ヘルベルト・フォン・カラヤンの巧さが光る「管弦楽曲名演集」を1枚紹介したい。それは彼が1967年にベルリン・フィルと録音したリストとスメタナの管弦楽曲集である。(写真-日本グラモフォンMG2048)収録曲はリスト(Franz Liszt/1811~1886)/交響詩「レ・プレリュード(前奏曲)」(Les Préludes)、「ハンガリー狂詩曲第2番」(Ungarische Rhapsodie Nr.2),スメタナ(Smetana/1824~1884)連作交響詩「わが祖国」から第1曲「高い城」と第2曲「モルダウ」の4曲である。カラヤンは何を振ってもそつなくこなしてしまう指揮者だったが特にこのような作品は非常に彼の繊細さが光り巧かった。リストの「前奏曲」は名演中の名演といっても過言ではないと思う。彼はこの曲を3回(フィルハーモニア管弦楽団(1958)と1回、ベルリン・フィルとこの録音も入れて2回(1967/1983)録音しているが私はこの67年の演奏が好きである。また、ハンガリー狂詩曲は元来原曲はピアノ曲だが第2番は管弦楽編曲版の方がポピュラーになっているかもしれない。スメタナの「モルダウ」はカラヤンが特にお気に入りだったらしく実にこの録音も含めてベルリン・フィルで5回、ウィーン・フィルで1回、計6回レコーデイングしている。残念ながら連作交響詩「わが祖国」全曲の録音はされなかった。「高い城」、「モルダウ」と聴いていくと次が聴きたくなる気分になるのは私だけではないだろう。このLPのジャケットも私の気にいっている1枚である。