ロシアの偉大な作曲家セルゲイ・プロコフィエフ(Serge Prokofiev/1891~1953)は生涯交響曲を第4番の改訂版作品112(1947)を含めて8曲書いている。今回のテーマとなる第7番は彼の最後の交響曲作品となる。作風はこれまでの現代的傾向から再び古典的なものに戻った形をとっており聴いてとても理解しやすい。言わば「古典主義への回帰」と言ってもいいだろう。その理由は色々と考えられるが1948年2月に始まったソヴィエト連邦共産党中央委員会書記アンドレイ・ジダノーフによる前衛芸術批判ー「ジダーノフ批判」が少なからず影響していると考えられる。作品は1951年から翌52年にかけて作曲され同年10月にサモスードの指揮により初演されている。初演の評判は大変よく大拍手喝采を浴びたと伝えられている。作曲者が当初ソヴィエト青年に捧げる意向があったことから「青春」という副題でよばれることもある。第1楽章から穏やかでで清々しい旋律で始まり叙情的でもある。尚第4楽章の終結部はプラスαのコーダがある第1版(初演したサモスードの意向とも言われる)とコーダ部分をカットし静かに余韻を残して終わる第2版がある。私個人的には静かに終わる第2版のほうがどちらかといえば好きである。愛聴盤は1969年に最初に購入したLPゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮モスクワ放送交響楽団(第2版による演奏/写真)、とジャン・マルティノン指揮パリ音楽院管弦楽団(第1版による演奏)などである。いずれも録音はちょっと古いが後世に残る名演だと思っている。