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流出雑記 

2016/1/8

2016年01月08日 | Weblog
飛ぶ鳥を落とす勢いの失速
それでも尚追い風を受けて
失楽園に咲いたリンゴの花びらが
風に散ったよな
案外そうでもないような
結実を待って
筋金入りの蜜入り果実
時間を琥珀に閉じ込めて
蜜月を一滴も漏らさぬよう
滴らぬよう湿気らさぬよう
花嵐を拉致して乾燥剤とする

2016/1/6

2016年01月06日 | Weblog
答えを見失った怪盗は
回答用紙を盗んで逃走
疾走する空欄と白紙の瞬きに行く先を見失い
空転 目眩 そして転倒
虚ろな目の中を泳ぐウツボの影あり
目の中のウツボの歯並び

無回答に没頭したきり戻らない頭から
揮発する思い出の数々
漂える限り漂いたなびいて
完熟真っ赤な他人が嗅ぎ取る
身に覚えのない思い出が溢れて
嘔吐による応答
窒息寸前の死闘の末
我が物とした記憶の吐瀉物を映写する際に
スクリーンの汚れは免れず
胃液の酸であいた穴から覗く舞台裏
綱元にぶら下がって見える生ハムは
間違いなく幻影です
劇場には何かいるのが常だから
鎮の重みに宿る魂もあろう
子鬼がいるメロン色の子鬼がいる

怪盗を照らすピンスポット
盗むことを忘れた怪盗は
盗まないのだから怪盗でもなんでもない
役どころを失ったまま煌々と照らされ
怪盗から盗むことを盗んだ盗人が
息を潜めて彼の第一声を
袖から見守る

2016/1/4

2016年01月04日 | Weblog
彼女は間接的に横四方固めを決め、一言も投げかけぬまま一方的な間接キスを投げつけてくるが、行きすぎたお洒落心で唇は似ても似つかぬ形に鋳直されているため原型をとどめず、それが何であるのかもはやよくわからないので、彼女の表現意図のなんたるかを汲み取ることのできる者は、この世に誰ひとりいなかった。それでもめげない彼女の誠心誠意を込めた間接的袈裟固めは、ある日あなたの軽動脈に圧迫感をよぎらせた。彼女が間接技によって手を下すのも時間の問題かも知れない。やがて彼女はこと切れたあなたに向かって言うだろう。「お前の口に口付けしたよ」

2016/1/1-3

2016年01月03日 | Weblog

大晦日は寝てる間に年が明け、すべての風物詩番組を見ないまま布団の中で迎えた新年だった。

1日。去年は大雪の正月だった福井に今年は少しも雪がない。むしろ温かい。義母といろいろ工夫しながらおせちを盛りつけたり、洗い物をしたり、クッキーのアイシングを教わったりする。この家は息子ばかりなのでこういうふうに台所で一緒に何かすることが義母にはなかったのだ。食事の用意片付けひとつとっても家族が多い家の水仕事の膨大さを垣間みる。それも一部分。牛にせよ豚にせよいい肉ばかり食べさせてもらう。実家のある足羽山は寺社仏閣が多くポータルが豊作で、在宅ハックできるポータルが4つもあった。雪がないから歩くことができ、寺社をめぐり初詣、山頂付近にある茶屋で温かいきびだんごを食べる。素朴な風味。イングレスは去年の間にレベル8をとりあえずの目標としていたけれど今年に入ってようやく7。

2日。福井から猫を預けている京都の実家に戻ると妹1とそのミニチュアのような息子1歳のぴよ、妹2、父母。ぴよは猫達に初めて遭遇し大興奮だったらしいけれど加減を知らないふれあいに身の危険を感じた猫達は既に押入れに引きこもっていた。妹2は2日が誕生日だったので祝う。私は3ヶ日おせちでも全然構わないけれど、若人はもう別のものが食べたいとピザやら寿司やら並んでいる。正月はどこの家でも終始テレビなのだろう。テレビと生活が密着しているのが、厳選していない半ばどうでもいいものが自分のいる空間に勝手に止めどなく流れてくるのがしんどい。その場の視聴覚を占める割合が大き過ぎる。正月は疲労する。

3日。両実家から持ち帰った餅と煮しめと白みそでお雑煮。最寄りスーパーは2件とも閉まっていた。少し初売りを見に街へ。ごった返す寺町、新京極、藤井大丸。セールでもそんなに高いものは買えない。商店街をすれ違う人、エレベーターに満載の人と行き違いながら皆ほとんどの時間を働いて賃金を得ているのだなと思う。ブランドを後ろ盾にするお洒落は粋じゃないとそう思い込んでいる屈折した価値観によって、勝手に一生袖を通さないと決めている一般的にそこそこいい服ブランドがいくつかある。お洒落かどうかはそれがいい服かどうかは二の次で、端から見れば奇妙なこだわりと適当さを基礎とした皮フ化を達成しているかどうかが焦点になる。

どうしても必要になる色柄や形状がある。そういうときに服が必要になる。八芒星の柄を古着の中から探し当て、セーターを一着買った。そういうものを探しに行くことが服を見る面白さだとはっきりわかった。だからあるシーズンのコンセプトに貫かれたラインナップや大量に同じものがあるファストファッションより、雑多に集められた製造年月日出所不詳の物量の中を掘り返すのがどうも性に合っている。八芒星はオクタグラムというらしい。その柄に惹かれたことに何か意味があるのか。ググって必然に結びつけることもできるでしょうけれど、実際ちょっと見てみたけれど、そういうことに深入りしない。夜はチキンカレーを食べた。