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7割の未婚女性が結婚・出産で退職を選ぶ?「今の仕事が嫌」「待遇が悪い」- 職場への責任転嫁も多い

2015-09-15 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
日本の女性雇用は非常に特殊な世界で、
単純に「差別」とも「企業が悪い」とも言えない厄介な特性を持つ。

一方、アメリカでは育休のための制度が整っておらず、無給の場合すらある。
酷い話に、学歴によって育休を取得できる率が大幅に違ってもいると言う。
メイヤーCEOが二週間の育休で復活せざるを得なかったため、大きな議論になったほどである。

それでもアメリカでは「企業のせい」「政府のせい」「夫のせい」という議論には殆どならない。
しかも調査では日本よりも遥かに「育児しやすい社会」だとする回答が多いのである。
(確かに、格安でベビーシッターが見つかる点では優れているが)

それなのに、より育休制度が整っていている日本では
企業や政府や夫への不満が強いのである。不思議ではないだろうか。

あまつさえ、遥かに国民負担の多い欧州と比較して
日本も見習うべき、との虫のいい主張まで始める始末である。

出生率の高い、女性就労率の高い欧州国は、
タダでワークライフバランスを実現できている訳ではない。

欧州の労働者は平均的な手取りが日本よりも低く、つつましい暮らしをしている。
日本の親元同居の独身女性労働者のように、大金を美容や旅行といった消費に注ぎ込んでいない。
(これは調べればすぐ分かる話であり、この層は消費性向が非常に高いのが特徴)

もし日本の労働者がそうした欧州国に転居したら、
年収500万だったら税と社会保険料で年間50万円は手取りが減る。
年収300万なら年間30万、年収200万なら20万減るのである。
月単位に換算したらどれ程の負担であるから分かるだろう。

賭けてもいいが、利己的で自分の財布しか考えない輩は
気が狂ったように文句を言い、自分が被害者のように針小棒大に語るだろう。

高額な社会保険料を払っているからこそ、出生率の高い欧州国では
職場に気兼ねせず、安心して産休育休を取れるのである。
これは決して雇用慣行だけの問題ではない。
(因に、仕事の細部に対する日本の厳しい価値観も産休育休を妨げる一因である)

「日本企業の中にいる女性が仕事と育児の両立に苦労するのは
 トレンダーズ創業者である経沢元社長が何年も前に指摘したことであり、
 今更取り立てて言うものではない陳腐な話である」

「多忙な夫を選んだなら妻が育児しながら仕事にフルコミットするのは
 極めて困難であると考えねばならない。
 長時間労働にフルコミットしたいなら家事育児の大半をカバーできる夫を選ぶべきだ。
 また、やり甲斐のある仕事を求めるなら起業の道を選ぶのが理の当然である」

「多忙でも社会的地位の高い夫と結婚したい、育児にも時間をかけたい、
 やり甲斐のある仕事も貰って当然、というのは単なる強欲に過ぎない」

「あのアメリカですら、経営・管理層の女性の出生率が低いという事実は重い。
 ましてや北欧のように育児・雇用支援のため重税負担に耐えていない日本では、
 仕事と育児の両立が困難なのは当たり前で、所詮は自業自得でしかない」

「女性は高学歴層ですら他国に比べ専業主婦志向の者が異常に多く、
 しかも大多数が「上方婚」なので仕事を捨てざるを得ない選択肢を自ら選んでいるのだ。
 (女性医師が高所得な同業と結婚して、仕事を自ら辞めるのと似ている)」

「日本経済の停滞と人口動態劣化が強力に進んでいるのは、政治の責任だけではない。
 「育休世代のカリスマ」を含め、多くの人々の視野が狭く自己中心的だから、である。
 日本の女性就労率が歴然と低く、最も効果的な経済回復・所得向上策が実施できないのも同じ理由だ」

「基本的に、「女性」を単一セグメントとして語る論者は
 我が国の社会構造を全く分かっていないと見て間違いない」

「東洋経済オンラインで元大手メディアの高学歴女性が「女性活用」と言っているのは、
 「私達のような高学歴・高所得でハイスペックな夫と上方婚した女性の活躍」という意味である。
 高卒で低賃金で必死に働く労働者や、苦境に喘ぐ大多数のシングルマザーや、
 凡庸な大学・短大を出て仕事より私生活を重視する層は、はなから無視している訳である」

「女性雇用や労働を語るなら、まず最初にセグメンテーションを行わねばならない。
 「男性雇用」「男性労働者」をひと括りで語ることができないのと同様、
 「女性」という枠で論じるのは粗雑で単純な思考回路を自ら証明しているに等しい」

「また、日本の高所得女性については別の問題もある。
 税・社会保険料負担が北欧諸国より遥かに軽い日本では、
 仕事と育児の両立が極めて困難なのは当たり前の話である」

「担税能力が高い高所得女性労働者の負担が軽い現状では、
 誰が一体、育児支援のコストを払うと言うのであろうか。
 いかに裕福な男性でも、その利己主義に対して流石に頭にきてコスト負担を拒むであろう」

「ジャミングばかりで政策議論がまともな方向に進まないのは、
 残念ながら声も影響力も大きい(同世代男性より時間的余裕もかなりある)高学歴女性の責任が大きい」

と当ウェブログは指摘したが、このごく当然のことも理解できない労働者が多い。
高等教育を受けながら、「フリーランチはない」ことすら分からない始末である。

▽ スウェーデンで女性就業率が高く仕事と育児の両立が容易なのは、税・社会保険料の負担が重いため





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


当ウェブログの以下の指摘も当たっていたと言える。

「日本の女性労働者の多くは負担の重い正社員の長時間労働を嫌っている。
 時間拘束の少ない契約社員や派遣社員の方が実は満足度が高く、
 土日に休める事務職(労働需要は少ない)にばかり希望が集中する。
 低賃金の保育士や介護士は避けられる」

「独身の時は給料が安く税金は高いと不平を言い、
 結婚して子供ができると子育て支援が手薄と政府や行政を咎め、
 育児と両立する環境がないと職場を批判する」

「人情としては理解できなくはないが、そもそも自家撞着ではないのだろうか。
 負担の重くない仕事を選好するなら賃金格差は理の当然である。
 北欧のような税負担を回避しているなら公的な育児支援は貧弱になる。
 欧州のような高額な社会保険料を払っていなければ職場の負担が大きくなる。
 どれもごく当たり前のことで、何も不思議はないのではなかろうか」

「もっとまともな議論に焦点が向くようにしなければならないが、
 現状は利己主義と責任転嫁と欺瞞ばかりで嫌になってくる」

被害者意識を募らせているばかりでは、永遠に問題は解決しない。
自称被害者こそ、今の社会システムを支えている張本人だからだ。

 ↓ 参考

男女間の賃金格差は、必ずしも差別の結果ではない -「夫に養ってもらいたい」女性が過半数?
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/867d5cd15cee17551a36429d6be6fd3c

母親の三類型「ずるい人、文句ばかりで動かない人、必死で働く人」-世間を知らない「育休世代のカリスマ」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/35403c6328cd6afbc187477e119f45dd

高い教育を受けても就業率が著しく低い日本女性、先進国比で明確 - 配偶者控除廃止への批判が多い理由か
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/5a5b865d08ad919c9fe0115b89a4ac3b

▽ 同じ女性でも所得階層や社会階層で価値観が全く異なり、互いにほぼ無関心で「連帯」が著しく希薄

『夫婦格差社会 - 二極化する結婚のかたち』(橘木俊詔,中央公論新社)


米国、4人に1人が産後2週間で職場復帰 日本と異なるやむを得ない事情とは?(NewSphere)
http://newsphere.jp/national/20150910-1/
”日本ではいわゆる「マタハラ」が問題となっているが、先進国であるはずの米国では、有給休暇がない、もしくは少ないがために4人に1人の働く女性が出産後2週間で職場に戻るという深刻な問題が起きている
 政治雑誌「イン・ディーズ・タイムズ」が2012年のデータを元に行った調査によると、ワーキングマザーのうち出産後7日以内に職場復帰したのは12パーセントで、1~2週間以内は11パーセントだった。合計して23パーセントの女性が、出産してわずか2週間という短期間で職場復帰していた。
 学歴による格差も深刻で、6週間以上の休みを取った女性たちの割合は大卒以上で80パーセント、大卒未満では54パーセントだった。
 そもそも出産後2週間の労働は危険ではないのだろうか?アルジャジーラのコラムではこのデータを受け、「出産後、歩けるようになるまでに10日かかった」という女性など、複数の出産経験者のコメントを紹介した。たとえ安産だったとしても、数週間前に縫った傷口や睡眠不足、精神的疲労を抱えたまま長時間座って(もしくは立って)仕事をし、常に同僚と話し、職場の共有トイレを使うことは「身体的拷問」のようだとコラムニストは非難している。
◆有給休暇が法律で義務付けられていない先進国
 米国は有給休暇の付与が法律で義務づけられていない。50人以上の従業員を雇っている民間事業主に適用される「育児介護休業法」では、出産の際に最長12週の休暇が認められるものの、これは無給だ。よって12週間の収入を失う余裕のない家庭の女性たちは、無理にでも職場に復帰しようとする。場合によってはすぐにでも戻らないと、経済的に困窮するからだ。
 米労働統計局によると、育児や家族の世話などをするための「家族休暇」が付与されている労働者は全体の13パーセント。このような待遇の有無は労働者が働く企業や収入、組合に加入しているかどうかなどで大きく左右される。
◆大企業のトップも産んですぐ仕事、「見本にならない」との批判も
 では大企業や高収入の職を持つ女性は安心なのだろうか。8月31日に米ヤフーのマリッサ・メイヤーCEOが12月に双子を出産予定だと明らかにすると、産休・育休の議論は再燃した。彼女は2012年の出産の際、わずか2週間で復帰しているからだ。ヤフーのトップが2週間しか休めないのであれば一般の女性たちに希望はない、企業のトップとして良いロールモデルではないとの落胆の声も聞かれた。
〔中略〕
◆米国以外の育児休業事情
 育児休業でよく引き合いに出されるスウェーデンでは、16ヶ月の有給の育休を両親で分けることが可能だ。この期間には父親が取得しなければ消滅する3か月分も含まれており、男性も育児に参加する前提で設定されている。
 一方の日本はどうだろうか。現行の育児休業制度では、育休開始後180日までは休業前賃金の67パーセント、その後は最長1歳半までは休業前賃金の50パーセントが手当てされるが、収入が約半分になるため、多くの人は1年以内での職場復帰を考えざるを得ない。父親が取得した場合も180日間の間67パーセントが支払われる仕組みとなっているが、そもそも育休を取る男性が少ないため、活用する人はかなり限られているだろう。厚生労働省の「平成26年度雇用均等基本調査」によると、育児休業取得者の割合は女性が86.6パーセント(前年度比3.6ポイント増)で、男性は2.3パーセント(同0.27ポイント増)で、男性については微々たる差だが前年より上昇した。育休に関して日本は法律面では米国より整ってはいるものの、復帰するにあたり子どもを預ける場所がない、もしくは昇進が難しくなるなど課題も多い。
◆早急な法整備が必要
 米国ではホワイトカラーではない職に就いている女性の出産は仕事を懸けたリスクになり、想定外の難産や子どもの病気などで、収入、もしくは職を失ってしまうと貧困のスパイラルに落ちかねない。
〔中略〕
 人口の少ない北欧の国の制度のようにはいかなくとも、まずは有給休暇、そして産休・育休の法制化が急務といえる。”

日本とは議論の内容が大きく異なるアメリカの事情。
「自立度」が大きく違うのかもしれない。

ただこの記事は参考にはなるが、間違いがある。
北欧の制度のようにいかない理由は「人口」などではなく「社会保障制度」である。
アメリカのように税負担を嫌う社会では、北欧のような充実した両立システムは不可能だ。


女性800人に聞く「女性が本当に働きやすい職場」とは(@DIME)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150911-00010001-dime-bus_all
”ディップ株式会社は、同社が運営するサイト「はたらこねっと」の未婚ユーザー400名と、株式会社STRIDEが運営する「Woman&Crowd」の既婚ユーザー400名(計800名)の女性を対象に、「女性が本当に働きやすい職場」に関する調査を合同で行なった。調査の結果、「実際に結婚や出産を機に退職や転職をした」と答えた人は77%という結果になった
■68%の未婚女性が「結婚や出産後、今の会社で働き続けたくない」と回答、理由は「もともと辞めたいと思っていた」が最多
 未婚女性を対象とした「今後、自身が結婚や出産を経ても、現在の職場で働き続けたいと思いますか?」という質問に、32%が「思う」、68%が「思わない」と回答した。「思う」と回答した理由は、「今の仕事が好きで、そのまま続けたいから」「社内の人たちの理解・サポート体制があるから」が共に30%で最も多い結果となった。
「思わない」と回答した理由は、「今の仕事自体を辞めたいと思っていたから」が28%と最も多く、続いて「給与など今の会社の条件がよくないから」が25%となった。「社内の人たちの理解・サポート体制がないから」「働くママ・パパへのサポート制度が整っていないから」は共に13%に留まっている。
〔中略〕
■77%の既婚女性が、結婚や出産を機に退職や転職を経験、理由は「働くママ・パパへのサポート制度が整っていなかったから」が最多
 既婚女性を対象とした「結婚や出産を機に、退職や転職を経験しましたか?」という質問に、77%が「経験した」、23%が「経験していない」と回答。「経験した」と回答した理由は「働くママ・パパへのサポート制度が整っていなかったから」が23%で最も多く、続いて「当時の仕事自体を、辞めたいと思っていたから」が19%となった。
■結婚・妊娠出産時、会社から受けたいサポートは「会社から産休・育休の取得を積極的に働きかけてくれること」
 未婚女性・既婚女性それぞれを対象とした「今結婚・出産・育児を迎える際 職場でのどのようなサポートがあれば、働き続けやすいと思いますか?」という質問には、共に「会社が産休・育休を取るように積極的に動いてくれる」、「時短・フレックスタイム制の導入などで働く時間を決められる」という回答が上位を占めた。「社内に保育施設がある」という回答が、既婚女性は28%で3番目に多い結果となったのに対し、未婚女性は16%となり、差がみられた。”

この調査は、官庁や大企業正社員の女性が理解できない、多くの女性の本音である。
調査対象は労働市場での評価がごく普通の労働者であり、だからこそ実態が露骨に現れる。

多くの女性にとっては「やりがいのある仕事」など殆ど見つかるものではなく、
(男性労働者も同様であるが、簡単に辞められない点は大きく違う)
待遇の悪さに不満が強いのに、産休や育休、時短勤務やフレックスタイムを求める。
もし本気でそう思っているなら全員公務員になるべきであろう。
納税者の負担で産休育休を取得できるからである。

職場や職種は好きに選びたい、待遇は良くして欲しい、
時短勤務やフレックスタイムは導入して欲しい、
でも税や社会保険料は払いたくない、そういうことなのだろうか。


仕事と育児の両立には「夫の協力」より「職場環境」が大事 ワーママ1000人調査(careerconnection)
https://news.careerconnection.jp/?p=15969
”英会話のGabaが小学生以下の長子を持つワーママ1000人に、育児と仕事を両立できているか尋ねたところ「両立できている」と答えた人が68.6%を占めた。
 ただし子どもの年齢によって差があり、乳児(1歳未満)のママ(47.1%)と小1のママ(58.9%)では数字が低い。子どもが小学校に上がることで職場の時短勤務制度が使えなくなったり、夜遅くまで子どもを預けられる施設がなくなったりする「小1の壁」が大変と答えた人は76.8%にのぼっている。
■仕事を辞めないメリットは「子育てにいい距離感が保てる」
 それでは、どうすればもっと両立しやすくなるのか。そのために何が必要か聞いたところ、「勤務時間が調整しやすい職場」(70.8%)と「休暇が取りやすい職場」(70.0%)がトップに並んでいる。
 両立には「夫の協力」が必要とする回答は、55.1%と比較的低い
。育休を取得した夫の割合も8.8%にとどまり、64.5%の人が「(夫は育休を)取得しなかったし、取得して欲しいと思わなかった」と答えている。夫より職場の改善に期待を寄せているようだ。
 育児にはお金がかかるため、子どもの誕生とともに「もっと遅くまで働いて残業代を稼いで来なさい!」と奥さんからハッパを掛けられているサラリーマンが多いのかもしれない
 今後の希望としては「子育てに専念したい」が42.7%にとどまり、「キャリアアップに励みたい」と答えた人が60.1%。86.6%の人が「子どもの存在が働く上でモチベーションになる」と回答した。
 仕事と育児の両立については「生活にメリハリを感じる」(56.0%)、「社会とのつながりを感じる」(54.1%)、「子育てに対していい距離感が保てる」(45.3%)と感じる人が多い。〔以下略〕”

こちらは英会話スクールの調査だから、高所得・高学歴の層だと思われる。
矢張り職場への要求が多い。夫が育休を「取得して欲しいと思わなかった」のは、
この記事でも推測している通り「自分の財布」の問題である。
夫も妻も長い育休を取得できる代わりに手取りが減る「北欧型」への変更は全力で阻止するだろう。
シングルマザーがどれだけ辛く苦しい目にあっても他人事だからだ。

妻よりも大概、夫の時間給の方が相対的に上なので、
長時間労働をしてでも家計に貢献してれれば良いと思っているのである。
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