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「GNI増加」でも所得は減少、数年前に実証された - 国内経済を捨て「韓国化」を容認する不平等拡大策

2013-06-18 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
一人当たりGNI150万円増を打ち出した安倍内閣であるが、
実現性はさておいて(アベノミクスでは到底夢物語)意味するところは明白である。

資産のない日本人や海外で稼げない日本人は後回し
が隠されたメッセージだ。日本が海外で稼いでも
それだけでは日本国民は豊かになれない。

世界の一人当たりGNIランキング上位国を見れば明白である。
産油国・タックスヘイブン・輸出依存度の高い国ばかりだ。

一人当たりGDPの順位と比較すると、一人当たりGNIでは
アメリカの順位が下がりスイスの順位が上昇している。

我が国は産油国でもなければタックスヘイブンでもない。
残っているのは輸出依存度の引き上げだけである。

国内経済を諦め、資産家とグローバル企業が稼げれば良いと、
近隣で言えば韓国経済と同じ道を取ろうとしている訳だ。

雇用面でも韓国と同じように同胞の待遇を切り下げ、
グローバル企業幹部か公務員でないと二級市民扱いということだろう。

「「企業が稼いでこそ日本が豊かになる」との尤もらしい宣伝が多いが、
 これは完璧な誤りであるばかりではなく明白なプロパガンダである」

「企業収益増加は日本経済の成長の必要条件の一つであっても、
 決して十分条件ではない。これが21世紀の「ニューノーマル」なのだ。
 大企業を保護し健全な競争を妨害する政策や制度が日本経済を沈滞させている」

「真に必要な経済政策は、いかに利害関係を持つ企業が嫌がろうとも
 エネルギー効率を高め、強力な人口政策と積極的労働市場政策を推進することであり、
 大手企業に媚びへつらってその利益に貢献する腐った政策ではない」

「海外で日本企業が収益を伸ばすのは慶賀すべきことだが、
 これは韓国と同じ道を日本が後追いしていることを意味する」

「我が国は韓国同様、税を通じた再配分機能が非常に貧弱である。
 グローバル企業幹部の一族ばかりが儲かって繁栄を謳歌し、
 失敗者は這い上がれない韓国型社会に、日本も進みつつある」

「安倍首相の賃上げ要請はしようもない選挙向けパフォーマンスに過ぎない。
 断言しておくが、あと数年経っても賃金上昇は「苦痛なほど鈍い」ものになる」

と当ウェブログは主張してきた。
2003~2006年の景気回復期に何が起きたか、
健忘症でなければどれも当然の話であることが理解できよう。

↓ 参考

資金を貯め込む「内向き」日本企業、99兆円もの巨額の内部留保 - 遂に米紙WSJからも批判される
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/8db6931d80e2f0246bd507865d384526

企業の海外進出の主因は「現地の需要が旺盛」- 円高でも人件費でも税負担でも電力料金でもない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/619b49fe849af09f9a6a4ff93219bf23

▽ 日本の高度成長は人口ボーナス効果の影響大、そのツケが今の低成長に

『中国台頭の終焉』(津上俊哉,日本経済新聞出版社)


▽ 日本衰退の主因は企業活動ではなく人口動態

「2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する」文藝春秋


成長戦略に盛り込まれた「GNI」とは?(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130614/fnc13061421310014-n1.htm
” ■「給料上昇」直結せず

 日本経済再生に向けて、政府が14日に閣議決定した成長戦略で、1人当たり国民総所得(GNI)を10年後までに150万円以上増やすことが盛り込まれた。GNIとは聞き慣れない指標だが一体何を表すものなのか。GNIが増えるということは、どういうことなのか。Q&A方式でまとめた。

 Q GNIとはどんな指標なのか
 A 英語の「Gross National Income」(グロス・ナショナル・インカム)の略で、企業や国民が国内外で稼いだ所得の合計にあたる。

〔中略〕

 Q 経済成長の伸びを示す国内総生産(GDP)との違いは
 A GDPは、国内だけで生産された物やサービスの付加価値の合計。GNIは、GDPに海外投資によって得られる利子や配当などを加えた数字になる。日本企業が世界中に進出してビジネスをやるようになった現状を反映できるが、GDPに比べて、企業がどれくらい活発に国内で生産しているかを示す経済規模はつかみにくい

 Q GNIそのものではなく、「1人当たり」のGNIを目標としている理由は
 A 少子高齢化で日本の人口が減っている。GNIが伸び悩んでいたとしても、1人当たりのGNIが増えれば、国民が豊かになっているともいえると判断したからだ。世界銀行がまとめた2011年の1人当たりのGNIランキングでは1位はノルウェー、アメリカが9位、日本は14位。人口が最も多い中国は76位だ。人口が少なくても生産力のある国が上位にいることも特徴で、日本もそんな社会を目指すとの意味だろう。

 Q 1人当たりのGNIがアップすることは、給料が上がることと直結するのか
 A 〔中略〕労働者の給料とはまったく違う。ただ海外にもっと投資をしてもうけたり、働く人の割合が大きくなれば、景気がよくなり、所得が増えることは十分に考えられる。それには企業が稼いだ金をため込まず、社員への給与に回したり、再投資をすることが欠かせない。”

産経新聞が分かり易い解説記事を出している。
「「給料上昇」直結せず」は正しいが、重大な誤りがある。

本当に「人口が少なくても生産力のある国が上位にいる」のであれば
どうして産油国やタックスヘイブンが上位に来るのか。
正しくは「人口が少なくて租税回避や輸出に頼らざるを得ない国が上位に来る」である。

▽ タックスヘイブンでは経済界と政界が癒着し、単純労働者を次々受け入れ賃金を切り下げる

『タックスヘイブンの闇 世界の富は盗まれている!』(ニコラス・シャクソン,朝日新聞出版)


国民所得150万円増でも給料増えず 浜矩子氏「アホ」と一蹴(週刊ポスト)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130618-00000011-pseven-soci
”「10年間でみなさんの年収は150万円増えます」──安倍首相は街頭演説やテレビ出演で国民にそうバラ色の夢を振りまいている。
 そんな言葉を真に受けたら馬鹿を見る。安倍首相の年収アップ論にはそもそも大きな誤魔化しがあるからだ。
〔中略〕
 安倍政権が成長戦略で目標に掲げたのは、「年収」ではなく、「1人あたりの国民総所得」(GNI)を10年後に150万円増やすというもの。これは現実には、国民の収入増加を意味しない。
「アホノミクス」の命名者である、同志社大学大学院ビジネス研究科・浜矩子(のりこ)教授はその見え透いた騙し方が「アホ」だという。
国民総所得は『国民の給与所得』とは全く別の指標で、企業の利益や政府の公共投資が含まれる。たとえば企業が社員のクビを切って海外に工場を移転し、そこで利益をあげれば国民総所得は増えるし、政府が増税で公共事業をバラ撒いても増える。安倍内閣がこの指標を持ち出して『給料が上がる』と説明していますが、それは間違いなのです」
 もちろん、安倍首相が国民総所得と年収の違いを知らなかったわけではない。
安倍総理は成長戦略を打ち出すにあたって池田勇人首相の所得倍増計画に匹敵する目標はないかと秘書官に指示し、150万円の数字が出てきた。前提となる実質2%、名目3%という成長目標を決めたのは財務省だ。安倍首相はレクチャーで国民総所得と年収の違いは説明を受けており、それでもいいと目標にした」(官邸関係者)
 演説の変化を辿ると“確信犯”で間違えたことがわかる。安倍首相が最初に成長目標を掲げたのは6月5日の成長戦略発表スピーチでのこと。
「国内外の潜在市場を掘り起こし、一人あたりの売上を伸ばす。その果実を、賃金・所得として家計に還元します」と、国民総所得が賃金に反映されるためのメカニズムを正確に説明し、「1人あたりの国民総所得」を150万円増やすと語った。
 表現を変えたのは8日の都議選の街頭演説からだ。1か所目の墨田区曳舟の駅前では、恐る恐る聴衆の反応を確かめるように「国民の平均の所得」と言い換え、2か所目の両国になると「収入が増える」、そして3か所目の江東区豊洲に来ると自信満々に「平均年収を150万円増やすことをお約束します」と開き直った。
 そして翌日、NHKの日曜討論で間違いを指摘されるとこんな言い方をしたのである。
「国の貿易や特許料も含めた総収入の1人あたりですが、これが増えていかなければ国民の所得も増えないのは当然」
 GNIが増えなければ所得は増えない。だが、GNIが増えれば国民の所得が必ず増えるわけではない。
 実際、日本では小泉内閣の2003年から第1次安倍内閣の2007年までの5年間、「1人あたり国民所得」は約398万円から約414万円へと16万円アップしたが、サラリーマンの平均年収は443万円から437万円へと7万円減っているのである(国税庁「民間給与実態統計調査」)。
「国民総所得」が増えても企業が利益を社員に還元しなければ給料は上がらない。高度成長期の池田首相はあえて「給料を2倍に」と約束した。安倍首相が本気で企業に賃上げを求める気であれば、収入アップを成長目標にすることができたはずだ。お年寄りから子供まで「1人150万円増」なら4人世帯の年収は 600万円増える。
 平成の所得倍増をいわずに「経済指標」に逃げたことが国民への最大の誤魔化しなのだ。”

週刊ポストがタイムリーに絶妙の突っ込みを入れている。
タイトルには品がないがGNIが伸びても賃金が伸びなかった事実は確かだ。

折角いいことを書いているものの残念ながら間違いもある。
「所得」も「経済指標」の内に入るので「経済指標に逃げた」は誤りである。
(例えば厚労省が統計を作成している)

「安倍首相が本気で企業に賃上げを求める気であれば」も違う。
「賃上げを求める」は今の中国のような強権国家でないと実効性を持たない。
民主主義国では「賃上げを実現する」「所得増に導く」が正しい。
(強力な人口政策、積極的労働市場政策がなければ所詮実現不可能だが)
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