ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

【……残す月影】

2013-09-21 07:57:31 | 日記
九月十九日。仲秋の名月。
「お月見」と、呼ぶほうが私は好きです。

今日、『八重の桜』のヒロイン、新島八重のふるさと、会津若松へ行ってきました。
ついでに、所用が早く片づいたので、鶴ヶ城の周辺を、ぶらりと散歩。
お城の庭には、八重が詠んだ歌の碑が立っていました。
【明日の夜は 何国の誰か ながむらん 慣れし御城に 残す月影】
明治元年(1868年)会津藩降伏の日の夜、鶴ヶ城三の丸、雑物蔵の壁に、八重は涙を流し、かんざしで刻んだということです。
お城の辺りを、ゆっくり散策してから、観光者のための小さなバスに乗せてもらい、JR会津若松駅まで来たのですが、途中、原発事故のため、避難している方たちが住む「仮設住宅」のすぐ脇を通りました。
外壁は会津産の木材を使用したとか、どこか、柔らかい質感の感じを持つた佇まいでしたが、避難生活の困難さは、いずれの仮設住宅に住む方たちも同じであることでしょう。
早く、ふるさとに戻ることができれば、と念じて通り過ぎました。

九月も半ばを過ぎると、日足はめっきり速くなって、夕方5時を回ると、辺りは、もう日暮れの色あいを帯びてきます。
高速バスに乗り、帰路につきました。
座席は一番前、フロントガラスを通して、東の山から登りはじめた月、丸くて大きな「お月様」と呼びたい月が見えました。
お天気良し、空良し、磐梯山良し、樹々のたたずまい良し、レストランのコーヒーとケーキ良し、日暮れ良し……と、バスの中で、今日の一日を、味わいなおしてみたのです。

高速バスを降り、我が家に戻る途中で〔お月見だんご〕を買いました。
少し、お月様は昇りすぎていましたが、庭のすすきと一緒に、お供えしました。

遅めの夕飯を済ませ、少し早めに寝ることに。
早く床についたせいか、夜半に、ふと、目覚めてしまいました。
窓のカーテンが、月の光に染まっています。
カーテンを開け、天頂を少し回ったお月様を、しばらく眺めました。
会津若松の仮設住宅から、独り暮らしの高齢者が、目覚め、あるいは寝つかれず、この月を見ているかもしれないと思うと、切なくなりました。

九月十九日。仲秋の名月。
八重さんが見た月、私が見る月、仮設住宅で見る月。
さまざまな思いで、見上げるお月様。

20日、毎日新聞朝刊、一面に載っていた小さな写真。
【中秋の名月五輪祝福】と。
さまざまな月。さまざまな……。
〈ゴマメのばーば〉

コメント
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