みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

「いかなる条件でも削減目標を記入しない」- 日本の京都議定書継続への反対表明で会場が凍りつく

2010-12-10 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
大方の予想通りCOP16がいきなり迷路に入り込んでいます。
毎日新聞の報道によるとEUのファンロンパウ常任議長が
1年前からCOP16の失敗を予見していたとか。

COP16に限らず環境国際会議は完全に「産業戦争」です。
いや「産業代理戦争」と呼ぶべきかもしれません。

日本が京都議定書の継続を拒否するのは理の当然ですが
いきなり拒否を明言するのは戦術的に失策かもしれません。

「より新しく、より有効な議定書が必要な時期に入った」と
巧みに京都議定書を貶めて新スキームに誘導する狡知が必要です。

カンクンで標的とすべき対象は中国以外にあり得ません。
新興国の排出二酸化炭素量は明らかに急増しています。

安い中国製品の大量流入を苦々しく思っている国は多く、
EUと日本は確実に利害を共にしています。
アメリカやインドの援護も期待できるでしょう。

エネルギー効率が悪く二酸化炭素排出の多い
中国製品のような「環境に悪い」貿易品目に
「グリーン関税」を課して排出枠購入に充当すべきです。
一方で日本製のような「環境に良い」製品には排出枠を設定できます。

これで
新興国が地球環境に貢献できる新しいスキームが創出されます。
(実質的には成長する中国から日本など環境先進国への所得移転)
カンクンで日本が世界をリードする好機です。


▽ 中野博氏が「一番乗りで心に残るメッセージを伝える」重要性を指摘





『エコブランディング―なぜ富裕層はエコ商品を選んでしまうのか?』(中野博,東洋経済新報社)


さてそのためには多数派工作が必須ですが……


閣僚級会合開幕 「ポスト京都」決着、来年以降 通じぬ日本の道理(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/ecology/news/20101209ddm002030074000c.html

”【カンクン(メキシコ)足立旬子、國枝すみれ】国連気候変動枠組み条約第16回
 締約国会議(COP16)は7日(日本時間8日)、閣僚級会合が開幕し、京都議
 定書に定めのない13年以降の枠組みをめぐる論議は山場を迎えた。しかし、地球
 温暖化を招いた責任論など従来の主張が繰り返され、「決着は来年以降」というの
 が交渉担当者の共通認識になっている。議定書で温室効果ガスの削減義務を負って
 いる国の排出量は、世界の27%にとどまる。日本は議定書の見直しを訴えるが、
 支持は広がらず厳しい対応を迫られている。 
 〔中略〕
 11月29日のCOP16初日、日本は「いかなる条件でも(13年以降の)第2
 約束期間での削減目標を記入しない」と演説、議定書の延長不支持を鮮明にすると、
 会場は約30秒間、静まりかえった。
 97年に採択された京都議定書は日米欧などの先進国に温室効果ガスの排出削減を
 義務づけた。しかし、米国は経済的影響を理由に離脱、世界最大の排出国の中国も
 途上国扱いで削減義務はない

 日本は「現状の枠組みでは産業の国際競争に影響が出る上、温暖化防止の実効性も
 乏しい」と説明、途上国支援の実績をもとに支持拡大を図るが、「開幕早々、水を
 差した」(タイ)、「柔軟性を持つべきだ」(パキスタン)など反応は冷ややか。
 日本と立場が同じなのはカナダとロシアだけだ。
   ◇目立つ米中の接近
 交渉では、皮肉にも削減義務を負っていない米国と中国の存在が目立つ。
 例えば、中国はインドと歩調を合わせ、先進国が議定書延長や早期の資金供与など
 の3条件をのめば、削減対策の国際検証を受け入れると表明。検証は着実に対策を
 実施するために重要で、米国が強く求める。「内政干渉」と抵抗する国は多いが、
 中国は条件闘争に入って主導権を握り、米国と水面下交渉を進める。
 中国外務省高官の劉振民氏は「米国との友人関係を楽しんでいる」と語り、米国の
 トッド・スターン気候変動問題担当特使も会見で「中国と頻繁に話し、愛情すら持
 っている」と語った。欧州連合(EU)は「米中はいつもひそひそ話をしている」
 と警戒する。
 中国は、閣僚級が現地入りした2日間に判明分だけで約20回の2カ国会談をこな
 した。
松本龍環境相も7日、温暖化被害を受けやすい島嶼(とうしょ)国グループ
 代表のグレナダのトーマス首相、中国の解振華(かいしんか)・国家発展改革委員
 会副主任らと会談したが、中国の半分という。
   ◇交渉の構図、複雑化
 締約国の中で多数派の途上国は「温暖化を招いたのは先進国」という観点で、京都
 議定書延長の立場で足並みをそろえる。閣僚級会合で、イエメン代表は「先進国は
 温暖化問題の歴史的な責任がある。経済力に比例した目標をもつべきだ」と訴えた。
 その途上国も、気温上昇幅や世界全体の排出削減目標など、「ポスト京都」を構成
 する項目で主張が異なる。先進国との対立も相まって交渉の構図は複雑化している。
 COP16の作業部会で、議長のたたき台は、「(地球規模での温暖化被害を深刻
 化させないとされる)気温上昇を2度未満に抑える」と盛り込んだ。国連の「気候
 変動に関する政府間パネル(IPCC)」の報告書を反映した数値だが、途上国も
 排出削減を迫られる可能性があり、中国は反対している。
 同じ途上国でも、米国を抜き世界一の排出国となった中国をはじめとする新興国へ
 の目は厳しい。
1.5度未満を求める南米ボリビアのパブロ・ソロン首席交渉官は
 「(自然災害をもたらす)温暖化は大量殺人だ。命を守ろうとする姿勢が、交渉を
 停滞させていると言うのか」と主張する。
 6日の会見でインドのラメシュ森林環境相は、米国が20年までに05年比17%
 削減するとの目標を取り上げ、「低すぎる数値だ。心底がっかりだ。これまでの累
 積排出量が最大の米国の参加なしに、地球規模での対策を成功させることはできな
 い」と指摘し、さらなる温暖化防止のための資金支援を求めた。これに対し、EU
 は「2度未満達成には、すべての主要排出国の削減が必要だ」と主張し、日本も米
 中の参加を求めている

 ==============
   ◆各国の温室効果ガス削減目標と交渉スタンス◆

    <20年の削減目標>        <京都議定書延長>

 日本  90年比25%減          反対

 米国  05年比17%減          意見表明せず

 EU  90年比20~30%減       条件付き賛成

 中国  GDP当たり05年比40~45%減 賛成

 インド GDP当たり05年比20~25%減 賛成 ”

 → 削減目標と議定書へのスタンスも記された毎日新聞の記事です。
   まずはEUと組んで米中に対抗するのが先決、
   そのように見えます。

   「一国一票」のはずなので、他の小国と交渉して
   支持国を全力で増やさねばなりません。
   その意味で中国よりも動きが少ないのは絶対不可です。


「世界を暗黒に落とす」日本を英・ブラジル批判 COP16議事録入手(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/life/environment/101210/env1012100154001-n1.htm

”【カンクン(メキシコ)=滝川麻衣子】2013年以降の温暖化対策の国際的枠組
 みを話し合う国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)の水面下
 の交渉で、焦点の京都議定書延長に反対する日本が厳しい圧力に晒されている実態
 が8日(日本時間9日)、産経新聞の入手した議事録で分かった。英国の閣僚は、
 「交渉決裂は世界を暗黒に落とす」と日本を強く非難。最終日の10日までに合意
 できない場合の責任を日本に負わせよう
とする動きをみせている。
 京都議定書は、先進国のみに12年までの温室効果ガス排出の削減目標を義務付け
 ている。批准していない米国や途上国扱いの中国などが対象外なので、日本は先月
 29日のCOP16開幕早々、延長を認めない方針を表明。新興国などから批判の
 集中砲火を浴びてきた。
 議長のエスピノサ・メキシコ外相は、14カ国の閣僚級を分野ごとの調整役に選任。
 京都議定書担当は、中国などと延長論を主導するブラジルと、延長やむなしとする
 英国となった。
 6日に行われた両国との交渉議事録によると、ブラジルは「(日本の主張は)議定
 書への挑戦だ」と批判。英国は「途上国から譲歩を引き出すには(合意文書に)延
 長で前向きな表現が必要だ。受け入れられないか」と方針転換を迫った。
 英国とブラジルは議定書を暫定的に延長し、その後に米中を含む新しい枠組と統合
 させる案などを持ち出して妥協を求めたが、日本側は、米中が枠組みに加わる保証
 がないとして「ノー」を繰り返した。
 業を煮やした英国は「金曜日(10日)の段階で決裂したら世界中の人々を暗黒に
 突き落とすことになる」と批判。さらに「会議が失敗に終われば人々が日本につい
 て何を言うかは明らかだ。日本が新聞のヘッドライン(見出し)になる」と脅しと
 もとれる言葉をかけたが、日本は「だれもレッドライン(最後の一線)まで追い詰
 めずに現実的な解決策を見いだすべきだ」と主張。1時間10分の攻防を終えた。
 一方、8日の閣僚級会合では各国の代表が相次いで意見表明した。中国の解振華・
 国家発展改革委員会副主任(閣僚級)が「議定書延長を成果として目指すべきだ」
 と強調。インドのラメシュ環境相も同日の松本龍環境相との会談で、「(日本の)
 延長反対がCOP16の進行を妨げている」と批判するなど新興国は“日本包囲網”
 を狭めてきた。日本政府関係者によると「中国と米国が接近している」との情報も
 あるという。
 日本もロシアやカナダなどの主要国や途上国の島嶼(とうしょ)国などに働きかけ
 て支持固めを続けている。
両陣営の溝が埋まる気配はない。”

もっと新興国の二酸化炭素排出が急増していること、
もはや先進国だけでは「穴の開いたバケツ」であることを
強調した方がいいと思う。

多分このCOP16は失敗に終わるだろうが、
「大義ある敗北」と「支持国拡大」、「中国逆包囲網」が
日本に求められている。
Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 中国人新卒は、日本企業の古... | TOP | CFTCのIMM通貨先物で... »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える