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流出雑記 

2010/2/22

2010年02月22日 | Weblog
自転車で走っていると所々で梅が香る。
匂いは空気中にまんべんなく漂うのではなく、風にのって帯状に流れているらしい。それを知ってから外などで何か匂いを嗅ぐと、霧状のゴールテープのような匂いの帯を鼻先でふわっと切った気持ちになる。

朝、冷えていたので真冬の格好で仕事に出た。
母校の高校で仕事、日本画の実習室。
そういえば他の学科の教室はふつうの硝子窓だが、この部屋の窓には障子がある。障子紙を通した光は硝子を通した光よりもののかたちを柔らかく見せる。私たちは光のでものを見ているのだから、光の加減はものの感じ取り方に大きく作用するはずだ。例えば同じポーズをしても光線の違いで人体の見え方は随分違う。
ポーズする側も、肌にあたる光が陰影を作り輪郭が浮かび上がっていると感じられるようなときと、蛍光灯でペカーンと照らされた公民館にいるときとは、その場に引き出される表情がやはり違うように思う。

冷えきった教室はストーブ3台フル稼働で温められているが、それでも室温はなかなか上がらず若干鳥肌。ホットカーペットのおかげで足の裏だけは暖かい。学生さんたちは初めて裸婦固定ポーズを描く授業だそうで、人物を描くことにおもしろみを感じてもらえればと思いつつ、こちらも新鮮な集中力を受け取りながらポーズしている。母校での仕事にはやはり特別な思い入れがある。

ポーズを終えて外に出ると、ファーの帽子とダウンのコートに包まれた自分がばかばかしくなる陽気。
疎水沿いの桜はまだかたいが、枝の先端の膨らみがわずかに桜色に感じられる。実際にそうなのか、毎年見ている満開の風景の記憶や今年の約束から色が滲んで見えているのか。
四季のあるところに生まれてよかった。

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