エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

寒椿

2018年02月07日 | ポエム
寒椿は、誠に楚々としている。
その印象は、花の小ささによるものかもしれない。
一昔前・・・トランジスタ・グラマーなんて云う言葉があった。



寒椿の花は、小さいけれどメリハリがあってキレが良い。
過日の雪の中でも、咲いていた。
耐えると云うより、雪を愉しむ気配であった。

山茶花との違いは、花ごと落ちると云う事。
山茶花は、花びらを散らす。



寒椿は、花を落とすのである。
だから、武家では家中に植えない。
縁起が悪いからである。
例えば、無花果を植えない事と同じ意味合いである。







「寒椿画布は選ばず落ちてゆく」







あの大雪の日、寒椿は白い画布に向かって落ち続けた。
なんと云う愛おしき花、なのであろうか。



ぼくの近在の公園には「薮寒椿」も数本ある。
佇まい、或いは居住いがくっきりとしている。

そこに、哀れとか儚さを強く感じるのは至極当然なのである。



寒波は、まだまだ日本列島に居座っている。
春が立った、と云うのにである。

人は、身体中の先端の冷たさに閉口している。
日向ぼこの恋しい日々が、まだ続く。


      荒 野人


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