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安倍政権の「配偶者控除見直し」は失敗確実、夫婦控除では全く無意味 - 選挙ばかり気にするバラ撒き体質

2016-09-06 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
安倍政権が、選挙に勝って権力の座に齧り付くために
またしても口先だけは達者な「働き方改革」を打ち出しているが、
既に配偶者控除の見直しは失敗確実である。

自民党政権のDNAとも言うべき票田へのバラ撒き・大衆迎合路線は
全く変わっていない。だから日本経済の停滞が続くのは理の当然なのだ。

致命的な人口老化・生産年齢人口が続く現下の日本において、
最も効果がある経済政策は女性就業増と出生率向上であるのは
既に同志社大学の柴田結悠准教授の計量分析で証明されている。

その際に鍵を握るのは「財源」であり、
「働いていない豊かな層から、努力して仕事と家庭を両立する層への所得移転」
が絶対に必要であるのは経済合理性の観点から言えば明白である。

この程度のリテラシーもない愚かな安倍政権は、愚民B層を騙して
またしても効果がショボい「口だけ政策」を展開している。

誤摩化しだらけの安倍政権に鉄槌を下し、低レヴェルな「働き方改革」ではなく
北欧並みの真の女性活躍政策を断行しなければ、日本の潜在成長率を引き上げることはできない。

▽ 日本女性は高学歴になるほど就業率が低下し、OECD平均を下回る

『「教育超格差大国」アメリカ』(津山恵子,扶桑社)


以前指摘したように、「歪んだ構図は何一つ変わっていない」のだ。

「日本企業の中にいる女性が仕事と育児の両立に苦労するのは
 トレンダーズ創業者である経沢元社長が何年も前に指摘したことであり、
 今更取り立てて言うものではない陳腐な話である」

「多忙な夫を選んだなら妻が育児しながら仕事にフルコミットするのは
 極めて困難であると考えねばならない。
 長時間労働にフルコミットしたいなら家事育児の大半をカバーできる夫を選ぶべきだ。
 また、やり甲斐のある仕事を求めるなら起業の道を選ぶのが理の当然である」

「多忙でも社会的地位の高い夫と結婚したい、育児にも時間をかけたい、
 やり甲斐のある仕事も貰って当然、というのは単なる強欲に過ぎない」

「あのアメリカですら、経営・管理層の女性の出生率が低いという事実は重い。
 ましてや北欧のように育児・雇用支援のため重税負担に耐えていない日本では、
 仕事と育児の両立が困難なのは当たり前で、所詮は自業自得でしかない」

「女性は高学歴層ですら他国に比べ専業主婦志向の者が異常に多く、
 しかも大多数が「上方婚」なので仕事を捨てざるを得ない選択肢を自ら選んでいるのだ。
 (女性医師が高所得な同業と結婚して、仕事を自ら辞めるのと似ている)」

「日本経済の停滞と人口動態劣化が強力に進んでいるのは、政治の責任だけではない。
 「育休世代のカリスマ」を含め、多くの人々の視野が狭く自己中心的だから、である。
 日本の女性就労率が歴然と低く、最も効果的な経済回復・所得向上策が実施できないのも同じ理由だ」

「基本的に、「女性」を単一セグメントとして語る論者は
 我が国の社会構造を全く分かっていないと見て間違いない」

「東洋経済オンラインで元大手メディアの高学歴女性が「女性活用」と言っているのは、
 「私達のような高学歴・高所得でハイスペックな夫と上方婚した女性の活躍」という意味である。
 高卒で低賃金で必死に働く労働者や、苦境に喘ぐ大多数のシングルマザーや、
 凡庸な大学・短大を出て仕事より私生活を重視する層は、はなから無視している訳である」

「また、日本の高所得女性については別の問題もある。
 税・社会保険料負担が北欧諸国より遥かに軽い日本では、
 仕事と育児の両立が極めて困難なのは当たり前の話である」

「担税能力が高い高所得女性労働者の負担が軽い現状では、
 誰が一体、育児支援のコストを払うと言うのであろうか。
 いかに裕福な男性でも、その利己主義に対して流石に頭にきてコスト負担を拒むであろう」

「ジャミングばかりで政策議論がまともな方向に進まないのは、
 残念ながら声も影響力も大きい(同世代男性より時間的余裕もかなりある)高学歴女性の責任が大きい」

「日本の女性労働者の多くは負担の重い正社員の長時間労働を嫌っている。
 時間拘束の少ない契約社員や派遣社員の方が実は満足度が高く、
 土日に休める事務職(労働需要は少ない)にばかり希望が集中する。
 低賃金の保育士や介護士は避けられる」

「独身の時は給料が安く税金は高いと不平を言い、
 結婚して子供ができると子育て支援が手薄と政府や行政を咎め、
 育児と両立する環境がないと職場を批判する」

「負担の重くない仕事を選好するなら賃金格差は理の当然である。
 北欧のような税負担を回避しているなら公的な育児支援は貧弱になる。
 欧州のような高額な社会保険料を払っていなければ職場の負担が大きくなる。
 どれもごく当たり前のことで、何も不思議はないのではなかろうか」

「アメリカでは育休のための制度が整っておらず、無給の場合すらある。
 酷い話にも、学歴によって育休を取得できる率が大幅に違ってもいると言う。
 メイヤーCEOが二週間の育休で復活せざるを得なかったため、大きな議論になったほどである」

「それでもアメリカでは「企業のせい」「政府のせい」「夫のせい」という議論には殆どならない。
 しかも調査では日本よりも遥かに「育児しやすい社会」だとする回答が多いのである。
 (確かに、格安でベビーシッターが見つかる点では優れているが)」

「それなのに、より育休制度が整っていている日本では
 企業や政府や夫への不満が強いのである。不思議ではないだろうか」

「欧州の労働者は平均的な手取りが日本よりも低く、つつましい暮らしをしている。
 日本の親元同居の独身女性労働者のように、大金を美容や旅行といった消費に注ぎ込んでいない。
 (これは調べればすぐ分かる話であり、この層は消費性向が非常に高いのが特徴)」

「もし日本の労働者がそうした欧州国に転居したら、
 年収500万だったら税と社会保険料で年間50万円は手取りが減る。
 年収300万なら年間30万、年収200万なら20万減るのである。
 月単位に換算したらどれ程の負担であるから分かるだろう」

「高額な社会保険料を払っているからこそ、出生率の高い欧州国では
 職場に気兼ねせず、安心して産休育休を取れるのである。
 これは決して雇用慣行だけの問題ではない」

「被害者意識を募らせているばかりでは、永遠に問題は解決しない。
 自称被害者こそ、今の社会システムを支えている張本人だからだ」

「もし真の「女性活躍」を望むなら、企業に丸投げする低次元の政策を改め、
 虫のいい要求を突きつけて企業に責任転嫁する労働者を根絶しなければならない」

「政策によって長時間労働を強力に規制するとともに
 育休等の際の給付や代理要員に所得移転しなければならない」

「独身労働者が一方的に不満を強めたり、
 育児中労働者がフリーライダーとなる社会にしてはならない。
 (公務員だけが悠々と産休育休を取るのも、同様の「ただ乗り」である)
 日本の女性労働者には、そうした健全な意識を持つ層が余りにも少ない」

「真の「女性活躍」とは必然的に、怠惰で他者に依存する女性をも政策誘導し、
 働かざるを得ない状況に向かわせて日本経済と日本社会に貢献して貰う政策だ」

「だから、安倍政権は根本的に間違っている。国民負担を高めて働かない層に課税強化し、
 一生懸命仕事と育児を両立している層に所得移転しなければならないのである」

「三年前に衆院選で「確実に達成する」と大口をたたいた「指導的地位の女性30%程度」が
 到底実現できないことが明らかになり、「1億総活躍」を持ち出したようだ。
 安倍政権の繰り出す「口だけ政策」はこのような竜頭蛇尾ばかりだ」

「そもそも「女性活躍」という概念や目標設定自体が間違っているだけでなく、
 我が国よりも高成長で労働生産性でも一人当たりGDPでも勝っている
 賢明で合理的なスウェーデンの政策から学ぶこともしない始末だ」

「スウェーデンの成長率見通しは3%を超えている。
 次元の低い安倍政権は今年、成長率1%にも及ばないのは確実で、
 スウェーデンの3分の1以下の低成長でしかない己の能力のなさをいまだに認識していない。
 (序でに言えば、間接税は日本の方が軽いから言い訳は許されない)」

「経済政策の面から言う正しい「女性活躍」は女性就業率の引き上げであり、
 労働者の税・社会保険料負担を引き上げて育児支援・積極的労働市場政策に投入し、
 家事育児を集約化して労働投入を増やし、総量でも一人当たりでもGDPを増大させるものだ。
 同時に長時間労働への規制やペナルティを強化すれば労働生産性を改善させることもできる。
 安倍政権はそうした実効性ある施策を何ひとつ実施していない」

「安倍政権の「女性活躍」も「1億総活躍」も最初から失敗は決まっていて、
 民間を巻き込んでのパフォーマスばかりに力を入れながら
 官庁はショボい助成金をバラ撒いて予算獲得に精を出し、
 日本の労働市場の現状もよく理解せず、
 海外のインセンティブ設計も参考にしないのだから、失敗して当然である」

「日本の場合、女性就業の正のインセンティブが非常に乏しいし、
 (給付付き税額控除ばかりか保育料・家事外注の税控除すらないというひどい低レヴェル)
 税負担・社会保険料負担を高める負のインセンティブもない。
 結果を出そうとする意欲も知恵もないのが安倍政権と官庁の現状である」

「また、日本の女性労働者が求めているのは出世や起業ではなく
 残業等の負担がない職種で安定した所得を得られる、快適な職場環境だ。
 つまり自分にとって都合の良い雇用を求めているに過ぎない。
 自分が結婚・出産したら「企業がサポートして欲しい」が、
 そのために租税負担や社会保険料負担が増えるのを非常に嫌がる」

「「当然、夫が家計を支えるので自分の稼ぎは補助的なもので良い」という意識なのだ。
 誰が家計を支えるべきかとの意識を男女で比較すればすぐ分かる」

「労働市場の現状も理解せず虫のいい願望を持つのが多数派である。
 経沢社長のように、企業や社会を変えたければ他人のせいにせず起業すべきだ」

と当ウェブログは指摘したが、怠惰で利己的な層ばかりでなく
それに媚び諂う安倍政権が日本経済の足を引っ張っている。

▽ 日本女性は上方婚志向が強固で高学歴層の就労率が低いため、婚姻で生活水準がほぼ決まる

『夫婦格差社会 - 二極化する結婚のかたち』(橘木俊詔,中央公論新社)


安倍政権の「不治の病」である雇用政策の次元の低さは、
労働者の自己欺瞞と相俟って日本経済の行く末を一層暗くしている。

「横浜市で行われた独身非正規女性への調査が非常に興味深い。
 「正社員になりたい」「転職したい」よりも「収入を増やしたい」との声が多く、
 労働市場における自らの評価を直視せず、「負担なき恩典」を求めているのである」

「調査を見る限り、女性非正規労働者自身にも問題があると推測される。
 なぜなら、「転職する意向はない」が「賃金を上げたい」、
 でも「やりがいのある仕事」や「現職場で働き続ける」ことも求めていない」

「こうした意識を持っていること自体が、日本女性がいかに深くジェンダーに囚われているか、
 自分が支援されることを当然視していて納税者として自立する意識がいかに希薄であるかを示唆する」

「これは女性に限らず男性も似たようなもので、
 税負担や社会保険料負担の上昇を非常に嫌がるのに、
 自分が不利な立場に陥ると政府や企業からの支援を求めるのである。
 日本でよくあるバラマキ・リベラルの偽善性もこれと同根だ」

「統計から女性労働者は男性労働者よりも所得格差が大きいことが分かっている。
 「女性が弱者」は誤った概念であり、男性と女性の所得格差より
 女性労働者同士の所得格差の方が大きいというのが実態である」

「加えて、日本女性の場合は生まれた家庭や婚姻によって生活水準が規定されるため、
 生活水準を考慮すると二重に「女性格差」が拡大していると判断できる。
 (日本のシングルマザーの困窮の裏側には、他国より可処分所得の多い豊かな高所得女性の存在がある)」

「この調査主体の準公務員(外郭団体職員)は典型的な上から目線であり、
 「苦しい状況にある女性を支援しなければ」との意識が透けて見えており、
 なぜこの偽善的な意識を堂々と公にしているのか理解に苦しむ」

「この調査主体の正規職員こそ「女性格差」における「強者」の一員であり
 調査対象の非正規女性にはない安定収入を享受しておきながら
 非正規女性を哀れんで「支援の手」を差し伸べることによって
 自らの恵まれた待遇から焦点を逸らし、女性格差を強化しているのである。
 (自らの特権的な待遇を当然視し、非正規女性を苦しめているのは日本社会だと責任転嫁できる)」

「女性の犠牲者としての側面ばかり強調する愚かなリベラル的言説は、
 拡大しつつある「女性格差」から人々の目を逸らして隠蔽し、
 現状に満足し多大な恩恵を得ている高所得世帯の女性こそが、
 配偶者控除や第3号被保険者の利権を握りしめて貧困層を見殺しにする一般の女性こそが、
 現下の病んだ構造を支え強化しているという現実を見抜かなければならない」

「家庭環境に恵まれず低所得で苦境にある女性労働者を支援するには、
 配偶者控除を全廃するか退職金控除を縮小して給付付き税額控除を適用すれば容易だが、
 豊かで現状に満足している層は全力で反対するだろう」

「労働環境が良くて平等度の高いデンマークと比較すると、日本の労働者の本音が分かる。
 日本はデンマークよりも税負担が軽く、手取りは多いというのが事実であり、
 日本は平等やQOLや手厚い育児支援・両立支援よりも自分の可処分所得を増やすことを重視しているのだ。
 北欧に1人当たりGDPで負け、出生率で負け、女性就労率で負け、成長率で負けるのはそれが原因である」

と当ウェブログは警告した通り、日本の経済成長率も消費も沈滞したままだ。

 ↓ 参考

「転職はせず今の職場で働き続ける気もないが、収入は欲しい」- 非正規独身女性の願望は実現可能なのか?
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/9df0e4b3b7a62bbd69adbdc368a7ad00

7割の未婚女性が結婚・出産で退職を選ぶ?「今の仕事が嫌」「待遇が悪い」- 職場への責任転嫁も多い
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/371ec249c7443eda7409d56a4638edac

母親の三類型「ずるい人、文句ばかりで動かない人、必死で働く人」-世間を知らない「育休世代のカリスマ」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/35403c6328cd6afbc187477e119f45dd

高い教育を受けても就業率が著しく低い日本女性、先進国比で明確 - 配偶者控除廃止への批判が多い理由か
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/5a5b865d08ad919c9fe0115b89a4ac3b

▽ スウェーデンの高成長率・高い女性就業率は、高負担と手厚い育児支援策によって実現している





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


自民税調:配偶者控除の見直し検討 女性の就労促す(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160831/k00/00m/020/088000c.html
”自民党税制調査会の宮沢洋一会長は30日、毎日新聞などの取材に応じ、2017年度税制改正で、専業主婦やパートの妻がいる世帯の税負担を軽減する「配偶者控除」の見直しを検討する方針を示した。配偶者控除を廃止し、共働きなどすべての夫婦を対象にする新たな控除を設ける方向で検討する。
 安倍政権は「働き方改革」を公約に掲げており、女性の働き方を制限しているとの指摘がある配偶者控除を見直し、女性の社会進出を後押しする狙いがある。ただ、世帯によっては負担増につながる可能性もあるため、政府・与党内には慎重論もあり、調整は難航する可能性もある
〔中略〕
 配偶者控除は、給与所得から一律に38万円を差し引く基礎控除に加え、専業主婦やパートなど年収103万円以下で働く配偶者がいる世帯を対象に、世帯主の所得から38万円を減額する制度。適用者は約1500万人で、計約6000億円の負担減となっている
 だが、制度の恩恵を得るため、年収が103万円を超えないよう妻が勤務時間を抑えるケースも多く、「女性の社会進出を妨げる壁になっている」と指摘されている。また、高所得者ほど控除の恩恵が大きいとされている
  配偶者控除の代わりに、夫婦ならば収入や働き方にかかわらず一定の控除が受けられる「夫婦控除」の導入を軸に検討する。専業主婦のいる世帯も引き続き控除を受けられるが、世帯によっては増税となる可能性もある。宮沢氏は「所得の低い方に配慮が必要」と低所得世帯の負担を緩和する方針を示した。また、年収に上限を設けることなども検討する。
 政府の税制調査会(首相の諮問機関)も配偶者控除の見直しを提言しており、9月以降、議論を本格化させる。〔中略〕【大久保渉、横山三加子】”

毎日新聞の報道は詳細に書いてはいるが、
日本では高所得層に専業主婦が多く人材の浪費になっている現実を明言していない。
更に、シングルマザー世帯を更に困窮させ、財政を悪化させる間違った政策なのだから
その利権化した実態を明確に指摘すべきではないか。


政府・与党が9月から所得税改革を議論 29年度税制改正 「夫婦控除」の導入有力(産経新聞)
http://www.sankei.com/economy/news/160811/ecn1608110003-n1.html
”政府・与党は平成29年度税制改正に向けた議論を9月から始める。政府税制調査会が専業主婦世帯などの税負担を軽減する「配偶者控除」の見直しなど所得税改革について同月上旬に具体策づくりに着手、自民党税制調査会も今秋議論に入る。28年度改正の消費税の軽減税率に続き、29年度も国民の財布に直結するテーマが最大の焦点になる。
 「年内には所得税の控除制度全体の見直しの具体策を示したい」。財務省幹部はこう意気込む。
 政府税調は昨年、所得税が今の経済社会に合わなくなった実態を綿密に調査。税負担を軽くする控除制度を見直して、結婚し子供を産み育てる若年層や低所得者層の負担を軽減する方向性を打ち出した。今年は控除をどう変えるかに関して具体案をまとめる。
 控除の再設計は、低所得者に恩恵が大きい税額控除という仕組みの採用や、家族構成などの事情に応じた控除を手厚くするなど広範にわたる。しかも、税制改正前後で税収がほぼ変わらない税収中立が前提。納税者に損得が生じるのは不可避で、国民が納得できる丁寧な議論が必要になる。実際の税制改正は具体案を示した上で、数年がかりの作業になる公算が大きい。
 一方、妻の収入が103万円以下なら夫の課税所得から38万円差し引ける配偶者控除の見直しは、29年度改正で決着する可能性がある。同控除は女性の働く意欲を損ないかねないとして政府税調が一昨年に集中的に議論し、具体案を提示済み。妻の収入にかかわらず一定額を夫の収入から差し引く「夫婦控除」を税額控除方式で導入する案が有力視される。
 8日の経済財政諮問会議でも民間議員が年内に結論を出すよう求めた。
〔中略〕
 29年度改正はビール類の酒税の格差見直しも大玉の一つ。現在350ミリリットル缶当たりの酒税はビールが77円、発泡酒47円、第3のビールで28円。自民党税調では税額を数年かけて全体の税収が変わらない55円程度に一本化する案を検討してきた。だが、発泡酒と第3のビールは増税になって消費者の反発が強まる恐れがあり、参院選を控えた28年度改正では早々に見送られた。増税色のある改正は政治的な思惑が働きやすく、年末に向けどこまで議論が進むかは予断を許さない。
 景気への影響が大きい自動車分野では、購入時にかかる自動車取得税など現行4種類ある車体課税について、低燃費車の税を軽くするエコカー減税が来年3月末に期限切れになる。個人消費が振るわない中、減税をどのような形で延長するかが課題になる。
 法人税は、28年度までの2年間で法人実効税率20%台への引き下げなどの抜本改革を断行した。
〔中略〕
 「パナマ文書」問題で関心が高まった課税逃れ対策は強化される見通しだ。(万福博之)”

たかが数%の法人減税を「抜本改革を断行」などと書いてしまうメディアなので、
(「日本経済がゼロ成長なのだから、「抜本改革」が真っ赤な嘘なのは明白だ)
「若年層や低所得者層の負担を軽減」する制度になどならないのは明白である。

税額控除になるのは(執筆者は説明していないが)悪くない。
しかし夫婦控除を持ち出すのでは、政府も与党も配偶者控除の問題点を全く理解せず、
小手先で誤摩化して選挙に響かないようにすることだけに必死
なのが見え見えだ。

はっきり言っておくが、配偶者控除は全廃して現物給付に転換し、
育児関連費用を控除しないと経済効果は殆どないに等しい。

同時に保育ママの制度を変えて女性の新規参入を促進すれば
間違いなく莫大な経済効果が出るのである。
日本では子育ての終わった後の女性の就業率が欧州よりも明らかに低いからだ。

(賭けてもいいが、安倍政権にはこの程度の知恵すらない)


「積極登用」の陰でひっそり満足 子育てでバリバリ志向失う女たち(J-CAST会社ウォッチ)
http://www.j-cast.com/kaisha/2016/07/04270775.html
”「女性の積極登用」「働くママの活躍」が至上命題となっている現代日本。まさに今バリバリ働いていて、結婚後・出産後にもなおキャリアアップできるよう、将来を見据えて行動しているという女性も少なくないだろう。
 もちろん、男女が分け隔てなく力を発揮できる社会を目指すのは大事なことであり、そのための制度づくりが進められるのは当然だが、一方で、多様な価値観、生き方が認められることも、これまた大事ではないか。
 女性の中には、たとえば実際に出産してみてすっかり仕事に対する野心がなくなってしまったという人も、けっこういるらしいのである。
だんだん仕事が二の次に
 Q&Aサイト「発言小町」に、「子育て中に出世欲が消え失せた自分を考える」というトピックが立てられた(2016年6月11日)。
「もともと出世欲とか野心が強いほう」という投稿者。産後はベビーシッターや家事代行を頼み、子供が2歳の頃までは保育園の迎えや家事を夫とどう分担するかで「いつもピリピリ」していたそう。
 しかし「子供が3歳、4歳となってくると、赤ちゃんの頃よりも親の存在が大事になってきた気がして、だんだん仕事は二の次になり」、定時で帰れないような職場だったため、勤続10年以上のキャリアを捨てて転職。年収は減ったが残業はなし、プレッシャーも少なく、「結果として私も家庭も精神的にはとても安定しました」。
「同期の中で一番に昇進したい!」「何を犠牲にしてもこの案件をやりとげる!」というような野心がまったくなくなり、「時々自分が不思議になります」というほど変わったという。
「出産前と変わらず偉くなりたい!上昇したい!という野心を持ち続けられた方いらっしゃいますか」と、コメントを求めている。
加齢で意欲が減退する?
 結果から言うと、投稿者が呼びかけた「出産前と野心は変わらず」だった女性は少なく、コメント欄には「同じです!」などと共感を示す声が目立つ。
「出世欲が消えた」という女性の一人は、その原因を次のように列挙する。
「1.悪阻(かなりキツかった)と赤ちゃんのお世話で、自分の気力と体力でどうにもならないことがあると学んだ。2.私は誰かから必要とされたかった。今まではそれが職場だったけど、今は子供が私のことを必要としてくれるからそれに応えたいと思うようになった。3.出世したワタシ、よりも仕事と家庭を両立しているワタシ、の方が幸せな気がした」
 また、小さな店を営みながら子育てをしているという別の女性は、
「小さい頃はできるだけそばにいてやりたいし、小学校に入るとスポ少やら習い事の送迎で仕事に集中できないし、中学生になったら送迎は減りましたが(うちの学校はスクールバスがあるので助かってる)、今度は自分の体力が落ちています。本当は中学生になったら今のお店をもう少し手広くと思ってたのですが、なんだか自分自身が思っていた自分と違って、すっかり保守的になってるのです。体力的な問題と、やはりまだまだ子供に手がかかるんですよね。運動部で毎日腹ペコで帰って来る息子にお腹いっぱいおいしいものをと思うと残業できないし」
と自己分析している。
 40代独身の女性も、「加齢のためか、だいぶ意欲が衰えてきました」といい、
「自分の実感では、キャリアって上がりだすとその勢いでグングン行くんだけれど、それまでの力を蓄積している期間が長いので、勢いが発現する前に、キャリア意欲が減退してしまうと、それに乗り損ねる面もあるのではないかと思います」〔以下略〕”

政府の審議会や委員会でエリート女性が喋っている建前は、
日本が男性社会で女性の就業を妨げているというものが多いが、間違いである。

高学歴高収入エリート女性は、日本女性の平均像を分かっていない。
現状を肯定し恩恵を受けている層が多数派だから社会が変わらないのだ。

日本には、北欧のように女性に自立を強いる強烈な社会的圧力が殆どない。
インセンティブも圧力もなければ自ら進んで厳しい労働市場にとどまろうとする筈がない。
収入が少ないから止むなく働くが、「主な家計を担うのは男性」と固く信じているのが大多数だ。
(そうした日本型ジェンダーの強固な意識が経済を停滞させ、片親家庭を困窮させるのである)
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