私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

NHKクラシカル「カラヤン生誕100周年記念BOX」から

2008-12-03 21:40:52 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 先頃NHKクラシカルからヘルベルト・フォン・カラヤン生誕100年を記念しカラヤン来日公演を収録した9CD+1DVDの記念BOXがリリースされた。いずれも初CD化、DVD化である。実際私が会場に足を運んだ演奏会の録音も含まれている。内容はいづれもNHKアーカイブスに残されていたものでCDは1957年のベルリン・フィルとの初公演、1959年ウィーン・フィルとの最初で最後の日本公演、1979年ベルリン・フィル/ウィーン楽友協会合唱団との公演、DVD映像では1966年ベルリン・フィルとのベートーヴェン「コリオラン」序曲、1973年ドレス・リハーサル風景や当時のニュース映像等々。その中から特に印象に残った1957年ベルリン・フィルとの11月6日/日比谷公会堂における演奏ベートーヴェン交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」について雑感を書いてみたい。たとえが適切ではないかも知れないが硬筆で描いた画のような印象を持った。レガート的奏法を好むカラヤンだがこの演奏では第1楽章ちょっとテンポもあおりすぎ若干の違和感を感じた。第2楽章以降徐々にペースを取り戻し後半の2つの楽章は面目躍如といったところか。次に驚かされたのは解説書によるとこの演奏については放送用保存テープがなく家庭のエア・チェックテープが音源ということである。当時AMで放送されたエアー・チェックーモノラル・オープン・フルトラックテープから後年カッセット・テープに保存されていたものを使用したそうである。さらに驚いたことにはエア・チェックで第2楽章の冒頭の音の欠落も後に出てくる同形の音で補正したとのこと、聴いてみてほとんどなんの違和感も感じさせない現在の編集技術には感心させられた。また当時のAM放送の音のよさにも改めて驚かされた。実にすばらしい音なのである。ノイズがほとんど気にならない。
 最後に欲を言えば1973年来日時のブルックナー交響曲第7番、R.シュトラウス交響詩「英雄の生涯」、シェーンベルク「淨夜」、ベートーヴェン「英雄」(こちらの演奏のほうが尚すばらしかったと思う)等々もこのBOXにあったらなお満足できたのに・・・
 

冬の夜に聴くシェーンベルクの「清められた夜」

2008-12-03 10:55:52 | 新ウィーン楽派
 冬の夜に聴く私好みの音楽をもう一つ紹介したい。それは新ウィーン楽派シェーンベルク(1874~1951)の「清められた夜(浄夜)」作品4である。新ウィーン楽派とは20世紀初頭、調性をなくし無調主義や十二音技法を唱えた一派ーシェーンベルクを代表とするウェーベルン、ベルクなどの作曲家をさす。ただ今回紹介するこの作品はシェーンベルクの初期作品(1899)にあたりまだ十二音技法は使用されていないため後期ロマン派の影響が残っており聴きやすい音楽である。原曲は弦楽六重奏曲であるが後に弦楽合奏版に編曲されており現在ではこの版での演奏機会が多い。作品内容はリヒャルト・デーメール(1863~1920)の詩集「女と世界」の「淨夜」に基づく音楽である。詩は互いに愛し合っている男女二人が月夜に照らされた冬の木枯らしの中を歩きながら会話する様子が描かれている。女は妊娠しており他の男との間の子供だと話す。男はそのことを気にせずその子供の将来を祝福するというものである。シェーンベルクは二人の男女の対話と歩みを音楽に描写した。
 私は今から31年前の今日1977年12月3日第137回読売日本交響楽団定期公演(東京文化会館)でズービン・メータの指揮でこの曲を聴いている。(メータサイン入りプログラム/写真)メータはこの作品を得意としておりレコード録音も当時音楽監督を務めていたロサンゼルス・フィルハーモニックと行っている。私もこのLPの演奏(写真)が好きで現在も愛聴している。録音はカリフォルニア大学のロイス・ホールでされたもので大変にすばらしい。当時のメータとこのコンビによる録音はこの会場が多かった。ほかには、カラヤン/ベルリン・フィル(1973年録音)も忘れがたい名演で彼は同年NHKホール落成記念来日公演の最終日(11/1)にこの作品をとりあげている。