答えを見失った怪盗は
回答用紙を盗んで逃走
疾走する空欄と白紙の瞬きに行く先を見失い
空転 目眩 そして転倒
虚ろな目の中を泳ぐウツボの影あり
目の中のウツボの歯並び
無回答に没頭したきり戻らない頭から
揮発する思い出の数々
漂える限り漂いたなびいて
完熟真っ赤な他人が嗅ぎ取る
身に覚えのない思い出が溢れて
嘔吐による応答
窒息寸前の死闘の末
我が物とした記憶の吐瀉物を映写する際に
スクリーンの汚れは免れず
胃液の酸であいた穴から覗く舞台裏
綱元にぶら下がって見える生ハムは
間違いなく幻影です
劇場には何かいるのが常だから
鎮の重みに宿る魂もあろう
子鬼がいるメロン色の子鬼がいる
怪盗を照らすピンスポット
盗むことを忘れた怪盗は
盗まないのだから怪盗でもなんでもない
役どころを失ったまま煌々と照らされ
怪盗から盗むことを盗んだ盗人が
息を潜めて彼の第一声を
袖から見守る
回答用紙を盗んで逃走
疾走する空欄と白紙の瞬きに行く先を見失い
空転 目眩 そして転倒
虚ろな目の中を泳ぐウツボの影あり
目の中のウツボの歯並び
無回答に没頭したきり戻らない頭から
揮発する思い出の数々
漂える限り漂いたなびいて
完熟真っ赤な他人が嗅ぎ取る
身に覚えのない思い出が溢れて
嘔吐による応答
窒息寸前の死闘の末
我が物とした記憶の吐瀉物を映写する際に
スクリーンの汚れは免れず
胃液の酸であいた穴から覗く舞台裏
綱元にぶら下がって見える生ハムは
間違いなく幻影です
劇場には何かいるのが常だから
鎮の重みに宿る魂もあろう
子鬼がいるメロン色の子鬼がいる
怪盗を照らすピンスポット
盗むことを忘れた怪盗は
盗まないのだから怪盗でもなんでもない
役どころを失ったまま煌々と照らされ
怪盗から盗むことを盗んだ盗人が
息を潜めて彼の第一声を
袖から見守る