ケイの読書日記

個人が書く書評

酒井順子 「徒然草REMIX」

2015-09-15 14:39:01 | Weblog
 吉田兼好の『徒然草』は、中学の教科書に載ってるし、高校受験によく出題されるというので、問題集も買った覚えがある。
 だから、昔に読んだことはあるんだが、全く面白いと思った事はない。ただ、子ども心に「大人になってから読めば、面白いと思うかも…」と感じてはいた。
 で、人気エッセイストの酒井順子さんが、REMIX(お色直し)した『徒然草』を読んでみたのだが…残念!さほど面白いとは思えないなぁ。


 吉田兼好は、若い頃は宮中にも仕えた貴族階級出身者だが、時は鎌倉時代。すっかり武士の世の中で、公家には実権は無い。でも、気位だけは高く、東国の武士たちの事を田舎者と見下す。(ここら辺の所は、現代の京都人の東京に対する感情と、大して変わらないかも)
 表紙の帯に、「にじみ出る自意識・あふれ出る自慢話」とあったけど、本当にそう! 自分では謙虚なつもりかもしれないが、謙遜話にはなってない!


 悪口ばかりで、これでは何のための読書ブログか、と不満に思われるかもしれないので、とっても楽しい第68段のお話を一つ。

 筑紫にいた、ある押領使(地方の反乱軍をおさえる任務)が「なんにでも効く素晴らしい薬だ」として、毎朝欠かさず、大根を焼いて食べていた。
 ある日の事、屋敷の中に誰もいない時を狙って、敵が攻めてきた。すると、誰もいないはずなのに、屋敷の中に二人の兵が登場し、敵を追い散らしたではないか。押領使は不思議に思って「ところで、あなた方はどちらさまで?」と尋ねると、二人は「長年、あなたが信頼し、毎朝召し上がっている大根でございます」と言って、どこかへ消えてしまった。

 驚きました! 「大根の恩返し」  鶴でも猫でも犬でもなく、大根が恩を返してくれたのです。すごいなぁ。野菜が恩返しする話って、他にもあるんだろうか?

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