今日寛元四年四月十五日は御嵯峨天皇が孔雀経法で霊験を現した道深法親王に御宸筆を出された日。
以下「宸翰英華」等によります。
御嵯峨天皇在位四年目の寛元三年は大歳・害気・太陰の三神の合する三合の厄年に當り年初より客星・彗星の出現が相次ぎ地震も頻発した。朝廷に於いては御謹慎深く、公卿を召して善政を評定せしめられるとともに歴代天皇の陵に宸筆の告文を奉じて祖霊の冥助を仰ぎ、諸寺に仰せて祈祷を行わしめた。後堀河天皇の皇兄にて仁和寺の金剛定院御室道深法親王は勅命を受けて二月十八日より七か日内裏に於いて孔雀経法を修せれられたのをはじめ数々の祈祷を奉仕されれた。その精誠の致すところから寛元四年になっては気候も順当になり天皇も正月二十九日に予て念願であった譲位を行われた。この御消息はその御満足の思し召しを伝えられたもの。端裏に道深法親王の御筆で「仙洞御所
孔雀経法事、叡感あり。寛元四年」とある。なお受取人の道深法親王 は鎌倉時代の真言僧、後高倉院の第2王子で後嵯峨天皇は甥にあたる。建保4年仁和寺で出家。寛喜2年道助入道親王より灌頂をうけ、寛喜3年仁和寺門跡。金剛定院御室と称された。
「御嵯峨天皇宸筆御消息 仁和寺蔵 国宝」
「去年三合の厄運、両度之變異、恐惶之處、静謐之條、誠是大法之霊験也。之に加えて今年之体の為、風雨時を失せず。是又
護摩之利益歟。法力之至、謝する處を知らず。覲賞の事に於いては忩て仰せらるべし。毎事面拝被候。 四月十五日」
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