エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

宝鐸草

2014年04月30日 | ポエム
宝鐸草・・・「ほうちゃくそう」と読む。
祭りの季節、まことに縁起の良い花である。



銅鐸が、楽器の機能を色濃く保有していた時代。
弥生時代には、既に銅鐸が楽器として列島の主だった地域には流布していた。

もちろんアジア全域に、銅鐸の文化圏が広がっている。







「紐帯の音の広がり春大祭」







例えば、神域の坊の玄関には、この鐸が頭上に架かっている。
もちろん本殿には、凡そ鈴が下がっている。

鐸の場合、鐸を叩くのは紐帯(ちゅうたい)。
紐を結んだ部分を指す言葉である。

またぶら下がっている紐は、鐸紐(たくちゅう)と云う。

銅鐸は、この花のようにぶら下がっていて、その音色は大小で付けた。
楽器であったのだ。
その名残としての、花の名前である。

本来、お寺の堂の四隅の軒に下げた鈴に似ているから、命名されたのである。
理性が、良くコントロールされた方の命名であろうと思惟されるのである。

花言葉は・・・。
「追憶」「よきライバル」「嫉妬」「あなたを離さない」である。
情念が燃える言葉である。



      荒 野人

カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲

2014年04月29日 | ポエム
今日は、カラヤンの棒で聴いて頂きたい。
ぼくは、ひたすらこの曲を聴き続けている。

マスカーニ作曲であって、オペラの世界に革新をもたらしたのであった。
初演のとき、カーテン・コールが60回繰り返されたと言われている。







何故か、心のさざ波を消したいときにこの曲を聴く。
何故か、心が揺らぐときにこの曲を聴く。

曲の囁きは、揺るぎないのである。
揺らぎも、ハーモニーもない。
ただ重層的な音の深さがあるのだ。

そもそもこのオペラは、週刊誌的ネタのストーリーであるにも関わらず、ぼくの心を穏やかに、そして平らかにしてくれるのである。
ヴェリズモである。

だがしかし、ゆったりとした、流れる大河の如き間奏曲である。







「春終る豊かな流れの深さかな」







このオペラは、現実主義で貫かれた。
そこが、革新的なのだ。



耳にすんなりと入ってくる曲の臍は、弦楽器の4パートが々メロディーを弾く事にある。
ユニゾンである。
この写真は、スコアではないけれど楽譜の雰囲気が宜しい。



静かに、一切の雑音を消して聴いていたい。



因に、カヴァレリア・ルスティカーナの意味は「田舎の騎士道」である。
このオペラの舞台は、イタリアのシチリア島である。



       荒 野人

シランの花

2014年04月28日 | ポエム
シランの花が満開を迎えようとしている。
鉢植が多いのだけれど、地植えはキラキラして綺麗である。



紫の蘭・・・シランなのである。

実は、昨日ある会合があって浜松町に出かけたのである。
会合の前、浜松町駅の隣り「芝離宮」を散策したのであった。



浜松町から見える、東京タワーの雄姿。
スカイツリーも良いけれど、東京タワーはやはり老舗である。

見た目も「かっこ良い!」



ところで、芝離宮は池を中心にした大名庭園である。
芝離宮の隣りが浜離宮である。

芝離宮は入ると、直ぐの場所に藤棚がある。
昨日は、爽やかな風が吹いていて「藤の風」が肌に気持ち良かった。







「紫蘭咲き海底の揺れ現わるる」







シランは紫をもって嚆矢とするが、白のシランもある。



なかなかに風情がある花である。
「日はまた昇る」などという谷村の歌もある。
実は、野人の「おはこ」であった。



誰の上にも、おひさまは等しく上ってくる。
説得力のある歌詞が連なっている。

もう人に聴かせなくなって・・・何年経つだろうか。
所詮、お追従の美学に堕するだけの話である。



       荒 野人



アケビの花

2014年04月27日 | ポエム
単にアケビと言えば、秋の季語である。
ここに、花を添えると春の季語となる。



豊かな多面性を保持しつつ、たわわに咲くのである。
利用する場合、これもまた多面性を持つ。

人の生活に、とりわけ里山の生活にとって欠くべからざる花であり、実である。
実が熟して割れたさまが、人の「あくび」に似ていることから「あけび」に変化していったと云う。
また、実は熟してくると口をあけたようなることから「開け実(あけみ)」そして「あけび」になった、という説もある。







「あけびの花黄緑色の葉を纏う」







花言葉は・・・。
「才能」「唯一の恋」である。

実の白い中身は食べられる。
つるの部分は利尿作用があり、漢字の「木通」は「小水が通じるつるの木」からきているという。  



春の若菜は「おひたし」や「お茶(アケビ茶)」に使われる。
江戸時代は、実の中の種子から油を採ったのであった。



生活に密着した蔓性植物である。



        荒 野人



苗生ずる

2014年04月26日 | ポエム
花屋の店頭は、さながら種屋さんの装いである。
各種の苗・・・多くは野菜だけれどが木箱に行儀よく並んでいる。



正しく「霜止んで苗生ずる」候である。
24節季では穀雨。
72候では、第17候である。

春の深まりを感じる言葉です。



トマトの苗が多い。
トマトのブームは、まだ続いているのだろうか。
とにかく、種類が多いのに驚く。







「買い求むトマトの苗の青々し」







この候を、簡単に説明しておこう。
作句のヒントが詰まっている。

旬の魚「いとより」
旬の野菜「よもぎ」
ビタミン、ミネラル、植物繊維が多い薬草である。

従って、旬の食べ物は「草餅」
う~ん・・・涎が出てきちゃう!

旬の兆しは「五風十雨」
五日に一度風が吹き、十日に一度雨が降る。
そんな安定した季節を言い表しているのである。

世の中が「平穏無事」である、と理解しても良いのである。



       荒 野人