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大学生に責任転嫁する中央教育審議会、自らの分析不足を認識せず -「勉強時間」しか判断基準がない貧弱さ

2012-03-21 | いとすぎから見るこの社会-全般
中教審の大学分科会が「学生を勉強させた大学にカネを出す」
と大学生を小中学生扱いするような案を出してきたと知って
驚きの余り椅子から転げ落ちるかと思った。

かつてソ連のジューコフ元帥がノモンハンの後に日本軍について
司令官は無能、将校は平凡、士官と兵士は頑強に戦うと評したが
日本人はその頃から進歩していないのかもしれない。

素直に指示や「空気」に従って既定路線を外さない点においては優秀だが
いざ人の上に立って意思決定を行おうとすると途端にボロが出る。

「日本の大学生は勉強していない」
「勉強するようになれば国民や企業が評価するようになる」

との論理で結論を出してしまったらしく、
教育論議が何故お粗末なものになるかよく分かる話だ。

○日本の大学の特殊要因(合格は難しく卒業が容易)を完全無視
○教育の「質」を勉強時間だけで図る視野狭窄ぶり
○海外の大学ランキングのように総合評価を行っていない怠惰
○多くの企業が大学での勉強内容に関心が薄いのは周知の事実

以上のようにまともな分析もせず仕事をしたふりをして
大学生に責任転嫁するのはやめて貰いたいものだ。

硬直した旧態依然の大学の教育システムを反省せず、
安易に教員へテニュアをバラまいて教育の質を上げる努力を怠り
少子化が分かっていたにも関わらず大学を増やした愚かな大人に
大学生を批判する資格などない。

▽ 日本の大学の無駄の多さや生ぬるい体質を厳しく批判

『大学破綻 合併、身売り、倒産の内幕』(諸星裕,角川書店)


上掲書ではNHKで取り上げられたハーバードの授業を例に挙げて
アメリカの大学では学生が来ない学科はつぶされるので
教養課程に学科のエースを投入して学生を集めようとする

とアメリカの大学の教官の必死の努力を伝えている。

これは一例に過ぎないが、大学教育の質を上げるにはどうすべきか
碌に考えずに大学生にばかり問題があるとする思考は異常である。
それは肥大した自尊心と偏頗な思考の産物に過ぎない。


 ↓ 参考

小学校レベルの算数ができない大人の方が、分数のできない学生より深刻 - 教授と職員の雇用が問題の根源
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/36d01d0a1821489cb81687115c191e4e


大学生に勉強させよ…対策の大学に財政優遇案(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120307-OYT1T00669.htm
”大学生の勉強時間を増やせ――。
 中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の大学分科会大学教育部会は7日、学生の勉強時間を調べたり、勉強時間を増やす方策を講じたりした大学を、財政面で優遇するべきとする素案をまとめた。勉強しない学生を放置する大学に改善を促す狙い。大学分科会の審議を経て、文科省に答申される予定で、同省は2013年度にも実施する方針。大学生を勉強させるために、とうとう国が尻をたたく。
 日本の大学生は国際比較でも勉強時間が短いとされ、大学教育部会は、「日本の学生が主体的に勉強する時間は1日に講義を含めて4・6時間」とするデータをもとに、「必要時間の半分程度」と分析した。そして、このことが大学の学部教育への国民や企業からの評価が低い要因だとしている。
 素案では、こうした学生の評価を覆してグローバル化時代に対応できる能力を育成するために、大学に対し、学生の知性を鍛える課題解決型の授業の導入など、質の高い教育に転換するよう求めている。”

本格的に課題解決型の授業を導入したら日本の教授の半分はクビだろう。
彼らにはそれだけの能力がないからだ。

日本社会や大人たちに課題解決能力が本当にあるなら
失われた20年など生じなかっただろうし
年金問題も原発問題も最初から起きなかった筈だ。


日本と対照的に、徹底して実業重視で新しい仕事に対応する資格を設定し
大学で学ぶ内容を次々に新しく変えてゆく北欧の大学の実情を知ると、
日本の大学は政策立案側や大学側のレベルが低いことを痛感させられる。

▽ 社会のニーズに合わせ学科・専攻のビルド&スクラップを行う北欧の大学

『スウェーデン・パラドックス』(日本経済新聞出版社)

日本でそれができないのは行政側の問題ばかりでなく、
教員の既得権ともろにぶつかるからだ。
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