外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

円の売越しシフトは鮮明、ユーロは買越しの手仕舞い継続-IMM分析活字版

2014-06-10 18:53:55 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週もIMM取組残高分析活字版をお送りします。

今回の番組で使用する最新データは、6月03日のIMM市場が終了した時点のものです。
前回データから今回データまでのドル円相場は、100円台後半までの円高相場が終わり、切り返しの第一波動を終了したところから始まりました。直後は調整の反落が先行しましたが、第一波動のピークを越えて続伸したところで終わっています。
前回は僅かに円安へシフトする兆しが在りましたが、実際に円安はもう一段すすむことになりました。相場通りIMMポジションはドル買いを積み上げたのか、早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参りましょう。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は、本年最安値から2週連続して切り上げました。ドルの買い越しも74218コントラクトに増加しており、久しぶりに円安相場に対して敏感に買い越しを増やしています。
底打ちと断定するのはまだ早いという印象はありますが、相場が多少反落してもドル買いが増えているようなステージが確認できれば、底打ち感も一段と強まるでしょう。

<全通貨別ネット残高推移>
次に、各通貨のネット残高のグラフです。

円は、加速度的に円売りを強めていました。100円台を付ける円高が急伸した後だけに違和感は残りますが、相場の急上昇はポジションを伴っており、市場は再び円安を志向し始めている可能性は充分察知できる状況です。

ユーロも、予想通り売り越しを強めた状況が判ります。市場規模が大きいだけにこの程度ではブルベアにはあまり大きな変化はないと思いますが、後程詳しく見てみましょう。

その他ではメキシコペソが、依然として快調に買い越しを積み上げています。ユーロの金融緩和観測が手伝って高金利通貨の買い越しが根強くなり、豪ドルも買い越しを増やす結果になっています。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
続けて、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフをみて行きましょう。

先ず円は、この3週間で円買いから円売りへシフトした状況が良く判ります。
ブレークダウンを確認しますと、円売りを伸ばしているばかりか、円買いを一段と手仕舞う動きとなっており、ブルベアも一気にロングの割合が13%まで下がっています。

ユーロは、売り越し基調が継続し、前週の倍額が今回売り越されています。
ブレークダウンから、今回の売り越しは買い越しの手仕舞いが主たる原因になっていますが、売り越しも3週連続して微増となっており、ユーロ売りへシフトしていました。ブルベアは4対6程度でベアが優勢という程度に留まっており、ベアが続伸する地合いは充分に残されています。

豪ドルは、買い越しに返り咲いています。
ブレークダウンでは、前回市場規模が拡大したあと、今回買い越しへシフトした格好となっており、買い越し地合いへの兆しを暗示しています。ブルベアは6対4でブルが優勢という程度で収まっており、ブルが続伸する地合いは残されています。

ほかに関して簡単に触れておきます。
ポンドはブルが6対4から4ポイント優勢なまま、前回から僅かにブル・ベア共に市場規模を拡大しています。ここからの展開については上下のにらみ合いが継続しそうです。

メキシコペソは、円並みの極端なアンバランスが継続しています。売り越しも僅かながら3週連続して増加傾向にあり、警戒感が芽生えている兆しが伺えます。ペソ自体の流動性を考えると、円を上回る買い越しは異常な事態であることは間違いなく引き続き要注意です。

<総括と考察>
さて、先週の為替相場は、ECBが利下げを行いマイナス金利の導入に踏み切るなど、金融緩和を一段と推し進める一方、アメリカの雇用統計は底堅い結果で、月初のイベントが終わりました。

このイベントの結果は、本日締め切られるデータに反映されるわけですが、相場が大きく動いたのはユーロに留まり、一時は大幅に売られたものの、直後には大幅に買い戻され、方向感のない乱高下で終わりました。次回、ユーロの売り越しがどの様に変化しているのかが注目される一方、円とペソのアンバランスは異常な状態が継続しています。

円は3週前の円高で、目先の売り越し残高が確認できた一方、ペソは2月中旬あたりから新興国リスクの後退に伴って、調整らしい調整もなく、ここまで来ています。円はブルべアが示す程、目先のアンバランスはニュートラルだと考えられる一方、ペソについては未知な部分があります。

雇用統計の結果を受けて、アメリカの長期債の利回りは下げ止まる動きとなっており、金利先高観が強まれば、ユーロや円は対ドルで売り越しを積み上げ易い状況に加えて、そもそも流動性が低いペソの極端な買い越しというアンバランスは、金利差縮小の見通しから売り圧力が掛かりやすい状況になるでしょう。

アメリカの長期金利の動向には、これまで以上に注意が必要になっており、今週はこうした背景からドル買いへのバイアスの変化に注目したいと思います。