ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

『カシャッ!』

2013-09-24 08:45:54 | 日記
古い農機具に『ゆり板』というものがあるそうです。
「風土記」の講座で学びました。
籾と玄米を選り分けるために使われた機具とのことです。

この『ゆり』と言う意味は、ゆり動かすの『ゆり』、つまり、稲の魂をゆりうごかして実を選り分ける機具なのだそうです。
なるほどと感じいりました。
昔の人たちの農耕にむかう姿勢・こころのあり方とは、こういうものであったのか、と深く感動しました。
単に、生産物を、収穫物としてとらえるのではない、この自然とのかかわり方、その営みの豊かさに感動したのです。

しかし、古い時代の生産性は低く、時に、干ばつや冷害に見舞われ、いのちの存続さえ危ぶまれることも多かったことを考えますと、単に「昔は良かった」などとの賞賛はできかねます。
また、生産のあり方を昔に戻せなどと言うつもりも、まったくありません。
でも、この、「実り」とのかかわり方は、生産性が高くなった現在でも忘れてはいけない大切な事がらなのでしょう。

講座を終えての帰り道、色づきはじめた田んぼの稲を、クルマの窓から眺めていましたら、
何だか稲穂に挨拶したくなってきましたので、クルマから降りました。
農道に立ち、空に向かって背伸びと、深呼吸を一つ。
「稲穂さん、おいしいお米になって下さい」と、呼びかけましたら、風が、涼やかに通り過ぎて行ったみたいです。
『魂をゆりうごかす』
いい言葉です。
カメラを持参しませんでしたので、磐梯山をバックに、色づきはじめた稲穂を、心のシャッターで、『カシャッ!』
いい写真が撮れました。
あたたかい色合いの映像を持ち帰りました。
しばらくの間は、ゆっくりと楽しむつもりです。
                           〈ゴマメのばーば〉

コメント
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