私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

歴史的名盤ーマルケヴィチのストラヴィンスキー「兵士の物語」

2008-12-12 21:50:14 | 歴史的名盤
 イーゴル・ストラヴィンスキー(Igor Stravinsky/1882~1971)の異色的な作品「兵士の物語」の歴史的名盤を紹介したい。それは、鬼才イーゴル・マルケヴィチ(Igor Markevitch/1912~1983)が語り手ジャン・コクトー(Jean Cocteau/1889~1963),悪魔ピーター・ユスティノフ(Peter Ustinov)、兵士ジャン=マリ・フェルテ(Jean-Marie Fertey)、王女アンヌ・トニエッティ(Anne Tonietti),演奏、アンサンブル・ド・ソリスト(Ensemble de Solistes)で1962年に録音した名演である。この時、語り手を務めたジャン・コクトーは73歳で亡くなるちょうど1年前であった。この作品が作曲されたのは1918年でちょうど歴史的には第1次世界大戦の末期のころにあたる。「語られ、演じられ(パントマイム)、踊られる」舞台作品で物語を簡単に要約すれば一人の兵士が故郷へ帰途に悪魔に出会い一度は幸福をつかむが最後は悪魔の呪いにより連れ去れてしまうという内容である。この異色な作品を生むきっかけとなったのは1915年スイスの小説家ラミューズとの出会いであった。ストラヴィンスキーはその当時興味を持っていたアレキサンドル・アファナシェフが編纂したロシアの民話集の中から「悪魔」を題材にしたこの物語を選びラミューズにテキストを依頼したのである。ラミューズはロシア語ができなかったのでフランス語でテキストを作成した。また演奏者にトランペットの名手モーリス・アンドレが含まれていることもこのCDの魅力でもある。現在は対訳付きで廉価盤になっているので未聴の方にはぜひお勧めしたい。

私の好きなオぺラ ~(4) ワーグナー 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」

2008-12-12 00:44:49 | オペラ
 今回取り上げるワーグナー(Richard Wagner/1813~1883)の楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の主人公靴屋の親方ハンス・ザックス(1494~1576)は実在の人物である。この人は伝え聴くところによると詩人で今で言う学識豊かな人物で当時(16世紀)の民衆芸術に新風を運んだと言われている。ワーグナーがこの作品の台本・作曲に取りかかったころ(1862)批評家のハンスリックは彼の新作に対し激しい批評で攻撃した。当然、作曲者ワーグナーは気分を害しこの楽劇に市の文書官の役ージクストゥス・ベックメッサーをハンスリックになぞって皮肉ったのである。主人公のハンス・ザックスを作曲者自身に置き換えれば理解できる。ワーグナーのオペラ作品はいわゆる歌劇から総合芸術の楽劇へと発展させたもので演奏時間も長時間を要するためレコード・CDを一気に聴くことは大変な疲れを生じる。若い時代はまだよかったが最近は2~3日に分けて鑑賞するようにしている。例外にもれずこの「マイスタージンガー」も全曲全3幕で約4時間を要する大作である。ニュルンベルクの旧市街は周囲約5kmほどの城壁に囲まれ中世の面影を今も味わうことができるまさにマイスタージンガーの世界である。ワーグナーのゆかりの地バイロイトからもそう遠くはない。さて私の愛聴盤はやはりヘルベルト・フォン・カラヤンが戦後初1951年にバイロイト音楽祭が再開された時に録音したライブ盤独EMICHS7635002である。(写真、右は当時1951年のバイロイト音楽祭復刻公式プログラム)この演奏はハンス・ザックスにオットー・エーデルマン、ベックメッサーにエーリッヒ・クンツ、ワルター・フォン・シュトルツィングにハンス・ホップフ、エヴァにエリザベート・シュワルツコプ他バイロイト祝祭管弦楽団・合唱団である。モノラルながら会場の雰囲気がたっぷりと堪能でき私には申し分ない。