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フリッチャイ同曲異演、同演異盤 その61

2024-08-09 08:09:47 | フリッチャイ
【フェレンツ・フリッチャイ生誕110年】
○ヴェルディ レクイエム
セッション録音1種とライヴ録音2種の3種があります。
(1) シュターダー(S)、ラデフ(A)、クレプス(T)、ボルイ(Bs)
  RIAS交響楽団・室内合唱団、聖ヘドヴィッヒ大聖堂聖歌隊 1953年9月22~26日(セッション録音、DG)(M)

(2) グリュンマー(S)、ブラッター(A)、クレプス(T)、グラインドル(Bs)
  ベルリン市立歌劇場管弦楽団、RIAS室内合唱団、聖ヘドヴィッヒ大聖堂聖歌隊 1951年1月26日(ライヴ録音、Andromeda)(M)

(3) シュターダー(S)、ドミンゲス(Ms)、カレッリ(T)、サルディ(Bs)
  ベルリン放送交響楽団、聖ヘドヴィッヒ大聖堂聖歌隊 1960年10月23日(ライヴ録音、DG)(M)


演奏時間
 (1) 75’24
 (2) 87’49
 (3) 92’20

演奏について
ヴェルディのレクイエムは、ロッシーニのスターバト・マーテルと同様、フリッチャイが好んで演奏した宗教曲で、この曲についてのフリッチャイの姿勢が窺える次の二つのエピソードがあります。一つは彼の自伝で、フリッチャイはヴェルディのレクイエムを聴くこと、指揮することは「この作品から涙と慰めの体験を与えてもらえるからです。」と述べています。二つ目は、フリッチャイがイスラエルでこの曲を演奏した際、イスラエルの担当者のラディスラウス・パータキが「彼はこの曲によって祈りをささげているのであり、たんに音楽的に演奏しているのではありません。激情や華美さの代わりに、内面性、精神性そして神への帰依が表現されました。」とコメントしています。(いずれも「フェレンツ・フリッチャイ 理想の音楽を追い続けて」から)
(3)がスバ抜けて素晴らしい演奏です。晩年特有の陰影の濃いスケールの大きい演奏で、フリッチャイ自身がこの曲の出だしを「最初の数小節に、ほとんど光の届かぬ地下納骨堂に下りていく人を想起した」(「フェレンツ・フリッチャイ 理想の音楽を追い求めて」)と表現したように、なんとも重く暗い雰囲気で始まります。「キリエ・・・」と始まるところでは、3番目に歌うシュターダーだけテンポを落とすなど細かいところにも気を配っています。終曲の「リベラ・メ」では、最後の盛り上がるところで徐々にテンポを上げ急速になっていきますが、クライマックスでは逆に大きくテンポを落としています。それはまるで息も絶え絶えに力を振り絞っているようで、とても痛々しいです。(1)は速めのテンポでぐいぐい引っ張っていく集中力の高い演奏で、(3)とは正反対です。(2)は、ヴェルディ没後50年を記念して開かれた演奏会のライヴ録音で、これも良い演奏と思います。この頃の演奏としては、思いのほか速くなく、晩年の演奏より遅い箇所もあります。「怒りの日」での大太鼓が弾力のある音で、インパクトがあります。

(2)の音質について
「怒りの日」や「たえなるラッパ」など音が歪む箇所が散見されます。

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