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2040年には風力と太陽光発電が32%を占める見通し、世界では42%に - 原子力は存在価値なし

2016-06-16 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
ブルームバーグの調査会社が衝撃的な見通しを発表している。
世界の風力発電と太陽光発電が急拡大し、
2040年までに発電能力の42%に達するとのことだ。

更に衝撃的なのは日本に関する見通しで、
2015年の13%から2040年は32%に急拡大するという。
2倍以上も発電能力が増大する訳だ。

世界では再生可能エネルギーへの投資が伸び続けており、
風力や太陽光の発電コスト低下も続いている。
(投機的で劣等生の原子力とは大違いである)

勿論これは「発電能力」に過ぎないので
電源シェアとしては恐らく半分以下だろうが、それでも大変なことである。

我が国は矢張り再生可能エネルギーの潜在力が豊かで、
コストに配慮しながら普及促進策を進めれば
夢の「純国産エネルギー」を大幅に伸ばすことができるのだ。

燃料輸入を減らし、投機的な原子力のリスクを減らせるだけでなく、
このエネルギー資源に乏しい日本においてエネルギー自給率を高め、
災害に強い電源を手に入れることができるということをも意味する。

電事連の次期会長が「原子力はエネルギーに乏しい日本では重要な電源」と
事実上、原発による特定大手事業者の利益を擁護する発言を行った直後だから、
「原子力業界」にとっては自らの近視眼と自己利益擁護を証明した形になってしまった。

▽ 日本の経済団体は保守退嬰で、省エネ投資を怠るばかりか再生可能エネ投資の邪魔をしてきた





『エコ・ウオーズ 低炭素社会への挑戦』(朝日新聞特別取材班)


当ウェブログが何度も指摘したように、海外を見れば真実が分かる。

「日本のエネルギー政策が本質的に利権擁護的で、
 革新においては枝葉末節的でダイナミズムに欠けるのは、
 第一に制度設計やインセンティブ設計の下手さがある上に
 典型的な利権癒着政権がのさばっているからである」

「但し、その保守退嬰を助長しているのが日本企業であるとの側面も見逃せず、
 原子力利権と結託して再稼働という「カネのなる木」にしがみついて
 公益を僭称して実際は一部企業の収益ばかりを優先する財界の姿勢にも問題がある」

「国民から徴収したカネで左団扇、努力せずに電力コストを低減させる
 (実態は国民へのツケ回しでしかない)怠惰な企業は日本経済を成長させない」

「風力のような震災に強く、地域経済を支える再生可能エネに投資し、
 エネルギー効率を高めるコージェネや省エネを推進する企業こそ公益に資するものだ」

「そうした企業がごく少ないことこそ日本経済の大問題であり、
 我が国の成長率が低迷しているのにエネルギー消費の増加率がそれを上回るという
 実に情けない醜態をもたらす元凶に他ならない」

「原子力大国フランスですら再生可能エネルギーの雇用創出効果に着目している」

「原発再稼働を求める理由は純粋に利己的なもので、
 関連企業やエネルギー多消費企業の収益向上のためだ。
 公益のためというのは見え透いた口実に過ぎない」

日本国内で蔓延っているのは、利権擁護のプロパガンダばかりである。

▽ ドイツの再生可能エネルギーの主力はバイオマス熱利用やコージェネであり、多くの雇用を生み出している

『日本林業はよみがえる―森林再生のビジネスモデルを描く』(梶山恵司,日本経済新聞出版社)


再生可能エネルギーは、経済政策としても日本に不可欠である。

「国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の試算によれば、
 再生可能エネルギーへの投資により最大の経済効果を得られる国は
 他でもない、この日本だと言う。その額は20兆円に迫る」

「経済効果が最大のケースではGDPが3.6%(約18兆円)の成長、
 最小のケースでも2.3%の成長に繋がるということだから、
 政府が試算したTPPの経済効果よりも勝っている。
 (TPPのような農業等の国内産業への打撃がほぼゼロなので、再生エネ投資の「完勝」である)」

「理由は明白で、膨大な化石燃料を輸入する必要がなくなり、
 それを国内で自給できるようになるからだ」

「我が国の、保守退嬰で身内の利害しか眼中にない
 圧力団体の主張は矢張り間違っていたことが明らかになった」

「同時に、我が国の経済停滞を招いている元凶が、
 利権勢力と癒着し新規投資を実質的に妨害している
 自民党政権のエネルギー政策の「次元の低さ」にあることも証明されたと言えよう。
 (だから消費が沈滞し、マイナス成長に陥ったのだ)」

「投資額の伸びを見れば、安倍政権の愚かで利権擁護のエネルギー政策が
 投資抑制の害悪をもたらしているのは明白である。
 伸び率ではインドや英国の8分の1以下、中国の5分の1以下、アメリカの2分の1以下。
 話にもならない「劣等生」でしかないのが実態だ」

「低コストで合理的な再生可能エネルギーの普及拡大を図らない限り、
 日本の内需沈滞は変わらないであろう」

と当ウェブログが警告したように、
現下の経済停滞の一因は安倍政権のエネルギー政策が利権擁護であるからだ。

 ↓ 参考

日本は再生エネ投資で20兆円に迫る経済効果、TPPの試算効果をも超える -「資源輸入国は大きな経済効果」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/82ef8df18698fb1c9419871369a4ad54

賢い企業はエネルギー投資を着々と進める、再春館も星野リゾートも収益向上 - エネルギー自給率も高い
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/2e3b20b11ccefbe713e2fe7129cfc732

米政府が全電源の35%に風力を拡大させる計画、IBMやGEも協力 - 安倍政権と財界は「周回遅れ」に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/8d4aace5e6a01b83d535811d8ee5f88a

中国は2030年まで再生可能エネ比率50%超か、安倍政権の面目丸潰れ-「風力55倍、太陽光862倍に」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d2d60cd5e21f98c4ee168f41ab65323d

▽ 再生可能エネや省エネこそが雇用を増やし経済を成長させるエンジンである

『グリーン経済最前線』(末吉竹二郎/井田徹治,岩波書店)


40年に風力と太陽光で4割超 世界の発電能力、民間機関予測(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016061301001933.htmll
世界の太陽光と風力発電が今後急拡大し、40年には世界の発電能力の42%を占めるとの予測を民間調査機関「ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス」(BNEF)が13日、発表した。日本も家庭用の太陽光発電などが拡大、15年の13%から40年には32%に増えるという。
 石炭や天然ガスなどの化石燃料が占める比率は大幅に下がるが、電力需要がインドや東南アジアを中心に増えるため、電力部門の二酸化炭素(CO2)排出量は5%増えるとみられる。
 BNEFは「産業革命以降の気温上昇を2度未満に抑えるパリ協定の目標達成にはさらに5兆3千億ドルの投資が必要」と指摘した。(共同)”

共同通信と東京新聞くらいしか報道していなかったが、
電力大手の業界団体や保守退嬰の経済団体は到底発表できない数値で
世界や日本のエネルギーの未来を予言したものと言って良い。

電源シェアも試算しておけば更に良かったが、
発電コストの急低下を見れば、少なくとも
太陽光と風力で10%前後に達するのは確実である。


電事連:次期会長の勝野氏、引き続き原発推進の立場示す(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160611/k00/00m/020/106000c.html
”電気事業連合会の次期会長に28日就任する中部電力の勝野哲社長は10日、東京都内で記者会見し、「原発の安全性向上に自主的に取り組み、社会からの信頼回復に努めて早期再稼働につなげたい」と述べ、大手電力会社の業界団体として、引き続き原発推進の立場を取る方針を明らかにした
 勝野氏は「原子力はエネルギーに乏しい日本では重要な電源」とも述べ、大手電力の旧来からの認識を強調した。また、4月から始まった電力小売り全面自由化で大手電力以外の参入が相次いでいる状況下でも、「電事連は安定供給や環境問題などエネルギー全般の課題に対応してきた。今後も電事連としての役割に変わりはない」との見方を示した。〔中略〕【岡大介】”

こちらは、福島原発事故の後も何事もなかったかのようなスタンスだ。
残念ながら「社会からの信頼回復」は、原発再稼働に固執する限りあり得ない。
「原子力は独占できる我々には重要な電源」が本音であろう。
関電や九電の収益推移と原発稼働率を比較すればすぐに分かる話だ。


米国:原発離れが加速 「シェール革命」で押され…(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160604/k00/00m/020/138000c.html
”◇建設構想、半数は頓挫
 【ワシントン清水憲司】米国の電力業界で、原子力離れの動きが続いている。電力大手エクセロンは2日、赤字に陥った原子力発電所を閉鎖し、原子炉3基を廃炉にすると発表した。
〔中略〕
 エクセロンは、いずれも中西部イリノイ州にあるクリントン原発の原子炉1基を2017年6月に、クアド・シティーズ原発の2基を18年6月に廃炉にする。ともに運転認可が切れるまで10年以上を残しており、老朽化ではなく、政府支援で最近10年で発電能力が1.4倍に増えた風力など再生可能エネルギーや安価になったガス火力との競争が激しくなったことが原因だ。クレイン最高経営責任者(CEO)は「6年間で8億ドル(約880億円)の損失を出した。利益を上げる道筋が見いだせない」として、州政府に助成を求めていたが、実現の見通しが立たなかった。13年以降、米国内での原発の廃炉・廃炉計画は9原発の計10基となった。
 米国では、今夏、テネシー渓谷開発公社(TVA)が国内20年ぶりとなる新設原発の運転開始を予定している。また、米南部のジョージア州とサウスカロライナ州では、東芝子会社の原子炉メーカー、ウェスチングハウスの最新鋭原子炉「AP1000」を設置するボーグル原発3、4号機、サマー原発2、3号機が建設中だ。ただ、「原子力ルネサンス」と呼ばれ、地球温暖化対策の必要性から原発の復権が唱えられた約10年前に10基以上あった建設構想は、そのうち半数が計画段階で頓挫している
 「長期的には原発は明るい未来がある。しかし、今後5~10年間で15~20基が廃炉になるリスクがある」。米原子力エネルギー協会のファーテル理事長は5月、ワシントンでの講演で訴えた。原発の廃炉に歯止めをかけるため、温暖化対策の柱に原発を位置づけ、従来の債務保証に加え、補助金や優遇税制など再生可能エネルギーと同等の支援を求めている。ただ、米原子力規制委員会(NRC)のヤツコ前委員長は「政府支援が必要ということは、米国では原発にあまり将来性がないことを示唆している」とみている。”

日本の原子力利権勢力が完全な「ガラパゴス」になっているのは
こちらの報道から見ても明々白々である。

ヤツコ委員長がいみじくも喝破したように、
いまだに公的補助が必要な原子力にはもはや将来性はない。
核軍備の副産物として細々と生き延びるしか道はないのだ。

風力発電や太陽光発電は急激にコストが低下しており、
公的補助が殆ど不要になって原子力の劣位が愈々明確になる。
省エネも飛躍的に進むので、多くの国で原子力の存在自体が不要になろう。
(風力や太陽光に乏しい国は例外だが、日本はどちらの潜在資源も豊富である)
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