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高い教育を受けても就業率が著しく低い日本女性、先進国比で明確 - 配偶者控除廃止への批判が多い理由か

2014-11-19 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
安倍政権の打ち出した政策で唯一、確かな内需増大効果を持つのが女性活用である。
その中身がスカであるのは政権のレヴェルからして仕方のないところだが、
党利党略見え見えの大顰蹙の選挙でただでさえ少ない効果が吹っ飛びそうだ。

ところで政界も世論の猛反発を受けて先送りした消費税再増税であるが、
税収が殆ど高齢者三経費に吸収されて経済停滞を招く「死のスパイラル」にあるので
世論の抵抗も理解できるのであるが、真の「女性活用」を断行できれば、
およそ2兆円つまり消費税2%程度の税収は増やすことができる


日本の女性の就業状況についてOECDが興味深い報告をしており、
先進国中でも日本女性は高度の教育を受けているにも関わらず
就業率が「著しく」低いという事実が分かっている。

今、日本では配偶者控除廃止に対しヒステリー気味の反発が多いのは、
高度な教育を受けた分を就業にではなく配偶者控除による利得を死守するために
フル活用しているためではないのだろうか。

よく知られているように、配偶者控除は高所得層にとって有利な仕組みで、
最も恩恵を受けるのは高所得層の専業主婦なのである。

▽ 配偶者控除は、ただでさえ苦しい母子家庭や失業世帯を切り捨てる最低の政策である

『なぜ日本は若者に冷酷なのか: そして下降移動社会が到来する』(山田昌弘,東洋経済新報社)


「次元の低い」政権下で「次元の低い」状況が続いている。

「安倍政権の「なんちゃって改革」の誤りがまた証明された。
 財務省の調査では、配偶者控除の恩恵は高所得者ほど受けており、
 不公平を拡大する差別政策であることが明白になっている。
 (低所得層の方が妻の就業率が高いからである)」

「ノルウェー企業の事例から、女性登用は企業価値を減少させることが分かっているので、
 経済合理性においても女性登用の推進は寧ろ逆効果である」

「日本よりも成長率・1人当たりGDP・労働生産性において勝っているスウェーデンに学び、
 第一に育児や介護を集約化して女性就労率を引き上げること、
 第二に女性雇用は家庭生活との両立が容易な福祉分野で創出すること、
 第三に国民負担を引き上げて育児や介護の現物給付を充実させること、
 以上の三点をクリアしなければならない」

「そうした基礎的事項すら理解できず、あさっての方向に進んでいる安倍内閣が
 スウェーデン経済に惨敗するのは今の段階で既に見えている」

「配偶者控除は単なるバラ撒きで、不平等拡大政策でもある。
 病気で働けない層は別だが、それはあくまでも少数派である。
 日本経済により貢献する共稼ぎ世帯に所得移転するのが理の当然であろう」

「配偶者控除を原則廃止し、育児支援の現物給付に充当すべきである。
 また、多忙な高所得の共稼ぎ世帯に対しては、保育費など育児関連費用は
 仕事の必要経費と見なして控除を認めなければならない。
 勤労と努力を重んじる日本社会に相応しい税制に変えなければならない」

結局、安倍内閣の女性活用とは「改革ポーズ」をアピールするための修辞に過ぎないのだ。

 ↓ 参考

配偶者控除は明白な高所得者優遇、女性登用は企業も労働者も望んでいない - 安倍政権の経済無知
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/ce202561f53d4bc751158a1a01a85c67

女性役員比率が10%増加すれば、企業価値は10%以上減る - 安倍政権の低レヴェルがまた証明された
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b4408120495f8f129365cb6545c6bf3b

女性の就業率向上で経済波及効果6兆円超、TPPを遥かに超える - 妨害するのは安倍政権の「育休三年」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/e51d931755e618e1d3181911b7b29773

▽ 安倍内閣の自称「女性活用」はあらゆる面でスウェーデンに劣っている





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


政府税調:配偶者控除の廃止や新たな制度など 見直し5案(新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20141108k0000m020065000c.html
”政府税制調査会(首相の諮問機関)は7日の総会で、専業主婦のいる世帯を中心に税負担を軽減する配偶者控除の見直しについて報告書をまとめた。配偶者控除が「女性の就労意欲をそいでいる」との観点から、子育て中の共働き世帯などに支援を重点化。見直しの選択肢として、子育て支援の拡充を前提に、配偶者控除の廃止や若い夫婦を対象とした新たな控除の創設など5案を示した。
 政府税調は案の絞り込みは行わず、今後は政府の経済財政諮問会議や与党で議論し、2016年度以降の見直しを目指す。
〔中略〕
 見直し案は(1)配偶者控除の廃止(2)配偶者控除は現行のまま維持するが、納税者が高所得者の場合は対象外(3)配偶者の収入にかかわらず夫婦2人で受けられる所得控除(現行の基礎控除を合算)の額を一定にする(4)配偶者の収入にかかわらず夫婦2人で受けられる税額控除(課税金額から直接差し引く仕組み)を一定にする(5)若い夫婦を対象にして、配偶者の収入にかかわらず一定の控除が受けられる新たな制度を創設。(3)~(5)は現行の配偶者控除の代わりに設ける。
 5案はいずれも、現在は配偶者控除の適用を受けている一部世帯で負担増となる可能性があるが、報告書は、見直しで捻出した財源はすべて子育て支援に充てるとした。【横田愛、竹地広憲】”

このような5案を出してしまうと最も抵抗の少ない(2)になり、
経済効果は最小になってしまう。
配偶者控除の廃止と引き替えにそれ以上の現物給付を行えば問題ないのに、
どうしてそこまで頭が回らないのか不思議で仕方がない。


高学歴女性の就業率69%、日本はOECD平均下回る(リセマム)
http://resemom.jp/article/2014/09/10/20354.html
”高等教育を受けた日本の女性の就業率は男性に比べ著しく低い実態にあることが、経済協力開発機構(OECD)が9月9日に公表した報告書「図表で見る教育2014」から明らかになった。
〔中略〕
 報告書は、教育システムの構造や成果など、OECD加盟34か国に10か国を加えて実施した調査に基づいている。データは、2012年時点のもの。
 日本では、高等教育を修了した成人の割合は、2000年から2012年の間に34%から47%に増加。OECD加盟国の中で2番目に高い割合となっている。
 25~34歳の年齢で高等教育を修了した人の割合は、男性(56%)よりも女性(61%)の方が高く、いずれもOECD平均(45%)を上回っている。しかし、女性の就業率は男性に比べて著しく低い実態にあり、大学レベルまたは上級研究学位を持つ人の就業率は男性92%に対し、女性は69%。OECD平均(80%)も下回っている。
 2012年の国際成人力調査(PIAAC)では、日本の高等教育を修了した成人の37%が読解力調査で最高水準のレベル4または5となった。これは、調査参加国・地域の中でもっとも高い割合で、日本の高等教育の質の高さを示した結果となった。
 ただ、読解力がレベル4または5となった成人のうち、18%が非労働力人口であり、OECD加盟国でもっとも高い割合だった。男女別では、男性5%(OECD平均4%)に対し、女性32%(OECD平均12%)と、女性の高さが目立った
 これらの結果から、OECDでは、「女性を中心に日本の人材のかなりの部分が活用されていない」と指摘している。
〔中略〕
 日本では、2005年から2012年の間、就学前教育を受ける3歳児の割合が9ポイント以上伸びており、25~34歳の女性の就業率上昇と連動している。そのため、OECDでは「就学前教育の拡大は、日本人女性の労働市場参画をより容易にする可能性がある」としている。

このように日本女性の就業率が低いままでは、税収が伸びないのは当然だ。
就業率が11%も低ければ、日本の財政が悪いのも当たり前である。


ベビーシッター雇えば税金安くなる? 「家事支援税制」で女性は働きに出るか(キャリコネ)
http://careerconnection.jp/biz/tyosahan/content_1469.html
”労働人口の減少が懸念される中で、政府は「女性の活躍促進」を政策として打ち出している。しかし現状では、女性に出産や育児、家事の負担が大きく掛かっており、そのためにキャリアを諦める女性も多い。
 この問題を解決するためには、男性の育児・家事参加も考えられるが、男性側も長時間労働の問題を抱え、余裕があるとはいえない。そこで期待されているのが、ベビーシッターやハウスキーパーなどの「家事支援サービス」だ。政府からは、このようなサービスを利用した世帯に対し、税金を安くすべきという案も出ている。

■イギリスでは託児所費用の70%が控除対象
 複数のメディアによると、6月に政府が打ち出す新たな成長戦略に、「家事支援税制の導入」が提案されているという。この税制については、自民党の日本経済再生本部から2013年に出された中間提言でも触れられていた。
「先進国で広く採用されている、低所得の共稼ぎ世帯などにおける家事支援のための家庭内労働者に対する支出に係る税額控除制度を参考にしつつ、広く、働く世帯における就労支援制度の整備を、既存制度との整理を踏まえつつ、財源を含め検討する」
 つまり共稼ぎ世帯において、ベビーシッターやメイド(家庭内労働者)を雇った際の支出を、税額から控除しようというわけだ。この「家庭内労働者に対する支出に係る税額控除制度」の例として、財務省主税局が作成した国際比較の表がある。
 例えばイギリスでは、就労している一人親世帯または夫婦共働き世帯を対象に、保育士や託児所等に支払われる費用の70%が、勤労税額控除の給付額に加算される。
 フランスでは、子どもが6歳未満の全世帯を対象に、保育士や託児所等に支払われる費用の50%を、給付付き税額控除としている。また、ベビーシッターやハウスキーパーなど家庭内労働者に支払われる費用も、要件なしで同じ率の控除を受けることができる。

 この中間提言を取りまとめた塩崎恭久衆院議員は現代ビジネスで、女性の労働力率は30代前半が極端に低くなる「M字カーブ」の状態が長く続いており、この解消が「全員参加型社会」の実現には重要だとしている。
 さらに日本では「家事」があまりにも蔑視されすぎていると苦言を呈し、外でお金を稼ぐ労働に対し、家庭内労働は重要度が低いというのは「冷淡な男性社会の見方」だと批判している。
〔中略〕
■20代未婚女性の62.7%「出産後も働き続けたい」
 日本の女性は、国際的に見ても家事にかける時間が長い。経済協力開発機構=OECDの調査(2013年)によると、日本女性は家事などの「無償労働」に1日299分(約5時間)を当てているという。これは世界29か国中、6番目に高い水準だ。
 また日本では、「結婚・出産」が就労を続ける上での大きな障壁になりやすいという指摘もある。厚労省の調査(2012年)によると、女性の出産後継続就業率は26.8%で、4人に1人しか継続して働くことができていない。
 妊娠・出産後に退職した理由は「家事・育児に専念するため」(39.0%)が最多で、「仕事と育児の両立の難しさ」(26.1%)と続く。両立が難しい理由としては「勤務時間が合わない」「職場が両立を支援してくれない」などが挙がっている。
〔中略〕
 家事支援税制が導入されればサービス事業者も増え、利用料金も下がって子どもを預けやすくなる可能性もある。厚労省の推計では、保育士の資格を持っていながら仕事をしていない「潜在保育士」が60万人以上いるという。
 マイナビの調査(2012年6月)によると、20代の未婚女性は62.7%が「出産後も働き続けたい」と回答している。さらに「仕事と家庭を両立したい」(73.3%)は「専業主婦になりたい」(22.7%)を上回っている。〔以下略〕”

もう一つ、忘れてはならないのは育児関連費用を税控除の対象とすることだ。
定額控除にすれば高所得層優遇にもならず、雇用も確実に増える。

間接税の税収はこうした分野に使うべきなのである。
政府や官庁は仕事したふりをせず、真面目に制度設計すべきではないか。
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