本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

遠くなりにけり

2018-12-19 09:05:14 | Weblog
 『文藝春秋』新春特別号に阿刀田高氏は「高校国語から文学の灯が消える」という題の文がある。文科省の学習指導要領の批判である。その論及はもっともである。関心があればお読みください。
 
 たまたまこの中で、中村草田男の「降る雪や 明治は遠くなりにけり」について触れていた。この句は昭和6年作で明治からほぼ20年経つ。

 多田富雄著『落葉隻語』は2010年4月20日第1刷印刷、5月10日第1刷発行とある。通常、奥付に印刷年月日を入れない。それでも「第1刷印刷」の日を記したのは、著者が翌4月21日に亡くなっているのではないか。偶然というより作為的にしたことだろう。
 
 余計なことを書いたが、この随筆に例の「降る雪や…」の句を取り上げている。「昭和は遠くなりにけり」の思いを言いたかったようだ。
 ほかにもこの句を引き合いにしたエッセイを読んだことがある。だが、それらの本の名も著者も忘れた。
  
 この名句に擬して、20年も経てば「平成は遠くなりにけれ」といわれるかもしれない。