先頃NHKクラシカルからヘルベルト・フォン・カラヤン生誕100年を記念しカラヤン来日公演を収録した9CD+1DVDの記念BOXがリリースされた。いずれも初CD化、DVD化である。実際私が会場に足を運んだ演奏会の録音も含まれている。内容はいづれもNHKアーカイブスに残されていたものでCDは1957年のベルリン・フィルとの初公演、1959年ウィーン・フィルとの最初で最後の日本公演、1979年ベルリン・フィル/ウィーン楽友協会合唱団との公演、DVD映像では1966年ベルリン・フィルとのベートーヴェン「コリオラン」序曲、1973年ドレス・リハーサル風景や当時のニュース映像等々。その中から特に印象に残った1957年ベルリン・フィルとの11月6日/日比谷公会堂における演奏ベートーヴェン交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」について雑感を書いてみたい。たとえが適切ではないかも知れないが硬筆で描いた画のような印象を持った。レガート的奏法を好むカラヤンだがこの演奏では第1楽章ちょっとテンポもあおりすぎ若干の違和感を感じた。第2楽章以降徐々にペースを取り戻し後半の2つの楽章は面目躍如といったところか。次に驚かされたのは解説書によるとこの演奏については放送用保存テープがなく家庭のエア・チェックテープが音源ということである。当時AMで放送されたエアー・チェックーモノラル・オープン・フルトラックテープから後年カッセット・テープに保存されていたものを使用したそうである。さらに驚いたことにはエア・チェックで第2楽章の冒頭の音の欠落も後に出てくる同形の音で補正したとのこと、聴いてみてほとんどなんの違和感も感じさせない現在の編集技術には感心させられた。また当時のAM放送の音のよさにも改めて驚かされた。実にすばらしい音なのである。ノイズがほとんど気にならない。
最後に欲を言えば1973年来日時のブルックナー交響曲第7番、R.シュトラウス交響詩「英雄の生涯」、シェーンベルク「淨夜」、ベートーヴェン「英雄」(こちらの演奏のほうが尚すばらしかったと思う)等々もこのBOXにあったらなお満足できたのに・・・
最後に欲を言えば1973年来日時のブルックナー交響曲第7番、R.シュトラウス交響詩「英雄の生涯」、シェーンベルク「淨夜」、ベートーヴェン「英雄」(こちらの演奏のほうが尚すばらしかったと思う)等々もこのBOXにあったらなお満足できたのに・・・