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質の悪い観光客を招き寄せる、お粗末な安倍政権の観光政策 - 民泊や容積率緩和は「次元の低い」愚策

2016-05-24 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
そもそも訪日観光客増加は安倍政権の手柄ではなく、
アジア国が豊かになり日本が貧しくなった現実の必然的帰結である。
また、観光客へのビザ拡大を始めたのは民主党政権だ。

そうした実態を理解する能力のない安倍政権と官庁は、
またしても「次元の低い」政策を始めている。

観光消費の叩き売りによるカニバリズムを助長する
民泊推進と容積率緩和など、馬鹿馬鹿しいにも程がある。

コストの高い日本ではブランディングや収益率向上に注力しないと
より低コストのタイや台湾に勝てないのは明白である。

しかも現状は中国人観光客に依存し過ぎているから、
チャイナ・リスクは観光分野で急速に拡大している。

また、無理な数的拡大は質の悪い観光客を増やし、
観光地でトラブルを頻発させる
であろう。

中国人観光客は数的にはもう増やす必要はない。
重要なのは中国以外の国からの訪日客を増やすこと、
富裕層の観光消費を増やしてチャイナ・リスクを軽減させ
真の意味での日本経済の成長に繋げること
である。

▽ 日本の観光政策では最も重要な「観光収入」の観点が完全に抜け落ちている

『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』(東洋経済新報社)


安倍政権は、観光でも次元の低い政策に驀進している。

「現在、親日的なアセアンをはじめ訪日観光客が順調に増えており、
 「隠れた輸出産業」として威力を発揮しつつある。
 (福島原発事故がなければもっと伸びていたであろう)」

「御用メディアは「日本政府のプロモーションの成果」としているが、
 とんでもない間違いである。訪日観光客に調査してみるがいい。
 口コミで日本に興味を持ったり、ソフトパワーの影響で好印象を持っているケースが多く、
 他の観光先進国に比べて政策的に卓越した面は殆どないに等しい」

「真相は円安で日本観光がディスカウントされていること、
 新興アジアの成長率が高く、停滞している日本が「お買い得」になっているためだ。
 アジアの経済成長という「神風」の恩恵に過ぎない」

「ただ問題は、日本の観光政策のレベルがいまだ低く、
 マーケティングもまるでなっていないことだ」

「日本の観光政策ではセグメント別の分析が決定的に欠けており、
 毎年のマーケティングやブランディング戦略が全く見えない。
 大きな潜在力を活かしていないのである」

「日本はもっと海外富裕層を迎え入れることが上手にならなければならない。
 無料で通訳や観光案内をつけても良い位である。それでも充分にペイできる」

「日本の観光にはまだポテンシャルがあり、充分に発揮できていない。
 他国の観光政策やマーケティング、ブランディングから謙虚に学ぶことが必要だ」

「残念ながら中国人観光客の「爆買」は日本経済を成長させていない。
 訪日外国人観光客の消費額が過去最高に達したにも関わらず、
 4~6月期の日本経済はマイナス成長が確定している」

「スペインやイギリスのように観光収入において日本より遥かに優れている
 「観光先進国」と比較すると、自国を大幅に安売りしてもタイや韓国にすら及ばない
 日本の観光政策の劣後は明白である」

「今日の事態を正しく予見していたのが元ゴールドマンのアトキンソン氏で、
 中国人訪日観光客の「爆買」は効果が限定的であると見抜いていた」

「氏は日本経済への貢献度の低い輸入品を買い漁る中国人よりも、
 自然や文化に関心が強く長期滞在する豪州や欧州の訪日客を増やすべきと提唱している」

「日本政府もメディアも中国人観光客の「爆買い」に幻想を抱いている。
 「爆買い」は中国の関税の高さと異常な円安とがもたらした「事故」のようなもので、
 着実に毎年伸びてゆくものではないし、日本経済を力強く成長させるものでもない」

「中国人観光客の「爆買い」は確かに数字の上では伸びているが、
 その代わりに対中輸出が大幅に落ち込んでいる。だから真実は一つしかない。
 日本で「爆買い」している分、日本からの対中輸出が減っただけなのだ。
 つまりこれは不毛なゼロサム・ゲームである可能性が高い」

「当ウェブログは「中国人観光客の「爆買」は日本経済を成長させていない」と指摘したが、
 日本経済のマイナス成長と消費の弱さを見れば、自明のことであろう」

「本当に観光政策によって日本経済を成長させたいのであれば、
 訪日客数ではなく観光収入を目標としなければならないし、
 内需への波及効果の低い輸入品の買い物ではなく
 観光収入の大半を占める宿泊と食事を重視しなければならない」

「また、多くの雇用創出が見込める文化財修復と有料ガイド、
 そして海外富裕層向けの宿泊施設の新設に注力すべきである」

「次元の低い安倍政権は観光客数に固執してチャイナリスクを高めている。
 この愚行のツケで、日本経済が高い代償を払わされることになろう」

「今必要なのは、中国人の爆買いに喜び浮かれることではない。
 観光分野でもチャイナ・リスクの軽減、即ちアセアンや欧米、オセアニアの観光客招致である」

「アトキンソン氏は、英政府の目標(2030年に4800~6200万人)と比較すると
 日本政府の訪日観光客数の目標は低過ぎると指摘しており、
 2020年に2000万人・2030年に3000万人という目標ではなく
 2020年に5600万人・2030年に8200万人が妥当な目標数であるとしている」

とした当ウェブログの警告は、早くも現実化しつつある。

▽ 中国より、親日的なアジア国の富裕層の訪日観光の方が遥かに重要

『経済大国インドネシア - 21世紀の成長条件』(佐藤百合,中央公論新社)


安倍政権の売国政策をやめさせないと、日本社会への打撃となろう。

「偶々のアメリカ経済回復という「神風」に助けられただけの安倍首相は、
 円安批判に対しまたしても「ドルで給料をもらっている人はいない」と
 経済リテラシーの救い難い低さを証明した」

「ドル建てで労働者を貧しくし、労働コストを切り下げたのだから
 失業率が低下して倒産企業が減るのは当たり前である」

「円安は食品価格を直撃するため、特に低所得層にとって打撃が大きい。
 国内で生産する米や畜産品にしても飼料や燃料はほぼ輸入であるため、
 愚かな安倍政権の円安誘導によりコスト高騰の直撃を受けている」

「輸出産業ですら輸出数量が殆ど増えておらず、
 労働コストを切り下げて企業収益を増やしているという情けない状況である。
 (だから経営層は労働者の賃金を抑制しているのだ)」

「訪日観光は数少ない好調な分野であるが、ここも円安依存の「自国安売り」でしかない。
 何故なら、宿泊消費の少ない中国人観光客が日本国内で輸入品を買い漁っても
 経済効果はごく限定的なものにとどまるからである」

「中国人観光客が永遠に「爆買い」を続けることはあり得ない。
 かつてシャンゼリゼ通りで「爆買い」していた日本人の現在を見れば明白だ」

「毎日記事に「訪日外国人旅行者数と出国日本人数の推移」と題した図表があるので参考にされたい。
 安倍政権が始まって以来、出国日本人が急減していることがひと目で分かる。
 安倍政権の円安誘導(=日本安売り)によって急激に訪日観光客が増えているのもわかる」

「しかも出国日本人と訪日外国人の数の逆転は、1ドル360円だった70年代以来だというのだから、
 安倍政権の売国政策により日本が「70年代並みに」貧しくなっているのは明白である」

「今年以降は急激な円高が予想される。
 中国に依存し過ぎた訪日観光の急変や急減速を警戒しなければならない。
 愚かな安倍政権が観光分野で「チャイナ・リスク」を高めているからだ」

と当ウェブログが予見したように、インバウンド消費の勢いが急速に萎んでいる。

 ↓ 参考

安倍政権が日本を貧しくし、海外へ行く日本人が急減した - 円安による「売国政策」の恥ずべき帰結
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/05dffc49e15ff2ae4f38f8a8e3eef715‎

訪日外国人の消費が過去最高でもマイナス成長、観光政策でも「次元の低い」安倍政権 - 円安依存の病弊
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/280d9cb45870c4d76e98a0657e178054‎

日本はポルトガルに劣る、海外投資家の長期滞在促進を - カナダの教訓に学び英語限定と国籍条項を忘れず
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/714bfa8fbc264627321d47145afa06c2‎

日本に必要なのは「海外の金持ち優遇」、国内富裕層への利益誘導ではない - シンガポールは大の日本好き
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0facd0770c1b7fb9e502d35c6f5e5234

▽ 日本は、観光収入の多いスペインのブランディングやマーケティングに学ぶべき

『人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか――スペイン サン・セバスチャンの奇跡』(高城剛,祥伝社)


訪日観光客:15年度、初の2000万人突破(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160421/k00/00m/020/043000c.html
”2015年度に日本を訪れた外国人観光客数が前年度比45.6%増の2135万9000人となり、初めて2000万人の大台を超えたことが20日、政府観光局の調べでわかった。安倍晋三政権は「20年に年間2000万人」の目標を掲げていたが、今年3月に「20年に4000万人、30年に6000万人」へ引き上げたばかり。
〔中略〕
 訪日外国人観光客は中国を中心にビザ発給の条件が緩和されたことから13年に1000万人の大台を突破し、15年通年の訪日外国人観光客数は1973万7400人と、2000万人に迫る勢いだった。観光庁によると、訪日外国人観光客の日本での消費額は15年に3.5兆円で、国内の自動車部品や半導体など電子部品の輸出額と並ぶ。安倍政権は外国人観光客の消費額を30年に15兆円に増やす戦略だ。
〔中略〕
過去の訪日外国人観光客数の推移を見ると、リーマン・ショック後の09年と東日本大震災と原発事故があった11年は大きく落ち込んでいる。しかし、政府は11年に中国人の個人観光ビザを3年間有効なマルチビザにするなど規制緩和した結果、その後は中国人訪日観光客の急増につながった
 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「11年は震災の危機感をバネにして規制緩和を切り開いたと思える。今後の観光政策に必要なのはマルチビザの拡充など、訪日外国人の立場に立った利便性の向上ではないか」と話している。【川口雅浩】
◇キーワード・インバウンド
 外国人旅行者のこと。2014年の観光庁の統計によると、年間受け入れ数の世界順位は(1)フランス(8370万人)(2)米国(7475万人)(3)スペイン(6499万人)(4)中国(香港・マカオを除く、5562万人)(5)イタリア(4857万人)--と続き、日本(1341万人)は22位だった。日本の15年の受け入れ数(1973万人)をこの順位にそのまま当てはめても、16位前後となる。アジアでは中国に続き、香港(2777万人、11位)、マレーシア(2743万人、12位)、タイ(2477万人、14位)、マカオ(1456万人、19位)、韓国(1420万人、20位)の順に多く、日本は7番目だった。日本政府は成長戦略の柱の一つとして、インバウンドの増加を掲げている。”

毎日記事では、ビザ緩和は安倍政権が始めたものではないこと、
世界でもアジアでも日本の現状は凡庸なものに過ぎないことを明らかにしている。

そして日本経済がゼロ成長なのだから、
爆買が対中輸出の「付け替え」に過ぎないことも明らかだ。


ホテル・旅館:容積率規制緩和へ 国交省、外国人客増加で(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160515/k00/00m/040/027000c.html
”外国人旅行客の増加などを受け、国土交通省は、ホテルや旅館を新築したり建て替えたりする際に、より大型化して客室を増やせるよう、容積率の規制を緩和する方針を固めた。
〔中略〕
大都市だけでなく全国を対象とし、地方都市での受け入れ体制の充実も図る。
 容積率は、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合。100平方メートルの敷地に、1階あたり50平方メートルの4階建てビルを建てた場合の容積率は200%となる。商業地では200~1300%など、都市計画法や建築基準法で地域別に定められ、自治体はこの範囲内で容積率を設定している。国交省は宿泊施設についてはこの範囲を超える容積率を認める方針だ。
 実際に適用するかや、どの程度緩和するかは自治体の判断に委ねるものの、国の規制緩和により、ホテルや旅館の大型化を促す効果があると国交省はみている。
〔中略〕
 昨年の訪日外国人旅行客は過去最多の1973万人。政府は東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年の訪日外国人旅行客の目標を4000万人としている。
 観光庁によると、15年の国内の宿泊施設の客室稼働率は60.5%と、10年に現在の統計方法に改めて以降、2番目の高さだった。都道府県別では大阪府が85.2%と最高で、東京都が82.3%と続いており、大都市部の客室不足が大きな課題となっている。
 規制緩和について、大阪府・市の観光戦略を担う公益財団法人「大阪観光局」の担当者は「規制緩和は、不動産業界の動きなども含め、プラス要因になると思う」と評価した。一方、東京23区の都市政策担当者は「少なくとも東京五輪・パラリンピックのある20年まではホテルの需要はかなりあるだろう。しかし、五輪後に外国人観光客が減ったら、という不安もある」と慎重な見方だった。【曽田拓】”

国交省は相変わらずの「ハコモノ発想」を脱却できていない。
このような陳腐で20世紀的発想しかできない官僚は税の浪費しか能がない。
東京都の政策担当者の方が遥かにクレバーである。


民泊:無許可で営業、韓国籍の女ら3人書類送検(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160427/k00/00m/040/020000c.html
”◇大阪府警外事課、旅館業法違反容疑で
 マンションなどに有料で客を泊める「民泊」を無許可で営業したとして、大阪府警外事課などは26日、飲食店経営の韓国籍の女(71)とレンタルビデオ店経営の中国籍の男(37)ら計3人=大阪市生野区=を旅館業法違反(無許可営業)の疑いで書類送検した。
〔中略〕
 送検容疑は、女は昨年1月~今年2月に生野区内のワンルームマンションなどで「ハンマダン民泊」を営業し、男も昨年6月~今年2月に同区内で「Rainbow House(レインボーハウス)」を経営。いずれも韓国人観光客らを無許可で宿泊させたとしている。
 府警によると、インターネットの民泊予約サイトなどで観光客を集め、1泊が2000~3000円と格安だった。女は約450組、男は約300組を宿泊させたとされる。
 民泊を巡っては、実施を認める条例が東京都大田区や大阪府で施行。大阪市でも今年1月に条例が成立している。【堀江拓哉】”

安倍政権が程度の低い規制緩和論を展開しているから、
このような質の低い連中も増殖してゆくであろう。

許可を取っているゲストハウスならまだ話は分かるのだが、
脱法民泊の利用者には碌でもない連中が混じっており、テロに利用される危険性も高い。


爆買い狙う悪質ガイド横行 店の売り上げ一部懐に(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG11H6Y_X10C16A5CC0000/
”3月下旬、東京・秋葉原の雑居ビルの前に何台もの観光バスが横付けされた。
〔中略〕
 「日本製は安心」「ここでしか買えないよ」。電化製品から食料品までずらりと並ぶ店内では、一万円札を手にした客が競い合うように商品を購入していた。
 雲南省から来た女性(54)はこの日、この店やバスの車内販売で10万円以上使った。「万病に効く『納豆菌』錠剤」「永久に使えるボール型洗剤」……。ガイドに勧められるまま、値段や効能は確認していないという。
 団体客を引率してきたのは中国籍の男性(34)だ。現在、有償でガイドをするには日本の国家資格「通訳案内士」が必要だが、「資格なんて持ってる人はいないよ」と言い切る。

 流行語にもなった「爆買い」。中国人観光客の大量の商品購入を支えるのが、こうしたガイドたちだ。収入源はキックバック。中国系の旅行会社に1回数千~数万円を支払い、団体客をあっせんしてもらう。事前に話を付けた店に客を連れて行き、売り上げの一部を受け取る。
 数年前まで無資格ガイドだった台湾出身の60代男性は「健康食品は25~30%、化粧品は10%、電化製品は5~10%。キックバックの割合は何十年も前から決まっている」と明かした。

 ガイドの間では、高額商品を買わせるのを『優しく殺す』と呼ぶ。「ウソの効能を書いた薬の説明書をつくったり、何時間も免税店に閉じ込めたり……。何でもやっていた」
 無資格ガイドやキックバックの要求は通訳案内士法で禁じられている。しかし「摘発した例はない」(観光庁)。

〔中略〕
 昨年、観光庁には「不当な高額で買わされた」「商品の効果が分からない」などの苦情が約50件寄せられた。被害を放置すれば日本のイメージダウンにつながり、観光客誘致に冷や水を浴びせかねない。
 島川崇・東洋大教授(観光マーケティング)は、外国人への違法行為を専門に取り締まる「観光警察」の設立を提言する。タイや韓国、ギリシャなどで導入されている。
外国人観光客相手のぼったくりや不法行為を専門に取り締まる。
 韓国では、ソウル、仁川、釜山の3市で計約150人が取り締まりにあたる。韓国観光公社によると、2014~15年に無資格ガイドの雇用主や違法タクシー、無登録宿泊所など計約8700件を摘発した。
 韓国観光公社の担当者は「外国語も堪能な人材で構成しており、旅行客が気軽に相談できるように心がけている」と話している。”

愚鈍な安倍政権や官庁は、馬鹿馬鹿しい規制緩和アピールの前に
観光警察を創設してこうした違法ガイドを根絶すべきである。
この程度の話は、以前から分かっていたことである筈だ。
政府の動きが余りにも遅いし、とにかく政策のセンスが悪い。
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