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安倍政権が日本を貧しくし、海外へ行く日本人が急減した - 円安による「売国政策」の恥ずべき帰結

2016-01-12 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
偶々のアメリカ経済回復という「神風」に助けられただけの安倍首相は、
円安批判に対しまたしても「ドルで給料をもらっている人はいない」と
経済リテラシーの救い難い低さを証明した。

少し前には原発停止で何兆円もの国富の損失があるかのように吹聴していたが、
その大部分が安倍政権の愚かな円安誘導政策の必然の結果であることが明らかになりつつある。
今回の次元の低い言葉も、己の愚かさを証明するだけに終わるであろう。

円安は食品価格を直撃するため、特に低所得層にとって打撃が大きい。
国内で生産する米や畜産品にしても飼料や燃料はほぼ輸入であるため、
愚かな安倍政権の円安誘導によりコスト高騰の直撃を受けている。

輸出産業ですら輸出数量が殆ど増えておらず、
労働コストを切り下げて企業収益を増やしているという情けない状況である。
(だから経営層は労働者の賃金を抑制しているのだ)

訪日観光は数少ない好調な分野であるが、ここも円安依存の「自国安売り」でしかない。
何故なら、宿泊消費の少ない中国人観光客が日本国内で輸入品を買い漁っても
経済効果はごく限定的なものにとどまるからである。

元ゴールドマンのパートナーであるアトキンソン氏は、
中国人の爆買いの効果が大きくないこと、
観光収入に劣る日本は豪州やドイツのような観光消費の多い国からの観光客が少ないこと、
海外富裕層を受け入れる市場がそもそも存在しないか、ごく限られていることを指摘している。

▽ 日本の観光産業は収入が非常に少なく、高所得層や富裕層を取り逃がしている

『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』(東洋経済新報社)


今年以降は急激な円高が予想される。
中国に依存し過ぎた訪日観光の急変や急減速を警戒しなければならない。
愚かな安倍政権が観光分野で「チャイナ・リスク」を高めているからだ。

「現在、親日的なアセアンをはじめ訪日観光客が順調に増えており、
 「隠れた輸出産業」として威力を発揮しつつある。
 (福島原発事故がなければもっと伸びていたであろう)」

「御用メディアは「日本政府のプロモーションの成果」としているが、
 とんでもない間違いである。訪日観光客に調査してみるがいい。
 口コミで日本に興味を持ったり、ソフトパワーの影響で好印象を持っているケースが多く、
 他の観光先進国に比べて政策的に卓越した面は殆どないに等しい」

「真相は円安で日本観光がディスカウントされていること、
 新興アジアの成長率が高く、停滞している日本が「お買い得」になっているためだ。
 アジアの経済成長という「神風」の恩恵に過ぎない」

「ただ問題は、日本の観光政策のレベルがいまだ低く、
 マーケティングもまるでなっていないことだ」

「日本の観光政策ではセグメント別の分析が決定的に欠けており、
 毎年のマーケティングやブランディング戦略が全く見えない。
 大きな潜在力を活かしていないのである」

「日本はもっと海外富裕層を迎え入れることが上手にならなければならない。
 無料で通訳や観光案内をつけても良い位である。それでも充分にペイできる」

「日本の観光にはまだポテンシャルがあり、充分に発揮できていない。
 他国の観光政策やマーケティング、ブランディングから謙虚に学ぶことが必要だ」

「残念ながら中国人観光客の「爆買」は日本経済を成長させていない。
 訪日外国人観光客の消費額が過去最高に達したにも関わらず、
 4~6月期の日本経済はマイナス成長が確定している」

「これは愚劣な安倍政権の円安誘導、言わば「自国窮乏化政策」の必然の結果であり、
 経済政策や安全保障政策ばかりではなく観光政策でも「次元が低い」という
 情けない実力の乏しさがまた発覚してしまった訳だ」

「スペインやイギリスのように観光収入において日本より遥かに優れている
 「観光先進国」と比較すると、自国を大幅に安売りしてもタイや韓国にすら及ばない
 日本の観光政策の劣後は明白である」

「今日の事態を正しく予見していたのが元ゴールドマンのアトキンソン氏で、
 中国人訪日観光客の「爆買」は効果が限定的であると見抜いていた」

「氏は日本経済への貢献度の低い輸入品を買い漁る中国人よりも、
 自然や文化に関心が強く長期滞在する豪州や欧州の訪日客を増やすべきと提唱している」

とした当ウェブログの警告は、早くも今年から現実化へと向かいそうだ。

▽ ブランディングが巧みなスペインはフランスより観光収入が多く、日本より遥かに優る「観光先進国」

『人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか――スペイン サン・セバスチャンの奇跡』(高城剛,祥伝社)


中国人観光客が永遠に「爆買い」を続けることはあり得ない。
かつてシャンゼリゼ通りで「爆買い」していた日本人の現在を見れば明白だ。

「日本政府もメディアも中国人観光客の「爆買い」に幻想を抱いている。
 「爆買い」は中国の関税の高さと異常な円安とがもたらした「事故」のようなもので、
 着実に毎年伸びてゆくものではないし、日本経済を力強く成長させるものでもない」

「中国人観光客の「爆買い」は確かに数字の上では伸びているが、
 その代わりに対中輸出が大幅に落ち込んでいる。だから真実は一つしかない。
 日本で「爆買い」している分、日本からの対中輸出が減っただけなのだ。
 つまりこれは不毛なゼロサム・ゲームである可能性が高い」

「当ウェブログは「中国人観光客の「爆買」は日本経済を成長させていない」と指摘したが、
 日本経済のマイナス成長と消費の弱さを見れば、自明のことであろう」

「本当に観光政策によって日本経済を成長させたいのであれば、
 訪日客数ではなく観光収入を目標としなければならないし、
 内需への波及効果の低い輸入品の買い物ではなく
 観光収入の大半を占める宿泊と食事を重視しなければならない」

「また、多くの雇用創出が見込める文化財修復と有料ガイド、
 そして海外富裕層向けの宿泊施設の新設に注力すべきである」

「フジサンケイ報道は、中国人観光客の増加に浮かれていて、
 中国人依存度を高めたために招来する「チャイナ・リスク」を完全に忘却している。
 このままでは中国政府の規制や中国経済のクラッシュの直撃を日本が受けることとなろう」

「次元の低い安倍政権は観光客数に固執してチャイナリスクを高めている。
 この愚行のツケで、日本経済が高い代償を払わされることになろう」

「今必要なのは、中国人の爆買いに喜び浮かれることではない。
 観光分野でもチャイナ・リスクの軽減、即ちアセアンや欧米、オセアニアの観光客招致である」

「アトキンソン氏は、英政府の目標(2030年に4800~6200万人)と比較すると
 日本政府の訪日観光客数の目標は低過ぎると指摘しており、
 2020年に2000万人・2030年に3000万人という目標ではなく
 2020年に5600万人・2030年に8200万人が妥当な目標数であるとしている」

と当ウェブログが書いたように、
今のうちに愚かな観光政策を修正しておかないと
「爆買い消失ショック」の直撃を食らうことになろう。

 ↓ 参考

中国当局の「爆買い潰し」開始か、1兆円を越える「転売市場」壊滅の危機 -「誰も買わなくなる」との声
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/167842494d78de76b8342b422e7e0cbb‎

訪日外国人の消費が過去最高でもマイナス成長、観光政策でも「次元の低い」安倍政権 - 円安依存の病弊
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/280d9cb45870c4d76e98a0657e178054‎

日本はポルトガルに劣る、海外投資家の長期滞在促進を - カナダの教訓に学び英語限定と国籍条項を忘れず
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/714bfa8fbc264627321d47145afa06c2‎

日本に必要なのは「海外の金持ち優遇」、国内富裕層への利益誘導ではない - シンガポールは大の日本好き
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0facd0770c1b7fb9e502d35c6f5e5234

▽ 親日的なインドネシアは、今後の訪日観光の急増が期待できる

『経済大国インドネシア - 21世紀の成長条件』(佐藤百合,中央公論新社)


▽ 日本より豊かなシンガポールも訪日観光を好んでいる

『物語 シンガポールの歴史』(岩崎育夫,中央公論新社)


ドル建てのGDP減少、気にする必要ない=安倍首相(reuters)
http://jp.reuters.com/article/gdp-abe-idJPKCN0UQ0GA20160112
”安倍晋三首相は12日午後の衆院予算委員会で、安倍政権になってからドル建ての国内総生産(GDP)が減少しているとの指摘に対して、「ドルで給料をもらっている人はいない」とし、「為替が変動する中でドル建てのGDP減少を気にする必要はない」と述べた。
〔中略〕
 首相は、本来は「為替一定の水準でドル建てでもGDPが伸びるのが望ましい」としつつ、ここまでは円安進行による雇用拡大や倒産企業数の減少などの成果があったと強調した。 (竹本能文)”

次元の低い首相は相変わらず程度の低い発言を繰り返している。
ドル建てで労働者を貧しくし、労働コストを切り下げたのだから
失業率が低下して倒産企業が減るのは当たり前である。

「為替が変動する中でドル建ての燃料費負担を気にする必要はない」
「為替が変動する中でドル建ての食品輸入コストを気にする必要はない」
と言っているも同然だということが、どうして理解できないのか。
この惨状では大学の経済学部ですら劣等生の烙印を押されるであろう。


訪日客:45年ぶり出国者を逆転へ(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160107/k00/00m/020/107000c.html
”◇昨年1900万人台後半
 2015年の訪日外国人旅行者数が1900万人台後半に達する見通しとなり、1970年以来45年ぶりに出国日本人数を上回ることが確実な情勢となっている。観光立国を成長戦略の柱と位置付ける安倍政権が進めたビザ発給要件などの政策対応や円安が追い風となった。【工藤昭久、山口知】
 観光庁によると、訪日外国人は昨年12月19日時点の推計で1900万人を突破した。14年1年間の訪日外国人より4割多く、通年では1900万人台後半に達する見通しだ。これに対して、出国日本人数は1600万人台と3年連続で前年割れの見通し。円安により海外旅行が割高になっていることや、賃金の伸び悩みが背景にあるとみられる
 70年は大阪万博開催で訪日外国人が前年比約4割増となり、出国日本人を上回った。だが、それ以降は訪日外国人が出国日本人を上回ることはなかった。
〔中略〕
 欧米から遠い地理的制約や、円高で日本旅行が高くつくなどの悪条件も重なったと観光庁では分析している。
 45年ぶりの逆転について石井啓一国土交通相は「ビザ発給要件の緩和や消費税免税制度の拡充などが功を奏した」と胸を張る。ただ、中国など近隣国の経済成長に加え、12年末以降の円安が大きく働いたのも事実だ。
 昨年1~11月の訪日外国人の国・地域別内訳は、中国が1位で前年同期比約2倍の464万人、2位が韓国で4割増の358万人、3位が台湾で3割増の341万人。「爆買い」に象徴される中国人の伸びが大きく貢献した。それが中国経済の減速で今後は伸びが鈍る可能性もある。
 政府は昨年11月、「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」を設置。年間訪日外国人3000万人の目標設定を視野に入れて、拡大策を3月末までにまとめる方針だ。観光庁幹部は「いまの動きを一過性にしないように、ホテル不足などの課題を解消していきたい」と話す。
◇観光立国
 人口減少に直面する日本が、海外からヒト・モノ・カネを呼び込んで経済成長を目指す戦略。2003年1月に当時の小泉純一郎首相が「10年に訪日外国人を1000万人にする」と観光立国を宣言。その後、歴代政権は訪日外国人を増やし、外国人消費を拡大させることを成長戦略の柱の一つに位置付けてきた。
 13年以降、入国許可証であるビザの要件緩和を進め、同年にはタイ、マレーシア、14年にはインドネシア向けにビザなし訪日を実現させた。さらにフィリピンやベトナム、15年には中国向けの発給要件も緩和。これと円安の効果で訪日外国人が急増、安倍政権が掲げる「20年に訪日外国人を2000万人にする」目標は前倒しで達成が確実な情勢だ。”

この毎日記事に「訪日外国人旅行者数と出国日本人数の推移」と題した図表があるので参考にされたい。
安倍政権が始まって以来、出国日本人が急減していることがひと目で分かる。
安倍政権の円安誘導(=日本安売り)によって急激に訪日観光客が増えているのもわかる。

しかも出国日本人と訪日外国人の数の逆転は、1ドル360円だった70年代以来だというのだから、
安倍政権の売国政策により日本が「70年代並みに」貧しくなっているのは明白である。
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