民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

池上彰の話をきく

2016-07-02 17:37:17 | 教育

退職すると、退職者の団体がいくつもあって入会を勧めてきます。そんな仲良しクラブに退職してまで属する気はないので、全て断るつもりでしたが義理のために断れず1団体だけ入会しました。信濃教育会賛助会というものです。教員の職能団体である信濃教育会に入会していて退職した者が、希望して加入する団体です。信濃教育会は色々と問題があり、というか戦争協力についてきちんとした総括をしていないのが気に入らないし、年寄りがはばをきかすうっとうしい雰囲気もいやです。役員やりながらそういうのも、おかしいのですが。それでも、教員の自主的研修団体として一縷の望みももっています。その信濃教育会の総集会が今日松本であり、賛助会の受付をやってほしいとのことで、朝から参加しました。午前中はパネルディスカッション、午後は池上彰氏の講演会でした。

午前のパネルディスカッションのパネラーの一人は、退職時に勤務していた小学校の先生で、その後山間の小さな学校に転勤し、学級崩壊したクラスを担任している苦労話をしてくれました。私の学校では高学年の担任をしてもらいました。よく外遊びのできるクラスで、朝早くからそのクラスの仲間は校庭で遊んでいました。そして、職員室の窓をたたいては担任の先生を呼び、何ができるようになったとか、何くれとなく話をしたがっていました。その都度先生は、またー、なんだよー、とかいいながら、うれしそうにクラスの子どもたちに対応していました。いい関係だなーと、いつも私は見ていました。その先生が、山の中の8人ばかりの子どもたちと奮闘しているというのです。大丈夫、あの先生が担任なら絶対子どもとの関係はよくなると思いました。帰りがけにその先生が私に声をかけてくれたので、大丈夫だとお伝えしました。

さて、池上彰氏の講演です。3年頼んでいよいよ断れなくなり、引き受けてくれたそうです。演題は、「『いい答え』ではなく『いい問い』を~これからの学力を考える~」というものでした。2時間もの間、あきさせず話に引き込む話術は、慣れているなと思わせられるものでした。ポイントがいくつもあって一口ではいえないのですが、印象に残ったフレーズとして「すぐ役にたつもの(知識)はすぐ役に立たなくなる」という、MITを取材したときにいわれたという言葉がありました。学校で教えてくれるのは、今役に立たなくとも人生のどこかであああの時のことが役に立ったと思えるようなものだというのです。それから、週刊子どもニュースを十年以上もやって、自分の説明では子どもがわからないとということを学ばせてもらったといいます。子どもに教えるつもりが子どもから教わったということです。それから、今は東工大で教えているが、単位の認定が厳しく4割も落としたので、800人もいた受講希望者が、何年かで40人に減ったということ。東工大あたりでも、文章が書けない学生がいるというのは意外でした。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿