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流出雑記 

「話セバ解カル」

2008年01月29日 | Weblog
劇団地点の公演を観た。
「話セバ解カル」 タイトルに惹かれた。
この言葉が使われる場面で思い浮かぶのは浮気がバレて妻に出ていかれそうな旦那の
「待てよ。話せば解かる!」
など、なんとか相手をそこに引き止める為の内容以前の言葉だ。
しかし、映画やドラマなどで耳にすることはあるが、日常で使うにはなんだか芝居がかったような、妙な感じがする。
「話せば解かる」は芝居の中の言葉ではないかと思う。

相手をそこに引き止める為の話す内容以前の言葉。

話セバ解カル

カタカナになっている分、この言葉に含まれる心境が機械的・理性的に処理され冷却されつつ、しかし読むと低い熱を帯びるように感じる。


素舞台に5人の役者が一人ずつ登場し、演説するようなかたちで15分ほど喋るという構造になっている。

テキストはそれぞれ違うものを2、3種類複合して使用し、「自分達からなるべく遠いもの」を選んでいる ということらしい。

役者はそれぞれ脈絡のないダイビングのスーツと足ヒレや成人式の振り袖や手錠を掛けた姿などであらわれ 喋る。

一言一句細かく操作された言葉は時にはラップのようにリズムとの関係の中で意味、無意味が浮かんだり沈んだりしながら、自分の発語への反応、動き 、物語の筋道なしに役者が舞台に立っている自力を感じた。

役者と演出家との間にあった作業の時間を思った。

あるテキストという布地を、役者というトルソーの上で立体裁断して仕立てたもの
。     どんな着心地なのか聞いてみたい。
そんなことを思う私には演劇を観たというよりある種のショウを見たような後味が残る公演だった。

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