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【2012年の予言】国内ガス開発が始動し、メタンハイドレート開発は停滞する - 直近の本命はCBM

2012-02-22 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
先週、当ウェブログは技術・コスト・他のガス資源の3つの理由を挙げ
我が国のメタンハイドレートに期待し難いと主張した。

その数日後に日経BPに出た自民党の片山さつき議員の楽観論よりも
偶々ではあるが問題意識が先行していることが証明されたと言える。

因に、「日本海側ならメタンハイドレートを採取しやすい」
との反論も予想されるが、それは海底資源採掘に無知で明白な誤りである。
ビジネスやプロジェクトを主導した経験のない素人による、
あらゆる選択肢の優劣を詳細に比較分析していない憶測に過ぎない。


 ↓ 参考

メタンハイドレートに期待できない3つの理由 - 高コスト・技術的未熟・そして強力過ぎるライバル
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b450f3f9f2a11105b83ce9bcb37c3698


…さて今日は、非常に重要な、我が国の国益・公益に直結する提言をしたい。

当ウェブログがメディアの方々に注目されていることは承知している。
この件を是非、様々な媒体で取り上げて欲しい。
いずれの政党も組織もこの資源に殆ど注目していない。
国内経済振興のためにも、震災復興のためにも強力な武器となる。

我が国にはまだ未開発の、しかも現実的に採掘可能なガス資源がある。
それは
北海道の石炭層にあるCBM(炭層ガス)だ。
実用化すらされていないメタンハイドレートに優る点が幾つもある。

1)アメリカにおいて既に採掘・利用技術が確立している

2)シェールガスより浅い層で採掘でき、環境破壊も少ない

3)北海道でのCBM資源の存在はほぼ確実である

ただ残念なことに埋蔵量は我が国の年間消費量ほどしかないようだ。
筑豊や常磐に期待できないものかと調べたが、地質的に難しいらしい。

それでも北海道にとって久々のビッグプロジェクトであり、
夕張から仙台あたりまでパイプラインを設置すれば
200~300万もの人々に安価なガスを届けることができ、
概算だが30年ほどはガス供給が可能と推測される。

できれば郡山まで伸ばして工場誘致の材料とすれば
二重の意味で被災地復興にも資するというものである。

勿論、当ウェブログで何度も主張しているように、
ガスコージェネ・ヒートポンプ・太陽電池を重点普及させ、
限られた資源を大切に使う必要がある。


▽ こちらに北海道のCBM資源の話が出ている

『大転換する日本のエネルギー源 脱原発。天然ガス発電へ』(石井彰,アスキー・メディアワークス)


但し上掲書は重大な欠点を持っており、
サハリンから容易にガスパイプラインを引けるような錯覚が見られる。
それはロシアの本質を知らない純朴な希望的観測でしかない。

ロシアは水に落ちた犬なら叩き殺し、
凶暴な敵に囲まれたら一目散に逃げるような
典型的なリアル・ポリティークの国である。
ブレスト=リトフスク条約や日ソ中立条約を見れば明らかだ。

彼らの目にはカネと軍事力しか映っていない。
ロシアが日本にとって有益なパイプラインを
簡単に敷設させるお人好しだと妄想するなど愚劣極まりない。

北海道のCBM開発を優先させ、仙台までパイプラインを完成させてから
「ロシアのガスも買ってやってもいいが、どうする?」と
有利な立場で交渉しないとロシアから妥協を引き出すことはできない。


▽ ロシアは敵対指導者を衛星電話でおびき出して抹殺するような国である

『コーカサス国際関係の十字路』(廣瀬陽子,集英社)


ロシアで高まる資源ナショナリズム サハリン1、国営ガス参画で交渉(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120221/erp12022107010001-n1.htm
”【モスクワ=遠藤良介】地下資源の国家管理を強めるロシアが、日米など外資連合が主導してきた石油・天然ガス開発事業「サハリン1」の経営権を掌握する可能性が出てきた。外資側は天然ガスの自主的な輸出を認めないロシアの圧力に抗しきれず、露国営天然ガス独占企業「ガスプロム」を参画させる方向で交渉を開始。隣接鉱区の「サハリン2」が2007年に経営権を奪取されたのに続き、日本勢は再びロシアの「資源ナショナリズム」に直面する形となっている。
  ◆輸出法を盾に
 サハリン1の開発は1995年にロシア政府との間に締結された生産物分与協定(PSA)に基づいて外資主導で行われており、本来、石油や天然ガスの輸出先に関する制約はない。
 ただ、ロシアは2004年に石油最大手「ユコス」を解体・再国有化したのを皮切りに資源分野の国家管理を推し進め、06年にはガスプロムに天然ガスの独占輸出権を与えるガス輸出法が成立している。
 サハリン1についても、外資側が中国向けの輸出を計画したのに対し、ロシアはガス輸出法を盾に認めず、国際市場価格の4分の1以下で国内向けにガスを卸すよう圧力をかけた。
 ガスプロムの資本参加交渉の詳細は不明だが、観測筋は、外資がサハリン1の一部資産をガスプロムに譲渡する案や、極東の別鉱区と権益を交換する案などが軸になるとみている。
  ◆瓢箪から駒?
 一方、ガスプロムの参画が逆説的に、日本にとって資源供給源の多様化につながることを期待する見方もある。
 日本はサハリン1からのガス調達を目指して事業に加わったものの、パイプライン敷設に関する国内調整に失敗し、ガスの想定供給先が中国に切り替えられた経緯があるためだ。
 ガスプロムはサハリン1のガスを「極東地域のガス整備に使う」と説明しているが、同事業のガスを独占して国際価格で転売輸出する思惑も指摘されている
 サハリンからガスパイプラインが伸びる極東のウラジオストクでは、日本の商社などがガスプロムと液化天然ガス(LNG)基地を建設することで合意。〔以下略〕”

丁度、産経新聞の素晴らしい解説記事が出ている。
(産経は国内は兎も角、海外の政治については非常に冷静で良い記事が多い)

このサハリン2騒動とロシアの資源ナショナリズムを知っていれば、
ロシアがサハリンから北海道へのパイプラインには高値を吹っかけて妨害し、
ウラジオストクでは日中韓を競わせLNGを高く売りつける魂胆であるのは
火を見るよりも明らかである。
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