今日はイェジー・セムコフ(Jerzy Semkow/1928~ )がセントルイス交響楽団の音楽監督時代にレコーディングした「シューマンの交響曲全集録音」を取り上げてみたいと思う。セムコフはポーランド出身の指揮者で古くはエフゲニー・ムラヴィンスキーの助手も務めていた。その後彼は祖国ポーランド国立歌劇場等の音楽監督を経てアメリカに渡り1975年より79年までこのセントルイス響の音楽監督を務めた人である。現在はフランスの市民権を得てパリに居を構え今も現役で活躍している。彼は古典派の音楽から現代音楽までこなす多彩なレパートリーの持ち主だが特に「ロマン派」の音楽は得意にしておりこのシューマンの録音も素晴らしい。録音は1976年に行われておりオリジナルLPは1977年に「米VOX」からリリースされていた。因みに写真(上・下)はその後1986年にデジタル・リマスターされたCD盤である。(MWCD7116-「第1番・第2番」/MWCD7117ー「第3番・第4番」)
演奏は全曲を通じて派手さはないがオーケストラを巧みにバランスよくドライブしていくところに魅力を感じてしまう。またセントルイス響の管楽器群の響きのたおやかさも心地良い。また余談ながらこのCD、発売当時としては珍しい「紙ジャケ仕様」でこれも大変魅力的であった。尚、現在では「NAXOS」レーベルで入手可能のようである。