えばいいんだよ! 耳栓して、布団かぶって寝てればいいの。なんで律儀に対応するのか理解できない。

 セールスってのは、ドアを開けたら、もうすでにセールスマン側が8割方、勝利しているといわれる。
 ドアを開けさせるために、「玄関の前に100円玉が落ちてましたが、あなたのではないですか?」なんて嘘をつくセールスマンもいると聞く。

 とにかく「ドアを死守せよ!」と、小説の中に飛び込んで、青柳に大声で説教したくなりますね。

 これも、認知症のお年寄りに群がる悪徳セールスマンと同じで、あそこの住人はガードが緩い、押せばなんとか契約できるという噂が、同業者の間に広まるからだろう。

 この青柳のバイト先のカラオケボックスも、援助交際の子たちを断りきれず、売春宿のようになってしまう。
 青柳、断れないんだったら、逃げろ!!  

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