温かくなると小梅は外に出たがるようになる。朝、玄関ドアの前で待っている。ドアを開けると温まったコンクリートの日向に転る。白いお腹の毛がまぶしい。
冬の間寒すぎて土を触らないでいたが、花屋やあちこちの家の軒先が色で溢れかえっているのを見ると我が家にも色が欲しくなる。青、紫の色彩をもつ花にどうしても目がいく。深山ホタルカズラ、何種もあるラベンダーから香りがだんとつに良かったふらのラベンダー。便利なパセリ、魚に合うディル。レモングラスはお茶にする用だがまだ収穫出来たためしがない。毎年小梅に食われる。今年もやはり食われている。猫はどうやらしゅっとしたイネ科の葉が好きらしい。写真の、真ん中から伸びてる蔓はトケイソウ。通っていた幼稚園の近くに咲いていて魅せられた。はじめて母に名前を尋ねたのはこの花だった。トケイソウ。実際文字盤のようだし覚えやすい。ちょうど時の記念日の頃に咲く。
一輪ずつ花屋で買うより育てて切り花にした方が得なので真っ赤なラナンキュラスを一鉢。あとユーカリも買ってきた。丸いかたちの葉が好きだ。
薄桃色の花びらがちらちら玄関先に溜まるようになった。もう葉桜。
天気が良い休日はバイクでよく大原へ行った。里の駅という地元で穫れた野菜や花、手作りのおはぎや巻き寿司などが売っているところがある。そこで素朴なお昼ごはんを買って外のベンチで里山の風景を見ながら食べる。
そのへんの花屋であまりお目にかからない山野草も売っている。端正な顔つきの小花をじっと見ている。
静原、大原あたりの桜の開花は出町などより若干遅いので、日々自転車で走り、鴨川や疎水沿いの桜を堪能してからも少し北へ出向けばまだ爛漫の春。
最近夫はフィルムで写真を撮るようになった。私もコンパクトカメラにフィルムを入れて撮ってみることにした。近頃写真を携帯電話のカメラでしか撮っていなかったので、最初シャッターを押すのになかなか勇気がいった。焼き付くと思うと息をつめる。どちらにしても像は写るがまるで別の行為だ。
大原からさらに山に入って、夫は気になっていたらしい大きな岩を撮っている。私はカメラを持つとなんでも接写したくなる。
杉林と清流、一台もすれ違わない山道。山の先に集落があった。そのいちばん奥には北山修道院村というのがあった。なんとなくノルウェーの森の直子がいた療養所を思わせる立地だが、ひと気のない冷たい感じのする場所だった。
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