エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

フジバカマ

2013年09月30日 | ポエム
漢字表記は藤袴である。

フジバカマ(藤袴、Eupatorium japonicum)とはキク科ヒヨドリバナ属の多年生植物で、秋の七草の1つである。

生草のままでは無香のフジバカマであるが、乾燥するとその茎や葉に含有されているクマリン配糖体が加水分解されて、オルト・クマリン酸が生じ「桜餅の葉」のような芳香を放つ。

花言葉は「ためらい」「遅延」「躊躇」「あの日を思い出す」「優しい思い出」である。







「残り香の余韻に浸るフジバカマ」







春の七草は・・・。
「セリ ナズナ ゴギョウ ハコベラ ホトケノザ スズナ スズシロ」

秋の七草は・・・。
「オミナエシ オバナ キキョウ ナデシコ フジバカマ クズ ハギ」

夏の七草は・・・。
「アカザ イノコヅチ ヒユ スベリヒユ シロツメクサ ヒメジョオン ツユクサ」



たおやかな花である。



        荒 野人

チョコレート・コスモス

2013年09月29日 | ポエム
チョコレート・コスモスは、不思議である。
色といい、匂いといいチョコレートである。
しかも、良質なカカオの甘い香りを纏っているのだ。

因みに花言葉は・・・。
「恋の思い出」「恋の終わり」「移り変わらぬ気持ち」である。







「秋桜程良き高さチョコ香る」







このコスモスが我が家に来た。
というより、ぼくが買い求めてきたのである。

チョコレートの香りを放って、玄関脇に置いてある。

チョコレートコスモス(学名:Cosmos atrosanguineus)は、キク科コスモス属の多年草である。
高さは40 - 50cmになる。
8月から10月にかけて黒紫色の一重咲きの花を付け、チョコレートのような香りがするのが特徴だ。

原産地はメキシコ。
1902年から栽培が始まり、日本には大正時代に渡来した。
従って、新種ではないのである。

日本の寒さには弱い。
近年になって、キバナコスモスとの交配種「ストロベリーチョコレート」が開発されたという。

是非お会いしたいものである。



     荒 野人


秋夕・・・あきゆうべ

2013年09月28日 | ポエム
秋の夕は物悲しい。
とりわけ、一人で眺めていると涙がこぼれて来る・・・なぁ~んてね!

でも、これは本当である。
夏の夕焼けよりも、秋の夕焼けの方が詩情に溢れている。
ぼくは、一人でひっそりと眺めるのが大好きである。







「秋の夕穏やかなりし淡き風」







夕焼は、夏の季語である。
従って「秋」を付けて「秋夕焼」と発するのである。
今日は秋夕(あきゆうべ)と表現した。



光が丘公園の夕景である。
夏の夕焼けと違って、優しく膨らみのある色彩である。

すっかり陽が落ちて、帰宅に向かうと自転車の灯火が行き交っている。
ほうたる・・・のような雰囲気であった。

これもまた、秋の風情であるのかもしれない。



明日は、朝から町田に向かう。
俳句結社「からまつ」の同人総会である。
ぼくはまだまだ修行中の身であるけれど、今年は結社賞「山河賞」の選考委員であった。
昨年「次席」を頂いたからであろうと推測している。

総会は、追って報告知することとしたい。



           荒 野人

白き在り

2013年09月27日 | ポエム
「たちまち」秋が深まった。
昨夜から今日にかけての事である。

白秋から、やがて錦秋へと移る。
紅葉が里に下りてきつつある。
赤や、黄色や・・・そして葉が落ちていく。
栄枯盛衰ではないけれど、いつでも万全ではないぞ!
・・・と、人の傲慢を窘めるのである。

自然だから出来る。
構えたり、気取っていては出来ない。
だから、人には出来ない。



今が、白い秋の最盛期であろうか。
白き在り!
と叫びたい程の喜びが横溢する。

この白萩は、美しい。
バージン・ロードを歩む花嫁のようだ。







「白き在り時に艶(あで)やか軽かりき」







この花は、茄子科に属する。
ヒヨドリジョウゴである。



何故ヒヨドリと言う名前が冠されたのかは、浅学非才のぼくには分からない。
想像力も働かない。
語彙の貧困であるのかもしれない。



これは、町中でよく目にする花である。
花を取って、吸うと甘い蜜が出てくる。
ほんの・・・少しだけどね!



花の時期は長いから、きっと目にしている筈である。
名前は少しばかり長い。
「ハナゾノツクバネウツギ」である。

こうした、白き在る花々はもう少しだけ人の目を楽しませる。
それもしかし、錦秋までの余命である。
慈しんであげたい花々である。

もう一つ、今は絮の季節でもある。



この絮は「ヒメジョオン」である。
花も咲いているけれど、絮になって風に乗る彼女もいる。
嗚呼、ゆかしき君よ!




        荒 野人

雨上がり

2013年09月26日 | ポエム
夜半に叩きつけるような雨があった。
雨樋を溢れ、一筋の図太い音を立てて屋根を鳴らした。

朝方、ベランダに小さな水溜まりが出来ていた。
曇り空から時おり覗くお日様が、写ってキラキラした。
秋風が通りすぎる時、細かに泡だってお隣の屋根が揺れた。



ぼくは、書斎に広げた布製のチェア―に身を沈めたのである。
時間がゆったりと流れた。

改めて、シューベルトの「未完成」を聴いた。
心が徐々に開かれて行く・・・のを感じつつ、不覚にも浅い眠りに入ってしまった。
今日は、午後から予定が入っている。
眠ってなど居られないのである。






フルトヴエングラーの降るシューベルトの未完成交響曲である。

さて・・・台風20号だと云う。
そもそも「台風」とは以下の定義だった筈である。
1、フィリピンの近海で発生する。
2、台湾を掠めて、日本に寄って来る。

それなのに、ここのところ海水温度が高いからって・・・小笠原近海で生まれている。
しかも、矢鱈と被害を与えて去っていく。
竜巻だの、洪水だの酷い話ではないか。

もはや台風ではなく、ハリケーンである。







「雨上がりまどろむ身体秋深む」







一気に秋めいてくる、らしい。
それは嬉しい。

八ヶ岳の麓へ、からまつの黄金色の黄葉を見に出かけなくてはなるまい。



         荒 野人