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黒田日銀総裁が見苦しい自画自賛、「日本経済は今世紀で最も明るい」- IMFは成長率見通しを引き下げ

2013-10-16 | いとすぎから見るこの社会-全般
「黒い日銀」の本性が明らかになる転換点が近づいてきた。
金融政策原理主義者はリフレ派の多くに見られるように視野狭窄で
自らに好都合な事実しか見ない軽躁な楽観主義を持つ。

黒田日銀総裁がアメリカでの講演で日本経済が
「今世紀に入ってから最も明るい見通しが持てる」と語ったそうだ。
これは実体経済と市場が思いのままになると錯覚し、
単に自らの施策を自画自賛しているだけに過ぎない。

ドルが100円を超えて世界経済の成長率が今より高かった数年前にも
我が国の成長率が3%を下回り多くの者の実質所得が停滞し、
特に現役世代の多くに恩恵が及ばなかったという事実を無視したものだ。

モリスは、政治サイクルが転換点を迎える際に生じる現象として、
「質が低く、自分勝手で、奇妙な人たちが前面に出てきた時」
と記している。日本は今まさにその転換点に向かっていると言えよう。

▽ モリスはサブプライム問題による打撃が1兆ドルの巨額に達すると、驚くほど正確に予言した

『なぜ、アメリカ経済は崩壊に向かうのか―信用バブルという怪物』(チャールズ・モリス,日本経済新聞出版社)


また、上掲書では劣化した保守派の主要な支持者の類型が書かれている。

○自己満足に浸る凡庸な人たち
○自己利益を露骨に追求する特権階級
○生活に疲れて無関心で愚かな大衆

どこの国でも保守派の支持層は似たようなものであり、
今の日本の政治状況を的確に見抜いた言葉でもある。

何故なら当ウェブログが以前から書いているように、
今の日本経済には慢心や利己主義が蔓延しているからである。

「日本は声の大きい大企業に甘く、働かない偽弱者にも甘いのだから、
 成長率・生産性・一人当たりGDPの全てでスウェーデンに負けるのは当然だ」

「法人税減税は「大企業の収益の成長政策」であり、
 アメリカを見ればすぐ分かるように経営層と株主に利益が集中する。
 彼らは元々高所得なので消費性向が格段に低く、内需を支えない」

「日本の大企業には根本的な問題がある。
 低収益・経営者の居座り・進まない企業の新陳代謝である。
 優秀な企業もあるがそうでない企業も多いのだ」

「真の成長政策は、経営者同士・企業間の競争を促進し、
 キャッシュを貯め込んで投資も収益も雇用も増やせない
 劣等企業や経営者を追放することである。
 そのためには海外からの対日投資を呼び込む投資庁も必要だ」

「同時に、雇用政策では解雇規制にだけ集中する視野狭窄をやめ、
 北欧型の積極的労働市場政策から学び、
 有能な労働者の流動化を進めるべきである」

「配偶者控除や第3号被保険者、退職金控除といった働かない者へのバラマキをやめ、
 育児・福祉・医療といった労働力不足分野で働く者への支援に所得移転すべきである」

経済循環による好況を自らの手柄のように語る嘘つきは、
次の景気後退で転落する運命にある。
日本経済の命運を左右する人口動態の急激な劣化を放置しているから尚更である。

 ↓ 参考

「第三の矢」の大半は経済成長と無関係、大企業へのバラマキだ - 企業と経営者の新陳代謝が足りない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/60ddbf459b3e3bfacb58a872b7262dfc

「財政破綻したデトロイトは未来の日本」- 公費で大企業を優遇しても税収・雇用とも増えない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/50d0ce5dcb89dfa391b6c12944f8cf97‎

▽ スウェーデンは競争力に欠ける企業に厳しいため、日本より成長率も一人当たりGDPも高い





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


「今世紀で最も明るい」=日本経済、米で強調―黒田日銀総裁(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201310/2013101300026&g=eco
”【ワシントン時事】黒田東彦日銀総裁は12日、世界の大手金融機関が参加する国際金融協会で講演した。黒田総裁は日本経済について「今世紀に入ってから最も明るい見通しが持てる」と強調し、日銀が4月に導入した量的金融緩和により、企業が投資を増やしたり、家計所得が改善したりする動きが活発になることへの期待感を示した。”

日本や世界経済の成長率予測から見れば、
前回の好況期を下回るのは明白である。
どうしてこのような無責任な言動ができるのか全く理解できない。


IMF、今年の世界成長率を下方修正し3%割れ 新興国減速、日本も2.0%に(sankeibiz)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/131008/mcb1310082201030-n1.htm
”【ワシントン=柿内公輔】国際通貨基金(IMF)は8日に発表した最新の世界経済見通しで、2013年の世界全体の実質成長率を、前回7月の予想時より0.3ポイント低い2.9%に下方修正した。新興国の減速で世界経済が「踊り場にさしかかった」とし、米国の財政不安も新たなリスクと警告している。
 IMFは14年の成長率も3.6%(従来予測3.8%)に引き下げた。先進国の景気は「徐々に力強さを増している」半面、新興国は「潜在成長率の鈍化と国際的な金融環境の引き締め」という2つの試練に直面しているとした。日本は13年は2.0%(同2.1%)で2%成長を保つが、14年は消費税の引き上げなどで1.2%(同1.1%)にとどまる見込みだ。

軽々しく口を滑らす日銀総裁よりもこの数字を直視すべきである。
日本経済も見通しが引き下げられている。
内需の大きな日本でも、世界経済の鈍化を国内では補えないのだ。


暮らし「悪くなる」8カ月ぶり上昇 日本リサーチ総研調査(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2403K_U3A920C1EE8000/
”消費者心理の持ち直しが一服してきた。日本リサーチ総合研究所の8月調査で、今後1年間の暮らし向きを聞いたところ、「悪くなる」との答えが33.6%と前回の6月調査に比べて5.3ポイント上がった。上昇は8カ月ぶり。賃金があまり増えないなかで輸入品や燃料の価格が大幅に上がり、消費者に不安が広がりつつある。長引けば個人消費にも影を落としそうだ。〔以下略〕”

当然の話だが、一般国民は円安の影響で実質購買力は低下する。
来年は更に状況が悪化するだろう。


アベノミクス、負の側面も 日銀調査、景況感は悪化(共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201310/CN2013100201001935.html
”日銀が2日発表した生活意識アンケート(9月調査)によると、個人の現在の景況感を示す指数は前回6月調査から3.5ポイント減少し、マイナス8.3と3期(9カ月)ぶりに悪化した。収入が増えない一方、物価上昇で支出が増えていると回答した人の割合は増加しており、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の負の側面が、生活実感に影響を及ぼしていることが浮き彫りとなった。”

吉本佳生氏が指摘した通りの展開になっている。
数年前の事実から分かり切った話である。

▽ 円安誘導は大企業ばかり潤し、中小企業と労働者の殆どは打撃を受ける

『日本の景気は賃金が決める』(吉本佳生,講談社)


何度も書いているが、最も打撃を受けるのは育児世帯である。
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